38 初めての大喧嘩
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夜の帳が降りた、都会の真ん中
和真さんの車に乗ってドアが閉まった瞬間、私は大きなため息を吐き出してしまった
「お疲れ様でございました、お嬢様」
「ありがとうございます……」
車は都会を走り抜け、私の家がある高級住宅街へ向かっていく
窓の外を過ぎていく景色は、夜なのに明々としていて眩しい
時間は夜の九時を半分回ったくらい
ここから車でも、混み具合によるけど三十分はかかるだろう
先に寝ていてください、とメッセージを送って、目を閉じる
返信があるかどうかは気にしなくていい
ひょっとすると、私からのメッセージを見る前に、就寝の準備だって済ませてるかもしれないし
……うとうとしている間に、車は私の家の前に到着していた
お嬢様、と起こされて目を開け、車を降りる
玄関を開けて家の中へ入ると、リビングの明かりがついていなかった
「政宗様はまだお帰りではないようですね」
「今日は向こうが遅かったみたいですね……」
さすがに政宗さんも晩ご飯は食べただろうし、夜食の用意は必要ないかな
明日の朝ご飯の仕込みだけしておこう
「入浴の用意をして参ります」
「お願いします」
脱衣所の前で和真さんと二手に分かれて、私はキッチンへ
お味噌汁の出汁をとるべく、政宗さんが素材からこだわった鰹節を一掴み分、手に取る
鍋に張った水が沸騰してきた頃、鰹節を入れて、また沸騰したらちょっと時間を置いておくだけ
あとはペーパータオルをザルの上に敷いて、ザルの上から受け皿のボウルに出汁を注いでいけば完成
その頃にはお風呂の用意も終わっているという流れだ
「お待たせ致しました
どうぞごゆっくり」
「ありがとうございます」
タオルと着替えを受け取って、脱衣所へと入る
温かいお風呂に入りながら、ふと、お母さんの顔が浮かんだ
斎藤グループの社長だったお母さんは、私や弟に会社を継がせるつもりだったのだろうか
その割には自由というか、放任というか
名門校を受験しろって言われたこともないし、なんなら私も弟も区立の小学校だし、私はそこから更に区立の中学校だし……
家族経営になるのは嫌だったのかな
私の能力がお母さん並みにあったかと言われると、分かんないし
……だけど、おばあちゃんが私を後継者にしようとしてるのは事実だ
あの厳しいおばあちゃんが、孫娘だからってだけで私を後継者にするとは思えない
もちろん一ミリも無いわけではないだろうけど、やっぱり私の能力を判断した上でだと思う
……そう思いたいだけかもしれないけど
ため息をついて浴槽から立ち上がる
体を拭いて着替えて、リビングへ向かうと、和真さんが待っていた
「お嬢様、こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
椅子に座ってすぐ、和真さんが髪のケアに入った
時計は既に夜十時を半分以上も回っている
政宗さん、遅いなぁ
スキンケアまで終わった頃、ようやく玄関のドアが開く音がした
リビングのドアを開けて入ってきたのは政宗さんと片倉先生だ
「お帰りなさいませ
深酒なされましたか」
「ペースを配分して差し上げられなかった俺の落ち度だ」
「お手伝いします」
和真さんと片倉先生が二人がかりで、酔って寝てしまっている政宗さんを二階へと運んでいく
それを見送って、私はお米を研ぐことにした
いつも通りの分量を洗って、炊飯器にセットして、タイマーで予約を入れて……とやっていると、和真さんと片倉先生がそっと降りてきた
「珍しいですね、政宗さんが深酒するなんて」
「……あのお方も気を遣っておられるんだ
オメェ相手に愚痴をこぼすわけにゃあいかねぇとお思いなんだろうよ」
「夕歌様の前では、格好をつけたいのでしょうね」
そうは言うけど、それで酔い潰れるんじゃ本末転倒なんじゃないかと思わんでもない
……まあでも、それは私が言うことじゃないかな
「片倉先生、政宗さんの明日の予定は?」
「明日は休みだ、久々にな
大学には向かわれるはずだぜ」
「ん……じゃあ講義はいつも通り出られるってことですね
分かりました、ありがとうございます
おやすみなさい」
「おう」
片倉先生がそう言って別邸へと帰っていった
和真さんもそれからすぐに別邸へと戻っていって、家の中は私だけだ
リビングの電気を消して、二階の寝室へと入る
政宗さんは熟睡していて起きそうにないけど、それでも起こさないようにそっとベッドへ入った
疲れも溜まってたかな、私より忙しいもんね
明日は……ちゃんと話せるといいな……
和真さんの車に乗ってドアが閉まった瞬間、私は大きなため息を吐き出してしまった
「お疲れ様でございました、お嬢様」
「ありがとうございます……」
車は都会を走り抜け、私の家がある高級住宅街へ向かっていく
窓の外を過ぎていく景色は、夜なのに明々としていて眩しい
時間は夜の九時を半分回ったくらい
ここから車でも、混み具合によるけど三十分はかかるだろう
先に寝ていてください、とメッセージを送って、目を閉じる
返信があるかどうかは気にしなくていい
ひょっとすると、私からのメッセージを見る前に、就寝の準備だって済ませてるかもしれないし
……うとうとしている間に、車は私の家の前に到着していた
お嬢様、と起こされて目を開け、車を降りる
玄関を開けて家の中へ入ると、リビングの明かりがついていなかった
「政宗様はまだお帰りではないようですね」
「今日は向こうが遅かったみたいですね……」
さすがに政宗さんも晩ご飯は食べただろうし、夜食の用意は必要ないかな
明日の朝ご飯の仕込みだけしておこう
「入浴の用意をして参ります」
「お願いします」
脱衣所の前で和真さんと二手に分かれて、私はキッチンへ
お味噌汁の出汁をとるべく、政宗さんが素材からこだわった鰹節を一掴み分、手に取る
鍋に張った水が沸騰してきた頃、鰹節を入れて、また沸騰したらちょっと時間を置いておくだけ
あとはペーパータオルをザルの上に敷いて、ザルの上から受け皿のボウルに出汁を注いでいけば完成
その頃にはお風呂の用意も終わっているという流れだ
「お待たせ致しました
どうぞごゆっくり」
「ありがとうございます」
タオルと着替えを受け取って、脱衣所へと入る
温かいお風呂に入りながら、ふと、お母さんの顔が浮かんだ
斎藤グループの社長だったお母さんは、私や弟に会社を継がせるつもりだったのだろうか
その割には自由というか、放任というか
名門校を受験しろって言われたこともないし、なんなら私も弟も区立の小学校だし、私はそこから更に区立の中学校だし……
家族経営になるのは嫌だったのかな
私の能力がお母さん並みにあったかと言われると、分かんないし
……だけど、おばあちゃんが私を後継者にしようとしてるのは事実だ
あの厳しいおばあちゃんが、孫娘だからってだけで私を後継者にするとは思えない
もちろん一ミリも無いわけではないだろうけど、やっぱり私の能力を判断した上でだと思う
……そう思いたいだけかもしれないけど
ため息をついて浴槽から立ち上がる
体を拭いて着替えて、リビングへ向かうと、和真さんが待っていた
「お嬢様、こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
椅子に座ってすぐ、和真さんが髪のケアに入った
時計は既に夜十時を半分以上も回っている
政宗さん、遅いなぁ
スキンケアまで終わった頃、ようやく玄関のドアが開く音がした
リビングのドアを開けて入ってきたのは政宗さんと片倉先生だ
「お帰りなさいませ
深酒なされましたか」
「ペースを配分して差し上げられなかった俺の落ち度だ」
「お手伝いします」
和真さんと片倉先生が二人がかりで、酔って寝てしまっている政宗さんを二階へと運んでいく
それを見送って、私はお米を研ぐことにした
いつも通りの分量を洗って、炊飯器にセットして、タイマーで予約を入れて……とやっていると、和真さんと片倉先生がそっと降りてきた
「珍しいですね、政宗さんが深酒するなんて」
「……あのお方も気を遣っておられるんだ
オメェ相手に愚痴をこぼすわけにゃあいかねぇとお思いなんだろうよ」
「夕歌様の前では、格好をつけたいのでしょうね」
そうは言うけど、それで酔い潰れるんじゃ本末転倒なんじゃないかと思わんでもない
……まあでも、それは私が言うことじゃないかな
「片倉先生、政宗さんの明日の予定は?」
「明日は休みだ、久々にな
大学には向かわれるはずだぜ」
「ん……じゃあ講義はいつも通り出られるってことですね
分かりました、ありがとうございます
おやすみなさい」
「おう」
片倉先生がそう言って別邸へと帰っていった
和真さんもそれからすぐに別邸へと戻っていって、家の中は私だけだ
リビングの電気を消して、二階の寝室へと入る
政宗さんは熟睡していて起きそうにないけど、それでも起こさないようにそっとベッドへ入った
疲れも溜まってたかな、私より忙しいもんね
明日は……ちゃんと話せるといいな……