36 望む明日へ
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「で、なんて呼んでるの?」
誤魔化されてたまるかという意味も込めて、再度そう尋ねる
ぐっと言葉に詰まった親泰君は、アイスコーヒーを飲み干してから席を立った
「つ、追加でコーヒー頼んでくるね!」
「戻ってきたらまた聞くね」
「……親泰殿、こうなった夕歌殿は、誤魔化されてはくれませぬぞ」
「誤魔化されてたまるかと思ってるからね」
項垂れた親泰君が、すごすごと椅子に座り直す
そうして眉尻を下げて私を見て、問うてきた
「……可愛いって言わない?」
「言うと思う」
「そこは否定してやれよ!?」
「親泰君は存在が可愛いから仕方なくない?」
「何も仕方なくないと思うよ!?」
童顔コンビから総ツッコミを受けてしまった
幸村君はニコニコしたまま首を傾げていたのでノーカンだ
肺に溜まった空気を全部吐き出すかのごとくため息をついて、親泰君は呟くように言った
「……貞にぃって呼んでる……」
「貞にぃ!?」
「ありがとう親泰君、おかげで私の寿命が伸びた」
「オタクの反応じゃねぇか」
元親先輩のことを『兄さん』呼びする親泰君も可愛かったけど、親貞お兄さんを『貞にぃ』呼びする親泰君は、また別の可愛さがあるのだ
でもなーんかこの呼び方、既視感があるというか、聞き馴染みあるというか……
「成実殿も片倉殿のことを似たような呼び方で呼んでおられまするが、夕歌殿は如何お思いでござろうか?」
「たしかに『こじゅ兄』って呼んでるけど、別に可愛かねぇだろ」
「不思議と成実のそれは可愛さゼロなんだよね
なんでだろ」
「言動が可愛くないからではないか?」
「可愛いって言われてぇわけじゃねぇけど、なんとはなしにちょっと心を抉られた気分だよ、俺は
まぁいいんだけどよ!?
可愛いって言われてもあんまり嬉しかねぇしさ!?」
成実が分かりやすく拗ねた
でもなぁ、色々あったけど、成実は格好いい寄りだもんなぁ
幸村君も学院時代は可愛かったけど、最近はちょっと毒素が混じりつつあるから……
「てっきり『お兄ちゃん』とかなのかと思ってた」
「小さい頃は兄さんのことを『お兄ちゃん』って呼んでたらしいんだけどね
さすがにもうこの年でお兄ちゃんとは呼べないから、兄さんは兄さんのままかな」
「呼んでいいんだよ、元親先輩のこと……お兄ちゃんって」
「絶対呼ばない!!」
顔を赤くして親泰君がそう言い、今度こそ追加でコーヒーを頼みに行った
あー可愛かった、満足だ
友達で遊ぶなという話ではあるけど、遊んでるんじゃなくて、こう……癒しをもらっているだけだから……
「あんまりからかってやるなよな」
「ごめん……親泰君が可愛くてつい……」
「幸村には言わなくなったのにな」
「幸村君も可愛いと思ってるけど、最近ちょっとこう……」
「思っておられるのならば、遠慮なくおっしゃれば良いではござらんか」
「目がね、ちょっと目が笑ってないからね、やめとく」
「幸村もこいつの扱いが分かってきたってこった」
「一番扱い方が分かりやすいのは相変わらず成実なんだけどね」
「俺はもうそれを個性だと思って受け入れて生きてるからいいんだよ」
ふん、と成実が拗ねる
ようやくパフェを食べ終わった頃、親泰君が戻ってきた
おかえり、と声を掛けて親泰君がただいまと答えた時、親泰君のスマートフォンに、誰かからLEINで通話がかかってきた
「あ、ちょっとごめん」
「いいよいいよ」
もしもし、と親泰君が通話に出て、それからその表情がぱっと明るくなった
うーん可愛い、親泰君は癒しだなぁ……
「貞にぃ、帰ってきてるんだ?
……俺?
俺は今、高校時代の友達とカフェでお茶してて……」
なんと噂の貞にぃからのお電話だった
声の弾み方からして、親泰君が親貞お兄さんを慕っているのは間違いない
まあ、元親先輩の弟さんだもんね……
二人揃って元親先輩に振り回されていると考えるほうが自然というか……
「うん、今日はサークルの練習してから帰るから、ちょっと遅くなるよ
……え、兄さん?
いや兄さんの居場所まではちょっと……」
「どういう会話をしてるんだろう……」
「親貞殿は長曾我部殿に御用がおありのようでござるな
ご自宅にはおられなかったということでござろうか」
「……まさかとは思うけど、別邸に来てたりしねぇよな、元親のやつ」
成実の呟きには無言を返した
そんなことは無い……と言い切れないのが悲しいところだ
綱元先輩に電話をかけようとした成実は、ほんの少しだけ画面を見つめて躊躇った後、そっとスマートフォンをポケットに戻したのだった
誤魔化されてたまるかという意味も込めて、再度そう尋ねる
ぐっと言葉に詰まった親泰君は、アイスコーヒーを飲み干してから席を立った
「つ、追加でコーヒー頼んでくるね!」
「戻ってきたらまた聞くね」
「……親泰殿、こうなった夕歌殿は、誤魔化されてはくれませぬぞ」
「誤魔化されてたまるかと思ってるからね」
項垂れた親泰君が、すごすごと椅子に座り直す
そうして眉尻を下げて私を見て、問うてきた
「……可愛いって言わない?」
「言うと思う」
「そこは否定してやれよ!?」
「親泰君は存在が可愛いから仕方なくない?」
「何も仕方なくないと思うよ!?」
童顔コンビから総ツッコミを受けてしまった
幸村君はニコニコしたまま首を傾げていたのでノーカンだ
肺に溜まった空気を全部吐き出すかのごとくため息をついて、親泰君は呟くように言った
「……貞にぃって呼んでる……」
「貞にぃ!?」
「ありがとう親泰君、おかげで私の寿命が伸びた」
「オタクの反応じゃねぇか」
元親先輩のことを『兄さん』呼びする親泰君も可愛かったけど、親貞お兄さんを『貞にぃ』呼びする親泰君は、また別の可愛さがあるのだ
でもなーんかこの呼び方、既視感があるというか、聞き馴染みあるというか……
「成実殿も片倉殿のことを似たような呼び方で呼んでおられまするが、夕歌殿は如何お思いでござろうか?」
「たしかに『こじゅ兄』って呼んでるけど、別に可愛かねぇだろ」
「不思議と成実のそれは可愛さゼロなんだよね
なんでだろ」
「言動が可愛くないからではないか?」
「可愛いって言われてぇわけじゃねぇけど、なんとはなしにちょっと心を抉られた気分だよ、俺は
まぁいいんだけどよ!?
可愛いって言われてもあんまり嬉しかねぇしさ!?」
成実が分かりやすく拗ねた
でもなぁ、色々あったけど、成実は格好いい寄りだもんなぁ
幸村君も学院時代は可愛かったけど、最近はちょっと毒素が混じりつつあるから……
「てっきり『お兄ちゃん』とかなのかと思ってた」
「小さい頃は兄さんのことを『お兄ちゃん』って呼んでたらしいんだけどね
さすがにもうこの年でお兄ちゃんとは呼べないから、兄さんは兄さんのままかな」
「呼んでいいんだよ、元親先輩のこと……お兄ちゃんって」
「絶対呼ばない!!」
顔を赤くして親泰君がそう言い、今度こそ追加でコーヒーを頼みに行った
あー可愛かった、満足だ
友達で遊ぶなという話ではあるけど、遊んでるんじゃなくて、こう……癒しをもらっているだけだから……
「あんまりからかってやるなよな」
「ごめん……親泰君が可愛くてつい……」
「幸村には言わなくなったのにな」
「幸村君も可愛いと思ってるけど、最近ちょっとこう……」
「思っておられるのならば、遠慮なくおっしゃれば良いではござらんか」
「目がね、ちょっと目が笑ってないからね、やめとく」
「幸村もこいつの扱いが分かってきたってこった」
「一番扱い方が分かりやすいのは相変わらず成実なんだけどね」
「俺はもうそれを個性だと思って受け入れて生きてるからいいんだよ」
ふん、と成実が拗ねる
ようやくパフェを食べ終わった頃、親泰君が戻ってきた
おかえり、と声を掛けて親泰君がただいまと答えた時、親泰君のスマートフォンに、誰かからLEINで通話がかかってきた
「あ、ちょっとごめん」
「いいよいいよ」
もしもし、と親泰君が通話に出て、それからその表情がぱっと明るくなった
うーん可愛い、親泰君は癒しだなぁ……
「貞にぃ、帰ってきてるんだ?
……俺?
俺は今、高校時代の友達とカフェでお茶してて……」
なんと噂の貞にぃからのお電話だった
声の弾み方からして、親泰君が親貞お兄さんを慕っているのは間違いない
まあ、元親先輩の弟さんだもんね……
二人揃って元親先輩に振り回されていると考えるほうが自然というか……
「うん、今日はサークルの練習してから帰るから、ちょっと遅くなるよ
……え、兄さん?
いや兄さんの居場所まではちょっと……」
「どういう会話をしてるんだろう……」
「親貞殿は長曾我部殿に御用がおありのようでござるな
ご自宅にはおられなかったということでござろうか」
「……まさかとは思うけど、別邸に来てたりしねぇよな、元親のやつ」
成実の呟きには無言を返した
そんなことは無い……と言い切れないのが悲しいところだ
綱元先輩に電話をかけようとした成実は、ほんの少しだけ画面を見つめて躊躇った後、そっとスマートフォンをポケットに戻したのだった
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