04 噂の美形集団
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お昼休みに突入して、親泰君がラウンジに合流した
ラウンジで私たちを見つけた瞬間、親泰君が「うわ」と後悔の念を滲ませたのは私にはっきりと伝わってしまった
「これ、なんて拷問ですか……?」
「親泰君もそう思う?」
「いや……拷問の一手を担ってる人に言われても」
「えっ」
私が美形集団の一員、だと……?
そうは言うけど、親泰君だって十分イケメンなので
「なんか……ラウンジが騒がしいというか……」
「人目が集まっているというか……」
親泰君と二人で顔を見合わせてしまうと、ため息をついた政宗さんが立ち上がった
「行くぞ夕歌」
「えっ行くってどこにですか?」
「Secret.」
「えぇ!?」
政宗さんに手を引かれて、ラウンジから引っ張り出される
成実や綱元先輩が追ってこないので、危険は無いらしい
「ま、政宗さん」
「あんな人目が多いところで落ち着いて飯が食えるか」
言葉とは裏腹に、握られた手は優しかった
こういうところなんだよなぁ、と頬が熱くなるのを感じながら、私は連れていかれるままに構内を歩いていった
「人目につかない場所があるんですか?」
「まぁな」
そのまま連れていかれたのは、人通りから離れた木陰のスペース
見取り図が頭に入ってないので、ここがどこかは分からないけど……
どうやら校舎群の奥らしい
「Bingo.」
指を鳴らした政宗さんが、「ほら」と体をずらす
そこにあったのは……
「わ……!」
花壇いっぱいに花々が咲き乱れた空間
花の香りが鼻腔をくすぐった
「綺麗だろ?」
「こんな場所もあるんですね……」
誰もいないし、誰も通らない
空いている一つきりのベンチに並んで座る
私と政宗さんの手には、政宗さん特製のお弁当
いやぁ、こんな絶世のイケメンを独り占めしていいのかなぁ
「いただきまーす」
手を合わせて、卵焼きに箸を伸ばす
……うん、政宗さんらしくほんのり甘い味付け
「……ん」
満足そうに頷いた政宗さんがサラダを口にした
「政宗さん、前に比べたら変わりましたよね」
「Ah?」
「年相応な反応をすることが多くなったなって」
「人を年寄りみたいに言いやがるのはこの口か?
塞いでやってもいいんだぞ」
「だって、前はいやに大人びてたし……
今みたいに笑うこともなかったし」
「んなこたぁ……」
ない、と言おうとした政宗さんが口を閉ざす
その代わりに、ご飯を無言で頬張った
「お前だって変わったぜ?」
「そうですか?」
「前よりcuteになった」
「そんなことはないと思いますけど……」
「あとは……寂しい顔をしなくなったな」
頬に先輩の指がかかって、穏やかな微笑みが近付く
「だって、寂しくないですもん
みんながいてくれるから」
「……そりゃそうだ」
「政宗さんが隣に居て、寂しく感じる暇なんてないですよ」
「寂しい思いなんざさせるわけねぇだろ」
そっと重なる唇が愛おしい
この温もりが、ずっと隣にありますように
そっと離れた政宗さんが、ぽん、と頭に手を置く
「やっぱり好きだ」
「え……」
「ゆっくり歩んでいけばいいさ、先は長いんだ」
それが意味するところが分かって、曖昧に頷く
……克服したいのに、過去の傷は私を離してくれない
あの「痛み」と別れて四年も経つのに──私の身体は、「痛み」を覚えている
息がつまる苦しさと、罵声と……身を打つ痛み
「大丈夫だ」
「……はい」
「お前は愛されてる」
「はい……」
この二年間で、政宗さんは私に愛を注いでくれた
乾いた心を満たすように……空いた大きな隙間を埋めるように
「私も……政宗さんが好きです」
「知ってる」
「政宗さんだって愛されてますよ」
「それも知ってる」
政宗さんらしい返答だなぁと頬を緩めて、お弁当に再び取りかかった
「私、幸せですよ」
そう呟くと、政宗さんは、黙って私の頭を撫でてくれた
「またここで食うか」
「いいですね、落ち着きますし」
「ここは四季を通して花が咲くようになってるからな
来月には薔薇が咲くはずだ」
「薔薇かぁ」
「あの一角は向日葵だな」
「政宗さん、よく知ってますね」
「去年はよくここで綱元と飯食ってたからな」
「ここで……男二人で……」
「おい、その反応やめろ」
「冗談ですよ、綱元先輩は護衛で一緒にいたんでしょうし」
とはいえ、こんなところで男二人か……
なんというか……うん……
これ以上はやめておこう
ご飯が美味しいし、隣には政宗さんがいる
それでいいじゃないか──そう思って、私は最後の一口を口に運んだ
ラウンジで私たちを見つけた瞬間、親泰君が「うわ」と後悔の念を滲ませたのは私にはっきりと伝わってしまった
「これ、なんて拷問ですか……?」
「親泰君もそう思う?」
「いや……拷問の一手を担ってる人に言われても」
「えっ」
私が美形集団の一員、だと……?
そうは言うけど、親泰君だって十分イケメンなので
「なんか……ラウンジが騒がしいというか……」
「人目が集まっているというか……」
親泰君と二人で顔を見合わせてしまうと、ため息をついた政宗さんが立ち上がった
「行くぞ夕歌」
「えっ行くってどこにですか?」
「Secret.」
「えぇ!?」
政宗さんに手を引かれて、ラウンジから引っ張り出される
成実や綱元先輩が追ってこないので、危険は無いらしい
「ま、政宗さん」
「あんな人目が多いところで落ち着いて飯が食えるか」
言葉とは裏腹に、握られた手は優しかった
こういうところなんだよなぁ、と頬が熱くなるのを感じながら、私は連れていかれるままに構内を歩いていった
「人目につかない場所があるんですか?」
「まぁな」
そのまま連れていかれたのは、人通りから離れた木陰のスペース
見取り図が頭に入ってないので、ここがどこかは分からないけど……
どうやら校舎群の奥らしい
「Bingo.」
指を鳴らした政宗さんが、「ほら」と体をずらす
そこにあったのは……
「わ……!」
花壇いっぱいに花々が咲き乱れた空間
花の香りが鼻腔をくすぐった
「綺麗だろ?」
「こんな場所もあるんですね……」
誰もいないし、誰も通らない
空いている一つきりのベンチに並んで座る
私と政宗さんの手には、政宗さん特製のお弁当
いやぁ、こんな絶世のイケメンを独り占めしていいのかなぁ
「いただきまーす」
手を合わせて、卵焼きに箸を伸ばす
……うん、政宗さんらしくほんのり甘い味付け
「……ん」
満足そうに頷いた政宗さんがサラダを口にした
「政宗さん、前に比べたら変わりましたよね」
「Ah?」
「年相応な反応をすることが多くなったなって」
「人を年寄りみたいに言いやがるのはこの口か?
塞いでやってもいいんだぞ」
「だって、前はいやに大人びてたし……
今みたいに笑うこともなかったし」
「んなこたぁ……」
ない、と言おうとした政宗さんが口を閉ざす
その代わりに、ご飯を無言で頬張った
「お前だって変わったぜ?」
「そうですか?」
「前よりcuteになった」
「そんなことはないと思いますけど……」
「あとは……寂しい顔をしなくなったな」
頬に先輩の指がかかって、穏やかな微笑みが近付く
「だって、寂しくないですもん
みんながいてくれるから」
「……そりゃそうだ」
「政宗さんが隣に居て、寂しく感じる暇なんてないですよ」
「寂しい思いなんざさせるわけねぇだろ」
そっと重なる唇が愛おしい
この温もりが、ずっと隣にありますように
そっと離れた政宗さんが、ぽん、と頭に手を置く
「やっぱり好きだ」
「え……」
「ゆっくり歩んでいけばいいさ、先は長いんだ」
それが意味するところが分かって、曖昧に頷く
……克服したいのに、過去の傷は私を離してくれない
あの「痛み」と別れて四年も経つのに──私の身体は、「痛み」を覚えている
息がつまる苦しさと、罵声と……身を打つ痛み
「大丈夫だ」
「……はい」
「お前は愛されてる」
「はい……」
この二年間で、政宗さんは私に愛を注いでくれた
乾いた心を満たすように……空いた大きな隙間を埋めるように
「私も……政宗さんが好きです」
「知ってる」
「政宗さんだって愛されてますよ」
「それも知ってる」
政宗さんらしい返答だなぁと頬を緩めて、お弁当に再び取りかかった
「私、幸せですよ」
そう呟くと、政宗さんは、黙って私の頭を撫でてくれた
「またここで食うか」
「いいですね、落ち着きますし」
「ここは四季を通して花が咲くようになってるからな
来月には薔薇が咲くはずだ」
「薔薇かぁ」
「あの一角は向日葵だな」
「政宗さん、よく知ってますね」
「去年はよくここで綱元と飯食ってたからな」
「ここで……男二人で……」
「おい、その反応やめろ」
「冗談ですよ、綱元先輩は護衛で一緒にいたんでしょうし」
とはいえ、こんなところで男二人か……
なんというか……うん……
これ以上はやめておこう
ご飯が美味しいし、隣には政宗さんがいる
それでいいじゃないか──そう思って、私は最後の一口を口に運んだ
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