81章
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腹を括る時なんだ。
レイラだって腹を括って一度消えた。
だから今度は、僕が腹を括って──死ぬ気でレイラを迎えに行く!
階段を昇っていくと、見張りの聖堂騎士団が僕に気付いて「待て!」と厳しい声を上げた。
「それ以上近付いてはならん! 両王家の結婚式が済むまで、大人しく待っておれ。それともまさかお主、この結婚式に招待されたとでもいうのか?」
「そうですが!」
「この嘘つきめ。すでに招待客は全員揃って大聖堂の中にいる。まさかお主、腕ずくでも中に入るとでも言うのかな?」
「そうだ、と言ったら?」
「なんだと!?」
聖堂騎士団がレイピアに手をかける。
その瞬間。
「おりゃぁぁぁー!!」
ヤンガスの拳が騎士の腹に綺麗に決まった。
騎士が気を失ってバタリと倒れる。
ああもう、これで僕ら、完全にお尋ね者だ!
こうなったら、嫌でも乗り込むしかないじゃないか!
……そのつもりでここまで来たんだけど!
「ここはアッシらに任せて、兄貴はいってくだせぇ!」
「……ありがとう! トロデーンに戻ったら、一杯奢ってやる!!」
観客たちのざわめきを無視して、大聖堂の扉に手をかける。
そうして──迷いなく、その扉を開け放った。
直前に聞こえてきたのは、チャゴス王子の苛立つような声。
「ええい! なぜ姫は来ない。ミーティア姫はまだか!」
扉の開く音が、大聖堂の中に響き渡る。
チャゴス王子が蝶ネクタイを直しているのが見えた、その空間に向かって──僕は大声で言った。
「──その結婚式、待ったぁ!!」
招待客がざわめき合い、顔を見合わせる。
その中を、バージンロードを踏み締めてゆっくりと進んでいく僕を見て、チャゴス王子が目を剥いた。
「なっ!? 何のつもりだ貴様! 僕の結婚式を台無しにするつもりか! ええい、くそっ! 衛兵! 今すぐそいつをつまみ出せ!」
会場内にいた聖堂騎士団が四人ほどにじり寄る。
その気になれば素手でも片付けられるような相手だけど、さすがに神聖な大聖堂の中で乱闘騒ぎにはしたくないな。
ふむ、と穏便な対処法を考えかけたとき。
「待て! その必要はない」
おもむろにクラビウス王が立ち上がり、こちらを見て言った。
聖堂騎士団たちが足を止め、誰もがクラビウス王に注視している。
……どうして、クラビウス王が僕を助けるんだろう。
僕のことを認めるわけにはいかないと、父さんの形見だったアルゴンリングまで取り上げたのに……。
「そこにいるエイトには、この式に出席する権利があるのだ……。エイトよ……お前を花婿と認める」
「──え……?」
言葉の意味が理解できなかったのは、チャゴス王子も同じだったようだ。
ガーンと音がするくらいの驚きようで、お父上であるクラビウス王に詰め寄った。
「父上! 父上ほどのお方が、何をわけの分からないことを! 花婿はこの僕でしょう!」
チャゴス王子の尤もな言い分に対して、クラビウス王がコートの内ポケットに手を入れる。
そうして取り出して見せたのは、僕が昨夜渡した、父さんのアルゴンリングだった。
「このリングは昨夜、そこのエイトから預かったものだ……」
「そっ、それはもしや、アルゴンリングなのですか? なぜだ? 王家に生まれ、王者の儀式を済ませた者しか持っていないはずなのに!?」
「この指輪は、兄の……。エルトリオの遺品……。エイトはわしの兄である、エルトリオの息子だったのだよ」
雷が落ちてきたようなショックがチャゴス王子に走った。
そりゃあ、今の今まで薄汚い旅人、卑しい平民と見下してきた相手が、自分と同格の生まれなのだから、ショックは察してあまりある。
……同情はしないけれど。
「……それからもうひとつ、伝えるべきことがある。トロデーン王国の、もう一人の姫君のことについてだ」
「は? ひ、姫君!? トロデーンの姫は、トロデ王の一人娘であるミーティア姫だけでしょう!?」
「ミーティア姫だけではないのだよ。私に兄のエルトリオがいたように、トロデ王にも兄上がおられた。そしてその兄上と奥方との間には、ミーティア姫よりも先に、レイラという姫君が生まれている」
「レイラー!?」
その名前に、聞き覚えがあるはずだ。
僕と共に旅をしていた、黒い髪を二つに結んだ女の子のことを、チャゴス王子は知っているはずだ。
世界の滅亡と引き換えに命を絶やし、僕らの願いの果てに復活を遂げた、聖なる力の持ち主。
レイラ・ロアナスその人を──知らないとは言わせない。
「う、嘘だ! そんなの、ぼ、僕は聞いていないぞ!!」
「遺言に従うなら、兄の子であるエイトこそ、花婿としてふさわしい人物! そしてトロデ王の兄君の子であるレイラとエイトが結婚することで、先代からの約束は果たされよう」
「そ、そんなの、納得できません! 遺言に従って婚約したのは、ミ、ミーティア姫と僕だったんだ。だから結婚するのも、こ、この僕とミーティア姫のはずだ!」
暴れるチャゴス王子の襟首を掴み、クラビウス王が騎士団員へと指示を通していく。
その時、伝令役の騎士から報告を聞いたサザンビークの大臣が、僕らの騒ぎに割って入ってきた。
「お取り込み中、失礼します。ただいま伝令より、花嫁の準備が整ったとの報告が入りましてございます」
「扉を開けよ! 花嫁の入場だ」
襟首を掴まれたままじたばたと暴れるチャゴス王子を騎士団員に引き渡し、クラビウス王は僕を手招きした。
ニノ大司教……いや、ニノ新法皇のいる祭壇の前に立つと、クラビウス王が僕の肩に手を置いた。
……もし、昨日ククールたちの言っていたことが本当なら。
この扉の先に立っているのは──。
レイラだって腹を括って一度消えた。
だから今度は、僕が腹を括って──死ぬ気でレイラを迎えに行く!
階段を昇っていくと、見張りの聖堂騎士団が僕に気付いて「待て!」と厳しい声を上げた。
「それ以上近付いてはならん! 両王家の結婚式が済むまで、大人しく待っておれ。それともまさかお主、この結婚式に招待されたとでもいうのか?」
「そうですが!」
「この嘘つきめ。すでに招待客は全員揃って大聖堂の中にいる。まさかお主、腕ずくでも中に入るとでも言うのかな?」
「そうだ、と言ったら?」
「なんだと!?」
聖堂騎士団がレイピアに手をかける。
その瞬間。
「おりゃぁぁぁー!!」
ヤンガスの拳が騎士の腹に綺麗に決まった。
騎士が気を失ってバタリと倒れる。
ああもう、これで僕ら、完全にお尋ね者だ!
こうなったら、嫌でも乗り込むしかないじゃないか!
……そのつもりでここまで来たんだけど!
「ここはアッシらに任せて、兄貴はいってくだせぇ!」
「……ありがとう! トロデーンに戻ったら、一杯奢ってやる!!」
観客たちのざわめきを無視して、大聖堂の扉に手をかける。
そうして──迷いなく、その扉を開け放った。
直前に聞こえてきたのは、チャゴス王子の苛立つような声。
「ええい! なぜ姫は来ない。ミーティア姫はまだか!」
扉の開く音が、大聖堂の中に響き渡る。
チャゴス王子が蝶ネクタイを直しているのが見えた、その空間に向かって──僕は大声で言った。
「──その結婚式、待ったぁ!!」
招待客がざわめき合い、顔を見合わせる。
その中を、バージンロードを踏み締めてゆっくりと進んでいく僕を見て、チャゴス王子が目を剥いた。
「なっ!? 何のつもりだ貴様! 僕の結婚式を台無しにするつもりか! ええい、くそっ! 衛兵! 今すぐそいつをつまみ出せ!」
会場内にいた聖堂騎士団が四人ほどにじり寄る。
その気になれば素手でも片付けられるような相手だけど、さすがに神聖な大聖堂の中で乱闘騒ぎにはしたくないな。
ふむ、と穏便な対処法を考えかけたとき。
「待て! その必要はない」
おもむろにクラビウス王が立ち上がり、こちらを見て言った。
聖堂騎士団たちが足を止め、誰もがクラビウス王に注視している。
……どうして、クラビウス王が僕を助けるんだろう。
僕のことを認めるわけにはいかないと、父さんの形見だったアルゴンリングまで取り上げたのに……。
「そこにいるエイトには、この式に出席する権利があるのだ……。エイトよ……お前を花婿と認める」
「──え……?」
言葉の意味が理解できなかったのは、チャゴス王子も同じだったようだ。
ガーンと音がするくらいの驚きようで、お父上であるクラビウス王に詰め寄った。
「父上! 父上ほどのお方が、何をわけの分からないことを! 花婿はこの僕でしょう!」
チャゴス王子の尤もな言い分に対して、クラビウス王がコートの内ポケットに手を入れる。
そうして取り出して見せたのは、僕が昨夜渡した、父さんのアルゴンリングだった。
「このリングは昨夜、そこのエイトから預かったものだ……」
「そっ、それはもしや、アルゴンリングなのですか? なぜだ? 王家に生まれ、王者の儀式を済ませた者しか持っていないはずなのに!?」
「この指輪は、兄の……。エルトリオの遺品……。エイトはわしの兄である、エルトリオの息子だったのだよ」
雷が落ちてきたようなショックがチャゴス王子に走った。
そりゃあ、今の今まで薄汚い旅人、卑しい平民と見下してきた相手が、自分と同格の生まれなのだから、ショックは察してあまりある。
……同情はしないけれど。
「……それからもうひとつ、伝えるべきことがある。トロデーン王国の、もう一人の姫君のことについてだ」
「は? ひ、姫君!? トロデーンの姫は、トロデ王の一人娘であるミーティア姫だけでしょう!?」
「ミーティア姫だけではないのだよ。私に兄のエルトリオがいたように、トロデ王にも兄上がおられた。そしてその兄上と奥方との間には、ミーティア姫よりも先に、レイラという姫君が生まれている」
「レイラー!?」
その名前に、聞き覚えがあるはずだ。
僕と共に旅をしていた、黒い髪を二つに結んだ女の子のことを、チャゴス王子は知っているはずだ。
世界の滅亡と引き換えに命を絶やし、僕らの願いの果てに復活を遂げた、聖なる力の持ち主。
レイラ・ロアナスその人を──知らないとは言わせない。
「う、嘘だ! そんなの、ぼ、僕は聞いていないぞ!!」
「遺言に従うなら、兄の子であるエイトこそ、花婿としてふさわしい人物! そしてトロデ王の兄君の子であるレイラとエイトが結婚することで、先代からの約束は果たされよう」
「そ、そんなの、納得できません! 遺言に従って婚約したのは、ミ、ミーティア姫と僕だったんだ。だから結婚するのも、こ、この僕とミーティア姫のはずだ!」
暴れるチャゴス王子の襟首を掴み、クラビウス王が騎士団員へと指示を通していく。
その時、伝令役の騎士から報告を聞いたサザンビークの大臣が、僕らの騒ぎに割って入ってきた。
「お取り込み中、失礼します。ただいま伝令より、花嫁の準備が整ったとの報告が入りましてございます」
「扉を開けよ! 花嫁の入場だ」
襟首を掴まれたままじたばたと暴れるチャゴス王子を騎士団員に引き渡し、クラビウス王は僕を手招きした。
ニノ大司教……いや、ニノ新法皇のいる祭壇の前に立つと、クラビウス王が僕の肩に手を置いた。
……もし、昨日ククールたちの言っていたことが本当なら。
この扉の先に立っているのは──。
