Episode.3-2
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片倉様や兵たちによる懸命の処置の甲斐あって、政宗様はどうにか一命を取り留めた
その様子を庭先から、他の兵たちに混じって見つめていた私へ、片倉様が大股で歩み寄って──
「オメェがいながら、なぜ政宗様をお守り出来なかった!!」
私の小袖の襟を掴み上げて、片倉様がそう怒鳴る
その怒りは至極当然だ
私は政宗様の御身を守ることも出来なかった、ただの役立たずだと、私自ら証明したのだから
「片倉様、落ち着いてください!
姐御を責めたって……!」
「……申し開きの余地もございません
政宗様のお傍にいながら、戦いをお止めすることも、深手を負われる前にお諌めすることも、できませんでした」
「あ、姐御ッ!?」
「私の首ひとつでは到底見合わぬ罪ではございますが、どうぞご遠慮なく斬り落としてくださいませ
政宗様をお守りできなかった責は、確とこの命をもって償う所存でございます」
「あああ、姐御!?
な、何言ってんスか!?」
片倉様の手が離れていく
斬り落としやすいようにと地面に膝をついて、髪をかき分けて首筋を晒した
そのまま地面に手をついて身体を伏せて、目を閉じる
「腹は決まってるようだな」
「か、片倉様ァ!?」
「駄目ッスよ、筆頭が知ったらなんて言うか!」
「小十郎様!!
おやめ下さい!!」
千夜の声が庭に響いた瞬間、誰かが私を抱き締めるように、覆い被さってきた
そんなふうに庇い立ててもらえるような人間じゃないのに
千夜、駄目よ、私はあなたの主に相応しくないの
私なんかを庇う必要なんて、あなたにありはしないのよ
「姫様を斬ってはなりません!
殿のご意思に背くことになります!」
「そこをどけ、千夜!
政宗様をお守りすることもできねぇ奴に、政宗様のお傍にいる資格はねぇ!」
「どきません!
姫様を斬ると申されますならば、この千夜諸共に斬り捨ててくださいませ!」
「お、お千夜ちゃん!?」
「姐御と諸共って……!?」
……私のことは斬り捨ててくれて構わない
けれど千夜は駄目だ
あなたには片倉様と幸せになる義務がある
疫病神の私なんかと離れて、奥州でどうか幸せに……
そのために私は、あなたの白無垢と嫁入り道具を拵えたのよ
「──……ぅ」
蚊の鳴くような声が、政宗様の居室から聞こえた
政宗様、と片倉様が駆け寄って、何事かを問う
枕元にあった水差しから水を飲んだ政宗様が、「綾葉……」と掠れた声で私を呼んだ
「……はい、政宗様」
「Ha……随分と離れた、ところに、いやがって……
真っ先にお前が、見えるもんだとばっかり……思ってたがな……」
「ご容赦くださいませ……
私はもはや、政宗様のお傍にいるわけには参りません」
「あ……?」
「……失礼致します」
政宗様へ深く頭を下げ、私は足早にその場から立ち去った
政宗様に「しばらく屋敷に詰めろ」と言い渡された手前、美稜領に戻るのは憚られる
仕方なく屋敷にある私の部屋に入ると、花瓶の花が新しいものに替えられていた
「……死をもたらすことしかできない疫病神には、枯れた花くらいがお似合いでしょうに」
は、と自らを嘲笑う声だけが部屋に落ちた
躊躇いもなく銃を手に取って、安全装置を外す
そうして銃口をこめかみに当てて──
「……姫様!!」
誰かが私の腕を無理やり下ろすのと、引き金を引いたのは、前者が先だった
あらぬ方向に放たれた銃弾が、部屋の壁に突き刺さる
発砲音を聞いてか、兵士たちが部屋に駆け込んできては、「姐御!」「今の音は!?」と騒ぎ立てた
「どなたか!
姫様から銃を取り上げてくださいませ!」
「離して、千夜……!
もう私には生きている価値なんてないのよ……!」
「あります!
価値なんていくらでもございます!!」
抗えない力が私の手から銃をもぎ取って、もう片方の銃も奪われる
死ぬことすらできないなんて、どこまでも無慈悲なことだ
「お願いです、姫様……
千夜めは、姫様と共にいたいのです……」
「……馬鹿ね、私なんかと一緒にいては駄目よ……
……ね、だから言ったでしょう?
私の幸せなんてありはしないって……
生家も嫁ぎ先も失った人間が、分不相応にも更なる幸せを望もうとするから、罰が当たったのね……」
彦一郎様を喪った時点で思い知るべきだった
私は幸せを望める立場ではないと
政宗様にお怪我を負わせる前に、気付くべきだった
私などでは政宗様をお守りすることなど、夢のまた夢でしかないのだと……
その様子を庭先から、他の兵たちに混じって見つめていた私へ、片倉様が大股で歩み寄って──
「オメェがいながら、なぜ政宗様をお守り出来なかった!!」
私の小袖の襟を掴み上げて、片倉様がそう怒鳴る
その怒りは至極当然だ
私は政宗様の御身を守ることも出来なかった、ただの役立たずだと、私自ら証明したのだから
「片倉様、落ち着いてください!
姐御を責めたって……!」
「……申し開きの余地もございません
政宗様のお傍にいながら、戦いをお止めすることも、深手を負われる前にお諌めすることも、できませんでした」
「あ、姐御ッ!?」
「私の首ひとつでは到底見合わぬ罪ではございますが、どうぞご遠慮なく斬り落としてくださいませ
政宗様をお守りできなかった責は、確とこの命をもって償う所存でございます」
「あああ、姐御!?
な、何言ってんスか!?」
片倉様の手が離れていく
斬り落としやすいようにと地面に膝をついて、髪をかき分けて首筋を晒した
そのまま地面に手をついて身体を伏せて、目を閉じる
「腹は決まってるようだな」
「か、片倉様ァ!?」
「駄目ッスよ、筆頭が知ったらなんて言うか!」
「小十郎様!!
おやめ下さい!!」
千夜の声が庭に響いた瞬間、誰かが私を抱き締めるように、覆い被さってきた
そんなふうに庇い立ててもらえるような人間じゃないのに
千夜、駄目よ、私はあなたの主に相応しくないの
私なんかを庇う必要なんて、あなたにありはしないのよ
「姫様を斬ってはなりません!
殿のご意思に背くことになります!」
「そこをどけ、千夜!
政宗様をお守りすることもできねぇ奴に、政宗様のお傍にいる資格はねぇ!」
「どきません!
姫様を斬ると申されますならば、この千夜諸共に斬り捨ててくださいませ!」
「お、お千夜ちゃん!?」
「姐御と諸共って……!?」
……私のことは斬り捨ててくれて構わない
けれど千夜は駄目だ
あなたには片倉様と幸せになる義務がある
疫病神の私なんかと離れて、奥州でどうか幸せに……
そのために私は、あなたの白無垢と嫁入り道具を拵えたのよ
「──……ぅ」
蚊の鳴くような声が、政宗様の居室から聞こえた
政宗様、と片倉様が駆け寄って、何事かを問う
枕元にあった水差しから水を飲んだ政宗様が、「綾葉……」と掠れた声で私を呼んだ
「……はい、政宗様」
「Ha……随分と離れた、ところに、いやがって……
真っ先にお前が、見えるもんだとばっかり……思ってたがな……」
「ご容赦くださいませ……
私はもはや、政宗様のお傍にいるわけには参りません」
「あ……?」
「……失礼致します」
政宗様へ深く頭を下げ、私は足早にその場から立ち去った
政宗様に「しばらく屋敷に詰めろ」と言い渡された手前、美稜領に戻るのは憚られる
仕方なく屋敷にある私の部屋に入ると、花瓶の花が新しいものに替えられていた
「……死をもたらすことしかできない疫病神には、枯れた花くらいがお似合いでしょうに」
は、と自らを嘲笑う声だけが部屋に落ちた
躊躇いもなく銃を手に取って、安全装置を外す
そうして銃口をこめかみに当てて──
「……姫様!!」
誰かが私の腕を無理やり下ろすのと、引き金を引いたのは、前者が先だった
あらぬ方向に放たれた銃弾が、部屋の壁に突き刺さる
発砲音を聞いてか、兵士たちが部屋に駆け込んできては、「姐御!」「今の音は!?」と騒ぎ立てた
「どなたか!
姫様から銃を取り上げてくださいませ!」
「離して、千夜……!
もう私には生きている価値なんてないのよ……!」
「あります!
価値なんていくらでもございます!!」
抗えない力が私の手から銃をもぎ取って、もう片方の銃も奪われる
死ぬことすらできないなんて、どこまでも無慈悲なことだ
「お願いです、姫様……
千夜めは、姫様と共にいたいのです……」
「……馬鹿ね、私なんかと一緒にいては駄目よ……
……ね、だから言ったでしょう?
私の幸せなんてありはしないって……
生家も嫁ぎ先も失った人間が、分不相応にも更なる幸せを望もうとするから、罰が当たったのね……」
彦一郎様を喪った時点で思い知るべきだった
私は幸せを望める立場ではないと
政宗様にお怪我を負わせる前に、気付くべきだった
私などでは政宗様をお守りすることなど、夢のまた夢でしかないのだと……
