38 初めての大喧嘩
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翌朝、いつも通りの時間に起きた私は、隣に政宗さんが眠っているのを確認してベッドを出た
リビングへ降りてキッチンへ入り、ご飯が炊けているのを確認
それからお味噌汁を作って、お弁当作りに入った
政宗さんの目覚ましはかけなかったけれど、八時になっても起きてこなかったら起こしにいくか
ささっと卵焼きを作って、おかずカップにほうれん草のおひたしやらミニトマトやらを入れ、メインには作り置きしておいた冷凍のミニハンバーグを
ご飯を詰めて梅干しを載せて、蓋をして、ランチバッグにお弁当を入れておく
それから魚を焼き始めた頃、政宗さんが起きてきた
「おはようございます
もうすぐ朝ご飯、できますよ
顔を洗ってきてください」
「……お前」
戸惑ったように私を見つめる政宗さんに小首を傾げつつ、サラダの用意を進める
洗面所に向かっていく政宗さんを視界の端で見送って、私はテーブルに朝ご飯を並べていった
「ご飯のお供は何にします?」
「自分でやる
お前は座ってろ」
「そうですか?
じゃあお好きにどうぞ」
政宗さんがキッチンに入って、海苔の佃煮が入ったビンを手に戻ってくる
それから手を合わせて「いただきます」と呟き、同時に魚を解しにかかった
「……お前、昨日は藤野の婆さんとdinnerじゃなかったのか」
「そうでしたけど?」
「早かったのか、帰り」
「いえ、帰ってきたのは夜十時過ぎでした
政宗さんなんか、酔い潰れて帰って来ましたよ
片倉先生と和真さんで抱えて、二階に運んだんです
覚えてます?」
「……No,何一つ覚えちゃいねえ」
「あの様子だと、覚えてないのも無理ないですよね」
サラダを食べながら小さく笑う
それから政宗さんを見やると、やはり彼は戸惑ったような顔のままだ
「どうしました?」
「……そんだけ遅く帰ってきて、よくここまでやるなと思っただけだ」
「そりゃあ、私がやらなきゃ誰がやるんですか
あんなに疲れて帰ってきた人に、朝食の用意なんか頼めるわけないでしょう
私もきつい時は和真さんに頼みますけど、そこまでではなかったので
あ、お弁当も作ってますよ
今日は二限からでしたよね?
政宗さん、今夜の予定はないって聞いてますし、すみませんが晩ご飯は別邸でお願いします」
「……」
「政宗さん?」
戸惑ったような顔から一転、面食らったような顔をして、それから政宗さんは深いため息をつき、頭を掻いた
「……お前にゃ敵わねぇな」
そう言って微笑む彼は、気を張っていた雰囲気がなくなっている
どうしたんだろうと思う前に、顔面国宝の微笑みが飛んできた
「悪かった
お前が婆さんと一緒に過ごすようになる前から、こうやって俺は支えられてたんだ
……まさか、そんなことまで見落としてやがるたぁな
随分とこの左目も曇っちまったもんだ」
「あ、えとその、今回のことは私も悪かったと思いますし……
一概に政宗さんだけが悪いとも言えないので……」
「顔赤いぞ」
「久々に顔面国宝の微笑みを向けられると、効くなぁって……」
「……ふぅん?」
あ、これは意地悪な政宗さんだ
朝ごはんを食べ進めながら、何となく嫌な予感がした
「Hey,honey.
Loungeはkeepしておいてやる
待ってるぜ?」
「もれなく成実とかすがと幸村君と親泰君も来ますけど?」
「Ha.
俺だって綱元の奴が張り付いてるだろ、お互い様ってやつだ」
「綱元先輩、今日は大学に?」
「俺といられることより綱元が来るほうが嬉しいのかよ」
「あ、そんなつもりじゃなくて、ええと」
しどろもどろになりながら答えると、政宗さんは可笑しそうに肩を揺らした
ああこれは、揶揄われたやつだ
「……政宗さん!!」
「ハハッ……Sorry,sorry.
せっかく仲直りしたってのにまた喧嘩なんざ、coolじゃねえしな」
「も、もう!」
「早く食わねぇと遅れるぜ?」
「分かってます!」
顔が赤いのを自覚しながら、ご飯を大口でかき込む
程なくして和真さんがやってきた
どこか気遣うような顔で入ってきた彼は、私と政宗さんが軽口を言い合いながらコーヒーを飲んでいるのを見て
「よ、良うございました……」
と感極まって泣いた
ちょっと数日喧嘩しただけでこれか……
「……喧嘩、もうしないようにしないとですね」
「ああ
新倉が面倒なことになるな」
最後には笑い話にしてもらいたいものだ
大袈裟にしないでほしい
「政宗さん、そろそろ綱元先輩がお迎えに来るんじゃないですか?」
「Ah……そうだな
先に行ってるぜ」
「はい、行ってらっしゃい」
コーヒーを飲み干して政宗さんが席を立つ
洗面所へ入っていく背中を見送ると、和真さんが私の髪をいじり出した
今日は心穏やかに過ごせそうだな
機嫌よく家を出ていく政宗さんを座ったまま見送ってから、和真さんに髪を編み込みにされつつ、コーヒーを飲んだ
とりあえず――喧嘩はもう、こりごりだ
リビングへ降りてキッチンへ入り、ご飯が炊けているのを確認
それからお味噌汁を作って、お弁当作りに入った
政宗さんの目覚ましはかけなかったけれど、八時になっても起きてこなかったら起こしにいくか
ささっと卵焼きを作って、おかずカップにほうれん草のおひたしやらミニトマトやらを入れ、メインには作り置きしておいた冷凍のミニハンバーグを
ご飯を詰めて梅干しを載せて、蓋をして、ランチバッグにお弁当を入れておく
それから魚を焼き始めた頃、政宗さんが起きてきた
「おはようございます
もうすぐ朝ご飯、できますよ
顔を洗ってきてください」
「……お前」
戸惑ったように私を見つめる政宗さんに小首を傾げつつ、サラダの用意を進める
洗面所に向かっていく政宗さんを視界の端で見送って、私はテーブルに朝ご飯を並べていった
「ご飯のお供は何にします?」
「自分でやる
お前は座ってろ」
「そうですか?
じゃあお好きにどうぞ」
政宗さんがキッチンに入って、海苔の佃煮が入ったビンを手に戻ってくる
それから手を合わせて「いただきます」と呟き、同時に魚を解しにかかった
「……お前、昨日は藤野の婆さんとdinnerじゃなかったのか」
「そうでしたけど?」
「早かったのか、帰り」
「いえ、帰ってきたのは夜十時過ぎでした
政宗さんなんか、酔い潰れて帰って来ましたよ
片倉先生と和真さんで抱えて、二階に運んだんです
覚えてます?」
「……No,何一つ覚えちゃいねえ」
「あの様子だと、覚えてないのも無理ないですよね」
サラダを食べながら小さく笑う
それから政宗さんを見やると、やはり彼は戸惑ったような顔のままだ
「どうしました?」
「……そんだけ遅く帰ってきて、よくここまでやるなと思っただけだ」
「そりゃあ、私がやらなきゃ誰がやるんですか
あんなに疲れて帰ってきた人に、朝食の用意なんか頼めるわけないでしょう
私もきつい時は和真さんに頼みますけど、そこまでではなかったので
あ、お弁当も作ってますよ
今日は二限からでしたよね?
政宗さん、今夜の予定はないって聞いてますし、すみませんが晩ご飯は別邸でお願いします」
「……」
「政宗さん?」
戸惑ったような顔から一転、面食らったような顔をして、それから政宗さんは深いため息をつき、頭を掻いた
「……お前にゃ敵わねぇな」
そう言って微笑む彼は、気を張っていた雰囲気がなくなっている
どうしたんだろうと思う前に、顔面国宝の微笑みが飛んできた
「悪かった
お前が婆さんと一緒に過ごすようになる前から、こうやって俺は支えられてたんだ
……まさか、そんなことまで見落としてやがるたぁな
随分とこの左目も曇っちまったもんだ」
「あ、えとその、今回のことは私も悪かったと思いますし……
一概に政宗さんだけが悪いとも言えないので……」
「顔赤いぞ」
「久々に顔面国宝の微笑みを向けられると、効くなぁって……」
「……ふぅん?」
あ、これは意地悪な政宗さんだ
朝ごはんを食べ進めながら、何となく嫌な予感がした
「Hey,honey.
Loungeはkeepしておいてやる
待ってるぜ?」
「もれなく成実とかすがと幸村君と親泰君も来ますけど?」
「Ha.
俺だって綱元の奴が張り付いてるだろ、お互い様ってやつだ」
「綱元先輩、今日は大学に?」
「俺といられることより綱元が来るほうが嬉しいのかよ」
「あ、そんなつもりじゃなくて、ええと」
しどろもどろになりながら答えると、政宗さんは可笑しそうに肩を揺らした
ああこれは、揶揄われたやつだ
「……政宗さん!!」
「ハハッ……Sorry,sorry.
せっかく仲直りしたってのにまた喧嘩なんざ、coolじゃねえしな」
「も、もう!」
「早く食わねぇと遅れるぜ?」
「分かってます!」
顔が赤いのを自覚しながら、ご飯を大口でかき込む
程なくして和真さんがやってきた
どこか気遣うような顔で入ってきた彼は、私と政宗さんが軽口を言い合いながらコーヒーを飲んでいるのを見て
「よ、良うございました……」
と感極まって泣いた
ちょっと数日喧嘩しただけでこれか……
「……喧嘩、もうしないようにしないとですね」
「ああ
新倉が面倒なことになるな」
最後には笑い話にしてもらいたいものだ
大袈裟にしないでほしい
「政宗さん、そろそろ綱元先輩がお迎えに来るんじゃないですか?」
「Ah……そうだな
先に行ってるぜ」
「はい、行ってらっしゃい」
コーヒーを飲み干して政宗さんが席を立つ
洗面所へ入っていく背中を見送ると、和真さんが私の髪をいじり出した
今日は心穏やかに過ごせそうだな
機嫌よく家を出ていく政宗さんを座ったまま見送ってから、和真さんに髪を編み込みにされつつ、コーヒーを飲んだ
とりあえず――喧嘩はもう、こりごりだ
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