17章
夢小説設定
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洞窟の中にある階段を上り切ると、そこは外に繋がっていた。
しかもいい感じに丘っぽい!
「当たりだったってことじゃん!?」
「俺の勘も捨てたもんじゃねぇな」
「はいはい、良かったわね」
延々と続いている坂道を上りながら、後ろを振り返る。
なんと出発した時はあんなに高かった太陽が、もう西の山に沈もうとしていた。
「うわ、やば! 急がないと夜が更けちゃうかも!」
「そうね、急ぎましょう!」
登るスピードを上げたいのに、丘に着いた途端、出てくる魔物が手強くなっている。
顔にお面を付けたやつなんか、ちょっと普通に不気味だな。
と思うと、おもむろに仮面をずらしてきた。
仮面の下には目が六つある。
いや、気持ち悪いな!!
「え、なに、なんか目がサイコロっぽいし、なんか回ってるんだけど」
出た目は六。
瞬間、とんでもない威力のかまいたちが私を襲ってきた。
「いったぁ!! ちょ、マジで死ぬかと思……っ!!」
「ベホイミ! レイラ、大丈夫!?」
「ありがとうエイト! どういう仕組みか分かんないけど、あのサイコロ野郎が一番危険かも!」
分かった、とエイトが頷く。
そうしてみんなに、サイコロ野郎──サイコロンから倒すよう指示を出した。
全員でサイクロンを集中攻撃して、何とかやっつけたのもつかの間。
しかしなんと隣の人面樹が、世界樹の葉でサイコロンを生き返らせてしまった。
「こいつ、世界樹の葉なんか持ってやがるんでがすか!?」
「かといって人面樹を倒すことに専念すると、サイコロンがかまいたちを起こしてくる……!」
「やれやれ、面倒な戦いになってきたぜ」
「まったくもう! こっちは急いでるっていうのに!」
「あーもう!」
私はそう叫んで、人面樹めがけて力任せに剣を振り下ろした。
これが会心の一撃になって、人面樹はぐにゃりと仰向けに倒れると、青白い光と共に消えた。
「今だよ!」とエイトの声で、サイコロンが倒される。
私が本気出せばこの程度、余裕で倒せるってことだ!
「ふんっ! 私をナメないでよね!」
「いや、この場で誰がいつお前をナメたんだ?」
「まあいいじゃん、細かいことはさ」
「どの辺が細かいことだったのか、是非ともこの俺に聞かせてくれ」
呆れ気味のククールも、向かってくる魔物に対して矢を的確に当てて行く。
頂上はもう少しだ。
ゼシカの苛立ちが限界を迎えた頃、ようやく追ってきた魔物を倒し切った。
「本当にしつこい奴らね!」
「姉貴、兄貴、お怪我はありやせんか?」
「僕は大丈夫だよ。レイラは?」
「私も平気! ククールも怪我はない?」
「ああ。かすり傷さ。ゼシカも平気そうだぜ」
良かった良かった、と頷いて、坂道を登っていく。
しかしなかなかに急勾配だ。
これはいい運動になる気がする。
そうこうするうちに、私達はとうとう、丘の頂上に着いた。
「着いたみたいだね」
「わぁ……! 綺麗な眺め!」
「本当ね。登ってきた甲斐があるわ」
「ねぇエイト、ほら見て見て! 夕日がすっごく綺麗だよ!」
「うん、そうだね」
エイトと並んで、山間に沈もうとする夕日を見つめる。
空と大地がオレンジ色に染まって、本当に綺麗。
それに、なんだか不思議な力を感じる場所だ。
「本当に願いが叶いそうな場所だよね」
「うん。どことなく神秘的な感じもする」
エイトが優しく微笑んで頷いて、それから私の左手がエイトの右手に包まれた。
手を繋がれるとは思わなくて、小さく首を傾げる。
「エイト?」
「この景色をレイラと見られて良かった」
「ん?」
「願いが叶う叶わないはともかく、こういう綺麗な景色を、レイラと一緒に見たかったんだ」
「私と? そうなの?」
エイトが微笑んだまま頷く。
どうせなら姫様と見られたら良かったのにね、エイトは。
こういうところ、姫様もお好きだと思うなぁ。
姫様と陛下は急勾配の山道を登れなくて、麓で待機している。
この景色、見せて差し上げたかった。
「ねぇ、レイラ。夜までこうしてていい?」
「別にいいけど、どしたのエイト。……あ、分かった! 高所恐怖症なんだ!」
「うーん、違うかな」
苦笑いになったエイトは、それでも私に言った通り、繋いだ手を離さなかった。
時間はゆっくりと過ぎていって、夕日が山の向こうに沈んでいく。
空はどんどん暗くなって、星が瞬き始めた。
「わ、夜空も綺麗だね……!」
「そうだね。……綺麗だね」
「えへへ、私も今ちょっと思っちゃった。エイトと一緒に見られて良かったなーって」
エイトが小さく息を呑む。
そうして、私の左手を握っている右手に、少しだけ力が篭った。
「……エイト?」
「あのさ、レイラ……。僕は……」
エイトが何かを言おうとした、その時。
「ねえ、見て!」
ゼシカの声で、エイトがハッとなって口を閉ざす。
声につられてそちらを振り向くと、そこには不思議な光景があった。
「どうしたんでがすか?」
「窓……の影?」
丘の頂上に残る、建物らしき残骸。
壁の一部と、謎の窓枠。
その窓枠を月が照らして、この壁に影を伸ばしていた。
なんだか、この窓枠の影から、不思議な力を強く感じる。
「試しに触ってみる?」
「えっ、僕が?」
「嫌なら私がやってみてもいいけど」
「……いや、僕がやってみるよ」
そう答えて、そっとエイトが窓枠の影に触れる。
すると、信じられないことが起きた。
ただの影だと思っていたそこが、本当に窓のようにように開いたのだ。
「嘘……」
「マジかよ……」
「えぇ? これどうなってんの……?」
「どういうことだろう……?」
「こりゃあ、あり得ねえでがすよ……」
まるで壁なんてなかったみたいに、その扉の向こうには、別の世界があった。
当然ながら、壁の反対側には何もない。
「入ってみようぜ」
ククールの言葉に、全員が頷いた。
おばあさんの話は本当だったのかもしれない。
もしこの先にあるのが、願いを叶えてくれる何かだとしたら。
パヴァン王を元気づけたいというキラさんの願いも、叶うかもしれない。
顔を見合わせて全員で頷く。
そうして私達は、窓の中の世界に足を踏み入れた。
しかもいい感じに丘っぽい!
「当たりだったってことじゃん!?」
「俺の勘も捨てたもんじゃねぇな」
「はいはい、良かったわね」
延々と続いている坂道を上りながら、後ろを振り返る。
なんと出発した時はあんなに高かった太陽が、もう西の山に沈もうとしていた。
「うわ、やば! 急がないと夜が更けちゃうかも!」
「そうね、急ぎましょう!」
登るスピードを上げたいのに、丘に着いた途端、出てくる魔物が手強くなっている。
顔にお面を付けたやつなんか、ちょっと普通に不気味だな。
と思うと、おもむろに仮面をずらしてきた。
仮面の下には目が六つある。
いや、気持ち悪いな!!
「え、なに、なんか目がサイコロっぽいし、なんか回ってるんだけど」
出た目は六。
瞬間、とんでもない威力のかまいたちが私を襲ってきた。
「いったぁ!! ちょ、マジで死ぬかと思……っ!!」
「ベホイミ! レイラ、大丈夫!?」
「ありがとうエイト! どういう仕組みか分かんないけど、あのサイコロ野郎が一番危険かも!」
分かった、とエイトが頷く。
そうしてみんなに、サイコロ野郎──サイコロンから倒すよう指示を出した。
全員でサイクロンを集中攻撃して、何とかやっつけたのもつかの間。
しかしなんと隣の人面樹が、世界樹の葉でサイコロンを生き返らせてしまった。
「こいつ、世界樹の葉なんか持ってやがるんでがすか!?」
「かといって人面樹を倒すことに専念すると、サイコロンがかまいたちを起こしてくる……!」
「やれやれ、面倒な戦いになってきたぜ」
「まったくもう! こっちは急いでるっていうのに!」
「あーもう!」
私はそう叫んで、人面樹めがけて力任せに剣を振り下ろした。
これが会心の一撃になって、人面樹はぐにゃりと仰向けに倒れると、青白い光と共に消えた。
「今だよ!」とエイトの声で、サイコロンが倒される。
私が本気出せばこの程度、余裕で倒せるってことだ!
「ふんっ! 私をナメないでよね!」
「いや、この場で誰がいつお前をナメたんだ?」
「まあいいじゃん、細かいことはさ」
「どの辺が細かいことだったのか、是非ともこの俺に聞かせてくれ」
呆れ気味のククールも、向かってくる魔物に対して矢を的確に当てて行く。
頂上はもう少しだ。
ゼシカの苛立ちが限界を迎えた頃、ようやく追ってきた魔物を倒し切った。
「本当にしつこい奴らね!」
「姉貴、兄貴、お怪我はありやせんか?」
「僕は大丈夫だよ。レイラは?」
「私も平気! ククールも怪我はない?」
「ああ。かすり傷さ。ゼシカも平気そうだぜ」
良かった良かった、と頷いて、坂道を登っていく。
しかしなかなかに急勾配だ。
これはいい運動になる気がする。
そうこうするうちに、私達はとうとう、丘の頂上に着いた。
「着いたみたいだね」
「わぁ……! 綺麗な眺め!」
「本当ね。登ってきた甲斐があるわ」
「ねぇエイト、ほら見て見て! 夕日がすっごく綺麗だよ!」
「うん、そうだね」
エイトと並んで、山間に沈もうとする夕日を見つめる。
空と大地がオレンジ色に染まって、本当に綺麗。
それに、なんだか不思議な力を感じる場所だ。
「本当に願いが叶いそうな場所だよね」
「うん。どことなく神秘的な感じもする」
エイトが優しく微笑んで頷いて、それから私の左手がエイトの右手に包まれた。
手を繋がれるとは思わなくて、小さく首を傾げる。
「エイト?」
「この景色をレイラと見られて良かった」
「ん?」
「願いが叶う叶わないはともかく、こういう綺麗な景色を、レイラと一緒に見たかったんだ」
「私と? そうなの?」
エイトが微笑んだまま頷く。
どうせなら姫様と見られたら良かったのにね、エイトは。
こういうところ、姫様もお好きだと思うなぁ。
姫様と陛下は急勾配の山道を登れなくて、麓で待機している。
この景色、見せて差し上げたかった。
「ねぇ、レイラ。夜までこうしてていい?」
「別にいいけど、どしたのエイト。……あ、分かった! 高所恐怖症なんだ!」
「うーん、違うかな」
苦笑いになったエイトは、それでも私に言った通り、繋いだ手を離さなかった。
時間はゆっくりと過ぎていって、夕日が山の向こうに沈んでいく。
空はどんどん暗くなって、星が瞬き始めた。
「わ、夜空も綺麗だね……!」
「そうだね。……綺麗だね」
「えへへ、私も今ちょっと思っちゃった。エイトと一緒に見られて良かったなーって」
エイトが小さく息を呑む。
そうして、私の左手を握っている右手に、少しだけ力が篭った。
「……エイト?」
「あのさ、レイラ……。僕は……」
エイトが何かを言おうとした、その時。
「ねえ、見て!」
ゼシカの声で、エイトがハッとなって口を閉ざす。
声につられてそちらを振り向くと、そこには不思議な光景があった。
「どうしたんでがすか?」
「窓……の影?」
丘の頂上に残る、建物らしき残骸。
壁の一部と、謎の窓枠。
その窓枠を月が照らして、この壁に影を伸ばしていた。
なんだか、この窓枠の影から、不思議な力を強く感じる。
「試しに触ってみる?」
「えっ、僕が?」
「嫌なら私がやってみてもいいけど」
「……いや、僕がやってみるよ」
そう答えて、そっとエイトが窓枠の影に触れる。
すると、信じられないことが起きた。
ただの影だと思っていたそこが、本当に窓のようにように開いたのだ。
「嘘……」
「マジかよ……」
「えぇ? これどうなってんの……?」
「どういうことだろう……?」
「こりゃあ、あり得ねえでがすよ……」
まるで壁なんてなかったみたいに、その扉の向こうには、別の世界があった。
当然ながら、壁の反対側には何もない。
「入ってみようぜ」
ククールの言葉に、全員が頷いた。
おばあさんの話は本当だったのかもしれない。
もしこの先にあるのが、願いを叶えてくれる何かだとしたら。
パヴァン王を元気づけたいというキラさんの願いも、叶うかもしれない。
顔を見合わせて全員で頷く。
そうして私達は、窓の中の世界に足を踏み入れた。