74章
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未だ暗雲の立ち込めるトロデーン城へと降り立つ。
城はまだ呪われたままだ。
ラプソーンを倒したのにどうして、と思ったけど、降り立ってすぐ、変化に気が付いた。
……トロデーン城に蔓延っていた魔物が、すっかりいなくなっている。
『さあ、お行きなさい。大切な仲間の元へ』
レティスの背から降りて、トロデ王とミーティア姫の元へ急ぐ。
お二人はまだ呪われたままだったけど、不思議と焦る気持ちはなくて。
「トロデ王! ミーティア姫! ただいま戻りました!」
「おお、お前たち!! よくぞ戻った! お前たちの勇姿は、わしも見ておったぞ! さすがは我が家臣! いや、まったくもって立派じゃった!」
「アッシはおっさんの家臣になった覚えはないでがすがね」
「あ、私もよ」
「俺もだな」
「……むむ? わはははは! まあ、そんなことはよいではないか! とにかくみんな、偉かったぞ!」
トロデ王が興奮冷めやらぬ様子で僕らを褒めちぎってくれた、その隣で、翼が羽ばたく音がした。
見ると、レティスが飛び立とうとしている。
そうか……もうお別れなのか。
「お、おお……神鳥よ。もう行ってしまうのか?」
『この世界は、もう心配ありません。私は、また新しい世界へと旅立ちます』
「……そうか。そなたにも世話になったのう……っと、そうじゃ! 大切な話が残っておったわい! わしとミーティアは、いったいいつになったら元の姿に戻れるんじゃろうか!」
トロデ王の姿を、レティスがじっと見つめる。
やがて彼女は答えた。
『……暗黒神の呪力は、もうほとんど消えかかっています。まもなく、自然と元の姿に戻るでしょう』
「おお、そうか!! それを聞いて安心したぞ!!」
僕も隣で安心した。
ラプソーンを倒したのに、城もお二人もこのままだったらどうしようかと、流石に少しは不安だったから。
そうなったら、ミーティアが夢の中で言っていたみたいに、そのままどこか旅に出るのもいいかな──なんて。
そう考えてしまうくらい、僕の心もすっかり弱ってしまっていたんだと思う。
さすがに今はもう、そんなこと考えないけど……。
「では、どこに行くのか知らんが、とにかく気を付けて行かれよ! ……と、神と呼ばれるそなたの世話を焼くのも、おかしなもんじゃがな」
『私は神ではありません。レティスという名前も、あなたたち人間がそう名付けただけのものです。私が生まれた世界では、違う名で呼ばれていました。そう、あの世界では、たしか……ラーミアと』
そうだったのか……。
あまりにも神聖な力を持っていたから、てっきり神の使いとか、そんなような存在なんだと思っていた。
でも、彼女にとっては、自分はただの不死鳥ラーミア。
そしてこの世界では、神鳥レティス。
次の世界で彼女は、なんという名前で呼ばれることになるんだろう。
『それでは行きます。さようなら、勇敢な人間たち。あなた達に出会えて良かった。レイラにも、そう伝えてください』
レティスがゆっくりと上昇していって、空へと浮かび上がっていく。
その時、袋の中から神鳥の魂が飛び出して、僕らに別れを告げるようにくるりと周囲を飛び回ると、レティスと一緒に遥か彼方の空へと飛び去っていった。
……なんだか、寂しくなってしまったな。
「……行ってしもうたか」
レティスに手を振っていたトロデ王が、やっぱり少し寂しそうに呟く。
そのお姿が、急にキラキラと輝き出した。
「……お、おっさんが! おっさんが光ってるでがす!」
「む? 馬鹿者めが。わしならいつだってギンギラギンに光っておるわい」
「……そうじゃねぇ! 自分の身体をよく見てみろって!」
「……む?」
トロデ王がご自分の身体を見渡す。
そうして強い光に包まれて──。
光が収まった時、そこには。
「おお……。こ、これは……! も、戻った……?」
ご自分の手を見つめて、それから手鏡で顔を確認する。
何度も顔に触れて、そうしてトロデ王は、ぴょんぴょんと飛び跳ねた。
「ぬおおおーっ!! 戻った!! 元の姿に戻ったわい!!」
ようやく見慣れた我らがトロデ王に戻ってくれた。
長かった……あの夜から、今日まで本当に。
本当に長かった。
「なんでぇ……。魔物の時と大して変わらねえじゃねぇか」
クスクスとヤンガスが笑う。
みんな敢えて口にしなかったことを……。
なんなら僕とレイラは旅の間ずっと思ってたことだったのに。
……魔物になってもそんなに変わらないなって。
「な、なんじゃと! お、お前さては、わしの本当の姿の格好良さにビビりおったな!?」
二人の間でバチバチと火花が散る。
なんだかそれも、旅に出たばかりの頃を思い出す。
あの時は「おかしなおっさん」呼ばわりされたトロデ王とヤンガスが、視線をバチバチ言わせてたんだっけ。
本当に長かった。
今は感想がそれしか出てこない。
でも、長い長い旅も、ようやく終わるんだと思うと……ちょっとだけ惜しいと思えるものだ。
城はまだ呪われたままだ。
ラプソーンを倒したのにどうして、と思ったけど、降り立ってすぐ、変化に気が付いた。
……トロデーン城に蔓延っていた魔物が、すっかりいなくなっている。
『さあ、お行きなさい。大切な仲間の元へ』
レティスの背から降りて、トロデ王とミーティア姫の元へ急ぐ。
お二人はまだ呪われたままだったけど、不思議と焦る気持ちはなくて。
「トロデ王! ミーティア姫! ただいま戻りました!」
「おお、お前たち!! よくぞ戻った! お前たちの勇姿は、わしも見ておったぞ! さすがは我が家臣! いや、まったくもって立派じゃった!」
「アッシはおっさんの家臣になった覚えはないでがすがね」
「あ、私もよ」
「俺もだな」
「……むむ? わはははは! まあ、そんなことはよいではないか! とにかくみんな、偉かったぞ!」
トロデ王が興奮冷めやらぬ様子で僕らを褒めちぎってくれた、その隣で、翼が羽ばたく音がした。
見ると、レティスが飛び立とうとしている。
そうか……もうお別れなのか。
「お、おお……神鳥よ。もう行ってしまうのか?」
『この世界は、もう心配ありません。私は、また新しい世界へと旅立ちます』
「……そうか。そなたにも世話になったのう……っと、そうじゃ! 大切な話が残っておったわい! わしとミーティアは、いったいいつになったら元の姿に戻れるんじゃろうか!」
トロデ王の姿を、レティスがじっと見つめる。
やがて彼女は答えた。
『……暗黒神の呪力は、もうほとんど消えかかっています。まもなく、自然と元の姿に戻るでしょう』
「おお、そうか!! それを聞いて安心したぞ!!」
僕も隣で安心した。
ラプソーンを倒したのに、城もお二人もこのままだったらどうしようかと、流石に少しは不安だったから。
そうなったら、ミーティアが夢の中で言っていたみたいに、そのままどこか旅に出るのもいいかな──なんて。
そう考えてしまうくらい、僕の心もすっかり弱ってしまっていたんだと思う。
さすがに今はもう、そんなこと考えないけど……。
「では、どこに行くのか知らんが、とにかく気を付けて行かれよ! ……と、神と呼ばれるそなたの世話を焼くのも、おかしなもんじゃがな」
『私は神ではありません。レティスという名前も、あなたたち人間がそう名付けただけのものです。私が生まれた世界では、違う名で呼ばれていました。そう、あの世界では、たしか……ラーミアと』
そうだったのか……。
あまりにも神聖な力を持っていたから、てっきり神の使いとか、そんなような存在なんだと思っていた。
でも、彼女にとっては、自分はただの不死鳥ラーミア。
そしてこの世界では、神鳥レティス。
次の世界で彼女は、なんという名前で呼ばれることになるんだろう。
『それでは行きます。さようなら、勇敢な人間たち。あなた達に出会えて良かった。レイラにも、そう伝えてください』
レティスがゆっくりと上昇していって、空へと浮かび上がっていく。
その時、袋の中から神鳥の魂が飛び出して、僕らに別れを告げるようにくるりと周囲を飛び回ると、レティスと一緒に遥か彼方の空へと飛び去っていった。
……なんだか、寂しくなってしまったな。
「……行ってしもうたか」
レティスに手を振っていたトロデ王が、やっぱり少し寂しそうに呟く。
そのお姿が、急にキラキラと輝き出した。
「……お、おっさんが! おっさんが光ってるでがす!」
「む? 馬鹿者めが。わしならいつだってギンギラギンに光っておるわい」
「……そうじゃねぇ! 自分の身体をよく見てみろって!」
「……む?」
トロデ王がご自分の身体を見渡す。
そうして強い光に包まれて──。
光が収まった時、そこには。
「おお……。こ、これは……! も、戻った……?」
ご自分の手を見つめて、それから手鏡で顔を確認する。
何度も顔に触れて、そうしてトロデ王は、ぴょんぴょんと飛び跳ねた。
「ぬおおおーっ!! 戻った!! 元の姿に戻ったわい!!」
ようやく見慣れた我らがトロデ王に戻ってくれた。
長かった……あの夜から、今日まで本当に。
本当に長かった。
「なんでぇ……。魔物の時と大して変わらねえじゃねぇか」
クスクスとヤンガスが笑う。
みんな敢えて口にしなかったことを……。
なんなら僕とレイラは旅の間ずっと思ってたことだったのに。
……魔物になってもそんなに変わらないなって。
「な、なんじゃと! お、お前さては、わしの本当の姿の格好良さにビビりおったな!?」
二人の間でバチバチと火花が散る。
なんだかそれも、旅に出たばかりの頃を思い出す。
あの時は「おかしなおっさん」呼ばわりされたトロデ王とヤンガスが、視線をバチバチ言わせてたんだっけ。
本当に長かった。
今は感想がそれしか出てこない。
でも、長い長い旅も、ようやく終わるんだと思うと……ちょっとだけ惜しいと思えるものだ。
