51 母校へ行こう
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行く先々で黄色い悲鳴を巻き起こし、全校生徒に『斎藤夕歌ご来場』が知れ渡る頃には、いつの間にか春日山家からガードが二人ほどつけられていた
ただのOBではいられなくなったので、我々は誰もが開き直って堂々としている
なおこの二時間で、ファンクラブ会員は三十人ほど増えたという
そろそろ新規会員登録を中止してくれないだろうか
「いい感じに腹も減ってきたし、そろそろ昼メシにしようぜ」
「そうでござるな
展示もあらかたは見て回れたでござろうか」
「模擬店に行くか?
それともグラウンドのキッチンカーや出店か?」
「俺はグラウンドがいいと思うなぁ
模擬店だと夕歌さんが有名すぎて、逆にお店の迷惑になりそう」
「誠に遺憾です」
スリッパから靴に履き替えて、グラウンドへと出る
グラウンドには人だかりができていて、あちこちから美味しそうな匂いが漂っていた
「みんな何食べる?」
「焼き鳥」
「焼き鳥か、いいね!
比内地鶏を使用って書いてあるけど」
「甘いね夕歌さん、こっちなんて名古屋コーチンだよ」
「バカが過ぎる」
「近江牛の牛タン串もあるぞ」
「たかが串物にA5ランクの牛を!?」
忘れていた
金持ち共は己の食すものに対しては、金に糸目をつけないんだった
それにしてもだろ
「なんでお好み焼きの下にイベリコ豚の豚バラ肉を敷く?」
「お好み焼きの下には豚肉敷くだろ?」
「なぜそれをイベリコ豚でやるのかって話をだな」
ブルジョワ側の三人は不思議そうな顔をしている
またもや親泰君に肩を叩かれた
真の理解者は親泰君だけだよ
「お前ら二人はいつまで経ってもそれかよー」
「この感覚はなくしちゃいけないと思ってるから」
「親泰殿は普段の生活の質を上げても良いのではござらぬか?
食事に困窮するほどの収入という訳ではござりますまい」
「俺の目が黒いうちは高級食材の日常使いなんて死んでもさせない」
「目が据わってやがる……」
「時々、某は、親泰殿に恐怖心を覚えまする……」
「俺も……」
「私も……」
「夕歌は梯子外してやるなよ!?」
いやでも、なんか最近の親泰君はちょっと怖い時があるよ
幸村君が時々腹黒い一面を見せるようになったのと同じで
五年の歳月は菩薩を修羅に変えるほどの力を持つんだなぁ
親泰君には強く生きてほしいと思ってきたけど、強く生きすぎないでほしい
もしかしなくても難しいこと言ってるな?
「で、何食うよ?」
「かすが、おすすめは?」
「私のチョイスでいいのか?
ならばまずは目の前にあるシャトーブリアンの」
「シャトーブリアンがなぁんでキッチンカーに出てくるかなぁー!?」
今まで見えていなかったのも不思議なくらい、堂々と幟にシャトーブリアンの文字があった
シャトーブリアンのステーキを百グラム、ミディアムで焼いてもらいながら、その横にあるキッチンカーにかすがが注文を通していく
最高等級の魚沼産コシヒカリを炊いて作ったおにぎりは、さぞ美味かろう
成実は名古屋コーチンの炭火焼と、各種地鶏の焼き鳥セットを人数分
幸村君は金華豚を使用したカツ丼と、イベリコ豚の豚バラ肉を敷いたお好み焼きを買ってきた
ちなみに親泰君は高級食材の羅列に胃もたれを起こして、場所取りに名乗りを上げるや否や、グラウンドをダッシュで去っていった
その気持ちは察してあまりある
私もそうしたかったな……と、差し出されたシャトーブリアンのステーキを抱え、遠くを見つめて乾いた笑いを浮かべることしかできない
飲み物は親泰君が調達してくれたとLEINが来ていたので、ひとまず手に入れたグルメを手に、食事会場になっている空き教室へと向かうことにしたのだった
「ははは……」
「なんだその乾いた笑いは」
「日頃からこんなんばっか食べてたら、そりゃあ模擬店の予算三倍のお好み焼きを作ろうとするよなぁって……」
「まだそれ言うのかよ」
「親泰君なら分かってくれるのに」
「日頃から後継者育成の一環で会食に参加しているとは思えぬご発言にござる……」
「おかげで舌は肥えたよね
そりゃ高いものを使えば美味しいのは当然だけどさぁ
なんていうかな、何の変哲もない国産のお肉で、どうやって美味しくしてやろうかって考えるのも楽しいと思うんだよ」
「そうだな……その気持ちは分からんでもないが」
かすがが頷きながら、教室のドアを開ける
五つの机が向かい合うように並べられた席で、親泰君が私たちを見て手を振った
机の真ん中にはペットボトルのお茶が並んでいる
「お待たせ致し申した、親泰殿!」
「席取りありがとうー!
冷めないうちに食べよ食べよ!」
「おしぼり山ほどもらってきたぞ、ほれ」
「紙皿なら持参している
取り皿として使うといいだろう」
思い思いの席に座って(なぜか私がお誕生日席に座らせられた)、手を合わせていただきます!
さーて、何から食べようかなー!
「やっぱシャトーブリアンかな」
「だよな」
「ガーリックライスもあるぞ」
「あれ?
かすが、おにぎり買ったんじゃなかったの?」
「そうしようかと思ったが、ステーキにはガーリックライスのほうが合うと思ったのだ」
「さすがはかすが殿!
某では握り飯ばかりになるところでござった!」
「なんかこのお米、やたらとツヤが良いね……?」
「驚くなかれ親泰君、そいつは魚沼産コシヒカリだ」
「魚沼産コシヒカリでガーリックライスを!?」
たぶんこの反応が正しい
もはや出てくるものにいちいちツッコミを入れる気力すらなかったので、私は軽く流してしまったけど
なんで魚沼産コシヒカリでガーリックライスを作ってしまったんだろうか
あのキッチンカーのお姉さんに尋ねてみたいよ、私は
ただのOBではいられなくなったので、我々は誰もが開き直って堂々としている
なおこの二時間で、ファンクラブ会員は三十人ほど増えたという
そろそろ新規会員登録を中止してくれないだろうか
「いい感じに腹も減ってきたし、そろそろ昼メシにしようぜ」
「そうでござるな
展示もあらかたは見て回れたでござろうか」
「模擬店に行くか?
それともグラウンドのキッチンカーや出店か?」
「俺はグラウンドがいいと思うなぁ
模擬店だと夕歌さんが有名すぎて、逆にお店の迷惑になりそう」
「誠に遺憾です」
スリッパから靴に履き替えて、グラウンドへと出る
グラウンドには人だかりができていて、あちこちから美味しそうな匂いが漂っていた
「みんな何食べる?」
「焼き鳥」
「焼き鳥か、いいね!
比内地鶏を使用って書いてあるけど」
「甘いね夕歌さん、こっちなんて名古屋コーチンだよ」
「バカが過ぎる」
「近江牛の牛タン串もあるぞ」
「たかが串物にA5ランクの牛を!?」
忘れていた
金持ち共は己の食すものに対しては、金に糸目をつけないんだった
それにしてもだろ
「なんでお好み焼きの下にイベリコ豚の豚バラ肉を敷く?」
「お好み焼きの下には豚肉敷くだろ?」
「なぜそれをイベリコ豚でやるのかって話をだな」
ブルジョワ側の三人は不思議そうな顔をしている
またもや親泰君に肩を叩かれた
真の理解者は親泰君だけだよ
「お前ら二人はいつまで経ってもそれかよー」
「この感覚はなくしちゃいけないと思ってるから」
「親泰殿は普段の生活の質を上げても良いのではござらぬか?
食事に困窮するほどの収入という訳ではござりますまい」
「俺の目が黒いうちは高級食材の日常使いなんて死んでもさせない」
「目が据わってやがる……」
「時々、某は、親泰殿に恐怖心を覚えまする……」
「俺も……」
「私も……」
「夕歌は梯子外してやるなよ!?」
いやでも、なんか最近の親泰君はちょっと怖い時があるよ
幸村君が時々腹黒い一面を見せるようになったのと同じで
五年の歳月は菩薩を修羅に変えるほどの力を持つんだなぁ
親泰君には強く生きてほしいと思ってきたけど、強く生きすぎないでほしい
もしかしなくても難しいこと言ってるな?
「で、何食うよ?」
「かすが、おすすめは?」
「私のチョイスでいいのか?
ならばまずは目の前にあるシャトーブリアンの」
「シャトーブリアンがなぁんでキッチンカーに出てくるかなぁー!?」
今まで見えていなかったのも不思議なくらい、堂々と幟にシャトーブリアンの文字があった
シャトーブリアンのステーキを百グラム、ミディアムで焼いてもらいながら、その横にあるキッチンカーにかすがが注文を通していく
最高等級の魚沼産コシヒカリを炊いて作ったおにぎりは、さぞ美味かろう
成実は名古屋コーチンの炭火焼と、各種地鶏の焼き鳥セットを人数分
幸村君は金華豚を使用したカツ丼と、イベリコ豚の豚バラ肉を敷いたお好み焼きを買ってきた
ちなみに親泰君は高級食材の羅列に胃もたれを起こして、場所取りに名乗りを上げるや否や、グラウンドをダッシュで去っていった
その気持ちは察してあまりある
私もそうしたかったな……と、差し出されたシャトーブリアンのステーキを抱え、遠くを見つめて乾いた笑いを浮かべることしかできない
飲み物は親泰君が調達してくれたとLEINが来ていたので、ひとまず手に入れたグルメを手に、食事会場になっている空き教室へと向かうことにしたのだった
「ははは……」
「なんだその乾いた笑いは」
「日頃からこんなんばっか食べてたら、そりゃあ模擬店の予算三倍のお好み焼きを作ろうとするよなぁって……」
「まだそれ言うのかよ」
「親泰君なら分かってくれるのに」
「日頃から後継者育成の一環で会食に参加しているとは思えぬご発言にござる……」
「おかげで舌は肥えたよね
そりゃ高いものを使えば美味しいのは当然だけどさぁ
なんていうかな、何の変哲もない国産のお肉で、どうやって美味しくしてやろうかって考えるのも楽しいと思うんだよ」
「そうだな……その気持ちは分からんでもないが」
かすがが頷きながら、教室のドアを開ける
五つの机が向かい合うように並べられた席で、親泰君が私たちを見て手を振った
机の真ん中にはペットボトルのお茶が並んでいる
「お待たせ致し申した、親泰殿!」
「席取りありがとうー!
冷めないうちに食べよ食べよ!」
「おしぼり山ほどもらってきたぞ、ほれ」
「紙皿なら持参している
取り皿として使うといいだろう」
思い思いの席に座って(なぜか私がお誕生日席に座らせられた)、手を合わせていただきます!
さーて、何から食べようかなー!
「やっぱシャトーブリアンかな」
「だよな」
「ガーリックライスもあるぞ」
「あれ?
かすが、おにぎり買ったんじゃなかったの?」
「そうしようかと思ったが、ステーキにはガーリックライスのほうが合うと思ったのだ」
「さすがはかすが殿!
某では握り飯ばかりになるところでござった!」
「なんかこのお米、やたらとツヤが良いね……?」
「驚くなかれ親泰君、そいつは魚沼産コシヒカリだ」
「魚沼産コシヒカリでガーリックライスを!?」
たぶんこの反応が正しい
もはや出てくるものにいちいちツッコミを入れる気力すらなかったので、私は軽く流してしまったけど
なんで魚沼産コシヒカリでガーリックライスを作ってしまったんだろうか
あのキッチンカーのお姉さんに尋ねてみたいよ、私は
