37 弟たちの逆襲
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その時、別邸のリビングにインターホンの呼出音が鳴り響いた
成実さんが立ち上がって、「おー」と言ってリビングを出ていく
元親先輩は完全に気を抜いてリラックスモードだ
憐れ、先輩はこれから地獄を見る羽目になってしまうのだ……
「元親先輩、今日は本当にここに泊まるんですか?」
「そのつもりだぜ
親貞がいると俺の肩身が狭くてよ
野郎共も親貞がいるときゃ、俺の家に近寄りもしねぇからなァ
ま、怒らせると怖ぇんだろうぜ」
「は、はぁ」
「俺に言わせりゃ、親貞も親泰も細けぇだけだ!
可愛い子分共とつるんで何が悪いってんでぇ!」
「――兄貴のそれはつるんでるって言うんじゃなくて、騒いでるって言うんだよ」
元親先輩の背後に音もなく仁王立ちしたその人が、そう言って元親先輩を見下ろしている
昼間に見た人と本当に同一人物だろうかと、私は目を疑いそうになった
ギギギ、と油の足りない機械みたいに、元親先輩がぎこちなく後ろを振り返る
そこに居たのは――長曾我部三兄弟の次男、吉良親貞さんだ
ちなみに、隣には親泰君もいる
「げ、げぇ!?
親貞に親泰ッ、なんでここにいやがるんでぇッ!?」
「んなこたぁどうでもいいだろが
いいから帰るぞ、兄貴
親泰に迷惑かけるのも大概にしろっての」
元親先輩の首根っこを掴んで、親貞お兄さんが元親先輩を立たせる
鬼の名が泣くぐらい、元親先輩は素直に親貞お兄さんの言うことを聞いた
政宗さんに負けず劣らず屁理屈を捏ねる元親先輩が、ここまで言うことを聞くなんて……
「兄貴とは家に帰ってから、じっくり話し合うからな
とりあえず帰るぞ」
「な、なんでぇ、俺は別に話し合うことなんざ……」
「兄貴にゃなくても俺達にはあるんだよ」
「大人しく言うこと聞かないなら、あの単車売り飛ばすからな、兄さん」
親貞お兄さんが元親先輩を引きずって、リビングを出ていく
親泰君が親貞お兄さんの分まで頭を下げて、彼もリビングを出ていった
「長曾我部家、親貞お兄さんが一番強いっぽいね」
「そりゃあまあ、親貞は綱元と仲良いからな」
「なるほど」
「俺と仲が良いことと、親貞が三兄弟の中で一番強いのは、結び付かないだろう」
「一番納得出来る理由だったんですよね、これが」
綱元先輩と仲が良い人なんて、間違いなく一家のヒエラルキーのトップに立つに決まってる
そりゃあ元親先輩のストッパーにもなるってものだ
成実じゃ政宗さんを止められないけど、綱元先輩なら政宗さんを止められるのと同じ理屈だ
「ところで綱元、お前、明日は?」
「部活には顔を出すつもりだ」
「四年ともなると、講義もないってわけか」
「必要な単位はほとんど取っているしな
あとはゼミに時間を割くことになりそうだが
それと、明日は午前中から面接でな」
「……意外だな、正攻法で内定取りに行くんだ」
「綱元先輩に限って、裏口入学ならぬ裏口内定はないでしょ」
「いや、別に就活をしなくても、俺の内定は決まっているんだ
だがそれでは面白くないだろう?
試験官の目が節穴かどうか、俺が見てやろうと思ってな」
「理由がちゃんと綱元先輩らしさ全開でほっとしました」
綱元先輩は見られる側なのに、まさか見る側だとは試験官も思うまい
なんなら、鬼庭綱元という学生が、まさか将来の社長となる人の側近だなんてことすら知らなさそうだ
……うっかり綱元先輩を落として首にならなきゃいいな、試験官の社員さん
「で、夕歌、お前はどうするんだよ?」
「明日は無理そう
おばあちゃんに同行することになってるから」
「いよいよ後継者育成が本格的にスタートするってわけか
ま、無理はするんじゃねぇぞ
オメェが倒れたりなんかしたら、政宗様が心配なさるからな
政宗様に余計なご心労をかけるんじゃねぇぜ」
「教え子の心配くらい、素直になさってはどうですか、小十郎様」
綱元先輩が揶揄うようにそう言って、片倉先生が言葉に詰まった
わざと遠回しな言い方をしたのに、真横からバラされるなんて、片倉先生も可哀想に
会話はそこで途切れて、私達はアイスティーを飲んだ
「……元親の奴、帰ったら弟二人に激詰めされるんだろうな」
「親泰の言うことを聞かずに好き勝手したせいだろう
親貞の目はごまかせないからな」
「よかったですよね、政宗さんにそういう趣味なくて……」
「……そうだな」
片倉先生も同意してしまった……
やっぱりみんな、元親先輩の単車は思うところがあったんだな
政宗さんの趣味が料理で良かった……
成実さんが立ち上がって、「おー」と言ってリビングを出ていく
元親先輩は完全に気を抜いてリラックスモードだ
憐れ、先輩はこれから地獄を見る羽目になってしまうのだ……
「元親先輩、今日は本当にここに泊まるんですか?」
「そのつもりだぜ
親貞がいると俺の肩身が狭くてよ
野郎共も親貞がいるときゃ、俺の家に近寄りもしねぇからなァ
ま、怒らせると怖ぇんだろうぜ」
「は、はぁ」
「俺に言わせりゃ、親貞も親泰も細けぇだけだ!
可愛い子分共とつるんで何が悪いってんでぇ!」
「――兄貴のそれはつるんでるって言うんじゃなくて、騒いでるって言うんだよ」
元親先輩の背後に音もなく仁王立ちしたその人が、そう言って元親先輩を見下ろしている
昼間に見た人と本当に同一人物だろうかと、私は目を疑いそうになった
ギギギ、と油の足りない機械みたいに、元親先輩がぎこちなく後ろを振り返る
そこに居たのは――長曾我部三兄弟の次男、吉良親貞さんだ
ちなみに、隣には親泰君もいる
「げ、げぇ!?
親貞に親泰ッ、なんでここにいやがるんでぇッ!?」
「んなこたぁどうでもいいだろが
いいから帰るぞ、兄貴
親泰に迷惑かけるのも大概にしろっての」
元親先輩の首根っこを掴んで、親貞お兄さんが元親先輩を立たせる
鬼の名が泣くぐらい、元親先輩は素直に親貞お兄さんの言うことを聞いた
政宗さんに負けず劣らず屁理屈を捏ねる元親先輩が、ここまで言うことを聞くなんて……
「兄貴とは家に帰ってから、じっくり話し合うからな
とりあえず帰るぞ」
「な、なんでぇ、俺は別に話し合うことなんざ……」
「兄貴にゃなくても俺達にはあるんだよ」
「大人しく言うこと聞かないなら、あの単車売り飛ばすからな、兄さん」
親貞お兄さんが元親先輩を引きずって、リビングを出ていく
親泰君が親貞お兄さんの分まで頭を下げて、彼もリビングを出ていった
「長曾我部家、親貞お兄さんが一番強いっぽいね」
「そりゃあまあ、親貞は綱元と仲良いからな」
「なるほど」
「俺と仲が良いことと、親貞が三兄弟の中で一番強いのは、結び付かないだろう」
「一番納得出来る理由だったんですよね、これが」
綱元先輩と仲が良い人なんて、間違いなく一家のヒエラルキーのトップに立つに決まってる
そりゃあ元親先輩のストッパーにもなるってものだ
成実じゃ政宗さんを止められないけど、綱元先輩なら政宗さんを止められるのと同じ理屈だ
「ところで綱元、お前、明日は?」
「部活には顔を出すつもりだ」
「四年ともなると、講義もないってわけか」
「必要な単位はほとんど取っているしな
あとはゼミに時間を割くことになりそうだが
それと、明日は午前中から面接でな」
「……意外だな、正攻法で内定取りに行くんだ」
「綱元先輩に限って、裏口入学ならぬ裏口内定はないでしょ」
「いや、別に就活をしなくても、俺の内定は決まっているんだ
だがそれでは面白くないだろう?
試験官の目が節穴かどうか、俺が見てやろうと思ってな」
「理由がちゃんと綱元先輩らしさ全開でほっとしました」
綱元先輩は見られる側なのに、まさか見る側だとは試験官も思うまい
なんなら、鬼庭綱元という学生が、まさか将来の社長となる人の側近だなんてことすら知らなさそうだ
……うっかり綱元先輩を落として首にならなきゃいいな、試験官の社員さん
「で、夕歌、お前はどうするんだよ?」
「明日は無理そう
おばあちゃんに同行することになってるから」
「いよいよ後継者育成が本格的にスタートするってわけか
ま、無理はするんじゃねぇぞ
オメェが倒れたりなんかしたら、政宗様が心配なさるからな
政宗様に余計なご心労をかけるんじゃねぇぜ」
「教え子の心配くらい、素直になさってはどうですか、小十郎様」
綱元先輩が揶揄うようにそう言って、片倉先生が言葉に詰まった
わざと遠回しな言い方をしたのに、真横からバラされるなんて、片倉先生も可哀想に
会話はそこで途切れて、私達はアイスティーを飲んだ
「……元親の奴、帰ったら弟二人に激詰めされるんだろうな」
「親泰の言うことを聞かずに好き勝手したせいだろう
親貞の目はごまかせないからな」
「よかったですよね、政宗さんにそういう趣味なくて……」
「……そうだな」
片倉先生も同意してしまった……
やっぱりみんな、元親先輩の単車は思うところがあったんだな
政宗さんの趣味が料理で良かった……
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