50 親も知らぬアレ
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「夕歌、顔の腫れは大丈夫か!?」
「まだ何も言ってないんだよなぁ」
これが出オチです
いつもの場所に到着したバンが完全に停車するより先にドアが開いた
私が記憶喪失になってた時より開くの早かったぞ、どうなってんだ本当に
後ろの席に座る幸村君は「おはようございまする!」と元気な挨拶
そして親泰君はというと
「おはようございまふ……」
「仲間!!」
「夕歌ひゃんッ!!」
感極まって親泰君の手を握ってしまった
良かった!!
これでお揃いだね!!
「傷の舐め合いしてねぇで、さっさと乗れ」
「なんでしゅか?
親泰 君と私が仲良しで羨ましいんでしゅか?」
「お前、煽れるとなったらウッキウキで喋るんだな……
さ行が言えてねぇけど」
「ふごいね
俺は当面の間、喋 りたくない」
「こっちにも言えてねぇ奴がひとり、と」
私の隣にかすがも乗って、バンは大学へと走り出した
でも私も積極的には喋りたくない
必要最低限の会話で済ませたいというか、なんなら全部もう文章で済ませていいだろうか
口を開きたくないんだよね……
「二人とも抜糸はいつだ?」
「来週 」
「私も」
「オモロ」
「ぶっ殺すぞテメェ」
「今の親泰が言ったか!?」
残念ながら親泰君だよ
相当キレてるな、こりゃ
普段は言わなさそうなことを躊躇いもなく言ってしまってる……
「しかしその状態では、食事などもままならぬのではござらぬか?」
「固いものは食べられないから、ひばらくは柔らかいものかなぁ」
「うどんとか雑炊とかね」
「大変だよな、抜歯のあとって」
「一生のうちにあと三回もこれが待ってると思うと本当に鬱」
「まあ気持ちは分かるけどよ」
本当に人体はなぜ不要なものを生み出そうとするんだ
親知らずなんて生えて何の意味があるんだ、そんなの進化の過程で失って構わんはずだろう
政宗さんお手製の雑炊が入ったランチトートを抱えながら、私は何度目かも分からないため息を吐き出した
歯を食いしばれないから剣道もできないし、本当に最悪としか言いようがない
せめてもの救いは、親泰君と同じタイミングで親知らずを抜いたことだ
この苦しみを共有できる人がいてくれて良かった……
私だけがこの苦しみを味わうなら、暴動を起こすところだった
とまあ、それはさておき
「しょんなわけで、当分は私と親泰君は喋んないから、宜しく」
「用があれば筆談で応じるから」
「Hey,honey.
俺ともお喋りはしてくれねえってのか?
毎晩あんなに熱いセリフを囁いてくれてたじゃねぇか……」
「存在しない記憶で物言うのやめてくだしゃい」
「な、なんと夕歌殿、斯様なことを……!?
破廉恥でござる、即刻改められよ!!」
「存在しない記憶だって言ってんだよ阿呆馬鹿たわけ」
「今の夕歌が言ったか?」
残念ながら私が言った
そもそも喋らせるなって言ってんだよ
話を聞いてくれ
「当面は帰宅時間がズレるだろう
その辺りはどうするんだ」
「とりあえず夕歌だけ先に新倉と帰らせて、俺と梵は留守に送ってもらうかなぁ」
まぁそうしてもらうしかないな
剣道部の稽古が終わるまでの時間潰しを、親泰君に付き合ってもらうのも悪いし
いやまあ、かすがなら付き合ってくれそうだけど……
「……復帰したらお前、また師範に鍛えられるんだろうな」
「まぁ……だろうな……」
さすがの私もそれは嫌だ……
でも避けられない運命なんだろうな……
その時は成実も巻き込んでやろう
地獄のメニューも誰かと一緒にやれば怖くないよね!
車が左折して、大学の駐車場へと入っていく
憂鬱なのかそうでないのか分からない一週間の始まりだ
この一週間は絶対に喋らんからな!
何が何でも喋らんからな!!
はいかいいえで答えられる会話しかせんからな!!
車を降りて、留守さんと和真さんに見送られながら、構内へ
別の講義棟になる政宗さん、学部の違う親泰君とは途中で別れて、商学部組は最初の講義室へと向かった
「夕歌ってアイスはいけるんだよな?」
「うん」
「じゃあ昼の後の空きコマでアイス食わねぇ?
サーティワンの新作フレーバー食いに行こうぜ」
「うん!!」
「相変わらず甘党だな」
「ストレスに晒された生活は、もうしてねぇはずなんだけどな
すっかり甘党になっちまったなー」
「なるほど
たしかに、疲れた時は甘いものと、佐助も言っておりましたぞ」
「おー、糖分補給は大事だぞ」
講義棟に入って、二階にある講義室へ
定位置に陣取って、男女で二列に分かれて座り、その五分後にチャイムが鳴って
二分後、教授が講義室に駆け込んできた
「まだ何も言ってないんだよなぁ」
これが出オチです
いつもの場所に到着したバンが完全に停車するより先にドアが開いた
私が記憶喪失になってた時より開くの早かったぞ、どうなってんだ本当に
後ろの席に座る幸村君は「おはようございまする!」と元気な挨拶
そして親泰君はというと
「おはようございまふ……」
「仲間!!」
「夕歌ひゃんッ!!」
感極まって親泰君の手を握ってしまった
良かった!!
これでお揃いだね!!
「傷の舐め合いしてねぇで、さっさと乗れ」
「なんでしゅか?
「お前、煽れるとなったらウッキウキで喋るんだな……
さ行が言えてねぇけど」
「ふごいね
俺は当面の間、
「こっちにも言えてねぇ奴がひとり、と」
私の隣にかすがも乗って、バンは大学へと走り出した
でも私も積極的には喋りたくない
必要最低限の会話で済ませたいというか、なんなら全部もう文章で済ませていいだろうか
口を開きたくないんだよね……
「二人とも抜糸はいつだ?」
「
「私も」
「オモロ」
「ぶっ殺すぞテメェ」
「今の親泰が言ったか!?」
残念ながら親泰君だよ
相当キレてるな、こりゃ
普段は言わなさそうなことを躊躇いもなく言ってしまってる……
「しかしその状態では、食事などもままならぬのではござらぬか?」
「固いものは食べられないから、ひばらくは柔らかいものかなぁ」
「うどんとか雑炊とかね」
「大変だよな、抜歯のあとって」
「一生のうちにあと三回もこれが待ってると思うと本当に鬱」
「まあ気持ちは分かるけどよ」
本当に人体はなぜ不要なものを生み出そうとするんだ
親知らずなんて生えて何の意味があるんだ、そんなの進化の過程で失って構わんはずだろう
政宗さんお手製の雑炊が入ったランチトートを抱えながら、私は何度目かも分からないため息を吐き出した
歯を食いしばれないから剣道もできないし、本当に最悪としか言いようがない
せめてもの救いは、親泰君と同じタイミングで親知らずを抜いたことだ
この苦しみを共有できる人がいてくれて良かった……
私だけがこの苦しみを味わうなら、暴動を起こすところだった
とまあ、それはさておき
「しょんなわけで、当分は私と親泰君は喋んないから、宜しく」
「用があれば筆談で応じるから」
「Hey,honey.
俺ともお喋りはしてくれねえってのか?
毎晩あんなに熱いセリフを囁いてくれてたじゃねぇか……」
「存在しない記憶で物言うのやめてくだしゃい」
「な、なんと夕歌殿、斯様なことを……!?
破廉恥でござる、即刻改められよ!!」
「存在しない記憶だって言ってんだよ阿呆馬鹿たわけ」
「今の夕歌が言ったか?」
残念ながら私が言った
そもそも喋らせるなって言ってんだよ
話を聞いてくれ
「当面は帰宅時間がズレるだろう
その辺りはどうするんだ」
「とりあえず夕歌だけ先に新倉と帰らせて、俺と梵は留守に送ってもらうかなぁ」
まぁそうしてもらうしかないな
剣道部の稽古が終わるまでの時間潰しを、親泰君に付き合ってもらうのも悪いし
いやまあ、かすがなら付き合ってくれそうだけど……
「……復帰したらお前、また師範に鍛えられるんだろうな」
「まぁ……だろうな……」
さすがの私もそれは嫌だ……
でも避けられない運命なんだろうな……
その時は成実も巻き込んでやろう
地獄のメニューも誰かと一緒にやれば怖くないよね!
車が左折して、大学の駐車場へと入っていく
憂鬱なのかそうでないのか分からない一週間の始まりだ
この一週間は絶対に喋らんからな!
何が何でも喋らんからな!!
はいかいいえで答えられる会話しかせんからな!!
車を降りて、留守さんと和真さんに見送られながら、構内へ
別の講義棟になる政宗さん、学部の違う親泰君とは途中で別れて、商学部組は最初の講義室へと向かった
「夕歌ってアイスはいけるんだよな?」
「うん」
「じゃあ昼の後の空きコマでアイス食わねぇ?
サーティワンの新作フレーバー食いに行こうぜ」
「うん!!」
「相変わらず甘党だな」
「ストレスに晒された生活は、もうしてねぇはずなんだけどな
すっかり甘党になっちまったなー」
「なるほど
たしかに、疲れた時は甘いものと、佐助も言っておりましたぞ」
「おー、糖分補給は大事だぞ」
講義棟に入って、二階にある講義室へ
定位置に陣取って、男女で二列に分かれて座り、その五分後にチャイムが鳴って
二分後、教授が講義室に駆け込んできた
