78章
夢小説設定
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話を正すとこうだ。
私とエイトが旅の途中でお付き合いを始めたのを知っているトロデ王は、近いうちに私とエイトが結婚するだろうと思われていたらしい。
そして、「結婚したらレイラは近衛を辞めてしまうのか? それは困る! 今のうちに引き留めねば!」となったらしい。
思考が飛躍しすぎているにも程がある。
「結婚はするかもしれ……いや、どうだろ……しないかな……」
「しないの?」
「エイト次第ということで……」
「ならばするじゃろうな」
「し、しますかねぇ……。まあ、それはどっちでもいいんですけど」
「よくないわよ?」
「……はい」
やたらと姫様からの当たりが強い。
私、姫様になんか嫌なことしたっけ……。
無自覚のうちにしてしまったのかもしれない……。
やっぱりあれかな、エイトと付き合ってる私が邪魔なのかな。
姫様がエイトのこと好きなのは本当だって、ククールも言ってたもんね。
「仮に結婚したとしても、仕事は続けたいです。金銭面で互いに自立していたほうが、何かと安泰ですし……」
「そうか! それを聞いて安心したぞ。しかしエイトと結婚しない可能性もあるのじゃな?」
「それは……」
その質問には咄嗟に答えられなかった。
なんというか……今こうして生きている以上の幸せを、求めてはいけないような気がしている。
生き返ったことそのものが奇跡で……本来なら、私はもうとっくに消えてしまっているはずだった。
だから、それ以上を望んじゃいけないような気がして。
その先を得たいと思ってしまった瞬間、奇跡のような私の生は終わりを迎えてしまうんじゃないか。
生きていること、毎日を心穏やかに過ごせていること──それさえあれば幸せだと。
……生死を捻じ曲げて生きている私に、多くを望む権利なんて、本当は──。
「……どうでしょう。ないこともあるかもしれませんね」
曖昧な物言いをしてぎこちなく微笑む。
もし、私がエイトと結婚しない道を選べば、エイトが姫様をチャゴスから攫ってくれるかもしれない。
エイトにはお父さんのアルゴンリングがある。
動かぬ証拠を前にしては、クラビウス王もエイトの存在を無視できない。
仮にそうなって姫様の結婚相手がエイトになっても、未来の女王と王配が姫様とエイトなら、きっとみんな文句はないだろう。
国を救った英雄と姫君の結婚──こんなに祝福される話はない。
「……そうか。いや、お主の考えは承知した。職務中にすまんかったな。引き続きしっかりと頼むぞ」
「はい。お任せ下さい」
陛下が複雑そうな面持ちで去っていく。
何だったんだろう、何かを言いたそうにしていたけど。
思ったことを言わずに呑み込むなんて、陛下らしくない。
お昼に変なものでも食べたのかな。
「……レイラは、エイトのことが好きなのよね?」
「も、もちろん……」
「だったらどうして、エイトと結婚しないかもしれないなんて……」
「……エイトにはもっと相応しい人がいるのになって。それだけですよ。神様からもらったオマケで生きてるだけの私なんかと一緒になるのは、勿体ないじゃないですか。世界を救った英雄なんですよ?」
「それはレイラも同じだわ。あなただって世界を救った英雄の一人じゃない」
「……私は世界を救えなかったんです、ただ現状を維持しただけ。むしろ私が世界を滅亡の危険に晒してしまったくらいで……。ほんと、褒められた人間じゃないんですよ。そんな奴があれこれ望むと、かえって罰が当たる気がしません?」
だから私からは何も望まない。
これからもこうして国を守って、この国で生きていきたい。
私が願うのは、それだけだ。
それだけにしないと……きっと奇跡はすぐに消えてしまうから。
生きている、生きて国のために働ける。
それが消滅の一歩手前から生き返った私の、最大の幸福だ。
……それだけで満足。
だってそのほうが……多くを望まなければ、得られなくても悲しくないから。
仮にエイトと一緒にいられなくなったとしても、彼との未来を望まなければ傷つかない。
……だけどもし、エイトが私との未来を望んでくれるなら──その時は、私もそれに応えたいとは思っている。
彼の望みを叶えるために。
「……姫様。私、久々に姫様のピアノが聴きたいです。お願いしてもいいですか?」
「もちろんよ。何がいい?」
「お任せします。あ、でも明るい曲がいいです」
「明るい曲ね、承りましたわ。それじゃあ、このままドアを開けていてもいいかしら? そのほうがよく聞こえるでしょう?」
「やった! ここの警備が回ってきた時の特権ですよねぇ。ずっとここでいいのに、私の持ち場!」
姫様が明るいアップテンポな曲を弾いてくれる。
そのメロディーに耳を傾けていくうちに、すこし沈んだ心も上向いてくれた。
せっかく生き返ったんだし、人生楽しく生きなきゃ損だよね!
さぁーて、午後からの仕事も頑張るぞ〜!
私とエイトが旅の途中でお付き合いを始めたのを知っているトロデ王は、近いうちに私とエイトが結婚するだろうと思われていたらしい。
そして、「結婚したらレイラは近衛を辞めてしまうのか? それは困る! 今のうちに引き留めねば!」となったらしい。
思考が飛躍しすぎているにも程がある。
「結婚はするかもしれ……いや、どうだろ……しないかな……」
「しないの?」
「エイト次第ということで……」
「ならばするじゃろうな」
「し、しますかねぇ……。まあ、それはどっちでもいいんですけど」
「よくないわよ?」
「……はい」
やたらと姫様からの当たりが強い。
私、姫様になんか嫌なことしたっけ……。
無自覚のうちにしてしまったのかもしれない……。
やっぱりあれかな、エイトと付き合ってる私が邪魔なのかな。
姫様がエイトのこと好きなのは本当だって、ククールも言ってたもんね。
「仮に結婚したとしても、仕事は続けたいです。金銭面で互いに自立していたほうが、何かと安泰ですし……」
「そうか! それを聞いて安心したぞ。しかしエイトと結婚しない可能性もあるのじゃな?」
「それは……」
その質問には咄嗟に答えられなかった。
なんというか……今こうして生きている以上の幸せを、求めてはいけないような気がしている。
生き返ったことそのものが奇跡で……本来なら、私はもうとっくに消えてしまっているはずだった。
だから、それ以上を望んじゃいけないような気がして。
その先を得たいと思ってしまった瞬間、奇跡のような私の生は終わりを迎えてしまうんじゃないか。
生きていること、毎日を心穏やかに過ごせていること──それさえあれば幸せだと。
……生死を捻じ曲げて生きている私に、多くを望む権利なんて、本当は──。
「……どうでしょう。ないこともあるかもしれませんね」
曖昧な物言いをしてぎこちなく微笑む。
もし、私がエイトと結婚しない道を選べば、エイトが姫様をチャゴスから攫ってくれるかもしれない。
エイトにはお父さんのアルゴンリングがある。
動かぬ証拠を前にしては、クラビウス王もエイトの存在を無視できない。
仮にそうなって姫様の結婚相手がエイトになっても、未来の女王と王配が姫様とエイトなら、きっとみんな文句はないだろう。
国を救った英雄と姫君の結婚──こんなに祝福される話はない。
「……そうか。いや、お主の考えは承知した。職務中にすまんかったな。引き続きしっかりと頼むぞ」
「はい。お任せ下さい」
陛下が複雑そうな面持ちで去っていく。
何だったんだろう、何かを言いたそうにしていたけど。
思ったことを言わずに呑み込むなんて、陛下らしくない。
お昼に変なものでも食べたのかな。
「……レイラは、エイトのことが好きなのよね?」
「も、もちろん……」
「だったらどうして、エイトと結婚しないかもしれないなんて……」
「……エイトにはもっと相応しい人がいるのになって。それだけですよ。神様からもらったオマケで生きてるだけの私なんかと一緒になるのは、勿体ないじゃないですか。世界を救った英雄なんですよ?」
「それはレイラも同じだわ。あなただって世界を救った英雄の一人じゃない」
「……私は世界を救えなかったんです、ただ現状を維持しただけ。むしろ私が世界を滅亡の危険に晒してしまったくらいで……。ほんと、褒められた人間じゃないんですよ。そんな奴があれこれ望むと、かえって罰が当たる気がしません?」
だから私からは何も望まない。
これからもこうして国を守って、この国で生きていきたい。
私が願うのは、それだけだ。
それだけにしないと……きっと奇跡はすぐに消えてしまうから。
生きている、生きて国のために働ける。
それが消滅の一歩手前から生き返った私の、最大の幸福だ。
……それだけで満足。
だってそのほうが……多くを望まなければ、得られなくても悲しくないから。
仮にエイトと一緒にいられなくなったとしても、彼との未来を望まなければ傷つかない。
……だけどもし、エイトが私との未来を望んでくれるなら──その時は、私もそれに応えたいとは思っている。
彼の望みを叶えるために。
「……姫様。私、久々に姫様のピアノが聴きたいです。お願いしてもいいですか?」
「もちろんよ。何がいい?」
「お任せします。あ、でも明るい曲がいいです」
「明るい曲ね、承りましたわ。それじゃあ、このままドアを開けていてもいいかしら? そのほうがよく聞こえるでしょう?」
「やった! ここの警備が回ってきた時の特権ですよねぇ。ずっとここでいいのに、私の持ち場!」
姫様が明るいアップテンポな曲を弾いてくれる。
そのメロディーに耳を傾けていくうちに、すこし沈んだ心も上向いてくれた。
せっかく生き返ったんだし、人生楽しく生きなきゃ損だよね!
さぁーて、午後からの仕事も頑張るぞ〜!
