74章
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四人しかいない、二度目の決戦。
レイラが不在であるはずなのに、僕たちは苦戦と言えるほど苦戦はしていない。
「メラゾーマ!!」
威力の増したメラゾーマがラプソーンに落ちる。
ククールが恐ろしい威力の五月雨打ちを放って、さすがのラプソーンも痛そうに呻いた。
タンバリン三回分の威力だから、相当効いただろう。
前回の大敗から、僕たちは竜神王の元で修行を重ねた。
何度も心が折れかけたし、何度も竜の試練を辞めたくなった。
それでも諦めなかったのは、ラプソーンを倒して世界を平和にしたかったから。
そして何より、レイラにもう一度会いたかったからだ。
レイラを甦らせる──それだけが僕らのたった一つの願いだった。
あんな終わり方なんて認めたくなかった。
僕らがようやく掴んだ最後の希望が、試練の先にあるのなら、必ずそれを手に入れる。
その思いで、来る日も来る日も試練に挑んで、負け続けて、そうしてようやく六度の勝ちをもぎ取った。
そうして今、前回とは全く別物の強さへ成長した僕たちがいる。
ラプソーンも序盤のような余裕は鳴りを潜めていて、ありとあらゆる攻撃を仕掛けてくる。
けれどそれを受けてなお、僕らは誰一人として倒れていない。
『なぜだ! なぜ倒れぬ! 人間如きに耐えられる攻撃ではないはずだ!!』
「そりゃあ人間が耐えられるはずもない試練を、六度も潜り抜けて来たからな!!」
「私たちの強さだって化け物じみてるわよ!! あんたを倒せるなら、化け物上等だわ!!」
「てめぇを倒して姉貴を救えるんなら、アッシは人間だってやめてやらぁ!!」
「僕は元から半分人間じゃないけど──あの子を取り戻せるなら、この身が竜になったって構わない!!」
爆風を切り裂いて、はやぶさ斬りを叩き込む。
凍てつく波動がなんだっていうんだ。
元から攻撃の主体は僕とヤンガスで、ゼシカはサポートに徹してもらうほうが、立ち回りは上手くいく。
ククールは──タンバリン時々攻撃で充分だ!!
「俺の扱いはもう少しどうにかならねぇか?」
「今更なるわけないだろ!!」
「ちったぁ考えるふりくらいしろよな!?」
「いいからタンバリン叩きなさいよ!」
「だーもう!!」
タンバリンが鳴った直後、ヤンガスが蒼天魔斬を放つ。
ゼシカが賢者の石を振り翳して回復してくれて、ククールが矢を四本構えた。
「避けんなよ、全部食らえ!!」
五月雨打ちがすべてラプソーンに命中して、ラプソーンがいよいよ苦しそうになる。
終わりが近いと直感的に察して、その瞬間。
何を考えていたのか、自分でも分からない。
無意識にレティスの翼を蹴って、ラプソーンの頭上へ飛び上がっていた。
「いけぇ──!!」と三人の叫ぶ声。
竜神の剣とはぐれメタルの剣、二つを錬金して作り上げた、竜神王の剣が輝く。
「これで、とどめだ!!」
赤い雷光刃を纏ったそれを、ラプソーンに向かって振り下ろした。
「ギガブレイク!!!」
刃が暗黒神を貫く。
確かな手応えがあった。
レティスの翼へと着地した直後、ラプソーンが猛烈にもがき苦しみ、半狂乱で断末魔を上げる。
ラプソーンの体内から無数に光の筋が飛び出して、やがてラプソーンは絶叫を残したまま、大爆発と共に消滅した。
レティスが大急ぎでその場から飛び去って、僕らはそれを遠巻きに見やり──空に立ち込めていた暗雲が晴れ渡ったのを見て、武器を納めた。
……勝った。
勝てた、四人で、あの暗黒神に。
勝てたんだ……僕らは、勝った──勝てたんだ。
「や……やったぁー!! やったでがす!! やったでがす!!」
ヤンガスが両腕を上げて歓喜の声を叫んだ。
なんだか現実味がない……でも、僕らは成し遂げたんだ。
……レイラとの約束を、ようやく守れたんだ。
「ふう……。これでやっと、ポルクとマルクに報告できるわ。あと、サーベルト兄さんにも、ちゃんと報告しなきゃ……。私、自分の信じた道を進んで、ここまで来たのって」
「うん。きっとリーザス村の人達も、ゼシカの帰りを待ってるよ」
「……」
ククールやれやれというように前髪を掻き上げる。
この旅で一番変わったのは、ククールなんじゃないかと思うくらい、いつの間にか仲間思いになっていたカリスマ騎士は。
「……やれやれ。我ながらとんでもないところまで付き合わされたもんだな」
「そんなこと言って、最後までついて来てくれたのは、ククールの意思だったろ」
「……ったく、お前なぁ。少しは格好をつけさせろよ」
「今更何言ってんでぇ。ククールの性格なんて、アッシらはとっくにお見通しでがすよ」
ふん、とそっぽを向くククールの耳がほんのり赤い。
それもこれも、暗黒神を倒したという高揚感のせいだ。
これで……もう戦わなくていいんだよな、僕ら。
これからは平和な世界で生きていける。
それが何よりのご褒美に思えたけど──ああでも、やっぱり一年くらい休暇がほしいや。
「これできっと、馬姫様やおっさんも、元の姿に戻れるでがすね! 喜ぶ顔が目に浮かぶでげすよ! そういや、おっさんはこんなとき、いっつも急にどこからともなく現れるでがすが……。さすがのおっさんも、ここまでは来られないようでがす! わはははははは!」
そりゃ無理だろ、と的確なツッコミがククールから入って、僕とゼシカも大笑いしてしまった。
でもトロデ王なら、意外と空だって飛べたりして?
いくらなんでも流石にそれは無理だろうな。
『あなた達の仲間は、私の力で故郷の地へと送り届けてあります。ヤンガス、ゼシカ、ククール、そしてエイト。あなた達の強さと、何が起きても諦めない心。しっかりとこの瞳に刻みつけました。かつての八人の賢者の時もそうでした。あなたたち人間には、いつも驚かされます』
「ありがとうございます。……でも、僕らだけじゃない。レイラがいなかったら、僕らは暗黒神に挑むことだってできなかった。僕らの中で誰よりも頑張ってくれたレイラがいたから、僕らはラプソーンに勝てたんだと思います」
『ええ、そうですね。その通りです。あなた達の中で、レイラの存在が支えとなっていたこと。ヨシュアを知る私も、彼女の末裔があなた達の力になっていたことを、嬉しく思います。さあ、帰りましょう。あなた達の仲間が、首を長くして帰りを待っています』
「……はい!」
レティスが晴れ渡った大空の中を飛んでいく。
その時、僕の手の中に神鳥の杖が現れた。
慌てて握り締めた時、微かな気配を感じ取った。
……いる、この杖の中に、レイラの魂は残っている。
僕らの願いは、祈りは、確かに届いていたんだ。
レイラが不在であるはずなのに、僕たちは苦戦と言えるほど苦戦はしていない。
「メラゾーマ!!」
威力の増したメラゾーマがラプソーンに落ちる。
ククールが恐ろしい威力の五月雨打ちを放って、さすがのラプソーンも痛そうに呻いた。
タンバリン三回分の威力だから、相当効いただろう。
前回の大敗から、僕たちは竜神王の元で修行を重ねた。
何度も心が折れかけたし、何度も竜の試練を辞めたくなった。
それでも諦めなかったのは、ラプソーンを倒して世界を平和にしたかったから。
そして何より、レイラにもう一度会いたかったからだ。
レイラを甦らせる──それだけが僕らのたった一つの願いだった。
あんな終わり方なんて認めたくなかった。
僕らがようやく掴んだ最後の希望が、試練の先にあるのなら、必ずそれを手に入れる。
その思いで、来る日も来る日も試練に挑んで、負け続けて、そうしてようやく六度の勝ちをもぎ取った。
そうして今、前回とは全く別物の強さへ成長した僕たちがいる。
ラプソーンも序盤のような余裕は鳴りを潜めていて、ありとあらゆる攻撃を仕掛けてくる。
けれどそれを受けてなお、僕らは誰一人として倒れていない。
『なぜだ! なぜ倒れぬ! 人間如きに耐えられる攻撃ではないはずだ!!』
「そりゃあ人間が耐えられるはずもない試練を、六度も潜り抜けて来たからな!!」
「私たちの強さだって化け物じみてるわよ!! あんたを倒せるなら、化け物上等だわ!!」
「てめぇを倒して姉貴を救えるんなら、アッシは人間だってやめてやらぁ!!」
「僕は元から半分人間じゃないけど──あの子を取り戻せるなら、この身が竜になったって構わない!!」
爆風を切り裂いて、はやぶさ斬りを叩き込む。
凍てつく波動がなんだっていうんだ。
元から攻撃の主体は僕とヤンガスで、ゼシカはサポートに徹してもらうほうが、立ち回りは上手くいく。
ククールは──タンバリン時々攻撃で充分だ!!
「俺の扱いはもう少しどうにかならねぇか?」
「今更なるわけないだろ!!」
「ちったぁ考えるふりくらいしろよな!?」
「いいからタンバリン叩きなさいよ!」
「だーもう!!」
タンバリンが鳴った直後、ヤンガスが蒼天魔斬を放つ。
ゼシカが賢者の石を振り翳して回復してくれて、ククールが矢を四本構えた。
「避けんなよ、全部食らえ!!」
五月雨打ちがすべてラプソーンに命中して、ラプソーンがいよいよ苦しそうになる。
終わりが近いと直感的に察して、その瞬間。
何を考えていたのか、自分でも分からない。
無意識にレティスの翼を蹴って、ラプソーンの頭上へ飛び上がっていた。
「いけぇ──!!」と三人の叫ぶ声。
竜神の剣とはぐれメタルの剣、二つを錬金して作り上げた、竜神王の剣が輝く。
「これで、とどめだ!!」
赤い雷光刃を纏ったそれを、ラプソーンに向かって振り下ろした。
「ギガブレイク!!!」
刃が暗黒神を貫く。
確かな手応えがあった。
レティスの翼へと着地した直後、ラプソーンが猛烈にもがき苦しみ、半狂乱で断末魔を上げる。
ラプソーンの体内から無数に光の筋が飛び出して、やがてラプソーンは絶叫を残したまま、大爆発と共に消滅した。
レティスが大急ぎでその場から飛び去って、僕らはそれを遠巻きに見やり──空に立ち込めていた暗雲が晴れ渡ったのを見て、武器を納めた。
……勝った。
勝てた、四人で、あの暗黒神に。
勝てたんだ……僕らは、勝った──勝てたんだ。
「や……やったぁー!! やったでがす!! やったでがす!!」
ヤンガスが両腕を上げて歓喜の声を叫んだ。
なんだか現実味がない……でも、僕らは成し遂げたんだ。
……レイラとの約束を、ようやく守れたんだ。
「ふう……。これでやっと、ポルクとマルクに報告できるわ。あと、サーベルト兄さんにも、ちゃんと報告しなきゃ……。私、自分の信じた道を進んで、ここまで来たのって」
「うん。きっとリーザス村の人達も、ゼシカの帰りを待ってるよ」
「……」
ククールやれやれというように前髪を掻き上げる。
この旅で一番変わったのは、ククールなんじゃないかと思うくらい、いつの間にか仲間思いになっていたカリスマ騎士は。
「……やれやれ。我ながらとんでもないところまで付き合わされたもんだな」
「そんなこと言って、最後までついて来てくれたのは、ククールの意思だったろ」
「……ったく、お前なぁ。少しは格好をつけさせろよ」
「今更何言ってんでぇ。ククールの性格なんて、アッシらはとっくにお見通しでがすよ」
ふん、とそっぽを向くククールの耳がほんのり赤い。
それもこれも、暗黒神を倒したという高揚感のせいだ。
これで……もう戦わなくていいんだよな、僕ら。
これからは平和な世界で生きていける。
それが何よりのご褒美に思えたけど──ああでも、やっぱり一年くらい休暇がほしいや。
「これできっと、馬姫様やおっさんも、元の姿に戻れるでがすね! 喜ぶ顔が目に浮かぶでげすよ! そういや、おっさんはこんなとき、いっつも急にどこからともなく現れるでがすが……。さすがのおっさんも、ここまでは来られないようでがす! わはははははは!」
そりゃ無理だろ、と的確なツッコミがククールから入って、僕とゼシカも大笑いしてしまった。
でもトロデ王なら、意外と空だって飛べたりして?
いくらなんでも流石にそれは無理だろうな。
『あなた達の仲間は、私の力で故郷の地へと送り届けてあります。ヤンガス、ゼシカ、ククール、そしてエイト。あなた達の強さと、何が起きても諦めない心。しっかりとこの瞳に刻みつけました。かつての八人の賢者の時もそうでした。あなたたち人間には、いつも驚かされます』
「ありがとうございます。……でも、僕らだけじゃない。レイラがいなかったら、僕らは暗黒神に挑むことだってできなかった。僕らの中で誰よりも頑張ってくれたレイラがいたから、僕らはラプソーンに勝てたんだと思います」
『ええ、そうですね。その通りです。あなた達の中で、レイラの存在が支えとなっていたこと。ヨシュアを知る私も、彼女の末裔があなた達の力になっていたことを、嬉しく思います。さあ、帰りましょう。あなた達の仲間が、首を長くして帰りを待っています』
「……はい!」
レティスが晴れ渡った大空の中を飛んでいく。
その時、僕の手の中に神鳥の杖が現れた。
慌てて握り締めた時、微かな気配を感じ取った。
……いる、この杖の中に、レイラの魂は残っている。
僕らの願いは、祈りは、確かに届いていたんだ。
