50 親も知らぬアレ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
一週間後、私と親泰君は揃って抜糸
更に一週間後、傷が綺麗に塞がっているのを確認して──
「さて、斎藤君の復帰祝いといこうか」
「師範それ復帰祝いという名のスパルタメニューですよね」
「二週間分の遅れを取り戻さにゃならんからなぁ」
「成実も巻き込んでいいです?」
「なんで?」
「もちろんいいぞ」
「だからなんで?」
やったね!
これで地獄を共有できる!
持つべきものは地獄メニューを一緒にやってくれる優しい親友だ!
「俺は関係なくねぇ!?」
「だって政宗さんを巻き込むわけにはいかないじゃん」
「俺のことも巻き込むなよ!」
「成実はいいかなって思って、親友だし」
「親友なら尚更巻き込むなよ」
「だって私だけ別メニューは寂しいんだもん」
あとはまあ、成実と私は学院で共に部長を務めてきた、いわば戦友だ
だから成実となら、地獄のメニューも乗り越えられそうだな、と思ったというか
政宗さんと一緒だと、ついつい甘えてしまいそうになるというか……
「しゃーねぇなぁ……」
「相変わらずチョロいなテメェ」
「おう、自分のチョロさにそろそろ嫌気が差してるところだよ」
「でも一緒にやってくれるんだ」
「お前からの頼みじゃ断れねぇし
これが梵から頼まれたんだったら絶対に断るけど」
「親友で良かった、私……」
成実も師範から死のメニューを渡され、それをザーッと流し見して、顔を手で覆った
全身から後悔が溢れ出ている
残念だけど、今更やっぱやめたは通用しない
「やっぱやめていい?」
「もう無理じゃないかな」
「クソォ……」
弱々しい悪態をついて、成実は政宗さんとストレッチを始めた
私は同級生の女子とストレッチをすることにしよう
「おお、夕歌ちゃんって体柔らかいね」
「あ、ほんと?
固くなってたらどうしようかと思った」
「私ここまで前にベッタリは倒れないもん
さすが婆娑羅学院の元部長だ」
「あはは、まあ伊達にあの学院で大将やってなかったからね
死ぬほど厳しかったけど」
なんなら今の方が更に厳しいけど、それはそれとして学院の剣道部は本当に厳しかったな
さすが剣道部の名門校というか……
ただでさえ金持ちしか入学できない学校なのに、なんでそこまで強い人達がわんさかいたんだろう
奨学特待生は私だけだったから、学院の実力者達も金持ち軍団の一員ということになるんだけど
「夕歌ちゃんもおうちがお金持ちだったの?」
「いや、私はド庶民だったから、奨学特待生制度を利用して入学したんだよね」
「なんか聞くからに頭良さそう」
「一回でも定期考査で首席から落ちたら即追試、それで駄目だったら即退学の、死なないデスゲームをやってたかな」
「なにそれ怖い」
「三年間学年首席を維持し続けて、特待生のまま卒業してやったけど」
「なにそれもっと怖い、なんで明政受けたの」
「え、うーん、死んだ父親がここで教授やってたから……」
「なにそれ凄い」
あとはまあ、政宗さんと行き先を合わせたほうが、護衛の人たちも楽かな、みたいなのはちょっとある
本当にちょっとだけど
ほとんどの理由はお父さんがここで教授をやってたからだし
「そんな天才でも親知らずの前には無力なのか
なんか安心した」
「抜いたことある?」
「まだない」
「早くこっち側に来なよ」
「嫌だよ、何その一ミリも惹かれない誘い」
ストレッチを交代して、友達の背中をぐーっと押す
私同様にベッタリと上半身が床につく成実にやるのと同じ要領で押していたら、「ギブギブギブ!!」と悲鳴を上げられた
流石に申し訳ない
「えっ、ねぇあのさ、変なこと聞くんだけどさ」
「うん?」
「伊達君ってモテた?」
「いや全然」
「全然なの!?
あんなジュノンも裸足で逃げ出すイケメンなのに!?」
「私のほうが遥かにモテた
老若男女、小中高大含む全校生徒に」
「夕歌ちゃんって何者?」
「一番の親友に己の知らん所でファンクラブを設立されていた元一般人」
「一般人の定義が崩れる」
そうだね、私もそう思う
あの世界において私のような一般人が、一般人じゃないもんね
庶民という名の別人種だったもんね
これだから全包囲金持ち軍団のセレブ学校は……
整列の声がかかって、列に並ぶ
「宜しくお願いします!」の大合唱で、今日の稽古がスタート
さぁて──成実、私と一緒に死んでくれ!!
「お前と一緒に地獄メニューで心中してやるから、今度ミスドのドーナツ食べ放題に付き合えよ」
「喜んで!!」
「お前ら、よくそんな甘いモンばっかのヤツに行けるな……」
「楽しいぜ?」
「俺はpass」
政宗さんは行かないだろうとは思ってたけど、そこまでか
楽しいのにね、ミスドのドーナツ食べ放題
……とまあ、未来への希望を胸に
私と成実は腹を括って、地獄への一歩を踏み出したのだった
──その一ヶ月後、「今度は反対側の親知らずを抜きましょうか」と笑顔で宣告され
年の瀬が迫る十二月中旬、二本目の親知らずを抜歯した
そしてまたもや稽古を休む羽目になった私は、復帰祝いという名の死を師範に宣告されたのだった
もう親知らずの抜歯は懲り懲りだぁ〜!!
更に一週間後、傷が綺麗に塞がっているのを確認して──
「さて、斎藤君の復帰祝いといこうか」
「師範それ復帰祝いという名のスパルタメニューですよね」
「二週間分の遅れを取り戻さにゃならんからなぁ」
「成実も巻き込んでいいです?」
「なんで?」
「もちろんいいぞ」
「だからなんで?」
やったね!
これで地獄を共有できる!
持つべきものは地獄メニューを一緒にやってくれる優しい親友だ!
「俺は関係なくねぇ!?」
「だって政宗さんを巻き込むわけにはいかないじゃん」
「俺のことも巻き込むなよ!」
「成実はいいかなって思って、親友だし」
「親友なら尚更巻き込むなよ」
「だって私だけ別メニューは寂しいんだもん」
あとはまあ、成実と私は学院で共に部長を務めてきた、いわば戦友だ
だから成実となら、地獄のメニューも乗り越えられそうだな、と思ったというか
政宗さんと一緒だと、ついつい甘えてしまいそうになるというか……
「しゃーねぇなぁ……」
「相変わらずチョロいなテメェ」
「おう、自分のチョロさにそろそろ嫌気が差してるところだよ」
「でも一緒にやってくれるんだ」
「お前からの頼みじゃ断れねぇし
これが梵から頼まれたんだったら絶対に断るけど」
「親友で良かった、私……」
成実も師範から死のメニューを渡され、それをザーッと流し見して、顔を手で覆った
全身から後悔が溢れ出ている
残念だけど、今更やっぱやめたは通用しない
「やっぱやめていい?」
「もう無理じゃないかな」
「クソォ……」
弱々しい悪態をついて、成実は政宗さんとストレッチを始めた
私は同級生の女子とストレッチをすることにしよう
「おお、夕歌ちゃんって体柔らかいね」
「あ、ほんと?
固くなってたらどうしようかと思った」
「私ここまで前にベッタリは倒れないもん
さすが婆娑羅学院の元部長だ」
「あはは、まあ伊達にあの学院で大将やってなかったからね
死ぬほど厳しかったけど」
なんなら今の方が更に厳しいけど、それはそれとして学院の剣道部は本当に厳しかったな
さすが剣道部の名門校というか……
ただでさえ金持ちしか入学できない学校なのに、なんでそこまで強い人達がわんさかいたんだろう
奨学特待生は私だけだったから、学院の実力者達も金持ち軍団の一員ということになるんだけど
「夕歌ちゃんもおうちがお金持ちだったの?」
「いや、私はド庶民だったから、奨学特待生制度を利用して入学したんだよね」
「なんか聞くからに頭良さそう」
「一回でも定期考査で首席から落ちたら即追試、それで駄目だったら即退学の、死なないデスゲームをやってたかな」
「なにそれ怖い」
「三年間学年首席を維持し続けて、特待生のまま卒業してやったけど」
「なにそれもっと怖い、なんで明政受けたの」
「え、うーん、死んだ父親がここで教授やってたから……」
「なにそれ凄い」
あとはまあ、政宗さんと行き先を合わせたほうが、護衛の人たちも楽かな、みたいなのはちょっとある
本当にちょっとだけど
ほとんどの理由はお父さんがここで教授をやってたからだし
「そんな天才でも親知らずの前には無力なのか
なんか安心した」
「抜いたことある?」
「まだない」
「早くこっち側に来なよ」
「嫌だよ、何その一ミリも惹かれない誘い」
ストレッチを交代して、友達の背中をぐーっと押す
私同様にベッタリと上半身が床につく成実にやるのと同じ要領で押していたら、「ギブギブギブ!!」と悲鳴を上げられた
流石に申し訳ない
「えっ、ねぇあのさ、変なこと聞くんだけどさ」
「うん?」
「伊達君ってモテた?」
「いや全然」
「全然なの!?
あんなジュノンも裸足で逃げ出すイケメンなのに!?」
「私のほうが遥かにモテた
老若男女、小中高大含む全校生徒に」
「夕歌ちゃんって何者?」
「一番の親友に己の知らん所でファンクラブを設立されていた元一般人」
「一般人の定義が崩れる」
そうだね、私もそう思う
あの世界において私のような一般人が、一般人じゃないもんね
庶民という名の別人種だったもんね
これだから全包囲金持ち軍団のセレブ学校は……
整列の声がかかって、列に並ぶ
「宜しくお願いします!」の大合唱で、今日の稽古がスタート
さぁて──成実、私と一緒に死んでくれ!!
「お前と一緒に地獄メニューで心中してやるから、今度ミスドのドーナツ食べ放題に付き合えよ」
「喜んで!!」
「お前ら、よくそんな甘いモンばっかのヤツに行けるな……」
「楽しいぜ?」
「俺はpass」
政宗さんは行かないだろうとは思ってたけど、そこまでか
楽しいのにね、ミスドのドーナツ食べ放題
……とまあ、未来への希望を胸に
私と成実は腹を括って、地獄への一歩を踏み出したのだった
──その一ヶ月後、「今度は反対側の親知らずを抜きましょうか」と笑顔で宣告され
年の瀬が迫る十二月中旬、二本目の親知らずを抜歯した
そしてまたもや稽古を休む羽目になった私は、復帰祝いという名の死を師範に宣告されたのだった
もう親知らずの抜歯は懲り懲りだぁ〜!!
5/5ページ
