19章
夢小説設定
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翌日、容態が落ち着いたレイラを馬車の荷台に乗せて、パルミドへ急いだ。
昨日、ククールが言っていたとおり、昼頃にはパルミドに到着。
僕達は恐る恐る、トロデ王の乗った馬車ごと町へ入った。
トラペッタでは魔物に間違われたけれど、パルミドの住人達はトロデ王の見た目にまるで興味を示さない。
「本当にヤンガスの言う通りじゃな。ここの連中はわしの姿を見ても、何も言ってこんぞ」
宿屋の前で一旦止まって、トロデ王が嬉しそうに笑う。
高貴なお方をこんな治安の悪い町に留まらせたくはなかったけど、ご本人がその気だから、止めても無駄だろう。
「……となれば、さっそく酒場じゃ。わしは先に行っておるからな。お前たちは情報屋とやらを探し出してから来るがよい。吉報を待っておるぞ」
「かしこまりました」
上機嫌に手を振って、トロデ王が宿屋の敷地内へと入っていく。
荷台に寝かせたままのレイラを抱えて降ろし、僕は宿屋へと入った。
レイラは穏やかな呼吸で眠っている。
熱は下がったものの、まだ目を覚まさない。
「すみません、五人なんですが」
「宿泊ですか? それとも夜まで?」
「宿泊で」
「それじゃあ二階の奥の部屋と、その向かいの部屋をどうぞ」
「ありがとうございます」
……なんだかボロボロの宿屋だけど、大丈夫かな。
不安になりながら階段を上がって、奥の部屋へ入る。
ベッドは清潔感のあるシーツに替えられていたので、宿屋も見かけによらないものらしい。
「ゆっくり休んでね、レイラ。僕らはこれから、この町にいる情報屋の人に会ってくる。おやすみ……」
目が覚めた時のために、枕元のメモに事情を書き残しておいた。
すやすやと眠っているレイラを見つめて、音を立てないようにドアを閉める。
それから宿屋を出て町に戻ると、トロデ王は既に姿がなかった。
「おっさんなら、宿屋の横の酒場に行っちまいやしたぜ。……ったく、しょうがねぇな。兄貴。おっさんのことは放っといて、情報屋の旦那んとこへ行きやしょうぜ。ドルマゲスを探すって目的も、忘れちゃいけねぇでがす」
「その通りね。情報屋からドルマゲスについての情報を仕入れたら、トロデ王を迎えに行きましょ」
「エイト。レイラの様子は?」
「今はぐっすり眠ってる。心配してくれてありがとう、ククール」
別に、と素っ気ない振りをしながら、ククールがヤンガスの後をついていく。
ゼシカと二人で顔を見合わせ、ゼシカがやれやれと肩を竦めた。
情報屋への道はヤンガスが知っていたから、僕たちはヤンガスについて行く形で町を歩いた。
この町は宿屋の隣の他に、もう一箇所、酒場があって、そこの近くに、町の上にある通路へ登れるらしい。
通路を渡って、屋上から階段を降りて屋内へ降りる。
そうしてヤンガスがひとつのドアをノックした。
返事はない。
もう一度ノックをして、ヤンガスがドアを開けて中を見ると、ドアを閉めた。
「例の情報屋の家ってここなんですけど、情報屋の旦那、どうやら留守のようでがすね」
「やれやれ、そう上手くはいかねぇってことか」
「タイミングが悪かったみたいだ。いつ戻ってくるかも分からないんだね?」
「もう〜! こっちは先を急いでるっていうのに!」
「む〜う、仕方ないでがす。一旦、おっさんのいる酒場に戻って、どうするか考えるでがすよ」
それしかないか……。
もう二、三日はここで過ごすしかないかもしれない。
ドルマゲスの手がかりがないんじゃ、探し出すこともできないから。
申し訳なさそうな様子のヤンガスを励まして、来た道を戻っていく。
酒場の前では、ミーティア姫が暇そうにしていた。
僕らの姿を見てミーティア姫が立ち上がり、けれど僕らの表情が暗いのを見て、姫も目を伏せて座り直してしまった。
「今日は収穫なしでしたが、もうしばらく、情報屋の帰りを待ってみます。必ず吉報をお持ちしますので」
姫の首を撫でて、酒場へと入る。
入った先のカウンターでは、トロデ王がビールを片手に管を巻いていた。
「うっうっ……。まったく、どうして酒を飲むのにこんなに苦労せねばならんのか……。これも全てはあのドルマゲスのせいじゃ。あやつがわしらに呪いをかけたせいでっ!」
「トロデ王」
「それにしても、哀れなのは姫じゃ。せっかく婚約も決まったのに、よりにもよって馬の姿とは……」
「トロデ王!」
酒と愚痴に夢中のトロデ王に声をかけると、トロデ王がようやくこちらを向いてくれた。
一体、この短時間で何杯飲んだんだ。
「……なんじゃ、来とったのか。意外に早かったのう。して、ドルマゲスの行方は掴めたのか?」
「いえ、それが──」
事情を説明しようとした瞬間。
店の外から、馬の嘶き声と、女性の大声が聞こえてきた。
さっと緊張が走る。
「何事じゃ!? 今のは姫の声のようじゃったが……」
椅子を飛び降りたトロデ王と共に酒場を出る。
その先には、ミーティア姫の姿も馬車もなく。
「う……っ、く、この……」
「──レイラ!!」
蹲ったまま倒れ込むレイラがいた。
昨日、ククールが言っていたとおり、昼頃にはパルミドに到着。
僕達は恐る恐る、トロデ王の乗った馬車ごと町へ入った。
トラペッタでは魔物に間違われたけれど、パルミドの住人達はトロデ王の見た目にまるで興味を示さない。
「本当にヤンガスの言う通りじゃな。ここの連中はわしの姿を見ても、何も言ってこんぞ」
宿屋の前で一旦止まって、トロデ王が嬉しそうに笑う。
高貴なお方をこんな治安の悪い町に留まらせたくはなかったけど、ご本人がその気だから、止めても無駄だろう。
「……となれば、さっそく酒場じゃ。わしは先に行っておるからな。お前たちは情報屋とやらを探し出してから来るがよい。吉報を待っておるぞ」
「かしこまりました」
上機嫌に手を振って、トロデ王が宿屋の敷地内へと入っていく。
荷台に寝かせたままのレイラを抱えて降ろし、僕は宿屋へと入った。
レイラは穏やかな呼吸で眠っている。
熱は下がったものの、まだ目を覚まさない。
「すみません、五人なんですが」
「宿泊ですか? それとも夜まで?」
「宿泊で」
「それじゃあ二階の奥の部屋と、その向かいの部屋をどうぞ」
「ありがとうございます」
……なんだかボロボロの宿屋だけど、大丈夫かな。
不安になりながら階段を上がって、奥の部屋へ入る。
ベッドは清潔感のあるシーツに替えられていたので、宿屋も見かけによらないものらしい。
「ゆっくり休んでね、レイラ。僕らはこれから、この町にいる情報屋の人に会ってくる。おやすみ……」
目が覚めた時のために、枕元のメモに事情を書き残しておいた。
すやすやと眠っているレイラを見つめて、音を立てないようにドアを閉める。
それから宿屋を出て町に戻ると、トロデ王は既に姿がなかった。
「おっさんなら、宿屋の横の酒場に行っちまいやしたぜ。……ったく、しょうがねぇな。兄貴。おっさんのことは放っといて、情報屋の旦那んとこへ行きやしょうぜ。ドルマゲスを探すって目的も、忘れちゃいけねぇでがす」
「その通りね。情報屋からドルマゲスについての情報を仕入れたら、トロデ王を迎えに行きましょ」
「エイト。レイラの様子は?」
「今はぐっすり眠ってる。心配してくれてありがとう、ククール」
別に、と素っ気ない振りをしながら、ククールがヤンガスの後をついていく。
ゼシカと二人で顔を見合わせ、ゼシカがやれやれと肩を竦めた。
情報屋への道はヤンガスが知っていたから、僕たちはヤンガスについて行く形で町を歩いた。
この町は宿屋の隣の他に、もう一箇所、酒場があって、そこの近くに、町の上にある通路へ登れるらしい。
通路を渡って、屋上から階段を降りて屋内へ降りる。
そうしてヤンガスがひとつのドアをノックした。
返事はない。
もう一度ノックをして、ヤンガスがドアを開けて中を見ると、ドアを閉めた。
「例の情報屋の家ってここなんですけど、情報屋の旦那、どうやら留守のようでがすね」
「やれやれ、そう上手くはいかねぇってことか」
「タイミングが悪かったみたいだ。いつ戻ってくるかも分からないんだね?」
「もう〜! こっちは先を急いでるっていうのに!」
「む〜う、仕方ないでがす。一旦、おっさんのいる酒場に戻って、どうするか考えるでがすよ」
それしかないか……。
もう二、三日はここで過ごすしかないかもしれない。
ドルマゲスの手がかりがないんじゃ、探し出すこともできないから。
申し訳なさそうな様子のヤンガスを励まして、来た道を戻っていく。
酒場の前では、ミーティア姫が暇そうにしていた。
僕らの姿を見てミーティア姫が立ち上がり、けれど僕らの表情が暗いのを見て、姫も目を伏せて座り直してしまった。
「今日は収穫なしでしたが、もうしばらく、情報屋の帰りを待ってみます。必ず吉報をお持ちしますので」
姫の首を撫でて、酒場へと入る。
入った先のカウンターでは、トロデ王がビールを片手に管を巻いていた。
「うっうっ……。まったく、どうして酒を飲むのにこんなに苦労せねばならんのか……。これも全てはあのドルマゲスのせいじゃ。あやつがわしらに呪いをかけたせいでっ!」
「トロデ王」
「それにしても、哀れなのは姫じゃ。せっかく婚約も決まったのに、よりにもよって馬の姿とは……」
「トロデ王!」
酒と愚痴に夢中のトロデ王に声をかけると、トロデ王がようやくこちらを向いてくれた。
一体、この短時間で何杯飲んだんだ。
「……なんじゃ、来とったのか。意外に早かったのう。して、ドルマゲスの行方は掴めたのか?」
「いえ、それが──」
事情を説明しようとした瞬間。
店の外から、馬の嘶き声と、女性の大声が聞こえてきた。
さっと緊張が走る。
「何事じゃ!? 今のは姫の声のようじゃったが……」
椅子を飛び降りたトロデ王と共に酒場を出る。
その先には、ミーティア姫の姿も馬車もなく。
「う……っ、く、この……」
「──レイラ!!」
蹲ったまま倒れ込むレイラがいた。