Episode.3-2
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最上領から続いている山道を駆け抜け、山を降りれば、その先にはどこまでも水田の広がる土地と、その中に広がる伊達屋敷が現れる
その屋敷内では、伊達の兵たちが出陣の準備を整えていた
ド派手な装飾が目を引く軍馬が並ぶ様は、何年経っても……良く言えば壮観だ
屋敷の門は開け放たれたまま
その門から私たちが馬ごと駆け込むと、兵たちがこちらへと気付いた
「筆頭!」
「政宗様!」
「姐御もご一緒だったんスか?」
「ええ、途中で……」
美稜衆の中に千夜を見つけて、私と千夜の視線が絡む
とんでもない日に暇を出してしまった
この埋め合わせは、いつかしてあげなくちゃ……
「陣触れをなされたまま、どちらへおいでだったのです」
雛菊から降りて千夜と簡単な会話を交わす間に、片倉様が藤次郎様へと問うた
どちらに、と言われると、最上領に……としか言いようはないのだけれど
「奥州へ踏み入った仔細不明の敵、最上領を抜ける前に迎撃致すべく──」
「敵は一人だったぜ、小十郎」
「ええッ!?」
「一人って……!?」
「あ、姐御!
まさか本当に一人で突っ込んで来やがったんスか!?」
「……そのまさかなのよ」
左馬助に頷いてやれば、いつもの四人衆があんぐりと口を開けた
その反応は正しい
私もあの光景を見てもなお、あれだけの最上兵を、あの男が一人で屠ったなんて信じられない
「どうってこたぁねぇ、丁重にお引き取り願った」
後藤黒から軽やかに飛び降りた藤次郎様がそう言ったけれど……違和感が芽生えた
声、それとも口ぶり?
いや、違和感なら、あの男との戦いを途中で切り上げた時からずっと続いている
「Revengeに駆られて躍起になってる……」
歩き出した足が、不意に力を失った
藤次郎様のお身体が、ふらりと傾いて……
「藤次郎様?」
「豊臣の──生き残り、だ……」
蒼の装束が裂け、防具が砕け散る
弦月の前立てを象った兜が、弾け飛んで──
「政宗様……!?」
倒れゆくお身体から、赤い血が噴き出して、それは受け止めた片倉様の顔や服に飛び散った
「──え?」
片倉様に抱き留められた藤次郎様は身動きもされない
血が──全身から血が、とめどなく流れて……
「ひ、筆頭……?」
「筆頭……」
「と、殿……?」
筆頭──と全員が絶叫したそれが、遠くに聞こえる
何、なにが起きてるの?
どうして藤次郎様が、お怪我をなさって……?
周りの声が聞こえない
千夜や片倉様が何かを叫んで、兵たちがあちらこちらを走り回って──私の足は、縫い付けられたように動かない
守れなかった……?
私はまた、大切な人を守ることもできず、死に追いやってしまったの……?
(うそ……嘘よ、そんなの……
悪い夢なら、さっさと醒めて──)
視界がぼやけていて、なにがなんだか分からない
ああ──炎の赤が……何もかもを焼き尽くして、私から彦一郎様を、藤次郎様を奪っていく
藤次郎様、藤次郎様は……藤次郎様は?
「……ま──さま、ひ……ま──」
誰かが私に、何かを叫んでいる
ああ駄目……何も聞き取れない……
「──姫様ッ!!」
肩を掴んで強く揺すられ、瞬間、一気に周囲の音が飛び込んできた
ひゅ、と喉が音を鳴らして、けれど私の喉は開いてくれない
「姫様、どうかお気を確かに!
殿は死んでなどおりません!
死んだりなど致しません!」
「……ぁ、あ」
「我々もできることを致しましょう!
とにかく持てるだけの包帯を──あっ」
千夜に引っ張られた私の足が縺れて、二人で転けた
姫様と呼ぶ千夜の、その手を握り締めて……私は、立ち上がることができなかった
「ち、よ……千夜」
「姫様、姫様?」
「たすけて、炎が……
千夜、燃えているの……美稜の城が燃えて、彦一郎様が──
伊達の屋敷が、燃えて、藤次郎、様が」
「気を強く持たれませ!
伊達屋敷は燃えてなどおりません!」
「いや──いや、嫌!
血がっ、藤次郎様、藤次郎様……ッ!
真っ赤になって……炎が!
私……っ、あ、あぁ……!!」
燃えていく……美稜の城は、炎の赤に包まれて
彦一郎様の左胸が赤くなって……手が、冷たくて、目を開けてくれなくて……
藤次郎様が、赤く染まって
目の前が真っ赤になって、藤次郎様が倒れて
(だから言ったでしょう
私は幸せなんて望めないって)
どこかで私がそう囁いた
その通りだ……私が望んでいいものではなかった……
失ってばかりの私が、政宗様のお傍に居ようだなんて──
そんなこと……望んじゃいけなかったんだわ──
その屋敷内では、伊達の兵たちが出陣の準備を整えていた
ド派手な装飾が目を引く軍馬が並ぶ様は、何年経っても……良く言えば壮観だ
屋敷の門は開け放たれたまま
その門から私たちが馬ごと駆け込むと、兵たちがこちらへと気付いた
「筆頭!」
「政宗様!」
「姐御もご一緒だったんスか?」
「ええ、途中で……」
美稜衆の中に千夜を見つけて、私と千夜の視線が絡む
とんでもない日に暇を出してしまった
この埋め合わせは、いつかしてあげなくちゃ……
「陣触れをなされたまま、どちらへおいでだったのです」
雛菊から降りて千夜と簡単な会話を交わす間に、片倉様が藤次郎様へと問うた
どちらに、と言われると、最上領に……としか言いようはないのだけれど
「奥州へ踏み入った仔細不明の敵、最上領を抜ける前に迎撃致すべく──」
「敵は一人だったぜ、小十郎」
「ええッ!?」
「一人って……!?」
「あ、姐御!
まさか本当に一人で突っ込んで来やがったんスか!?」
「……そのまさかなのよ」
左馬助に頷いてやれば、いつもの四人衆があんぐりと口を開けた
その反応は正しい
私もあの光景を見てもなお、あれだけの最上兵を、あの男が一人で屠ったなんて信じられない
「どうってこたぁねぇ、丁重にお引き取り願った」
後藤黒から軽やかに飛び降りた藤次郎様がそう言ったけれど……違和感が芽生えた
声、それとも口ぶり?
いや、違和感なら、あの男との戦いを途中で切り上げた時からずっと続いている
「Revengeに駆られて躍起になってる……」
歩き出した足が、不意に力を失った
藤次郎様のお身体が、ふらりと傾いて……
「藤次郎様?」
「豊臣の──生き残り、だ……」
蒼の装束が裂け、防具が砕け散る
弦月の前立てを象った兜が、弾け飛んで──
「政宗様……!?」
倒れゆくお身体から、赤い血が噴き出して、それは受け止めた片倉様の顔や服に飛び散った
「──え?」
片倉様に抱き留められた藤次郎様は身動きもされない
血が──全身から血が、とめどなく流れて……
「ひ、筆頭……?」
「筆頭……」
「と、殿……?」
筆頭──と全員が絶叫したそれが、遠くに聞こえる
何、なにが起きてるの?
どうして藤次郎様が、お怪我をなさって……?
周りの声が聞こえない
千夜や片倉様が何かを叫んで、兵たちがあちらこちらを走り回って──私の足は、縫い付けられたように動かない
守れなかった……?
私はまた、大切な人を守ることもできず、死に追いやってしまったの……?
(うそ……嘘よ、そんなの……
悪い夢なら、さっさと醒めて──)
視界がぼやけていて、なにがなんだか分からない
ああ──炎の赤が……何もかもを焼き尽くして、私から彦一郎様を、藤次郎様を奪っていく
藤次郎様、藤次郎様は……藤次郎様は?
「……ま──さま、ひ……ま──」
誰かが私に、何かを叫んでいる
ああ駄目……何も聞き取れない……
「──姫様ッ!!」
肩を掴んで強く揺すられ、瞬間、一気に周囲の音が飛び込んできた
ひゅ、と喉が音を鳴らして、けれど私の喉は開いてくれない
「姫様、どうかお気を確かに!
殿は死んでなどおりません!
死んだりなど致しません!」
「……ぁ、あ」
「我々もできることを致しましょう!
とにかく持てるだけの包帯を──あっ」
千夜に引っ張られた私の足が縺れて、二人で転けた
姫様と呼ぶ千夜の、その手を握り締めて……私は、立ち上がることができなかった
「ち、よ……千夜」
「姫様、姫様?」
「たすけて、炎が……
千夜、燃えているの……美稜の城が燃えて、彦一郎様が──
伊達の屋敷が、燃えて、藤次郎、様が」
「気を強く持たれませ!
伊達屋敷は燃えてなどおりません!」
「いや──いや、嫌!
血がっ、藤次郎様、藤次郎様……ッ!
真っ赤になって……炎が!
私……っ、あ、あぁ……!!」
燃えていく……美稜の城は、炎の赤に包まれて
彦一郎様の左胸が赤くなって……手が、冷たくて、目を開けてくれなくて……
藤次郎様が、赤く染まって
目の前が真っ赤になって、藤次郎様が倒れて
(だから言ったでしょう
私は幸せなんて望めないって)
どこかで私がそう囁いた
その通りだ……私が望んでいいものではなかった……
失ってばかりの私が、政宗様のお傍に居ようだなんて──
そんなこと……望んじゃいけなかったんだわ──
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