後日譚1
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ふと背後に視線を感じて、後ろを振り返る。
背後には幼い女の子がいて、私をじっと見上げていた。
「こんにちは、可愛らしいお嬢さん。何かお困りですか?」
「こ、こら、メイ! 兵士さんのお邪魔だぞ」
慌てた様子でお父さんらしき人が駆け寄ってくる。
それに微笑んで首を振った。
邪魔だなんて、とんでもない。
警備の目は行き届いているし……なにより、お客様をおもてなしする立場なのは、私も同じだ。
「構いません、今日は祭典の日ですから。どちらからお越しで?」
「僕らはトラペッタからで……。この子が、どうしても行きたいと言うものですから」
「そうでしたか。ようこそトロデーン城へいらっしゃいました。お嬢さん、楽しんでいってくださいね」
「……兵士さん、かっこいい。メイも大きくなったら、兵士さんみたいになれる?」
羨望の眼差しをもらったことなんて初めてで、思わず目を瞬いてしまった。
こら、とお父さんが窘めるのを、私はまた首を振って遮って。
それから少し考え、微笑んだ。
「お父さんとお母さんの言うことをよく聞いて、お家のことをよく手伝うこと。外で沢山遊んで、お勉強も頑張って、よく食べてよく眠ること。身体を鍛えるのは、大きくなってからでも間に合います。今は日々をめいっぱい楽しんでください」
「……! うん! メイがんばる!」
「その意気です。十年後、お会い出来るのを楽しみにしています」
踵を揃えて敬礼をしてみせる。
メイちゃんも興奮したような顔で、私に敬礼を返してくれた。
メイちゃんに祭典用に植えた花を持たせ、手を振って見送る。
……どうやら姫様が見ていたようで。
「ふふ、レイラは小さい子にもモテモテね」
「……忘れてください、姫様」
「忘れないわ! エイトに教えてあげるんだもの!」
「うわー!! それだけはご勘弁を!!」
エイトの耳に入ったら、面倒なことになるか揶揄われるかのどっちかだ!
できれば秘密にしておいてほしい!
そう思って慌てて姫様をお止めした、その時。
視界の端で、不自然な動きを捉えたような気がした。
「──っ?」
そちらを見やっても、違和感はもうどこにもない。
けれどなんだか、嫌な予感が残った。
少し早いけど、姫様を城の中に戻したほうがいい。
一人か二人……人数はそのくらい。
少ないが、確実にこの中に賊が潜んでいる。
「……姫様、そろそろお戻りを」
「まあ、もう時間なの?」
「このあともお出ましになって頂きますので。これでおしまいではないですよ」
「そうよね。それでは皆さん、よい祭典を」
手を振って姫様が階段を上がっていった──その時。
事件は起きた。
「──トロデーン王家、覚悟ッ!!」
殺気立った声が庭園に響く。
私の目の前には、武器を手に飛びかかってくる三人の男。
悲鳴が響き渡る中で、私は冷静に剣を抜いた。
「覚悟なんて、穏やかじゃないなぁ」
勝負は三手で決まった。
一手、右の男の顔を剣の柄で。
二手、左の男の鳩尾に膝を入れ。
三手、中央の男の得物を剣で弾き飛ばした。
左右の男がノックアウトされたのを、中央の荒くれ者が呆然と見やる。
そうして私は、その顔面に切っ先を突きつけた。
「ひ、ひぃ……あんた、何者だよ……」
「トロデーン近衛隊、副隊長レイラ。お見知り置きをとは言わない。──近衛兵、姫様をお部屋へ! 衛兵、この男共を牢にぶち込んでおいて!」
「「はっ!」」
近衛兵と衛兵が一斉に動いて、賊は両手を縛られ、牢へと連れて行かれた。
驚いた様子の姫様も私の部下に付き添われ、城の中へ。
やれやれと肩を竦めて剣を納め、私は客人達へ向かって頭を下げた。
「大変お騒がせ致しました。このような事がないよう、我々兵士一同、より気を引き締めて任務に邁進致します。どうぞ引き続き、花の祭典をお楽しみください」
さて、あとはこのことを近衛隊のみんなに共有して、警備体制をより強化して……と職務に戻ろうとしたとき。
ぱちぱちと手を叩く音が聞こえてきた。
そこにいたのはメイちゃんだ。
興奮した様子で手を叩くメイちゃんを止めさせるべきかどうすべきかと、隣でお父さんが迷っている。
それはやがて庭園中に広がっていって、最後には大きな拍手になってしまった。
慌てて頭を下げて、拍手を止めるよう伝えるが、誰も聞いてくれない。
詰所から飛び出てきた部下達は部下達で、「なんかよく分かんないけど、副隊長に拍手しとこ!」のノリで拍手してるし!
やめてくれって言ってんだよこっちは!!
部下たちに「早く帰ってきてくれ」と祈りながら、私は何度も頭を下げて手を振って、詰所の前にいる部下たちを睨んだ。
なんなんだあいつらは、上司が困ってるのに助け舟のひとつも出さずに!
なんでそんなニコニコして私に拍手してるんだ!!
やり返してやろうかとも思ったけど、それをしてしまうと、いよいよ謎の集会みたいになってしまいそうだったのでやめた。
むしろ私は、これを知ったエイトに、また無茶をしてと怒られやしないかが心配なんだけど……。
いやでも、これは無茶じゃないし、多分大丈夫だよね……?
背後には幼い女の子がいて、私をじっと見上げていた。
「こんにちは、可愛らしいお嬢さん。何かお困りですか?」
「こ、こら、メイ! 兵士さんのお邪魔だぞ」
慌てた様子でお父さんらしき人が駆け寄ってくる。
それに微笑んで首を振った。
邪魔だなんて、とんでもない。
警備の目は行き届いているし……なにより、お客様をおもてなしする立場なのは、私も同じだ。
「構いません、今日は祭典の日ですから。どちらからお越しで?」
「僕らはトラペッタからで……。この子が、どうしても行きたいと言うものですから」
「そうでしたか。ようこそトロデーン城へいらっしゃいました。お嬢さん、楽しんでいってくださいね」
「……兵士さん、かっこいい。メイも大きくなったら、兵士さんみたいになれる?」
羨望の眼差しをもらったことなんて初めてで、思わず目を瞬いてしまった。
こら、とお父さんが窘めるのを、私はまた首を振って遮って。
それから少し考え、微笑んだ。
「お父さんとお母さんの言うことをよく聞いて、お家のことをよく手伝うこと。外で沢山遊んで、お勉強も頑張って、よく食べてよく眠ること。身体を鍛えるのは、大きくなってからでも間に合います。今は日々をめいっぱい楽しんでください」
「……! うん! メイがんばる!」
「その意気です。十年後、お会い出来るのを楽しみにしています」
踵を揃えて敬礼をしてみせる。
メイちゃんも興奮したような顔で、私に敬礼を返してくれた。
メイちゃんに祭典用に植えた花を持たせ、手を振って見送る。
……どうやら姫様が見ていたようで。
「ふふ、レイラは小さい子にもモテモテね」
「……忘れてください、姫様」
「忘れないわ! エイトに教えてあげるんだもの!」
「うわー!! それだけはご勘弁を!!」
エイトの耳に入ったら、面倒なことになるか揶揄われるかのどっちかだ!
できれば秘密にしておいてほしい!
そう思って慌てて姫様をお止めした、その時。
視界の端で、不自然な動きを捉えたような気がした。
「──っ?」
そちらを見やっても、違和感はもうどこにもない。
けれどなんだか、嫌な予感が残った。
少し早いけど、姫様を城の中に戻したほうがいい。
一人か二人……人数はそのくらい。
少ないが、確実にこの中に賊が潜んでいる。
「……姫様、そろそろお戻りを」
「まあ、もう時間なの?」
「このあともお出ましになって頂きますので。これでおしまいではないですよ」
「そうよね。それでは皆さん、よい祭典を」
手を振って姫様が階段を上がっていった──その時。
事件は起きた。
「──トロデーン王家、覚悟ッ!!」
殺気立った声が庭園に響く。
私の目の前には、武器を手に飛びかかってくる三人の男。
悲鳴が響き渡る中で、私は冷静に剣を抜いた。
「覚悟なんて、穏やかじゃないなぁ」
勝負は三手で決まった。
一手、右の男の顔を剣の柄で。
二手、左の男の鳩尾に膝を入れ。
三手、中央の男の得物を剣で弾き飛ばした。
左右の男がノックアウトされたのを、中央の荒くれ者が呆然と見やる。
そうして私は、その顔面に切っ先を突きつけた。
「ひ、ひぃ……あんた、何者だよ……」
「トロデーン近衛隊、副隊長レイラ。お見知り置きをとは言わない。──近衛兵、姫様をお部屋へ! 衛兵、この男共を牢にぶち込んでおいて!」
「「はっ!」」
近衛兵と衛兵が一斉に動いて、賊は両手を縛られ、牢へと連れて行かれた。
驚いた様子の姫様も私の部下に付き添われ、城の中へ。
やれやれと肩を竦めて剣を納め、私は客人達へ向かって頭を下げた。
「大変お騒がせ致しました。このような事がないよう、我々兵士一同、より気を引き締めて任務に邁進致します。どうぞ引き続き、花の祭典をお楽しみください」
さて、あとはこのことを近衛隊のみんなに共有して、警備体制をより強化して……と職務に戻ろうとしたとき。
ぱちぱちと手を叩く音が聞こえてきた。
そこにいたのはメイちゃんだ。
興奮した様子で手を叩くメイちゃんを止めさせるべきかどうすべきかと、隣でお父さんが迷っている。
それはやがて庭園中に広がっていって、最後には大きな拍手になってしまった。
慌てて頭を下げて、拍手を止めるよう伝えるが、誰も聞いてくれない。
詰所から飛び出てきた部下達は部下達で、「なんかよく分かんないけど、副隊長に拍手しとこ!」のノリで拍手してるし!
やめてくれって言ってんだよこっちは!!
部下たちに「早く帰ってきてくれ」と祈りながら、私は何度も頭を下げて手を振って、詰所の前にいる部下たちを睨んだ。
なんなんだあいつらは、上司が困ってるのに助け舟のひとつも出さずに!
なんでそんなニコニコして私に拍手してるんだ!!
やり返してやろうかとも思ったけど、それをしてしまうと、いよいよ謎の集会みたいになってしまいそうだったのでやめた。
むしろ私は、これを知ったエイトに、また無茶をしてと怒られやしないかが心配なんだけど……。
いやでも、これは無茶じゃないし、多分大丈夫だよね……?
