17章
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アスカンタ城下町の宿屋で一夜を明かして、翌日。
いよいよキラさんのおばあさんの家に向かう時がきた。
「それじゃあ、みんな掴まってー! っていうか男はエイトに掴まって! ゼシカと姫様、陛下は私に掴まってくださーい」
全員がそれぞれに掴まったのを確認して、呪文を唱える。
「ルーラ!」
ふわり、と体が浮き上がって……目を開けると、川沿いの教会の前にいた。
昨日通ったばかりの場所に、再びやってくることになるとはな……。
「あれだよね、キラさんのおばあさんの家って」
「そうだと思う」
橋の向こうにある家を指差すと、エイトも頷いてくれた。
橋を渡ってすぐの家は、とても小ぢんまりした作りだ。
「こんにちはー」
ドアをノックして中に入ると、中には騎士のような見た目をした人と、糸車で編み物をしている小柄なおばあさんがいた。
ベッドには猫ちゃんがいる。
というより、この騎士っぽい人は何なんだ?
「……聖堂騎士団の方ですか?」
「どう見たって違うわよ」
「というか、それは今、関係ないだろ」
辛辣なツッコミ役が一人増えてしまった。
なんてことだ。
エイトは我関せずという顔でおばあさんのほうに向かってるし。
「すみません、アスカンタ城にお勤めのキラさんのおばあさんですか?」
エイトがそう尋ねると、おばあさんは糸車の手を止めてこちらを振り返り、おっとりと微笑んだ。
いい人そう……と私とヤンガスが何となくほわっと癒された顔になる。
「ええ、ええ。お城のメイドのキラなら、たしかに私達の孫娘ですよ」
「実はキラさんから、おばあさんから昔聞いた、アスカンタの不思議な話を聞いてきてほしいと言われていて……」
「そうなんです。それで、なんだっけ、何でも願いを叶える方法があるとか何とか、キラさん言ってまして」
「はぁ。まあ、年寄りですからねえ。アスカンタの古い昔話のことなら、何でも知っておりますよ。願いを叶える昔話なら、この家の前を流れる川の上流の、不思議な丘の話ですねぇ」
「不思議な丘……」
場所の情報ゲット!
ここからちょっと距離があるっぽいけど、五人もいるから道中はそんなに苦労しないと思いたい。
「それってどう不思議なの?」
「お、ゼシカも興味ある感じ?」
「満月の夜に一晩、あの丘の上でじーっと待ってると、不思議な世界への扉が開くと言いますがねぇ。でもまあ、ただのおとぎ話ですし、本当だかどうだか分かりませんよ。第一、山の夜は冷えますし。あんな高い丘の上で夜更かしする者は、誰もいやしませんよ。ほっほっほ」
そう軽やかに笑って、おばあさんは糸車の作業に戻ってしまった。
……山、いま、おばあさん、山って言ったよね。
道中の魔物は苦労しなくても、普通に行くだけで大変そうな気がしたのは、私だけだろうか。
ありがとうございました、とお礼を言って外へ出る。
まあ、何を言ったところで行くしかないので……。
「兄貴、ちょいと地図を見せてほしいでがすよ」
「分かった、はい」
「そか、ヤンガスはこの大陸出身だから、この辺の地理も詳しいのか」
「へえ……意外だな。この大陸出身ってんなら……あの辺りか?」
どの辺りだ? と尋ねる前に、ヤンガスがひとつの場所を指差した。
地図上で見ても、そこが川の上流なのは間違いなさそうだ。
「とりあえず川沿いに上ってみましょうや」
「そうだね。でも、どこから川に降りれるんだろう」
「それなら、ばあさん家の裏手から降りられそうだったぜ」
「行ってみましょう!」
おばあさんの家をぐるっと回り込んで、裏手に回ると、なるほど確かに川のほうに降りる道があった。
さすがククール、抜け目のない男。
坂道を降りて川の横の道を進んでいく。
「……タコとかイカとか出ませんように!!」
「ワカメは大丈夫なんでがすか?」
「は? ワカメ? ワカメが襲ってくるなんてそんなそんな!」
グチャア……と不快な音が背後で響く。
ギギギと音を鳴らしながら背後を振り向くと……そこにそいつはいた。
冠を頭に戴いた、通称ワカメ王子が。
「火炎斬りーッ!!」
「やっぱり駄目だったっぽい!」
シーメーダを片付けながらエイトがツッコミを入れてくる。
でも攻撃できるだけタコとかイカよりはマシだと思う!
「ブチュチュンパはいけるんだよな……」
「逆になんでそっちはいけるんだよ」
「タコでもイカでもないから?」
「疑問形で返すな」
ヤンガスの攻撃が決まって、ワカメ王子がデロォ……と崩れ落ちて消えた。
消え方まで気持ち悪いのか……最悪だな……。
「気を取り直して、丘まで急ごう!」
「そうでがすな! あの娘っ子の頼みを引き受けた以上は、やってやるでがすよ」
どうも丘の上には夜までに向かわないといけないみたいだし、急ぐに越したことはない。
気持ち早歩きで向かうことになると、自然と戦闘もスピーディに片付けるようになった。
もうワカメ王子ごときで騒ぐ私じゃないということだ。
「みんな、ついてきてるー?」
「もちろんよ。──メラ!」
ゼシカがプチアーノンに容赦なくメラをぶち込んで頷く。
絵を描いて遊んでいただけなのに、可哀想に……。
「こんな一本道で迷うかよ」
「だよねー!」
ブチュンと一発かまそうとしてきたブチュチュンパをかわして、火炎斬りを食らわせる。
ブチュチュンパはひっくり返って消えた。
「よっしゃ、いっちょあがり! エイトもヤンガスも大丈夫?」
「アッシは平気でがすよ」
「僕も大丈夫だけど……ベホイミ」
エイトがそう唱えると、私の身体が淡く光った。
さすがエイト、少しの傷も誤魔化せない……。
「あはは……ありがと!」
「まずは自分を心配しようね」
「はーい……」
正論に小さく項垂れて、私達はなおも川を上った。
丘らしいものは、今のところ全然見えてこないけど、本当に存在するんだろうか。
いよいよキラさんのおばあさんの家に向かう時がきた。
「それじゃあ、みんな掴まってー! っていうか男はエイトに掴まって! ゼシカと姫様、陛下は私に掴まってくださーい」
全員がそれぞれに掴まったのを確認して、呪文を唱える。
「ルーラ!」
ふわり、と体が浮き上がって……目を開けると、川沿いの教会の前にいた。
昨日通ったばかりの場所に、再びやってくることになるとはな……。
「あれだよね、キラさんのおばあさんの家って」
「そうだと思う」
橋の向こうにある家を指差すと、エイトも頷いてくれた。
橋を渡ってすぐの家は、とても小ぢんまりした作りだ。
「こんにちはー」
ドアをノックして中に入ると、中には騎士のような見た目をした人と、糸車で編み物をしている小柄なおばあさんがいた。
ベッドには猫ちゃんがいる。
というより、この騎士っぽい人は何なんだ?
「……聖堂騎士団の方ですか?」
「どう見たって違うわよ」
「というか、それは今、関係ないだろ」
辛辣なツッコミ役が一人増えてしまった。
なんてことだ。
エイトは我関せずという顔でおばあさんのほうに向かってるし。
「すみません、アスカンタ城にお勤めのキラさんのおばあさんですか?」
エイトがそう尋ねると、おばあさんは糸車の手を止めてこちらを振り返り、おっとりと微笑んだ。
いい人そう……と私とヤンガスが何となくほわっと癒された顔になる。
「ええ、ええ。お城のメイドのキラなら、たしかに私達の孫娘ですよ」
「実はキラさんから、おばあさんから昔聞いた、アスカンタの不思議な話を聞いてきてほしいと言われていて……」
「そうなんです。それで、なんだっけ、何でも願いを叶える方法があるとか何とか、キラさん言ってまして」
「はぁ。まあ、年寄りですからねえ。アスカンタの古い昔話のことなら、何でも知っておりますよ。願いを叶える昔話なら、この家の前を流れる川の上流の、不思議な丘の話ですねぇ」
「不思議な丘……」
場所の情報ゲット!
ここからちょっと距離があるっぽいけど、五人もいるから道中はそんなに苦労しないと思いたい。
「それってどう不思議なの?」
「お、ゼシカも興味ある感じ?」
「満月の夜に一晩、あの丘の上でじーっと待ってると、不思議な世界への扉が開くと言いますがねぇ。でもまあ、ただのおとぎ話ですし、本当だかどうだか分かりませんよ。第一、山の夜は冷えますし。あんな高い丘の上で夜更かしする者は、誰もいやしませんよ。ほっほっほ」
そう軽やかに笑って、おばあさんは糸車の作業に戻ってしまった。
……山、いま、おばあさん、山って言ったよね。
道中の魔物は苦労しなくても、普通に行くだけで大変そうな気がしたのは、私だけだろうか。
ありがとうございました、とお礼を言って外へ出る。
まあ、何を言ったところで行くしかないので……。
「兄貴、ちょいと地図を見せてほしいでがすよ」
「分かった、はい」
「そか、ヤンガスはこの大陸出身だから、この辺の地理も詳しいのか」
「へえ……意外だな。この大陸出身ってんなら……あの辺りか?」
どの辺りだ? と尋ねる前に、ヤンガスがひとつの場所を指差した。
地図上で見ても、そこが川の上流なのは間違いなさそうだ。
「とりあえず川沿いに上ってみましょうや」
「そうだね。でも、どこから川に降りれるんだろう」
「それなら、ばあさん家の裏手から降りられそうだったぜ」
「行ってみましょう!」
おばあさんの家をぐるっと回り込んで、裏手に回ると、なるほど確かに川のほうに降りる道があった。
さすがククール、抜け目のない男。
坂道を降りて川の横の道を進んでいく。
「……タコとかイカとか出ませんように!!」
「ワカメは大丈夫なんでがすか?」
「は? ワカメ? ワカメが襲ってくるなんてそんなそんな!」
グチャア……と不快な音が背後で響く。
ギギギと音を鳴らしながら背後を振り向くと……そこにそいつはいた。
冠を頭に戴いた、通称ワカメ王子が。
「火炎斬りーッ!!」
「やっぱり駄目だったっぽい!」
シーメーダを片付けながらエイトがツッコミを入れてくる。
でも攻撃できるだけタコとかイカよりはマシだと思う!
「ブチュチュンパはいけるんだよな……」
「逆になんでそっちはいけるんだよ」
「タコでもイカでもないから?」
「疑問形で返すな」
ヤンガスの攻撃が決まって、ワカメ王子がデロォ……と崩れ落ちて消えた。
消え方まで気持ち悪いのか……最悪だな……。
「気を取り直して、丘まで急ごう!」
「そうでがすな! あの娘っ子の頼みを引き受けた以上は、やってやるでがすよ」
どうも丘の上には夜までに向かわないといけないみたいだし、急ぐに越したことはない。
気持ち早歩きで向かうことになると、自然と戦闘もスピーディに片付けるようになった。
もうワカメ王子ごときで騒ぐ私じゃないということだ。
「みんな、ついてきてるー?」
「もちろんよ。──メラ!」
ゼシカがプチアーノンに容赦なくメラをぶち込んで頷く。
絵を描いて遊んでいただけなのに、可哀想に……。
「こんな一本道で迷うかよ」
「だよねー!」
ブチュンと一発かまそうとしてきたブチュチュンパをかわして、火炎斬りを食らわせる。
ブチュチュンパはひっくり返って消えた。
「よっしゃ、いっちょあがり! エイトもヤンガスも大丈夫?」
「アッシは平気でがすよ」
「僕も大丈夫だけど……ベホイミ」
エイトがそう唱えると、私の身体が淡く光った。
さすがエイト、少しの傷も誤魔化せない……。
「あはは……ありがと!」
「まずは自分を心配しようね」
「はーい……」
正論に小さく項垂れて、私達はなおも川を上った。
丘らしいものは、今のところ全然見えてこないけど、本当に存在するんだろうか。
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