50 親も知らぬアレ
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そうして一ヶ月後、冬休みの足音が近付いてきた頃
私と親泰君は揃って絶望した顔で集まった
「この世の終わりみたいな顔してる」
「いっそ終わればいいと思う」
「こらこら終末を望むな、親知らずの抜歯ごときで」
「私まだ死にたくない……」
「親知らずの抜歯くらいじゃ死なんわ」
「心は死ぬよね親泰君」
「うん」
この場において味方は親泰君だけだ
幸村君は私と親泰の様子にただならぬものを感じているらしく、すっかり気圧されている
「しかし二人とも揃って同じ日に抜歯か
なかなかねぇよな、友達が揃って親知らず抜くって」
「成実やっぱ楽しんでる……」
「夕歌がここまで死んだ顔するの見たことねぇから」
「ひどい……最低……お前なんか友達じゃない……」
「そこまで言うかよ!?」
「政宗殿でさえ励ましのお言葉をかけておられたというのに、成実殿……」
「いや俺も頑張れとは思ってるけどな!?」
「伝わらなければ同じことだぞ」
「すげぇ四面楚歌」
抜歯のために私は部活もしばらく休み
特に今日に至っては絶対安静とまで言われている
怖すぎる、なんてことだ……
「親泰君……生きて会おうね……」
「うん……夕歌さんこそ、幸運を祈ってるよ……」
「死にに行く前の武士か?」
「映画だと死亡フラグだぞ」
「そ、それ程までに恐ろしいものでござるか……!?」
もう本当に憂鬱を通り越した状態が続いていて、朝だって食事も喉を通らなかった
そしてそれはお昼ご飯もそう
政宗さんも合流して、顔面偏差値の暴力と化したテーブルは、私と親泰君が黙っているせいで、お通夜のような空気だ
「Hey……honey.
死にゃしねぇだろ、抜歯くらいで」
「心は死ぬんですよ」
「朝からずっとこうだよ
今日はもう諦めろ、梵」
「夕歌、大丈夫だ
お前ならきっと乗り越えられる、私が言うのだから間違いない」
「かすがぁ……」
持つべきものは大親友
乗り越えられる気はまったくしてないけど
そんなこんなで悲壮感を漂わせたまま、私と親泰君は別れ
夕方、激しい抵抗を難なく和真さんに制された私は、歯医者へとドナドナされたのだった
*********************
そして翌朝
「おはようごしゃいましゅ」
「見事に腫れたな」
「うるさいでしゅよ」
右頬がしっかり腫れたせいで、さ行が言えない人間が完成した
クソッタレという一言はかろうじて飲み込めた、若奥様修行が初めて生きた気がする
親泰君も腫れてるのかな、二人でお揃いだといいな
決して他人の不幸を望んでいるわけではなくて、もうここまで来たら全部お揃いでいこうぜという話である
私用に雑炊を作ってくれたらしい政宗さんが笑っている
そんなに面白いか、コノヤロウ
「おはようございます、奥様、政宗様」
「Goo morning.」
「……」
「奥様?」
和真さんが不思議そうに小首を傾げている
出来ればこのまま無言を貫いてもいいだろうか
でも挨拶は基本中の基本だもんな……
「あの、奥様?
なにか不手際がありましたか?」
「……おはようごしゃいましゅ……」
「随分とお可愛らしい挨拶でございますね……?」
「終わりだ……」
もうこの世の終わりだ、終わってくれ
雑炊を食べながら世界の滅亡を願う奴なんて、私くらいしかいない気がする
そうして身支度も整えてもらって、留守さんの運転する車が我が家の前に停まって
「坊ちゃん、姐さん!
はざっす!」
「朝からtension高いな」
「いつもこんなんッスよ?」
「テメーで言うな」
後ろのスライドドアを開けて政宗さんが乗り込む
その後から私も頭だけ下げて乗り込んだ
もう絶対に口を開くまいという決意で
「おーい夕歌、挨拶くらいしてくれよ」
こいつマジで殺す
とりあえず、かすがに鉛筆を用意してもらっとこ!
無言でスマートフォンを取り出して何かを打ち込む私を見て、成実が「すいませんでした!!」と速攻で謝ってきた
なら言うなというに
「一言も喋らねぇつもりかよ?」
「ううん」
「相槌は打てるんだな」
「うん」
「梵、実際のところ、夕歌ってどんな感じになってんの?」
「喋り方がcuteになってる」
「腫れてんだな
可愛いっていうか、さ行が言えないやつじゃねーか」
「え、なんスかそれ!
めっちゃ可愛いッスね!?」
「命知らずすぎるだろお前」
もう終わりだよこんなの
口を開いても開かなくても可愛い可愛い言われて、これが終わりじゃなきゃ何なんだ
憂鬱すぎる、本当に家から出たくないくらい憂鬱すぎる
今からでも家に帰らせてくれないだろうか
駄目か、そうだよね、自主休講は良くないね……
私と親泰君は揃って絶望した顔で集まった
「この世の終わりみたいな顔してる」
「いっそ終わればいいと思う」
「こらこら終末を望むな、親知らずの抜歯ごときで」
「私まだ死にたくない……」
「親知らずの抜歯くらいじゃ死なんわ」
「心は死ぬよね親泰君」
「うん」
この場において味方は親泰君だけだ
幸村君は私と親泰の様子にただならぬものを感じているらしく、すっかり気圧されている
「しかし二人とも揃って同じ日に抜歯か
なかなかねぇよな、友達が揃って親知らず抜くって」
「成実やっぱ楽しんでる……」
「夕歌がここまで死んだ顔するの見たことねぇから」
「ひどい……最低……お前なんか友達じゃない……」
「そこまで言うかよ!?」
「政宗殿でさえ励ましのお言葉をかけておられたというのに、成実殿……」
「いや俺も頑張れとは思ってるけどな!?」
「伝わらなければ同じことだぞ」
「すげぇ四面楚歌」
抜歯のために私は部活もしばらく休み
特に今日に至っては絶対安静とまで言われている
怖すぎる、なんてことだ……
「親泰君……生きて会おうね……」
「うん……夕歌さんこそ、幸運を祈ってるよ……」
「死にに行く前の武士か?」
「映画だと死亡フラグだぞ」
「そ、それ程までに恐ろしいものでござるか……!?」
もう本当に憂鬱を通り越した状態が続いていて、朝だって食事も喉を通らなかった
そしてそれはお昼ご飯もそう
政宗さんも合流して、顔面偏差値の暴力と化したテーブルは、私と親泰君が黙っているせいで、お通夜のような空気だ
「Hey……honey.
死にゃしねぇだろ、抜歯くらいで」
「心は死ぬんですよ」
「朝からずっとこうだよ
今日はもう諦めろ、梵」
「夕歌、大丈夫だ
お前ならきっと乗り越えられる、私が言うのだから間違いない」
「かすがぁ……」
持つべきものは大親友
乗り越えられる気はまったくしてないけど
そんなこんなで悲壮感を漂わせたまま、私と親泰君は別れ
夕方、激しい抵抗を難なく和真さんに制された私は、歯医者へとドナドナされたのだった
*********************
そして翌朝
「おはようごしゃいましゅ」
「見事に腫れたな」
「うるさいでしゅよ」
右頬がしっかり腫れたせいで、さ行が言えない人間が完成した
クソッタレという一言はかろうじて飲み込めた、若奥様修行が初めて生きた気がする
親泰君も腫れてるのかな、二人でお揃いだといいな
決して他人の不幸を望んでいるわけではなくて、もうここまで来たら全部お揃いでいこうぜという話である
私用に雑炊を作ってくれたらしい政宗さんが笑っている
そんなに面白いか、コノヤロウ
「おはようございます、奥様、政宗様」
「Goo morning.」
「……」
「奥様?」
和真さんが不思議そうに小首を傾げている
出来ればこのまま無言を貫いてもいいだろうか
でも挨拶は基本中の基本だもんな……
「あの、奥様?
なにか不手際がありましたか?」
「……おはようごしゃいましゅ……」
「随分とお可愛らしい挨拶でございますね……?」
「終わりだ……」
もうこの世の終わりだ、終わってくれ
雑炊を食べながら世界の滅亡を願う奴なんて、私くらいしかいない気がする
そうして身支度も整えてもらって、留守さんの運転する車が我が家の前に停まって
「坊ちゃん、姐さん!
はざっす!」
「朝からtension高いな」
「いつもこんなんッスよ?」
「テメーで言うな」
後ろのスライドドアを開けて政宗さんが乗り込む
その後から私も頭だけ下げて乗り込んだ
もう絶対に口を開くまいという決意で
「おーい夕歌、挨拶くらいしてくれよ」
こいつマジで殺す
とりあえず、かすがに鉛筆を用意してもらっとこ!
無言でスマートフォンを取り出して何かを打ち込む私を見て、成実が「すいませんでした!!」と速攻で謝ってきた
なら言うなというに
「一言も喋らねぇつもりかよ?」
「ううん」
「相槌は打てるんだな」
「うん」
「梵、実際のところ、夕歌ってどんな感じになってんの?」
「喋り方がcuteになってる」
「腫れてんだな
可愛いっていうか、さ行が言えないやつじゃねーか」
「え、なんスかそれ!
めっちゃ可愛いッスね!?」
「命知らずすぎるだろお前」
もう終わりだよこんなの
口を開いても開かなくても可愛い可愛い言われて、これが終わりじゃなきゃ何なんだ
憂鬱すぎる、本当に家から出たくないくらい憂鬱すぎる
今からでも家に帰らせてくれないだろうか
駄目か、そうだよね、自主休講は良くないね……
