後日譚2
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貴重な話が聞けて良かった、とじんわり胸の奥が温かくなる。
これ以上は陛下のお時間を頂くのもしのびないので、私達は帰ることにした。
陛下と姫様には、クラビウス王とパヴァン王のおもてなしという、重要な役目があるのだ。
庭園を通って帰ろうとすると、詰所から出てきた部下と鉢合わせた。
「えっ、隊長に副隊長!? なんでここに、非番ですよね!?」
「サボってないか抜き打ちチェックの時間だ! まさかと思うけどサボったりなんかしてないよね?」
「……冗談ですよね?」
「冗談だよ」
部下の確認にエイトが頷く。
つれないなぁ、なんて唇を尖らせてから、私達は手を振って帰った。
トラペッタまでの道を歩きながら、思い出すのは陛下から聞かせてもらった父の話だ。
なんとなく性格が似ている人なんだろうなというのは分かったけど、たぶん、顔はそこまで似ていないんだろうな。
となると、この顔は母親に似たのかな、とぼんやり思った。
ロアナス家当主であった母と、その夫であった元第一王子の父。
……濃いな、血筋が。
「冷静に考えると、お互いの父親が生きてたら、本当に私とエイトが結婚すれば先祖の約束が果たされたわけか……」
「実際、そういう名目で、ミーティア姫とチャゴス王子の結婚は白紙になったからね。まあ、王子には悪いけど、ミーティア姫を王子には渡せなかったから……」
「……そう、それずっと聞きたかったんだけどさ」
橋を渡りながらエイトを見上げる。
エイトは小首を傾げて私を見下ろした。
「もし私が姫様の身代わりになろうとしなかったら、エイト、姫様と結婚するつもりだった?」
「──え」
「だってエイト、そのためにクラビウス王にアルゴンリングを見せて、自分にも王家の血が流れてるって証明したんでしょ? もしそれでクラビウス王が頷いたら、エイトと姫様が結婚することになったわけじゃん」
「……それは、そう、なのかな。あの時はただミーティア姫を何とかしたくて、あのリングさえ見せれば、チャゴス王子との結婚も白紙になるんじゃないかって……。結局どうにもならなかったけど……もしどうにかなってたら、ミーティア姫と結婚、してたのかな……。する気なんか全然なかったから、改めて言われると、変な感じするけど」
「エイトにしては珍しく、後先考えずにやったね!?」
「あはは、それに関しては僕も言わせてもらおうかな。レイラに関しては、本気でチャゴス王子と結婚するつもりでいたんだろ」
エイトが私の手を握ってそう言う。
そりゃあ、そのつもりがなかったら、私が身代わりになるなんて言わない。
姫様がエイトに恋心を抱いていたのは知っていたし、エイトなら姫様のことも幸せにしてくれるって信じていた。
私自身は、一度死んだ身だから、生きていられるだけで幸せだった。
「……まあ、私は本気だったかな。だってうちの大事な姫様を、あんな男にやれるわけないもん。だったら私が姫様の身代わりになればいいやって思ったのは本当。、命があること自体が奇跡だから、それだけで十分だった……。死ぬことに比べれば、チャゴス王子と一緒になることくらい、なんて事ないかなって。……これも、エイトからしたら、自己犠牲だって思う?」
「思ったよ。なんで僕に相談のひとつもしないで、そんなこと決めたんだって……そう思ったけど、僕も勝手にチャゴス王子に取って代わろうとしたからね。レイラだけを責めらないよ。考えてたことが同じだったから、僕とレイラはこうして夫婦にまでなれたんだ」
繋いだ手を持ち上げて、エイトが微笑む。
確かにそう、その通りだ。
私達ふたりともが、姫様のためにって動いたから、結果として私達が結婚できた。
サザンビーク王家の血を引くエイトと、トロデーン王家の血を引く私で。
過去の約束を果たして、ついでに姫様のことも救って、自分達の恋も永遠の愛に変えて。
「エイトと結婚できて良かったぁ。私だってさあ、エイトと姫様が結婚するの、本当はちょっと嫌だったんだよ。でも姫様を助けられるのは私だけだって思うと、そうするのが一番かなぁって思ってさ」
「僕もレイラと結婚できて良かった。レイラがあのチャゴス王子となんて、気が狂うどころの話じゃない。王子を殺してでもレイラを取り戻しただろうなぁ」
「ナチュラルに物騒な方法を初手で選ぶんじゃないよ」
「え?」
「え? じゃなくて!!」
やっぱりエイト、私のことになるとストッパーがぶっ壊れるんだな。
止まるように合図したらキラーパンサーが加速するのって不思議だなぁ。
「そりゃあ、十年かけて掴んだ、レイラの幼馴染み兼同僚で恋人の座だからね。そう易々と他人に明け渡してたまるかって思うに決まってるだろ。全然意識してくれないレイラの隣を死守するの、大変だったんだから」
「恋心に鈍くて悪かったな!!」
「そのままでいいよ。僕以外の人からの好意は気付かないで。……でも、僕からの気持ちには、すぐ気付いてくれると嬉しいな。十年分の想いをかけて、一生愛していくって決めたんだから」
抱き寄せられて、唇が合わさる。
日差しが柔らかく降り注ぐ世界で、私達は互いの瞳を見つめて、愛おしさを注ぐようにキスをした。
幼馴染みとして、同僚として、そして夫婦として。
これまでもこれからも、私の隣にはいつだってエイトがいる。
それが私の幸せだ、一番の幸せだ。
「大好き、エイト」
「愛してるよ、レイラ」
互いの瞳に映る愛しさを覗き込んで、何度も唇を重ねて。
そうしてそれから、エイトの手を引いた。
「帰ろう、私の旦那様!」
「うん、帰ろう、僕のお嫁さん」
見えてきた町へと走っていく。
しっかりと繋いだ手は、何があっても離れない。
いつまでも、私達は一緒に生きていく。
私達が守り抜いた、この世界で──。
これ以上は陛下のお時間を頂くのもしのびないので、私達は帰ることにした。
陛下と姫様には、クラビウス王とパヴァン王のおもてなしという、重要な役目があるのだ。
庭園を通って帰ろうとすると、詰所から出てきた部下と鉢合わせた。
「えっ、隊長に副隊長!? なんでここに、非番ですよね!?」
「サボってないか抜き打ちチェックの時間だ! まさかと思うけどサボったりなんかしてないよね?」
「……冗談ですよね?」
「冗談だよ」
部下の確認にエイトが頷く。
つれないなぁ、なんて唇を尖らせてから、私達は手を振って帰った。
トラペッタまでの道を歩きながら、思い出すのは陛下から聞かせてもらった父の話だ。
なんとなく性格が似ている人なんだろうなというのは分かったけど、たぶん、顔はそこまで似ていないんだろうな。
となると、この顔は母親に似たのかな、とぼんやり思った。
ロアナス家当主であった母と、その夫であった元第一王子の父。
……濃いな、血筋が。
「冷静に考えると、お互いの父親が生きてたら、本当に私とエイトが結婚すれば先祖の約束が果たされたわけか……」
「実際、そういう名目で、ミーティア姫とチャゴス王子の結婚は白紙になったからね。まあ、王子には悪いけど、ミーティア姫を王子には渡せなかったから……」
「……そう、それずっと聞きたかったんだけどさ」
橋を渡りながらエイトを見上げる。
エイトは小首を傾げて私を見下ろした。
「もし私が姫様の身代わりになろうとしなかったら、エイト、姫様と結婚するつもりだった?」
「──え」
「だってエイト、そのためにクラビウス王にアルゴンリングを見せて、自分にも王家の血が流れてるって証明したんでしょ? もしそれでクラビウス王が頷いたら、エイトと姫様が結婚することになったわけじゃん」
「……それは、そう、なのかな。あの時はただミーティア姫を何とかしたくて、あのリングさえ見せれば、チャゴス王子との結婚も白紙になるんじゃないかって……。結局どうにもならなかったけど……もしどうにかなってたら、ミーティア姫と結婚、してたのかな……。する気なんか全然なかったから、改めて言われると、変な感じするけど」
「エイトにしては珍しく、後先考えずにやったね!?」
「あはは、それに関しては僕も言わせてもらおうかな。レイラに関しては、本気でチャゴス王子と結婚するつもりでいたんだろ」
エイトが私の手を握ってそう言う。
そりゃあ、そのつもりがなかったら、私が身代わりになるなんて言わない。
姫様がエイトに恋心を抱いていたのは知っていたし、エイトなら姫様のことも幸せにしてくれるって信じていた。
私自身は、一度死んだ身だから、生きていられるだけで幸せだった。
「……まあ、私は本気だったかな。だってうちの大事な姫様を、あんな男にやれるわけないもん。だったら私が姫様の身代わりになればいいやって思ったのは本当。、命があること自体が奇跡だから、それだけで十分だった……。死ぬことに比べれば、チャゴス王子と一緒になることくらい、なんて事ないかなって。……これも、エイトからしたら、自己犠牲だって思う?」
「思ったよ。なんで僕に相談のひとつもしないで、そんなこと決めたんだって……そう思ったけど、僕も勝手にチャゴス王子に取って代わろうとしたからね。レイラだけを責めらないよ。考えてたことが同じだったから、僕とレイラはこうして夫婦にまでなれたんだ」
繋いだ手を持ち上げて、エイトが微笑む。
確かにそう、その通りだ。
私達ふたりともが、姫様のためにって動いたから、結果として私達が結婚できた。
サザンビーク王家の血を引くエイトと、トロデーン王家の血を引く私で。
過去の約束を果たして、ついでに姫様のことも救って、自分達の恋も永遠の愛に変えて。
「エイトと結婚できて良かったぁ。私だってさあ、エイトと姫様が結婚するの、本当はちょっと嫌だったんだよ。でも姫様を助けられるのは私だけだって思うと、そうするのが一番かなぁって思ってさ」
「僕もレイラと結婚できて良かった。レイラがあのチャゴス王子となんて、気が狂うどころの話じゃない。王子を殺してでもレイラを取り戻しただろうなぁ」
「ナチュラルに物騒な方法を初手で選ぶんじゃないよ」
「え?」
「え? じゃなくて!!」
やっぱりエイト、私のことになるとストッパーがぶっ壊れるんだな。
止まるように合図したらキラーパンサーが加速するのって不思議だなぁ。
「そりゃあ、十年かけて掴んだ、レイラの幼馴染み兼同僚で恋人の座だからね。そう易々と他人に明け渡してたまるかって思うに決まってるだろ。全然意識してくれないレイラの隣を死守するの、大変だったんだから」
「恋心に鈍くて悪かったな!!」
「そのままでいいよ。僕以外の人からの好意は気付かないで。……でも、僕からの気持ちには、すぐ気付いてくれると嬉しいな。十年分の想いをかけて、一生愛していくって決めたんだから」
抱き寄せられて、唇が合わさる。
日差しが柔らかく降り注ぐ世界で、私達は互いの瞳を見つめて、愛おしさを注ぐようにキスをした。
幼馴染みとして、同僚として、そして夫婦として。
これまでもこれからも、私の隣にはいつだってエイトがいる。
それが私の幸せだ、一番の幸せだ。
「大好き、エイト」
「愛してるよ、レイラ」
互いの瞳に映る愛しさを覗き込んで、何度も唇を重ねて。
そうしてそれから、エイトの手を引いた。
「帰ろう、私の旦那様!」
「うん、帰ろう、僕のお嫁さん」
見えてきた町へと走っていく。
しっかりと繋いだ手は、何があっても離れない。
いつまでも、私達は一緒に生きていく。
私達が守り抜いた、この世界で──。
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