41 サマートリップin北米
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パスポートを持つ手が、そろそろ手汗でどうにかなりそうだった
右も左も、前も後ろも、高身長の外国人
飛び交う言語はアメリカ英語
……大変なところに来てしまった
今から帰ってもいいだろうか
41 サマートリップin北米
列がどんどん捌かれていく
私の前に立っている政宗さんが、私を振り返って一言
「Good luck.」
「ちょっ待っ」
そう言い残して入国審査に向かって行った
泣きそうな気持ちで呼ばれるのを待つ
厳つい見た目の入国審査官に呼ばれ、内心でものすごい悲鳴を上げてしまった
パスポートを渡して、顔写真と指の指紋をとる
それから滞在日数、滞在先のホテルなどを聞かれ、スタンプを押されたパスポートが帰ってきた
「政宗さん!
グッドラックってどういうことですか!」
入国審査を通り抜けた先で待つ政宗さんの元へ向かいながら怒鳴ると、政宗さんは可笑しそうに笑っていた
なんでド緊張してる人間を更に不安にさせるかな!!
「でも大丈夫だったろ」
「お陰様で!!」
「Sorry,sorry.
ほら行こうぜ、迎えが待ってるそうだ」
「でもまだ和真さん達が……」
「あいつらはあいつらでホテルに向かう筈だ
俺達だけで行くぞ」
「はぁい」
政宗さんについて行きながら、空港の中を歩く
ここはニューヨークの、ジョン・F・ケネディ空港
十数時間のフライトを終え、政宗さんは何度目かの、私は初めてのアメリカ入りを果たした
飛行機の中で眠れなかったから、時差ボケで既に眠い
政宗さんについて行って空港から出ると、どこぞの世界的スターが乗るような黒いリムジンが待ち構えていて、流石に悲鳴を上げた
「一般人が受けていい待遇じゃない!!」
「何言ってやがる逸般人」
「心は一般人なんです!!」
運転手が英語で何かを言いながら、私と政宗さんのキャリーバッグやら何やらをリムジンに載せていく
そうしてドアを開けられて、政宗さんが至極当然のように乗り込んだ
私はもう「なるようになーれ」と心を無にして、政宗さんの隣へと座った
「そりゃまあ、一般人じゃなくなっちゃったなっていうのは分かってますけど……
まさかアメリカに行くのに、プライベートジェットに乗るなんて思いもしませんでした」
「こういう扱いにも慣れておけ
これから先はお前もVIPだからな」
「私、つい三年前まで、電車通学する一般庶民だったんですよ」
「そうだな
それが?」
「一生かかっても慣れる気しないです」
「すぐ慣れるぞ」
慣れてたまるか、という思いはあるけれど、慣れるしかないだろうし、実際ちょっとずつ慣れてきてはいる
そうしていつかは忘れてしまうんだろうか
電車の乗り方も、バスの乗り方も、スーパーのタイムセールに突撃したことも
……いや、タイムセールのことは忘れていい気がする
「それにしても、よくお義父さんが許可出しましたね
十日間もアメリカにいるなんて」
「Ah……それなりのconditionは飲まされたがな」
「条件、ですか?
いったいどんな……?」
ため息をついた政宗さんが、足を組んで外を見やる
VIP専用のリムジンは、政宗さんほどの足の長さでも、余裕で足が組めるくらい広いのだ
私は短足がバレるから絶対しないけど
「疲れてるところ悪いが、今夜は寝かせねぇぜ」
「え、な、何言い出すんですか、突然!
もしかして出された条件って、その……そういう……?」
孫の顔が見たいとか、そっち方向だったってこと!?
そういうこと言いそうになかったけど、でもたしかに跡継ぎは大事な話だもんね
……覚悟しておこう、抱き潰される覚悟を
「あのクソ親父、勝手にceremonyを俺の名前で受けやがった
俺だけなら多少は卒なくclearできるが、今回はお前にも来てもらわなきゃならねぇ
partnerのescortが必須でな」
「はぁ、セレモニーのパートナーですか……
……いや聞いてないですけど!?」
「そりゃそうだろ、今言った」
「事前に言っといてもらえます!?」
「言ったらお前、出国する時からガチガチになるだろ」
「そうですけどぉ!!」
そんな配慮はいらなかった
仕事があるなら先に教えてほしい、パーティー用のドレスとか何も持ってきてない
「どうするんですか
そういう場に着ていくものなんか、何も持ってきてないですよ」
「No problem.
新倉には知らせてある」
「和真さんへの配慮をもう少し私にも頂けます?」
なんだかこれだけでどっと疲れてしまって、私はため息をついて背もたれに体を預けた
初めて見るニューヨークの景色を楽しむ余裕もない
とりあえず、今夜のパーティーさえ乗り切れば大丈夫だろうし、頑張るしかないな
「外国の要人なんて誰も知らないのに……」
「そう気負うなよ
場所がここってだけで、guestはほとんど日本人だ」
「そうなんですか?
それならまだ何とかなりそうですね……」
ちょっとだけ安心して、小さくため息をつく
現地時刻は午前十時を回ったところだ
日本を出発して到着したら、日付はそのままに時間が一時間巻き戻っていた
日付変更線を越えるってすごいなぁ
宿泊するホテルは、もちろん伊達のホテル事業部門が運営するリゾートホテル
当然ながら最上階のロイヤルスイートだ
ちなみにこのリムジンのドライバーも日本語は分かる人だから、私達の会話も筒抜けである
ホテルまではもう少しかかるらしいから、遠慮なく寝ることにした
時差ボケできついのに、パーティーなんか私にちゃんとこなせるのかな……
まぁ、なるようにしかならないか……
右も左も、前も後ろも、高身長の外国人
飛び交う言語はアメリカ英語
……大変なところに来てしまった
今から帰ってもいいだろうか
41 サマートリップin北米
列がどんどん捌かれていく
私の前に立っている政宗さんが、私を振り返って一言
「Good luck.」
「ちょっ待っ」
そう言い残して入国審査に向かって行った
泣きそうな気持ちで呼ばれるのを待つ
厳つい見た目の入国審査官に呼ばれ、内心でものすごい悲鳴を上げてしまった
パスポートを渡して、顔写真と指の指紋をとる
それから滞在日数、滞在先のホテルなどを聞かれ、スタンプを押されたパスポートが帰ってきた
「政宗さん!
グッドラックってどういうことですか!」
入国審査を通り抜けた先で待つ政宗さんの元へ向かいながら怒鳴ると、政宗さんは可笑しそうに笑っていた
なんでド緊張してる人間を更に不安にさせるかな!!
「でも大丈夫だったろ」
「お陰様で!!」
「Sorry,sorry.
ほら行こうぜ、迎えが待ってるそうだ」
「でもまだ和真さん達が……」
「あいつらはあいつらでホテルに向かう筈だ
俺達だけで行くぞ」
「はぁい」
政宗さんについて行きながら、空港の中を歩く
ここはニューヨークの、ジョン・F・ケネディ空港
十数時間のフライトを終え、政宗さんは何度目かの、私は初めてのアメリカ入りを果たした
飛行機の中で眠れなかったから、時差ボケで既に眠い
政宗さんについて行って空港から出ると、どこぞの世界的スターが乗るような黒いリムジンが待ち構えていて、流石に悲鳴を上げた
「一般人が受けていい待遇じゃない!!」
「何言ってやがる逸般人」
「心は一般人なんです!!」
運転手が英語で何かを言いながら、私と政宗さんのキャリーバッグやら何やらをリムジンに載せていく
そうしてドアを開けられて、政宗さんが至極当然のように乗り込んだ
私はもう「なるようになーれ」と心を無にして、政宗さんの隣へと座った
「そりゃまあ、一般人じゃなくなっちゃったなっていうのは分かってますけど……
まさかアメリカに行くのに、プライベートジェットに乗るなんて思いもしませんでした」
「こういう扱いにも慣れておけ
これから先はお前もVIPだからな」
「私、つい三年前まで、電車通学する一般庶民だったんですよ」
「そうだな
それが?」
「一生かかっても慣れる気しないです」
「すぐ慣れるぞ」
慣れてたまるか、という思いはあるけれど、慣れるしかないだろうし、実際ちょっとずつ慣れてきてはいる
そうしていつかは忘れてしまうんだろうか
電車の乗り方も、バスの乗り方も、スーパーのタイムセールに突撃したことも
……いや、タイムセールのことは忘れていい気がする
「それにしても、よくお義父さんが許可出しましたね
十日間もアメリカにいるなんて」
「Ah……それなりのconditionは飲まされたがな」
「条件、ですか?
いったいどんな……?」
ため息をついた政宗さんが、足を組んで外を見やる
VIP専用のリムジンは、政宗さんほどの足の長さでも、余裕で足が組めるくらい広いのだ
私は短足がバレるから絶対しないけど
「疲れてるところ悪いが、今夜は寝かせねぇぜ」
「え、な、何言い出すんですか、突然!
もしかして出された条件って、その……そういう……?」
孫の顔が見たいとか、そっち方向だったってこと!?
そういうこと言いそうになかったけど、でもたしかに跡継ぎは大事な話だもんね
……覚悟しておこう、抱き潰される覚悟を
「あのクソ親父、勝手にceremonyを俺の名前で受けやがった
俺だけなら多少は卒なくclearできるが、今回はお前にも来てもらわなきゃならねぇ
partnerのescortが必須でな」
「はぁ、セレモニーのパートナーですか……
……いや聞いてないですけど!?」
「そりゃそうだろ、今言った」
「事前に言っといてもらえます!?」
「言ったらお前、出国する時からガチガチになるだろ」
「そうですけどぉ!!」
そんな配慮はいらなかった
仕事があるなら先に教えてほしい、パーティー用のドレスとか何も持ってきてない
「どうするんですか
そういう場に着ていくものなんか、何も持ってきてないですよ」
「No problem.
新倉には知らせてある」
「和真さんへの配慮をもう少し私にも頂けます?」
なんだかこれだけでどっと疲れてしまって、私はため息をついて背もたれに体を預けた
初めて見るニューヨークの景色を楽しむ余裕もない
とりあえず、今夜のパーティーさえ乗り切れば大丈夫だろうし、頑張るしかないな
「外国の要人なんて誰も知らないのに……」
「そう気負うなよ
場所がここってだけで、guestはほとんど日本人だ」
「そうなんですか?
それならまだ何とかなりそうですね……」
ちょっとだけ安心して、小さくため息をつく
現地時刻は午前十時を回ったところだ
日本を出発して到着したら、日付はそのままに時間が一時間巻き戻っていた
日付変更線を越えるってすごいなぁ
宿泊するホテルは、もちろん伊達のホテル事業部門が運営するリゾートホテル
当然ながら最上階のロイヤルスイートだ
ちなみにこのリムジンのドライバーも日本語は分かる人だから、私達の会話も筒抜けである
ホテルまではもう少しかかるらしいから、遠慮なく寝ることにした
時差ボケできついのに、パーティーなんか私にちゃんとこなせるのかな……
まぁ、なるようにしかならないか……
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