79章
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「……で」
三人が一斉に私を振り返った。
思わず一歩下がりつつ、「なに……?」と聞き返す。
三人の圧が強すぎて声が震えたのは内緒だ。
「どうするつもりなの?」
「え? ど、どうするって何を」
「ミーティア姫の結婚式よ! 本当にこのままあの王子と結婚させるの?」
「い、いや、それを私に言われても……」
「俺ですら反対だぜ。あのダメ王子と結婚したところで、不幸になるのは姫様だろ?」
「それは……そうかもしれないけど……」
「まぁまぁ二人とも。それを姉貴に言ったって仕方ねぇ話でがすよ。本当は姉貴だって兄貴だって、あの王子と結婚なんかしてほしくないんでげすから」
今更それがどうにかなるものではなかったから、私もエイトも納得できないまま準備に追われた。
私たちが猛反対して覆せるような約束なら、それは国家間の約束にはならないものなのだ。
国同士のメンツもあるし、二国間の結び付きをより強固にするという目的もある。
……というかそもそも、この結婚をどうこうできる権利なんて、私たちにあるはずもない。
「……私は、近衛兵だもん。王族の方をお守りするのが仕事なんだから……。そりゃ、私だって嫌だよ。幼馴染みも同然の姫様が、あんなデブ王子のお嫁さんになるとか。でも防ぎようもないし……。私が身代わりになれるものなら、そうして差し上げたいけど……。そしたら間違いなく隊長様が暴走するし」
「まあ、そうね……」
「レイラバカだからな」
「間違いないでがすな」
三人から否定の言葉が何一つないのもすごいな。
どこまで私しか眼中にないんだ、エイトは。
どうにかして姫様をチャゴス王子から助ける方法か……。
あるのかな、そんなの。
「あ……でもたしか、エイトのお父さんって、クラビウス王のお兄様だったんだよね?」
「そうだけど……それがどうかした?」
「……うん。その手があったな」
チャゴス王子と姫様を結婚させたくない。
でも私とチャゴス王子が結婚しようものなら、エイトがサザンビークを滅ぼす勢いで怒り狂う。
それなら、エイトと姫様が結婚すれば良いのでは?
姫様は長年の片想いが成就してハッピー。
トロデーン王家はエイトという英雄を王家に迎えられてラッキー。
割と良いことづくしだな。
「お前、チャゴスの代わりにエイトを姫様の相手として仕向ける気か?」
「……うん。なんか、その方が丸く収まる気がしない?」
「そりゃそうかもしれねえでがすが……」
「レイラはいいの? だって、好きな人なんでしょ?」
「うん、好きだよ。でもね、私、同じくらい姫様のことも大切なの。だから幸せになってほしい」
「自分はどうなってもいいってわけか……」
「……そうかもね」
「両方身代わりになったらどうでがすかね」
「だめだよ。そしたらきっと、姫様とチャゴス王子の結婚式も行われちゃう……」
それだけは避けたい話だ。
だからエイトと姫様が結ばれることが、現状では一番かなと思っている。
さすがにそうなったら、近衛を辞めて旅に出るつもりだけど。
好きな人と姫様が結婚して、いつか子供もできて……そんなのを間近で見ていられるほど、私の心は強くない。
その時、上の階段から姫様とエイトが降りてきた。
そのまま姫様は馬車に乗って、船の乗り場へと向かうべく城を出て行く。
それを見送って、エイトはあっけらかんとした様子で「僕らも行こうか」と歩き出したのである。
あ、あいつ、なんで姫様がお前を迎えに指名したか、まるで理解してないな!?
私も大概だけど、エイトもとんでもない鈍感野郎だなぁ!!
そっとゼシカへ視線を向ける。
ゼシカは黙って目を伏せ、首を横に振った。
「なあエイト。お前、姫様とチャゴスの結婚は本当にいいと思ってるのか?」
「嫌に決まってるだろ。当たり前のこと聞くなよ、ククール」
「……だよな」
ま、そりゃあね……。
だけどチャゴスの人となりを知っているのは私たちだけ。
しかもあの白馬と魔物が姫とトロデ王だったことは、呪いが解けた今でも秘密のことだ。
賛成する人は、私たちの中には一人もいない。
だけどこの婚約を破棄にする理由がない。
理由なんていくらでもあるけど、チャゴスの人となりを理由に挙げるとなると、「どうして会ったこともない遠い国の王子を知っているのか」という話をしなければならなくなる。
そうなると更に困ったことになるのは目に見えていて、だからトロデ王も姫様もここまで話が進んでいくのを承諾するしかなかった。
(やっぱり、私が姫様の身代わりになるしかないかな)
チャゴス王子は怒髪天だろうけど、あんな奴に力で負ける気がしないから、いざとなれば関節技でも決めてやればいいや。
姫様があのブタ王子から解放されるとなれば、陛下も頷いてくれるだろうし。
自分の大切な一人娘が、よりにもよってチャゴスに取られるなんて、嫌すぎるもんね……。
……ごめんね、エイト。
私、せっかく生き返らせてもらったのに、やっぱり約束を守れそうにないや。
そっと左手の薬指に嵌めていた女神の指輪を外す。
そうしてそれを、道具袋の奥底にしまい込んだ。
城の近くに設置した船着場が近づいてくる。
そこに大きな船が停泊していた。
私たちが旅で使っていた古代船じゃなくて、定期船などにも使われる船だ。
船着場の入り口には、部下の近衛兵が立っていて、私とエイトを見るとピシッと敬礼した。
それに敬礼を返して、船へと乗り込んでいく。
そして私達を乗せた船は、サヴェッラ大聖堂へと向かって進み始めた。
三人が一斉に私を振り返った。
思わず一歩下がりつつ、「なに……?」と聞き返す。
三人の圧が強すぎて声が震えたのは内緒だ。
「どうするつもりなの?」
「え? ど、どうするって何を」
「ミーティア姫の結婚式よ! 本当にこのままあの王子と結婚させるの?」
「い、いや、それを私に言われても……」
「俺ですら反対だぜ。あのダメ王子と結婚したところで、不幸になるのは姫様だろ?」
「それは……そうかもしれないけど……」
「まぁまぁ二人とも。それを姉貴に言ったって仕方ねぇ話でがすよ。本当は姉貴だって兄貴だって、あの王子と結婚なんかしてほしくないんでげすから」
今更それがどうにかなるものではなかったから、私もエイトも納得できないまま準備に追われた。
私たちが猛反対して覆せるような約束なら、それは国家間の約束にはならないものなのだ。
国同士のメンツもあるし、二国間の結び付きをより強固にするという目的もある。
……というかそもそも、この結婚をどうこうできる権利なんて、私たちにあるはずもない。
「……私は、近衛兵だもん。王族の方をお守りするのが仕事なんだから……。そりゃ、私だって嫌だよ。幼馴染みも同然の姫様が、あんなデブ王子のお嫁さんになるとか。でも防ぎようもないし……。私が身代わりになれるものなら、そうして差し上げたいけど……。そしたら間違いなく隊長様が暴走するし」
「まあ、そうね……」
「レイラバカだからな」
「間違いないでがすな」
三人から否定の言葉が何一つないのもすごいな。
どこまで私しか眼中にないんだ、エイトは。
どうにかして姫様をチャゴス王子から助ける方法か……。
あるのかな、そんなの。
「あ……でもたしか、エイトのお父さんって、クラビウス王のお兄様だったんだよね?」
「そうだけど……それがどうかした?」
「……うん。その手があったな」
チャゴス王子と姫様を結婚させたくない。
でも私とチャゴス王子が結婚しようものなら、エイトがサザンビークを滅ぼす勢いで怒り狂う。
それなら、エイトと姫様が結婚すれば良いのでは?
姫様は長年の片想いが成就してハッピー。
トロデーン王家はエイトという英雄を王家に迎えられてラッキー。
割と良いことづくしだな。
「お前、チャゴスの代わりにエイトを姫様の相手として仕向ける気か?」
「……うん。なんか、その方が丸く収まる気がしない?」
「そりゃそうかもしれねえでがすが……」
「レイラはいいの? だって、好きな人なんでしょ?」
「うん、好きだよ。でもね、私、同じくらい姫様のことも大切なの。だから幸せになってほしい」
「自分はどうなってもいいってわけか……」
「……そうかもね」
「両方身代わりになったらどうでがすかね」
「だめだよ。そしたらきっと、姫様とチャゴス王子の結婚式も行われちゃう……」
それだけは避けたい話だ。
だからエイトと姫様が結ばれることが、現状では一番かなと思っている。
さすがにそうなったら、近衛を辞めて旅に出るつもりだけど。
好きな人と姫様が結婚して、いつか子供もできて……そんなのを間近で見ていられるほど、私の心は強くない。
その時、上の階段から姫様とエイトが降りてきた。
そのまま姫様は馬車に乗って、船の乗り場へと向かうべく城を出て行く。
それを見送って、エイトはあっけらかんとした様子で「僕らも行こうか」と歩き出したのである。
あ、あいつ、なんで姫様がお前を迎えに指名したか、まるで理解してないな!?
私も大概だけど、エイトもとんでもない鈍感野郎だなぁ!!
そっとゼシカへ視線を向ける。
ゼシカは黙って目を伏せ、首を横に振った。
「なあエイト。お前、姫様とチャゴスの結婚は本当にいいと思ってるのか?」
「嫌に決まってるだろ。当たり前のこと聞くなよ、ククール」
「……だよな」
ま、そりゃあね……。
だけどチャゴスの人となりを知っているのは私たちだけ。
しかもあの白馬と魔物が姫とトロデ王だったことは、呪いが解けた今でも秘密のことだ。
賛成する人は、私たちの中には一人もいない。
だけどこの婚約を破棄にする理由がない。
理由なんていくらでもあるけど、チャゴスの人となりを理由に挙げるとなると、「どうして会ったこともない遠い国の王子を知っているのか」という話をしなければならなくなる。
そうなると更に困ったことになるのは目に見えていて、だからトロデ王も姫様もここまで話が進んでいくのを承諾するしかなかった。
(やっぱり、私が姫様の身代わりになるしかないかな)
チャゴス王子は怒髪天だろうけど、あんな奴に力で負ける気がしないから、いざとなれば関節技でも決めてやればいいや。
姫様があのブタ王子から解放されるとなれば、陛下も頷いてくれるだろうし。
自分の大切な一人娘が、よりにもよってチャゴスに取られるなんて、嫌すぎるもんね……。
……ごめんね、エイト。
私、せっかく生き返らせてもらったのに、やっぱり約束を守れそうにないや。
そっと左手の薬指に嵌めていた女神の指輪を外す。
そうしてそれを、道具袋の奥底にしまい込んだ。
城の近くに設置した船着場が近づいてくる。
そこに大きな船が停泊していた。
私たちが旅で使っていた古代船じゃなくて、定期船などにも使われる船だ。
船着場の入り口には、部下の近衛兵が立っていて、私とエイトを見るとピシッと敬礼した。
それに敬礼を返して、船へと乗り込んでいく。
そして私達を乗せた船は、サヴェッラ大聖堂へと向かって進み始めた。
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