20章
夢小説設定
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パルミドを出て南西へ。
こまめに休憩を取りながら、ようやく池の中にあると噂のゲルダ邸へ到着した。
「本当に池の中の小島に家があるんだ……」
「その女盗賊、相当のやり手だな」
「ククール、絶対に美女だったら口説きにかかるでしょ」
「見境ってものがないのかしら」
「まだ何も言ってねぇだろ」
「普段の行いじゃないかな」
エイトの容赦ない一言にククールが胸を押さえた。
仲間になったとて、ククールが女の敵だった頃は消えないんだぜ。
池と小島にかかる吊り橋を渡って、先へ進むと、小島の真ん中にお洒落な外装の豪邸と、馬小屋が現れた。
「家、デカッ!? 豪邸じゃん!」
「そう? うちのほうが広いわよ」
「張り合わないでお嬢様」
さすがに女盗賊の建てる家と、村の領主の家では、後者に軍配が上がる。
いやでも、個人の家にしてはデカすぎるぞ。
馬小屋もめちゃくちゃ広そうだし。
盗賊稼業って、そんなに儲かるのか。
「よし、じゃあゲルダさんに会いに行こう」
エイトの隣で、ヤンガスががっくりと肩を落とした。
もうここまで来たら諦めてくれ。
因縁のある相手なんだろうけど、こちらは姫様を取り戻さねばならないのだ。
気を取り直したヤンガスが、入口に立ちはだかる荒くれ野郎の元へと向かっていく。
私達はちょっと離れたところから様子を見ることにした。
「ゲルダの奴に話があるんだ。悪いが通らせてもらうぜ」
「あっ、てめぇはヤンガス! ゲルダ様がてめぇなんかに会うもんか! 帰れ帰れ!」
思った以上に散々な言われっぷり──!
凄みを効かせて出ていったはいいものの、まさか目の敵みたいな扱いをされるなんて!
ヤンガス、あんたゲルダさんと何があったんだってばよ!?
「ガキの使いじゃねえんだ。帰れと言われて素直に帰れるかよ! いいから三下は引っ込んでな!」
ヤンガス、負けじとガンを飛ばしていく!
確かにヤンガスよりは荒くれ野郎のほうがちょっと格下っぽいけど!
「ぐっ……だ、誰が三下だとぉ!?」
痛いとこ突かれたっぽい!!
いいぞヤンガス、いけいけヤンガス!
「楽しそうね、レイラ……」
「あんたって本当、面白い奴だよな……」
「落ち着きがないのは認める」
「認めちゃうんだ……」
ヤンガスと三下のやり取りを離れたところから観戦していると、不意に建物の中から声が聞こえてきた。
若い女の人というより、歳を重ねたような声だ。
隣でククールがスンと真顔になった。
こいつ。
「さっきから騒々しいね。部屋の中まで声が丸聞こえだよ」
「す、すいません、ゲルダ様。礼儀知らずの客が押しかけてきまして。すぐに追い返しますんで……」
「ヤンガスの奴なんだろ? もういいから、通しちまいな。あたしが直接、話をしてやるよ」
三下がぐっと言葉に詰まって、ドアの前から退く。
そうして私達に向かって、家のドアを後ろ手で指した。
「……ゲルダ様がそう言うんじゃ仕方ねぇな。ほらよ、通りな」
「盗賊のおうち、初めて入る! お邪魔します!」
「遊びに来たんじゃないのよ」
「騒がしい奴がここにも、と……」
「……」
ゼシカとククールに諭され、エイトの冷たい微笑みに心が挫けた。
そうですよね、姫様を助けるための、いわばカチコミですもんね。
浮かれてちゃ駄目だよね。
「姉貴、入らねえんでがすか?」
「カチコミのとき、なんて言って入るのが正解なんだろうと思って」
「いいから普通に入ろうね」
「はい」
エイトの顔がマジギレ手前だったので、大人しく従っておいた。
ホラーとイカとタコ以外に怖いものがない私でも、エイトを怒らせてはいけないと知っている。
マジで怖いから。
皆に続いて、おうちの中に足を踏み入れる。
広々としたリビングには、熊の剥製が敷いてあって、その上にダイニングテーブルが置かれていた。
……倒したのかな、この熊、ゲルダさんが。
さてそのゲルダさんはというと、ロッキングチェアに座ってゆらゆらと揺れていた。
しかしながらヤンガスへ向ける視線はとても鋭いもので、さすが女盗賊として名を馳せるだけのことはあると思わされてしまった。
「……どこかで名前を聞いたことがあると思ったんだ。ポルトリンクの宿屋に置いてある本に、ゲルダさんのことが書いてあった」
「え、そうなの?」
「よく覚えてるわね、そんな細かいこと」
「自分だけの船を持ってるから、特集が組まれてたんだ。船の名前は忘れたけど……」
船まで持ってるんだ……。
この大きい家だけじゃなく、自分専用の船まで……。
ゲルダさん、これまでにいったい、どれだけの稼ぎを……。
ヤンガスの盗賊としての知名度がどのくらいのものか分からないけど、アングラーな人達の間では相当に有名な人なんじゃないかな。
……ヤンガス、大丈夫かな。
こまめに休憩を取りながら、ようやく池の中にあると噂のゲルダ邸へ到着した。
「本当に池の中の小島に家があるんだ……」
「その女盗賊、相当のやり手だな」
「ククール、絶対に美女だったら口説きにかかるでしょ」
「見境ってものがないのかしら」
「まだ何も言ってねぇだろ」
「普段の行いじゃないかな」
エイトの容赦ない一言にククールが胸を押さえた。
仲間になったとて、ククールが女の敵だった頃は消えないんだぜ。
池と小島にかかる吊り橋を渡って、先へ進むと、小島の真ん中にお洒落な外装の豪邸と、馬小屋が現れた。
「家、デカッ!? 豪邸じゃん!」
「そう? うちのほうが広いわよ」
「張り合わないでお嬢様」
さすがに女盗賊の建てる家と、村の領主の家では、後者に軍配が上がる。
いやでも、個人の家にしてはデカすぎるぞ。
馬小屋もめちゃくちゃ広そうだし。
盗賊稼業って、そんなに儲かるのか。
「よし、じゃあゲルダさんに会いに行こう」
エイトの隣で、ヤンガスががっくりと肩を落とした。
もうここまで来たら諦めてくれ。
因縁のある相手なんだろうけど、こちらは姫様を取り戻さねばならないのだ。
気を取り直したヤンガスが、入口に立ちはだかる荒くれ野郎の元へと向かっていく。
私達はちょっと離れたところから様子を見ることにした。
「ゲルダの奴に話があるんだ。悪いが通らせてもらうぜ」
「あっ、てめぇはヤンガス! ゲルダ様がてめぇなんかに会うもんか! 帰れ帰れ!」
思った以上に散々な言われっぷり──!
凄みを効かせて出ていったはいいものの、まさか目の敵みたいな扱いをされるなんて!
ヤンガス、あんたゲルダさんと何があったんだってばよ!?
「ガキの使いじゃねえんだ。帰れと言われて素直に帰れるかよ! いいから三下は引っ込んでな!」
ヤンガス、負けじとガンを飛ばしていく!
確かにヤンガスよりは荒くれ野郎のほうがちょっと格下っぽいけど!
「ぐっ……だ、誰が三下だとぉ!?」
痛いとこ突かれたっぽい!!
いいぞヤンガス、いけいけヤンガス!
「楽しそうね、レイラ……」
「あんたって本当、面白い奴だよな……」
「落ち着きがないのは認める」
「認めちゃうんだ……」
ヤンガスと三下のやり取りを離れたところから観戦していると、不意に建物の中から声が聞こえてきた。
若い女の人というより、歳を重ねたような声だ。
隣でククールがスンと真顔になった。
こいつ。
「さっきから騒々しいね。部屋の中まで声が丸聞こえだよ」
「す、すいません、ゲルダ様。礼儀知らずの客が押しかけてきまして。すぐに追い返しますんで……」
「ヤンガスの奴なんだろ? もういいから、通しちまいな。あたしが直接、話をしてやるよ」
三下がぐっと言葉に詰まって、ドアの前から退く。
そうして私達に向かって、家のドアを後ろ手で指した。
「……ゲルダ様がそう言うんじゃ仕方ねぇな。ほらよ、通りな」
「盗賊のおうち、初めて入る! お邪魔します!」
「遊びに来たんじゃないのよ」
「騒がしい奴がここにも、と……」
「……」
ゼシカとククールに諭され、エイトの冷たい微笑みに心が挫けた。
そうですよね、姫様を助けるための、いわばカチコミですもんね。
浮かれてちゃ駄目だよね。
「姉貴、入らねえんでがすか?」
「カチコミのとき、なんて言って入るのが正解なんだろうと思って」
「いいから普通に入ろうね」
「はい」
エイトの顔がマジギレ手前だったので、大人しく従っておいた。
ホラーとイカとタコ以外に怖いものがない私でも、エイトを怒らせてはいけないと知っている。
マジで怖いから。
皆に続いて、おうちの中に足を踏み入れる。
広々としたリビングには、熊の剥製が敷いてあって、その上にダイニングテーブルが置かれていた。
……倒したのかな、この熊、ゲルダさんが。
さてそのゲルダさんはというと、ロッキングチェアに座ってゆらゆらと揺れていた。
しかしながらヤンガスへ向ける視線はとても鋭いもので、さすが女盗賊として名を馳せるだけのことはあると思わされてしまった。
「……どこかで名前を聞いたことがあると思ったんだ。ポルトリンクの宿屋に置いてある本に、ゲルダさんのことが書いてあった」
「え、そうなの?」
「よく覚えてるわね、そんな細かいこと」
「自分だけの船を持ってるから、特集が組まれてたんだ。船の名前は忘れたけど……」
船まで持ってるんだ……。
この大きい家だけじゃなく、自分専用の船まで……。
ゲルダさん、これまでにいったい、どれだけの稼ぎを……。
ヤンガスの盗賊としての知名度がどのくらいのものか分からないけど、アングラーな人達の間では相当に有名な人なんじゃないかな。
……ヤンガス、大丈夫かな。
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