Episode.3-1
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今回狙われた最上領を治めるのは、羽州の狐を称する武将、最上義光
伊達とは輝宗様の代で婚姻関係にあり、藤次郎様にとっては伯父にあたるのだけれど……
お二人とも知ったことではないといったふうで、顔を合わせれば小競り合いを繰り返している仲だ
……どちらかというと、最上からちょっかいをかけてくる、と言うほうが正しいような気もするけれど
奥羽山脈にほど近い場所へ陣を敷いたらしい最上軍は、なんと前衛の兵士たちがすべて屠られていた
「これは……」
「腕が立つってのは本当らしいな
だがどうにも穏やかじゃねぇ
狐のオッサン、アンタどうやって切り抜ける気だ……?」
崖の上から見下ろす先には、最上義光のいる本陣
そこから風に乗って聞こえてきたのは、癪に障る最上義光の声
首元に刀の切っ先を突き付けられた最上義光の、「コーンッ!」という情けない声が響き渡る
それを掻い潜って聞こえてきたのは激昂した、けれど聞き慣れない声
「私が目指しているのは……ッ!」
「──この俺だろう?」
本陣の真上に位置する崖の上で後藤黒の足を止め、政宗様がその見慣れない男へ声を掛けた
最上義光を斬り捨てようとした刀が、首筋で止まる
そうして男は藤次郎様を見上げた
「Good spirit.
ひとりでrevengeとはいい度胸だ、豊臣の残党
もてなしに来てやったぜ?」
「……!」
男が動きを止めたのをこれ幸いとばかりに、最上義光が身体をくねらせながら抜け出し、藤次郎様を喜色満面の笑みで見上げてきた
それにしてもあの男、これだけの最上兵を前にして、動揺のひとつもないとは恐れ入る
ここから生きて帰れるだけの勝算があるのか、それともこの程度は脅威と見なさないだけの実力があるのか──
「まままま、待っていたよ!
貴公を待っていたんだよ!
どうだい山田くん!
彼が我輩の懐刀!
奥州の独眼竜──」
「Ha!
相変わらずだな、狐のオッサン
アンタの懐刀にゃあ、竜よりも茶瓶が似合いだ」
「……貴様か……!」
政宗様のお声に掻き消されたけれど、あの細身の男、地獄の底を思わせるような声だった
相当の敵意を藤次郎様へ持っているらしいけれど、やはりあの男が、世間を騒がせているとかいう……
「……藤次郎様、戯れも程々になさいませ」
「Ah?」
「あの男、藤次郎様へ尋常ならざる敵意を抱いている様子……
神経を逆撫でするのは得策とは申せません──」
「ななな、なんと!
今日の我輩は運がいい!
独眼竜に加えて、我輩の隠し玉たる、奥州の揚羽蝶まで──」
「貴殿の隠し玉になった覚えは、一度たりともございません」
あいにく私の銃弾は最上のためではなく、藤次郎様のためにある
勝手にそちらの味方にしないで頂きたいものだ
相変わらず調子がいい事ばかり口にする……それが最上義光だと言われれば、そうなのだけれど
「そのgentlemanは好きにして構わねぇ
待っててやるぜ」
「ぼぼぼぼ、暴力反対ッ!
ウッ!」
「なぜ自分の首を締めたので?」
思わず問うてしまったけれど、死んだふりを決め込んだ最上義光は答えてくれなかった
まあいい、私達も最上義光に用があってここまで来たわけじゃない
用があったのは、最上義光へ刀を向けていた男のほうだ
「秀吉様……
貴方様の仇たるこの者を──斬滅する許可をぉぉッ!!」
殺意に満ち満ちた叫びが私達の耳に届く時には、その男は眼下の地を蹴り、藤次郎様の目の前まで迫っていた
眩い光が目の前で炸裂して、視界を覆う
藤次郎様は馬上のまま左手の三爪を抜き放ち、男の一刀を受け止めていた
「誰だ、テメェは?」
「貴様に名乗る名などないッ!!」
三爪を弾いた男が身を翻し、刀を鞘に素早く納める
──居合術の使い手、それも腕前は相当なほうだ
闇色の光が男の剣先から矢継ぎ早に繰り出され、藤次郎様はそれを中空に跳んで躱した
「藤次郎様!」
「手ェ出すんじゃねぇぞ!」
「ですが!」
いや、藤次郎様のおっしゃる通りだ
刀の藤次郎様と銃の私とでは、間合いが違いすぎて共闘に向かない
私がいては、藤次郎様が全力を出せない──この男に対して、それは危険だ
「お気を付けを!」
そう言葉を返す頃には、藤次郎様は目の前の男に向かっていた
「Marvelousだ!
ハァッ!!」
「荒べ!!」
頭上からの急直下攻撃を弾いて、二人が鍔迫り合いを繰り返す
片手とはいえ三爪の藤次郎様を相手に、男は退くどころか互角……いえ、僅かに男が圧している
これほどの実力がある人物が、なぜ今まで表沙汰にならなかった……!?
「許さない……!
私は貴様を許さない!!」
吼えた男が三爪を弾き、目にも止まらぬ速さで藤次郎様の背後を取った
「藤次郎様、後ろ──」
声をかけるより先に、男の凶刃が藤次郎様へ伸びる
ダァン──と力がぶつかる衝撃が広がって……
藤次郎様は六爪を抜き、男の刃を防いでいた
「……Fum.
悪くねぇが──」
ニヤリと笑って、藤次郎様が今度は刃を弾いた
そうして六爪を構えて、蒼い稲妻が迸る
「奥州筆頭・伊達政宗──
この竜を掛け値無しでheat upさせられるのは、あいにくと、この戦国にたった一人だけなんでなァッ!!」
両者の力が激突して、全てを吹き飛ばす程の爆発が巻き起こる
これにはたまらず雛菊も悲鳴を上げて煽られたけれど、何とか私を振り落とすことなく持ち堪えてくれた
最上軍はことごとく宙に巻き上げられ、最上義光も空中を泳いで吹っ飛んでいく始末だ
藤次郎様に吹き飛ばされた男は岩に叩き付けられ、それでもすぐに立ち上がると、居合の構えを取った
その眼前に、藤次郎様は三爪を突きつけ
「Cool off.
恨みじゃ俺は倒せねぇ
まずテメェの旗を掲げな、話はそれからだ
天下を懸けて戦り合おうぜ
You see?」
「天下など知るか!!
貴様の生命の停止こそが、私の無上の望みだ!!」
斬りかかる男の刀を受け止め、軽くいなした藤次郎様は、しかしそのままくるりと空中で身を翻し、後藤黒へと跨った
ハッとして男がこちらを見上げるが、藤次郎様は既に刀を納めている
「そんなに山猿の大将を悼みてぇなら、墓にでも参るんだな」
「貴様……!!
罪人が、このうえ秀吉様を下衆な仇名で侮辱するか!!」
「Keep it up!」
そうとだけを言い残し、政宗様が掛け声と共に後藤黒の腹を蹴る
駆け出した後藤黒に続いて、私も戦場を離脱した
崖を飛び越え、奥羽山脈の奥州側へと戻っていく藤次郎様は、既に笑みを浮かべてはいない
(……藤次郎様が戦いを途中で切り上げた
やはり己の旗を掲げろということなのか、それとも別の思惑があるのかしら)
「藤次郎様」
「しばらく屋敷に詰めろ
ひとまずは煙に巻いたが……」
「……承知
貴方様のご判断に従います」
山道を駆け抜けながら、藤次郎様のそれに頷いて見せる
藤次郎様はもう、何もおっしゃらなかった
この山道を下りきって平野に出れば、伊達屋敷はもうすぐそこだ
あの男のことも含めて、片倉様と情報を共有しておかなければ……
間違いなく、今まで以上の対処が必要なはずだから
伊達とは輝宗様の代で婚姻関係にあり、藤次郎様にとっては伯父にあたるのだけれど……
お二人とも知ったことではないといったふうで、顔を合わせれば小競り合いを繰り返している仲だ
……どちらかというと、最上からちょっかいをかけてくる、と言うほうが正しいような気もするけれど
奥羽山脈にほど近い場所へ陣を敷いたらしい最上軍は、なんと前衛の兵士たちがすべて屠られていた
「これは……」
「腕が立つってのは本当らしいな
だがどうにも穏やかじゃねぇ
狐のオッサン、アンタどうやって切り抜ける気だ……?」
崖の上から見下ろす先には、最上義光のいる本陣
そこから風に乗って聞こえてきたのは、癪に障る最上義光の声
首元に刀の切っ先を突き付けられた最上義光の、「コーンッ!」という情けない声が響き渡る
それを掻い潜って聞こえてきたのは激昂した、けれど聞き慣れない声
「私が目指しているのは……ッ!」
「──この俺だろう?」
本陣の真上に位置する崖の上で後藤黒の足を止め、政宗様がその見慣れない男へ声を掛けた
最上義光を斬り捨てようとした刀が、首筋で止まる
そうして男は藤次郎様を見上げた
「Good spirit.
ひとりでrevengeとはいい度胸だ、豊臣の残党
もてなしに来てやったぜ?」
「……!」
男が動きを止めたのをこれ幸いとばかりに、最上義光が身体をくねらせながら抜け出し、藤次郎様を喜色満面の笑みで見上げてきた
それにしてもあの男、これだけの最上兵を前にして、動揺のひとつもないとは恐れ入る
ここから生きて帰れるだけの勝算があるのか、それともこの程度は脅威と見なさないだけの実力があるのか──
「まままま、待っていたよ!
貴公を待っていたんだよ!
どうだい山田くん!
彼が我輩の懐刀!
奥州の独眼竜──」
「Ha!
相変わらずだな、狐のオッサン
アンタの懐刀にゃあ、竜よりも茶瓶が似合いだ」
「……貴様か……!」
政宗様のお声に掻き消されたけれど、あの細身の男、地獄の底を思わせるような声だった
相当の敵意を藤次郎様へ持っているらしいけれど、やはりあの男が、世間を騒がせているとかいう……
「……藤次郎様、戯れも程々になさいませ」
「Ah?」
「あの男、藤次郎様へ尋常ならざる敵意を抱いている様子……
神経を逆撫でするのは得策とは申せません──」
「ななな、なんと!
今日の我輩は運がいい!
独眼竜に加えて、我輩の隠し玉たる、奥州の揚羽蝶まで──」
「貴殿の隠し玉になった覚えは、一度たりともございません」
あいにく私の銃弾は最上のためではなく、藤次郎様のためにある
勝手にそちらの味方にしないで頂きたいものだ
相変わらず調子がいい事ばかり口にする……それが最上義光だと言われれば、そうなのだけれど
「そのgentlemanは好きにして構わねぇ
待っててやるぜ」
「ぼぼぼぼ、暴力反対ッ!
ウッ!」
「なぜ自分の首を締めたので?」
思わず問うてしまったけれど、死んだふりを決め込んだ最上義光は答えてくれなかった
まあいい、私達も最上義光に用があってここまで来たわけじゃない
用があったのは、最上義光へ刀を向けていた男のほうだ
「秀吉様……
貴方様の仇たるこの者を──斬滅する許可をぉぉッ!!」
殺意に満ち満ちた叫びが私達の耳に届く時には、その男は眼下の地を蹴り、藤次郎様の目の前まで迫っていた
眩い光が目の前で炸裂して、視界を覆う
藤次郎様は馬上のまま左手の三爪を抜き放ち、男の一刀を受け止めていた
「誰だ、テメェは?」
「貴様に名乗る名などないッ!!」
三爪を弾いた男が身を翻し、刀を鞘に素早く納める
──居合術の使い手、それも腕前は相当なほうだ
闇色の光が男の剣先から矢継ぎ早に繰り出され、藤次郎様はそれを中空に跳んで躱した
「藤次郎様!」
「手ェ出すんじゃねぇぞ!」
「ですが!」
いや、藤次郎様のおっしゃる通りだ
刀の藤次郎様と銃の私とでは、間合いが違いすぎて共闘に向かない
私がいては、藤次郎様が全力を出せない──この男に対して、それは危険だ
「お気を付けを!」
そう言葉を返す頃には、藤次郎様は目の前の男に向かっていた
「Marvelousだ!
ハァッ!!」
「荒べ!!」
頭上からの急直下攻撃を弾いて、二人が鍔迫り合いを繰り返す
片手とはいえ三爪の藤次郎様を相手に、男は退くどころか互角……いえ、僅かに男が圧している
これほどの実力がある人物が、なぜ今まで表沙汰にならなかった……!?
「許さない……!
私は貴様を許さない!!」
吼えた男が三爪を弾き、目にも止まらぬ速さで藤次郎様の背後を取った
「藤次郎様、後ろ──」
声をかけるより先に、男の凶刃が藤次郎様へ伸びる
ダァン──と力がぶつかる衝撃が広がって……
藤次郎様は六爪を抜き、男の刃を防いでいた
「……Fum.
悪くねぇが──」
ニヤリと笑って、藤次郎様が今度は刃を弾いた
そうして六爪を構えて、蒼い稲妻が迸る
「奥州筆頭・伊達政宗──
この竜を掛け値無しでheat upさせられるのは、あいにくと、この戦国にたった一人だけなんでなァッ!!」
両者の力が激突して、全てを吹き飛ばす程の爆発が巻き起こる
これにはたまらず雛菊も悲鳴を上げて煽られたけれど、何とか私を振り落とすことなく持ち堪えてくれた
最上軍はことごとく宙に巻き上げられ、最上義光も空中を泳いで吹っ飛んでいく始末だ
藤次郎様に吹き飛ばされた男は岩に叩き付けられ、それでもすぐに立ち上がると、居合の構えを取った
その眼前に、藤次郎様は三爪を突きつけ
「Cool off.
恨みじゃ俺は倒せねぇ
まずテメェの旗を掲げな、話はそれからだ
天下を懸けて戦り合おうぜ
You see?」
「天下など知るか!!
貴様の生命の停止こそが、私の無上の望みだ!!」
斬りかかる男の刀を受け止め、軽くいなした藤次郎様は、しかしそのままくるりと空中で身を翻し、後藤黒へと跨った
ハッとして男がこちらを見上げるが、藤次郎様は既に刀を納めている
「そんなに山猿の大将を悼みてぇなら、墓にでも参るんだな」
「貴様……!!
罪人が、このうえ秀吉様を下衆な仇名で侮辱するか!!」
「Keep it up!」
そうとだけを言い残し、政宗様が掛け声と共に後藤黒の腹を蹴る
駆け出した後藤黒に続いて、私も戦場を離脱した
崖を飛び越え、奥羽山脈の奥州側へと戻っていく藤次郎様は、既に笑みを浮かべてはいない
(……藤次郎様が戦いを途中で切り上げた
やはり己の旗を掲げろということなのか、それとも別の思惑があるのかしら)
「藤次郎様」
「しばらく屋敷に詰めろ
ひとまずは煙に巻いたが……」
「……承知
貴方様のご判断に従います」
山道を駆け抜けながら、藤次郎様のそれに頷いて見せる
藤次郎様はもう、何もおっしゃらなかった
この山道を下りきって平野に出れば、伊達屋敷はもうすぐそこだ
あの男のことも含めて、片倉様と情報を共有しておかなければ……
間違いなく、今まで以上の対処が必要なはずだから
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