20章
夢小説設定
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さて気を取り直して、私達は北にあるという洞窟を目指し……たかったけど、すっかり日が暮れてしまったので、パルミドに戻ることにした。
監獄亭という名の宿屋に戻り、夕食を食べてゼシカと一緒の部屋で就寝。
翌朝、朝食をしっかりとってから改めて洞窟を目指すことになった。
地図上だと、パルミドからだいたい真っ直ぐ西に向かえば洞窟に着くらしい。
持つべきものは地元の人間だ、ありがとうヤンガス。
「ゲルダさんとヤンガスって、どういう関係なの?」
洞窟へ向かう道すがら、ちょっとした好奇心でそう尋ねてみた。
洞窟までは道のりが長い。
会話がないと道中がきついのだ。
「ゲルダとアッシの関係でがすか。まあ一言で言やぁ、腐れ縁……みてぇなもんでがすよ。昔っからあいつは、宝石には目がなくてね。それで昔、アッシがまだガキだった頃に、ビーナスの涙を取りに行く約束をしたんでがすよ。けど、洞窟の中の魔物は、ガキだったアッシには手強くて、宝石のところまでなんて、とてもじゃねぇが辿り着けなかった。命からがら逃げ出して、どうにか死ぬ寸前で帰ってこられたんでがすが……。ゲルダの奴、約束を守らなかったって怒っちまいやしてね。それからああなっちまったんでがすよ……」
そう語って、ヤンガスがため息をついた。
なんか、パルミドに来てから、ヤンガスってため息ばっかりついてる気がする……。
ストレスとか大丈夫かな、ゲルダさんが原因で胃に穴が空いたりしないかな。
そうこうしているうちに、洞窟の入口のようなものが見えてきた。
洞窟というより、遺跡に近い気はする。
明らかに人工物だもん。
「ここが例の洞窟──剣士像の洞窟でがすよ」
「一人だったとはいえ、ヤンガスが苦戦した洞窟だ。みんな、注意して進もう」
エイトの声に全員が頷く。
私たちは気を引き締めて、洞窟へ繋がる扉を開け、中に入った。
洞窟の中は遺跡のような場所だった。
通路には松明が燃やされて、空間自体は広々としている。
そして中央に大きな宝箱が置いてあった。
どう考えてもあの中にビーナスの涙が入っている。
「うっへー、見えてるのに道が繋がってないわけか……」
「この迷宮を作ったやつの性格が透けて見えるわね」
「この洞窟は、大昔の好事家が自慢のお宝……ビーナスの涙を安置するために作ったんだそうでがす。いろんな仕掛けが邪魔して、アッシひとりじゃあとても目的の宝箱まで辿り着けねえんでさぁ」
そう言ってヤンガスが向こうを指差した。
その先には、例の大きな宝箱。
「あれを見るでがす。あの宝箱に、ビーナスの涙って宝石が隠されてるって話でがす。アッシも以前、この洞窟には挑戦したんでがすが、その時はあの宝箱まで辿り着けなかったんでがすよ。でも今度こそは何としてでもあそこまで辿り着いて、ビーナスの涙を手に入れるでがす!」
「その意気だ! 頑張るぞー! ってことで最初の分かれ道は……右だ!!」
「左だろ」
「右じゃないでげすか?」
「左じゃないかな」
「右じゃないの?」
綺麗に意見が割れた。
私達、ひょっとして仲悪い?
信頼関係とか、あんまり築けてなかったりする?
五人の間にさっと緊張が走った。
「右が三人なわけだし……ここは多数決じゃない?」
「ちっ……」
ククールがこれみよがしに舌打ちをした。
ゼシカの前なのにいいのか、仮にも口説いてる相手の前だぞ。
とはいえ多数決で右と決まったので、私達は入ってすぐの分かれ道を右に向かった。
大きな扉を開いた先には、石碑がひとつ。
「えーと、なになに……。『この迷宮は、秘宝ビーナスの涙を守るために作られたものである。知恵と力を兼ね備えし者のみが、真の栄光を手にするであろう』……だって」
「つまり行き止まりってこった」
「左だったってことだね」
ククールとエイトの声が、心なしか冷たい。
だって分かるわけないじゃん!
初めて来たんだからさぁ!
二人だって当てずっぽうで左って言ったくせに!
来た道を引き返して、分かれ道を左のほうへ。
同じく大きな扉を開いた先に通路は続いていて、私達は道なりに進んで地下二階へ降りた。
「宝箱が見えてるのに、なんで地下に降りるのー!?」
私の叫びが洞窟内に響く。
ああ、通路の柵を乗り越えて行きたい。
どんどん宝箱が遠ざかっていく……。
「なんでこう、入り組んだ洞窟を作っちゃったんだ……?」
「この建物を作った人間の性格の悪さがよく現れてるわよね」
ゼシカがそう悪態をついて、それからさっと杖を構えた。
そう、ヤンガスが言っていた通り、ここの魔物はかなり手強い。
攻撃専門の私とエイト、ヤンガスがいても、一筋縄ではいかないのだ。
こりゃあ昔のヤンガスが苦労するわけだ……。
監獄亭という名の宿屋に戻り、夕食を食べてゼシカと一緒の部屋で就寝。
翌朝、朝食をしっかりとってから改めて洞窟を目指すことになった。
地図上だと、パルミドからだいたい真っ直ぐ西に向かえば洞窟に着くらしい。
持つべきものは地元の人間だ、ありがとうヤンガス。
「ゲルダさんとヤンガスって、どういう関係なの?」
洞窟へ向かう道すがら、ちょっとした好奇心でそう尋ねてみた。
洞窟までは道のりが長い。
会話がないと道中がきついのだ。
「ゲルダとアッシの関係でがすか。まあ一言で言やぁ、腐れ縁……みてぇなもんでがすよ。昔っからあいつは、宝石には目がなくてね。それで昔、アッシがまだガキだった頃に、ビーナスの涙を取りに行く約束をしたんでがすよ。けど、洞窟の中の魔物は、ガキだったアッシには手強くて、宝石のところまでなんて、とてもじゃねぇが辿り着けなかった。命からがら逃げ出して、どうにか死ぬ寸前で帰ってこられたんでがすが……。ゲルダの奴、約束を守らなかったって怒っちまいやしてね。それからああなっちまったんでがすよ……」
そう語って、ヤンガスがため息をついた。
なんか、パルミドに来てから、ヤンガスってため息ばっかりついてる気がする……。
ストレスとか大丈夫かな、ゲルダさんが原因で胃に穴が空いたりしないかな。
そうこうしているうちに、洞窟の入口のようなものが見えてきた。
洞窟というより、遺跡に近い気はする。
明らかに人工物だもん。
「ここが例の洞窟──剣士像の洞窟でがすよ」
「一人だったとはいえ、ヤンガスが苦戦した洞窟だ。みんな、注意して進もう」
エイトの声に全員が頷く。
私たちは気を引き締めて、洞窟へ繋がる扉を開け、中に入った。
洞窟の中は遺跡のような場所だった。
通路には松明が燃やされて、空間自体は広々としている。
そして中央に大きな宝箱が置いてあった。
どう考えてもあの中にビーナスの涙が入っている。
「うっへー、見えてるのに道が繋がってないわけか……」
「この迷宮を作ったやつの性格が透けて見えるわね」
「この洞窟は、大昔の好事家が自慢のお宝……ビーナスの涙を安置するために作ったんだそうでがす。いろんな仕掛けが邪魔して、アッシひとりじゃあとても目的の宝箱まで辿り着けねえんでさぁ」
そう言ってヤンガスが向こうを指差した。
その先には、例の大きな宝箱。
「あれを見るでがす。あの宝箱に、ビーナスの涙って宝石が隠されてるって話でがす。アッシも以前、この洞窟には挑戦したんでがすが、その時はあの宝箱まで辿り着けなかったんでがすよ。でも今度こそは何としてでもあそこまで辿り着いて、ビーナスの涙を手に入れるでがす!」
「その意気だ! 頑張るぞー! ってことで最初の分かれ道は……右だ!!」
「左だろ」
「右じゃないでげすか?」
「左じゃないかな」
「右じゃないの?」
綺麗に意見が割れた。
私達、ひょっとして仲悪い?
信頼関係とか、あんまり築けてなかったりする?
五人の間にさっと緊張が走った。
「右が三人なわけだし……ここは多数決じゃない?」
「ちっ……」
ククールがこれみよがしに舌打ちをした。
ゼシカの前なのにいいのか、仮にも口説いてる相手の前だぞ。
とはいえ多数決で右と決まったので、私達は入ってすぐの分かれ道を右に向かった。
大きな扉を開いた先には、石碑がひとつ。
「えーと、なになに……。『この迷宮は、秘宝ビーナスの涙を守るために作られたものである。知恵と力を兼ね備えし者のみが、真の栄光を手にするであろう』……だって」
「つまり行き止まりってこった」
「左だったってことだね」
ククールとエイトの声が、心なしか冷たい。
だって分かるわけないじゃん!
初めて来たんだからさぁ!
二人だって当てずっぽうで左って言ったくせに!
来た道を引き返して、分かれ道を左のほうへ。
同じく大きな扉を開いた先に通路は続いていて、私達は道なりに進んで地下二階へ降りた。
「宝箱が見えてるのに、なんで地下に降りるのー!?」
私の叫びが洞窟内に響く。
ああ、通路の柵を乗り越えて行きたい。
どんどん宝箱が遠ざかっていく……。
「なんでこう、入り組んだ洞窟を作っちゃったんだ……?」
「この建物を作った人間の性格の悪さがよく現れてるわよね」
ゼシカがそう悪態をついて、それからさっと杖を構えた。
そう、ヤンガスが言っていた通り、ここの魔物はかなり手強い。
攻撃専門の私とエイト、ヤンガスがいても、一筋縄ではいかないのだ。
こりゃあ昔のヤンガスが苦労するわけだ……。