78章
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下級近衛兵の証である、黒みがかった緑の隊服に、胸当てと手首の防具を装着して、頭にはブロンズキャップを。
槍を持って見張り番についた先は、姫様のお部屋の横。
つまりはまぁ……封印の間の隣だ。
今はもうなんにもない空っぽの部屋だけど。
でもここにいると、時々姫様のピアノの音とか、綺麗な歌声が聞こえてくるから、ちょっと役得。
巡回中の兵と敬礼を交わして、「異常なし」を報告し合う。
互いに姿勢を直して、私は再び直立不動に。
巡回の兵士は角を曲がって三階へと階段を降りていった。
「やっぱり私の近衛兵さんは格好いいわね」
「……」
「あら、旅の間はあんなに、ミーティアに話しかけてくれましたのに」
「……職務中です」
「レイラって本当にギャップがあるわね。そんなところにも、エイトは惹かれたのかしら?」
「……」
「ねぇレイラ、少しくらいなら大丈夫よ? 今日は先生もいらっしゃらなくて、ミーティアも暇を持て余してしまったの。少しだけお話しませんこと?」
「……もー! 復帰初日からサボってたら、ドヤされるの私なんですからね!?」
「まぁ、私のよく知るレイラだわ。ふふっ、やっぱりレイラはその雰囲気が素敵ね」
姫様の笑顔の前には、私も真顔を保てる自信はない。
どうか誰も通りませんように……。
本気で「初日からサボって姫様とお喋りに花を咲かせてました」とか、やめてほしいぞ!?
そもそも姫様のおしゃべり相手は、側仕えのメイドの役目なのに……。
「前を向いたままで失礼しますね」
「お仕事中だもの、気にしないわ。エイトはまだお休み中なのよね?」
「一ヶ月も休暇もらって、何するんでしょうね、エイト。絶対にやる事ないですって」
「あら、でもさっき、裏口で姿を見たわ」
「それもうやる事なくて、雑用を手伝いに来たやつじゃないですか。私と一緒ですよ。あとで怒っておいてくださいね、私が言っても聞かないんですよ」
「そうかもしれないわね。だってあなたにも言えることですもの。お休みの日なんだから、城の仕事なんかしないで、羽を伸ばしてほしかったのに。どうして調理場で野菜の皮むきをしていたの?」
「や、やることがないと、落ち着かなかったもので……」
すすすーっと視線を逸らしながら、バカ正直に答えた。
誤魔化すなんて手法、私にできるわけない。
くすくすと笑った姫様が、ふと廊下の先を見やる。
私も近付いてくる足音には気付いていたから、たるみかけた気を引き締めて表情を戻した。
やってきたのは陛下だ。
姫様に御用があると見た。
踵を鳴らして敬礼をすると、「うむ」と陛下が威厳たっぷりに頷いた。
それが直れの合図であるので、手をおろして足を肩幅に開く。
姫様は私とお喋り中だったこともあって、部屋から顔を出したままだ。
「お父様。いかがなさいましたの?」
「ああ、うむ。レイラを見ておらんか?」
──隣で私がズッコケた。
今さっき本人と敬礼したのに!?
すぐ目の前に私いますけど!?
「ここにいますが!?」
「……お主、レイラか!? まったく気付かなんだわい、普段との差が激しい奴だのう」
「職務中ですので!!」
私をなんだと思ってるんだ!?
職務中は真面目に仕事してるってーの!!
四六時中アホの子なわけじゃないんだからな!!
くそう……早急に大人の女性になる必要がある……!
「私をお探しでしたら、呼んでくだされば馳せ参じましたよ」
「ああ、うむ。大した用ではないのじゃ。お主に聞いておきたいことがあっての」
「私にですか? なんでしょう」
「今後のことについてなのじゃが……。やはりあれか? お主はいずれ、近衛を辞めるのか?」
「え? そりゃまあ、定年になれば辞めますけど」
「定年まではおるのか!?」
「え!? 定年まで居させてくれないんですか!?」
そんな! それは困る!
職を失ったら、どうやって生活したらいいんだ!
まだエイトのスネかじりにはなりたくないというのに!
そ、それともやっぱり、女兵士は定年も早いのかな?
私が女兵士第一号だから、定年とかの規則も決まってなさそうだもんね。
男のようにとはいかないか……。
ひょっとして私もうお役御免とか!?
く、クビ!? まさか私、クビになるの!?
「あ、あの……調理場担当でも小間使いでも何でもいいので、どうか定年まで城で働かせてください……」
「やはり定年まではおるのじゃな!?」
「そ、それも駄目なんですか!?」
「お父様、会話が噛み合っていませんわ」
「そうなんですか!?」
「そうなのか!?」
「近衛を辞めろって話ではなくて!?」
「やはり辞めるのか!?」
「定年までは続けたいです!!」
この会話、永遠に平行線だな!?
で、でも近衛を辞めろって話じゃなかったら、なんで「いずれ近衛を辞めるのか」とは聞かれないだろうし……。
私が仕事を辞めて喜ぶのは、過保護に拍車がかかったエイトだけだと思うんだが……!?
槍を持って見張り番についた先は、姫様のお部屋の横。
つまりはまぁ……封印の間の隣だ。
今はもうなんにもない空っぽの部屋だけど。
でもここにいると、時々姫様のピアノの音とか、綺麗な歌声が聞こえてくるから、ちょっと役得。
巡回中の兵と敬礼を交わして、「異常なし」を報告し合う。
互いに姿勢を直して、私は再び直立不動に。
巡回の兵士は角を曲がって三階へと階段を降りていった。
「やっぱり私の近衛兵さんは格好いいわね」
「……」
「あら、旅の間はあんなに、ミーティアに話しかけてくれましたのに」
「……職務中です」
「レイラって本当にギャップがあるわね。そんなところにも、エイトは惹かれたのかしら?」
「……」
「ねぇレイラ、少しくらいなら大丈夫よ? 今日は先生もいらっしゃらなくて、ミーティアも暇を持て余してしまったの。少しだけお話しませんこと?」
「……もー! 復帰初日からサボってたら、ドヤされるの私なんですからね!?」
「まぁ、私のよく知るレイラだわ。ふふっ、やっぱりレイラはその雰囲気が素敵ね」
姫様の笑顔の前には、私も真顔を保てる自信はない。
どうか誰も通りませんように……。
本気で「初日からサボって姫様とお喋りに花を咲かせてました」とか、やめてほしいぞ!?
そもそも姫様のおしゃべり相手は、側仕えのメイドの役目なのに……。
「前を向いたままで失礼しますね」
「お仕事中だもの、気にしないわ。エイトはまだお休み中なのよね?」
「一ヶ月も休暇もらって、何するんでしょうね、エイト。絶対にやる事ないですって」
「あら、でもさっき、裏口で姿を見たわ」
「それもうやる事なくて、雑用を手伝いに来たやつじゃないですか。私と一緒ですよ。あとで怒っておいてくださいね、私が言っても聞かないんですよ」
「そうかもしれないわね。だってあなたにも言えることですもの。お休みの日なんだから、城の仕事なんかしないで、羽を伸ばしてほしかったのに。どうして調理場で野菜の皮むきをしていたの?」
「や、やることがないと、落ち着かなかったもので……」
すすすーっと視線を逸らしながら、バカ正直に答えた。
誤魔化すなんて手法、私にできるわけない。
くすくすと笑った姫様が、ふと廊下の先を見やる。
私も近付いてくる足音には気付いていたから、たるみかけた気を引き締めて表情を戻した。
やってきたのは陛下だ。
姫様に御用があると見た。
踵を鳴らして敬礼をすると、「うむ」と陛下が威厳たっぷりに頷いた。
それが直れの合図であるので、手をおろして足を肩幅に開く。
姫様は私とお喋り中だったこともあって、部屋から顔を出したままだ。
「お父様。いかがなさいましたの?」
「ああ、うむ。レイラを見ておらんか?」
──隣で私がズッコケた。
今さっき本人と敬礼したのに!?
すぐ目の前に私いますけど!?
「ここにいますが!?」
「……お主、レイラか!? まったく気付かなんだわい、普段との差が激しい奴だのう」
「職務中ですので!!」
私をなんだと思ってるんだ!?
職務中は真面目に仕事してるってーの!!
四六時中アホの子なわけじゃないんだからな!!
くそう……早急に大人の女性になる必要がある……!
「私をお探しでしたら、呼んでくだされば馳せ参じましたよ」
「ああ、うむ。大した用ではないのじゃ。お主に聞いておきたいことがあっての」
「私にですか? なんでしょう」
「今後のことについてなのじゃが……。やはりあれか? お主はいずれ、近衛を辞めるのか?」
「え? そりゃまあ、定年になれば辞めますけど」
「定年まではおるのか!?」
「え!? 定年まで居させてくれないんですか!?」
そんな! それは困る!
職を失ったら、どうやって生活したらいいんだ!
まだエイトのスネかじりにはなりたくないというのに!
そ、それともやっぱり、女兵士は定年も早いのかな?
私が女兵士第一号だから、定年とかの規則も決まってなさそうだもんね。
男のようにとはいかないか……。
ひょっとして私もうお役御免とか!?
く、クビ!? まさか私、クビになるの!?
「あ、あの……調理場担当でも小間使いでも何でもいいので、どうか定年まで城で働かせてください……」
「やはり定年まではおるのじゃな!?」
「そ、それも駄目なんですか!?」
「お父様、会話が噛み合っていませんわ」
「そうなんですか!?」
「そうなのか!?」
「近衛を辞めろって話ではなくて!?」
「やはり辞めるのか!?」
「定年までは続けたいです!!」
この会話、永遠に平行線だな!?
で、でも近衛を辞めろって話じゃなかったら、なんで「いずれ近衛を辞めるのか」とは聞かれないだろうし……。
私が仕事を辞めて喜ぶのは、過保護に拍車がかかったエイトだけだと思うんだが……!?
