14章
夢小説設定
ククールはレイピアを装備していたけど、エイトと私とヤンガスが近接武器で、遠距離攻撃の手数が乏しいことから、武器を弓に変えてもらった。
ドニの町の万屋さんで装備類も整え、薬草類も多めに用意して、私達はドニの町から更に東へと進んでいく。
「修道院を出たのが昼だから、今日中にアスカンタ城に着くのは無理かもだね」
「どこかで宿を探すしかないわね。野宿はできれば避けたいわ」
「だったら、途中にある教会に寄って行こうぜ。川沿いの教会って呼ばれてるが、確かあそこは旅人を泊めてくれるはずだ」
「ナイスアイデアでがす。夜は魔物も活発になるでげすし、泊めてくれるってんなら、それに甘えるのもいいと思うでげすよ」
エイトが太陽の傾きを見ながら頷く。
もう少しすれば、太陽も西側に傾いていく頃合だ。
そうなれば日が落ちるのなんてあっという間だし……。
「それじゃあ、そうしようか」
「野宿回避! それにしても、アスカンタ城までは、まだまだ距離あるなぁ」
さすがに明日には到着するだろうと思うけど。
リーザス村からポルトリンクに向かうより遠いかもしれない。
マイエラ修道院からアスカンタ城を目指し始めてから、数時間後。
「もう限界でがすよ……」
真っ先に音を上げたのはヤンガスだった。
一番体力があるのに、珍しい。
しかし、へばっているのはヤンガスだけではないようで。
「……さすがに、俺も休みてぇな」
「僕も……」
「え、えー!? どうしたの三人とも、私とゼシカはまだピンピンしてるのに! もうちょっと頑張ろうよ!」
「まったく、すぐにへばるんだから」
歩みが遅くなる男性陣とは対照的に、私とゼシカはサクサク歩いていく。
普通は逆では?
「その辺にしとかんかい、レイラ」
「ヒヒン!」
陛下のお言葉に、姫様も同意だと言うように嘶いた。
姫様までおっしゃるんなら仕方ない。
日没も近いし、そろそろ教会も見えてくる頃だろうから、今日はこの辺りでストップだな。
「おお、ミーティアもそろそろ休みたいか。わしもそう思ったところじゃ」
「お二人がおっしゃるなら仕方がありませんね。……あ、いいところに教会!」
馬車がすれ違えるくらい広い橋の向こうに、小さな教会が建っている。
あれが川沿いの教会と見た。
向かい側には小ぢんまりとした民家もある。
「あれが川沿いの教会だ。俺の記憶が正しけりゃ、シスターに言えばベッドを貸してもらえるはずだ」
「本当に!?」
「兄貴、食いつきが激しいでがすな」
「いや……早く休みたくて……」
「エイトがここまでお疲れなの、初めてじゃない?」
今までは私が真っ先に音を上げてきたもんね。
それをエイトが励ましてっていうのが、いつものやり取りだったくらいだし。
……もしかしたら、あまり眠れてなかったのかもしれない。
疲労も抜けきれてないんだろう。
「そろそろ日も暮れそうだし、ちょうどいいんじゃないかしら」
「たしかに。いつの間にか夕方だね」
「じゃあ予定通り、今日はこの教会で休んで、明日、アスカンタ城を目指そう。みんな、それでいい?」
「オッケー!」
「あー、やっと休めるぜ……」
「アッシもヘトヘトでがすよ」
「よしよしミーティアや、疲れたじゃろう。今日はゆっくり休めるぞい」
みんなが思い思いの言葉を呟きながら、教会へと向かっていく。
エイトは泊めてもらえないか頼むために、先に教会へ入っていって。
それから慌てたように戻ってきた。
「どしたの」
「ベッドが一つ足りないらしくて……」
「えっ、マジか。どうしよ、誰かに犠牲になってもらって、床で寝てもらう?」
誰かに、と言いつつ、視線はヤンガスを向いてしまった。
不可抗力だ、許してくれ。
でもヤンガスなら、床でも爆睡できると思う。
ルイネロさんの家でそれは証明済みだ。
「さすがに床は可哀想だよ」
「それもそうか。じゃあ、私とゼシカが同じベッドで寝るっていうのは?」
「いいの? 狭いだろ?」
「全然平気! 私こう見えて器用だから、たぶん落ちないと思うし……たぶんね……!」
「あはは……。けど、それしかないか。男と同じベッドでっていうのも、さすがに嫌だろうし」
「うーん、それは嫌かな! まあ、エイトとだったら考えてもいいけど」
「はっ!?」
エイトの声が裏返った。
そんなに意外だっただろうか。
別に今更、エイトと一緒に寝るくらい、何も思わないんだけど。
「ちっちゃい頃から一緒なんだよ? 気心知れてるから、別に恥ずかしさとかあんまりないし」
「いやいやいやいや!! レイラはゼシカと寝て!!」
「なんで慌ててんの? エイトと寝るくらい大丈夫でしょ、エイトも寝相良いじゃん」
「もう少し危機感を持ってもらえないかな、本当に……」
「危機感ん〜? エイトに〜? ないない! エイトはそんなんじゃなくってさぁ、こう……友達以上兄妹未満じゃん!」
「そこは友達以上恋人未満だろ!? 兄妹なの!? 僕が上なの!? そもそも友達の上って兄妹じゃないよね!?」
「ツッコミの嵐じゃん、コワ……」
私がいったい何を言ったっていうんだ
そんな畳み掛けるようにツッコミを入れなくてもいいと思う
「とりあえず、私とゼシカが同じベッドで寝ればいいんでしょ?」
「そうしてくれるとありがたいかな」
「オッケー。それじゃ、ゼシカにそう伝えるよ。エイトも早く入ろう!」
「ああ、うん」
エイトの手を取って教会へと入る。
アスカンタまでは、まだまだ距離があるから、ちょうどいい小休止だ。
なんだかんだ、みんなほとんど寝てないしね。
「……あれで本当にできてないのか?」
「できてないのよ、あれで」
「青い……春でがすな……」
背後の三人による謎の会話に首を傾げる。
出来てないって何がだ、ご飯か、ご飯のことか。
そりゃ出来てるわけないだろ、今から宿泊を伝えるのに。
まったくククールってば、キザっぽいフリして実は食いしん坊なんだな!
「たぶん違うと思うよ」
「え、なにが?」
「ううん、何でもない」
宿泊台帳に名前を書きながら、エイトが曖昧に笑った。
……つまりどういうこと?
ドニの町の万屋さんで装備類も整え、薬草類も多めに用意して、私達はドニの町から更に東へと進んでいく。
「修道院を出たのが昼だから、今日中にアスカンタ城に着くのは無理かもだね」
「どこかで宿を探すしかないわね。野宿はできれば避けたいわ」
「だったら、途中にある教会に寄って行こうぜ。川沿いの教会って呼ばれてるが、確かあそこは旅人を泊めてくれるはずだ」
「ナイスアイデアでがす。夜は魔物も活発になるでげすし、泊めてくれるってんなら、それに甘えるのもいいと思うでげすよ」
エイトが太陽の傾きを見ながら頷く。
もう少しすれば、太陽も西側に傾いていく頃合だ。
そうなれば日が落ちるのなんてあっという間だし……。
「それじゃあ、そうしようか」
「野宿回避! それにしても、アスカンタ城までは、まだまだ距離あるなぁ」
さすがに明日には到着するだろうと思うけど。
リーザス村からポルトリンクに向かうより遠いかもしれない。
マイエラ修道院からアスカンタ城を目指し始めてから、数時間後。
「もう限界でがすよ……」
真っ先に音を上げたのはヤンガスだった。
一番体力があるのに、珍しい。
しかし、へばっているのはヤンガスだけではないようで。
「……さすがに、俺も休みてぇな」
「僕も……」
「え、えー!? どうしたの三人とも、私とゼシカはまだピンピンしてるのに! もうちょっと頑張ろうよ!」
「まったく、すぐにへばるんだから」
歩みが遅くなる男性陣とは対照的に、私とゼシカはサクサク歩いていく。
普通は逆では?
「その辺にしとかんかい、レイラ」
「ヒヒン!」
陛下のお言葉に、姫様も同意だと言うように嘶いた。
姫様までおっしゃるんなら仕方ない。
日没も近いし、そろそろ教会も見えてくる頃だろうから、今日はこの辺りでストップだな。
「おお、ミーティアもそろそろ休みたいか。わしもそう思ったところじゃ」
「お二人がおっしゃるなら仕方がありませんね。……あ、いいところに教会!」
馬車がすれ違えるくらい広い橋の向こうに、小さな教会が建っている。
あれが川沿いの教会と見た。
向かい側には小ぢんまりとした民家もある。
「あれが川沿いの教会だ。俺の記憶が正しけりゃ、シスターに言えばベッドを貸してもらえるはずだ」
「本当に!?」
「兄貴、食いつきが激しいでがすな」
「いや……早く休みたくて……」
「エイトがここまでお疲れなの、初めてじゃない?」
今までは私が真っ先に音を上げてきたもんね。
それをエイトが励ましてっていうのが、いつものやり取りだったくらいだし。
……もしかしたら、あまり眠れてなかったのかもしれない。
疲労も抜けきれてないんだろう。
「そろそろ日も暮れそうだし、ちょうどいいんじゃないかしら」
「たしかに。いつの間にか夕方だね」
「じゃあ予定通り、今日はこの教会で休んで、明日、アスカンタ城を目指そう。みんな、それでいい?」
「オッケー!」
「あー、やっと休めるぜ……」
「アッシもヘトヘトでがすよ」
「よしよしミーティアや、疲れたじゃろう。今日はゆっくり休めるぞい」
みんなが思い思いの言葉を呟きながら、教会へと向かっていく。
エイトは泊めてもらえないか頼むために、先に教会へ入っていって。
それから慌てたように戻ってきた。
「どしたの」
「ベッドが一つ足りないらしくて……」
「えっ、マジか。どうしよ、誰かに犠牲になってもらって、床で寝てもらう?」
誰かに、と言いつつ、視線はヤンガスを向いてしまった。
不可抗力だ、許してくれ。
でもヤンガスなら、床でも爆睡できると思う。
ルイネロさんの家でそれは証明済みだ。
「さすがに床は可哀想だよ」
「それもそうか。じゃあ、私とゼシカが同じベッドで寝るっていうのは?」
「いいの? 狭いだろ?」
「全然平気! 私こう見えて器用だから、たぶん落ちないと思うし……たぶんね……!」
「あはは……。けど、それしかないか。男と同じベッドでっていうのも、さすがに嫌だろうし」
「うーん、それは嫌かな! まあ、エイトとだったら考えてもいいけど」
「はっ!?」
エイトの声が裏返った。
そんなに意外だっただろうか。
別に今更、エイトと一緒に寝るくらい、何も思わないんだけど。
「ちっちゃい頃から一緒なんだよ? 気心知れてるから、別に恥ずかしさとかあんまりないし」
「いやいやいやいや!! レイラはゼシカと寝て!!」
「なんで慌ててんの? エイトと寝るくらい大丈夫でしょ、エイトも寝相良いじゃん」
「もう少し危機感を持ってもらえないかな、本当に……」
「危機感ん〜? エイトに〜? ないない! エイトはそんなんじゃなくってさぁ、こう……友達以上兄妹未満じゃん!」
「そこは友達以上恋人未満だろ!? 兄妹なの!? 僕が上なの!? そもそも友達の上って兄妹じゃないよね!?」
「ツッコミの嵐じゃん、コワ……」
私がいったい何を言ったっていうんだ
そんな畳み掛けるようにツッコミを入れなくてもいいと思う
「とりあえず、私とゼシカが同じベッドで寝ればいいんでしょ?」
「そうしてくれるとありがたいかな」
「オッケー。それじゃ、ゼシカにそう伝えるよ。エイトも早く入ろう!」
「ああ、うん」
エイトの手を取って教会へと入る。
アスカンタまでは、まだまだ距離があるから、ちょうどいい小休止だ。
なんだかんだ、みんなほとんど寝てないしね。
「……あれで本当にできてないのか?」
「できてないのよ、あれで」
「青い……春でがすな……」
背後の三人による謎の会話に首を傾げる。
出来てないって何がだ、ご飯か、ご飯のことか。
そりゃ出来てるわけないだろ、今から宿泊を伝えるのに。
まったくククールってば、キザっぽいフリして実は食いしん坊なんだな!
「たぶん違うと思うよ」
「え、なにが?」
「ううん、何でもない」
宿泊台帳に名前を書きながら、エイトが曖昧に笑った。
……つまりどういうこと?
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