後日譚1
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
そんなこんなで、今日である。
朝一番で陛下のご出立を見送ってからは、祭典の用意に追われた。
おかげで朝食を食べる暇がなく、それは猛烈にお腹が空いている。
なんとも情けない音が己の腹から出てきた。
「……お腹空いた……」
ぐぅぅぅ……と獣の唸り声かと思うほどの音を鳴らす腹を、恨めしい気持ちで擦る。
気を取り直して、姫様のお部屋へと向かった。
すれ違う兵や持ち場についている兵達にそれぞれ敬礼をしながら、姫様のお部屋の前で立ち止まる。
ひとつ呼吸を整え、ゆっくりとノックした。
「おはようございます、姫様。祭典の用意が整いました」
「ありがとう、レイラ」
お部屋から姫様がお出ましになって、私ににっこりと微笑む。
祭典のために誂えたドレスがとてもよくお似合いだ。
エイトも可哀想に、こんなに美しい姫様を拝めないとはな!!
「ふふっ、今日はミーティアがレイラを独り占めね」
「エイトでなくて申し訳ありませんが、私もしっかりと姫様をお守り致しますので!」
「まあ! ミーティアはレイラで嬉しいと思っているのよ。それに、近衛隊長であるエイトがお父様のお傍につくのは当然ですもの」
えへへ、と笑い合って、祭典会場でもある玉座の間へと向かう。
各国から招かれた要人たちが揃う中で、姫様は盛大な拍手で迎えられた。
私は近衛兵として、姫様の背後で式典を見つめている。
……本来なら、祭典は陛下のご帰国を待ってから行うべきだった。
私達もそのつもりで用意をしていたし、陛下もそのつもりだったと思う。
でもたしかに、姫様おひとりでも公務が出来ると、国外に示すことも大事だというのは分かる。
定例会議でどんな会話があったかは分からないけど、エイトは完全に振り回された側だ。
……それでも、こうして堂々と挨拶をする姫様を見ていると、感慨深いのも事実ではある。
さて、姫様の挨拶が終われば、いよいよ乙女が花を教会へ捧げる一大儀式となる。
私達も西にある教会へ向かって、式典を続ける必要があるので、ここから先も気が抜けない。
都度、護衛の状況を確認しながら、私達は姫様の乗った馬車を囲み、西の教会へ向かった。
* * *
予定されていた式典は終わり、午後からは庭園が一般開放された。
姫様もこのあと、何度か庭へとお出ましになることが予定されている。
……それはそれとして!!
「お腹空いた!!」
バカでかい声でそう言って、私は食堂に入った。
口々に休憩中の兵達が「お疲れ様です!」と挨拶してくれるので、それに挨拶を返しながらカウンターへ。
「おばちゃん! 全部大盛りね!!」
「はいよ」
最初から心得ていると言わんばかりに返され、私のトレーには、それはこんもりと盛られたランチが来た。
パンも二個追加されているので、これで空腹は凌げそうだ。
空いている席に座って、無言のままに食事を進めていく。
もう空腹が限界で、上品に食べている余裕がない。
ものの二十分で完食して、ふう、と息を吐く。
休憩時間はもう少し残っているから、詰所で休んでおこうかな。
休憩が終わったら、また姫様をお迎えに行って、お庭にお通しして……。
「……やることが多いな」
詰所へ戻りながら独り言のように呟く。
途中で庭園を見やると、色んなお客さんでごった返していたけれど、トラブルは無さそうだ。
「……エイト、今頃アスカンタで美味しいもの食べてるのかな」
旅の時も盛大な歓待を受けたのを思い出す。
今考えても、イシュマウリとの出来事は不思議な体験だったな……。
腹ごなしに散策しながら詰所へ戻り、この後の予定を確認していく。
それから椅子に座って、それは大きなため息をついた。
エイト、こんなに大変な仕事を、あんな爽やかな感じでこなしていたのか……。
さすが、世界を救った近衛隊長はタフだ。
……いやまあ、最終決戦の一回目までは私も一緒だったんだけども。
でも明らかに竜神王様の試練がキツそうだったな、みんなあれで相当鍛えられてるよな……。
無理のないようにシフトを組んだけど、どうしても私に負担の比重が偏っているのは仕方ない。
休憩もあっという間に終わって、詰所に兵達が入ってきた。
休憩に入る兵達と交代して、私は姫様のお部屋へ。
庭園へとお連れするためだ。
「レイラ、少しは休めた?」
「はは……なんとか休めました。姫様こそ、お休みになられましたか?」
「私はレイラほど動き回ってはいないもの。でも、大勢の人の前でお話しするのは、確かにちょっと疲れちゃったわ」
姫様と共に庭園へと向かいながら、そう言って姫様は笑った。
何はともあれ、この祭典を楽しんでいただいているようで、何よりだ。
「レイラこそ、エイトがいなくて寂しくない?」
こそりとそう囁かれ、頭の中にエイトの顔が浮かんで、ぽっと頬が赤くなる。
そりゃあ寂しいか寂しくないかで言えば、ちょっとは寂しい。
それでもこれは、私達が望んで得た道だ。
結婚を機に近衛隊職を退くことも考えなかったわけじゃないけど、エイトが「一緒に頑張りたい」って言ってくれたから。
「エイトには、アスカンタのお土産をお願いしていますので! それにしても懐かしいですよね、パヴァン王はお元気でしょうか?」
「シセル王妃様の一件は、まだ記憶に新しいものね。それでも、お父様を国賓としてお招きしたいと、パヴァン王から申し出があったそうよ。きっとお元気なんじゃないかしら」
「そうですね、本当に……。イシュマウリといい、モグラといい、変なことばっかり起きる国でしたね……」
「ああ……モグラの時は、本当にお可哀想だったわね……」
当時のことを思い出して、姫様と一緒に笑い合う。
そうしてようやく庭園へと着いた。
半円の階段上にあるバルコニーから、姫様が来客へ向かって手を振る。
来客達も姫様へ向かって手を振っていて、みんな楽しそうだ。
楽しんでいってくださいね、と姫様がお言葉を発して、庭園へと降りていく。
私もその後ろから庭園へ降りて、姫様の後ろで、挨拶に来る客たちをじっと観察していた。
朝一番で陛下のご出立を見送ってからは、祭典の用意に追われた。
おかげで朝食を食べる暇がなく、それは猛烈にお腹が空いている。
なんとも情けない音が己の腹から出てきた。
「……お腹空いた……」
ぐぅぅぅ……と獣の唸り声かと思うほどの音を鳴らす腹を、恨めしい気持ちで擦る。
気を取り直して、姫様のお部屋へと向かった。
すれ違う兵や持ち場についている兵達にそれぞれ敬礼をしながら、姫様のお部屋の前で立ち止まる。
ひとつ呼吸を整え、ゆっくりとノックした。
「おはようございます、姫様。祭典の用意が整いました」
「ありがとう、レイラ」
お部屋から姫様がお出ましになって、私ににっこりと微笑む。
祭典のために誂えたドレスがとてもよくお似合いだ。
エイトも可哀想に、こんなに美しい姫様を拝めないとはな!!
「ふふっ、今日はミーティアがレイラを独り占めね」
「エイトでなくて申し訳ありませんが、私もしっかりと姫様をお守り致しますので!」
「まあ! ミーティアはレイラで嬉しいと思っているのよ。それに、近衛隊長であるエイトがお父様のお傍につくのは当然ですもの」
えへへ、と笑い合って、祭典会場でもある玉座の間へと向かう。
各国から招かれた要人たちが揃う中で、姫様は盛大な拍手で迎えられた。
私は近衛兵として、姫様の背後で式典を見つめている。
……本来なら、祭典は陛下のご帰国を待ってから行うべきだった。
私達もそのつもりで用意をしていたし、陛下もそのつもりだったと思う。
でもたしかに、姫様おひとりでも公務が出来ると、国外に示すことも大事だというのは分かる。
定例会議でどんな会話があったかは分からないけど、エイトは完全に振り回された側だ。
……それでも、こうして堂々と挨拶をする姫様を見ていると、感慨深いのも事実ではある。
さて、姫様の挨拶が終われば、いよいよ乙女が花を教会へ捧げる一大儀式となる。
私達も西にある教会へ向かって、式典を続ける必要があるので、ここから先も気が抜けない。
都度、護衛の状況を確認しながら、私達は姫様の乗った馬車を囲み、西の教会へ向かった。
* * *
予定されていた式典は終わり、午後からは庭園が一般開放された。
姫様もこのあと、何度か庭へとお出ましになることが予定されている。
……それはそれとして!!
「お腹空いた!!」
バカでかい声でそう言って、私は食堂に入った。
口々に休憩中の兵達が「お疲れ様です!」と挨拶してくれるので、それに挨拶を返しながらカウンターへ。
「おばちゃん! 全部大盛りね!!」
「はいよ」
最初から心得ていると言わんばかりに返され、私のトレーには、それはこんもりと盛られたランチが来た。
パンも二個追加されているので、これで空腹は凌げそうだ。
空いている席に座って、無言のままに食事を進めていく。
もう空腹が限界で、上品に食べている余裕がない。
ものの二十分で完食して、ふう、と息を吐く。
休憩時間はもう少し残っているから、詰所で休んでおこうかな。
休憩が終わったら、また姫様をお迎えに行って、お庭にお通しして……。
「……やることが多いな」
詰所へ戻りながら独り言のように呟く。
途中で庭園を見やると、色んなお客さんでごった返していたけれど、トラブルは無さそうだ。
「……エイト、今頃アスカンタで美味しいもの食べてるのかな」
旅の時も盛大な歓待を受けたのを思い出す。
今考えても、イシュマウリとの出来事は不思議な体験だったな……。
腹ごなしに散策しながら詰所へ戻り、この後の予定を確認していく。
それから椅子に座って、それは大きなため息をついた。
エイト、こんなに大変な仕事を、あんな爽やかな感じでこなしていたのか……。
さすが、世界を救った近衛隊長はタフだ。
……いやまあ、最終決戦の一回目までは私も一緒だったんだけども。
でも明らかに竜神王様の試練がキツそうだったな、みんなあれで相当鍛えられてるよな……。
無理のないようにシフトを組んだけど、どうしても私に負担の比重が偏っているのは仕方ない。
休憩もあっという間に終わって、詰所に兵達が入ってきた。
休憩に入る兵達と交代して、私は姫様のお部屋へ。
庭園へとお連れするためだ。
「レイラ、少しは休めた?」
「はは……なんとか休めました。姫様こそ、お休みになられましたか?」
「私はレイラほど動き回ってはいないもの。でも、大勢の人の前でお話しするのは、確かにちょっと疲れちゃったわ」
姫様と共に庭園へと向かいながら、そう言って姫様は笑った。
何はともあれ、この祭典を楽しんでいただいているようで、何よりだ。
「レイラこそ、エイトがいなくて寂しくない?」
こそりとそう囁かれ、頭の中にエイトの顔が浮かんで、ぽっと頬が赤くなる。
そりゃあ寂しいか寂しくないかで言えば、ちょっとは寂しい。
それでもこれは、私達が望んで得た道だ。
結婚を機に近衛隊職を退くことも考えなかったわけじゃないけど、エイトが「一緒に頑張りたい」って言ってくれたから。
「エイトには、アスカンタのお土産をお願いしていますので! それにしても懐かしいですよね、パヴァン王はお元気でしょうか?」
「シセル王妃様の一件は、まだ記憶に新しいものね。それでも、お父様を国賓としてお招きしたいと、パヴァン王から申し出があったそうよ。きっとお元気なんじゃないかしら」
「そうですね、本当に……。イシュマウリといい、モグラといい、変なことばっかり起きる国でしたね……」
「ああ……モグラの時は、本当にお可哀想だったわね……」
当時のことを思い出して、姫様と一緒に笑い合う。
そうしてようやく庭園へと着いた。
半円の階段上にあるバルコニーから、姫様が来客へ向かって手を振る。
来客達も姫様へ向かって手を振っていて、みんな楽しそうだ。
楽しんでいってくださいね、と姫様がお言葉を発して、庭園へと降りていく。
私もその後ろから庭園へ降りて、姫様の後ろで、挨拶に来る客たちをじっと観察していた。
