73章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
──竜神王は、はっきり言ってラプソーンよりも強かった。
でも、六度目の竜神王の試練を終えたとき、ここに初めて来たときとは比べ物にならないくらい、自分たちが強くなってることを実感した。
「今までよく頑張ったな」
人の形に戻った竜神王が、微笑んでそう言う。
流石に六度目の試練は一筋縄、どころか本当に勝てる気がしなかったけど、僕らもやればできるもんだな……。
「最後の褒美だ」
もらったのは、竜神の剣。
でもどう見ても、はぐれメタルの剣よりは斬れ味が鈍い気がする。
これが本当に褒美……?
「それだけでは、その剣は真の力を発揮することは出来ん。人間界最強の剣と共に、それを錬金してこそ、その剣は真に生きる」
人間界最強の剣……それはもう持っている。
レイラが使っていた、はぐれメタルの剣だ。
あの子が甦ったとき、使える剣がなくなってしまうけど……。
でもラプソーンを倒すためだと言えば、レイラも納得してくれるはずだ。
「そして、もう一つ」
目の前に、白い宝珠が現れる。
それはふわりと浮いたまま、僕の手のひらに収まった。
白磁の陶器にも見えるけど、不思議な力は手のひらから伝わってくる。
「これは……」
「それは魂呼びの宝珠。魂呼びの儀式の時に、甦らせたい相手を強く思い浮かべるのだ。そうすれば、望んだ者が甦るであろう」
「ありがとうございます……!」
これで、やっと……やっとレイラを取り戻すことができる……!
そのために試練を戦い抜いてきたんだ。
ラプソーンを倒して、レイラと再会するために。
頷いた竜神王が、ふと空を見上げた。
ここは人間界と異なる世界にあるから、暗黒神の力は及ばない。
だけど彼らも、暗黒神が再び復活したことは聞き及んでいるみたいだった。
……人間界に偵察のような存在がいるのかもしれない。
「時間もあまりない。今日はこの里に泊まり、明日、再び暗黒神との決戦とするがよかろう」
「はい」
竜神王が、いつものように里まで送ってくれた。
「吉報を待っておるぞ──」と言い残した竜神王の姿が消えていく。
そうして竜神の剣を携えて戻ってきた僕らを、長老たちがお出迎えしてくれた。
「いよいよ暗黒神と戦うのじゃな。竜神王様にまで認められた勇者ならば、暗黒神とも互角に戦えよう」
「じゃが油断はするでないぞ。そなたたちの勝敗が、人間界の命運を左右するのじゃ。心してかかれ」
「はい。頑張ります」
会議場を出て、馬車に積んでいた錬金釜を取り出す。
蓋を開けて竜神の剣とはぐれメタルの剣を押し込み、蓋を被せた。
グツグツと釜が揺れて、やがて何かが完成する音。
取り出すと、それは竜神王を剣に生まれ変わっていた。
凄まじい切れ味を感じる。
これこそ最強の剣と呼ぶに相応しい。
おじいさんの家に帰ると、再び暗黒神と戦う僕達のために、使用人の方が豪勢な食事を振る舞ってくれた。
もちろんそれは、美味しいチーズ料理だ。
そのおかげで、この里に来たばかりの頃を思い出した。
あんなにも人間を毛嫌いしていた人たちが、今では僕らのことを応援してくれる。
僕の存在を認めなかった人たちが……僕を里の一員のように見てくれる。
まだまだ、竜神族と人間は理解し合うまでに時間がかかるのだと思う。
だけどその架け橋のような存在に僕がなれたとしたら、それはこの上なく嬉しいことだ。
人間と竜神族が手を取り合うようになれば、きっと天国で父さんと母さんも喜んでくれる気がした。
風呂も頂いて、後は寝るだけ、となった時、二階の部屋で布団を敷いたゼシカが、ふと気になったように僕に尋ねた。
「どうしてエイトは、レイラのことを好きになったの?」
「え?」
「確かにな。まぁ、幼馴染みだったからってのもあるだろうけど、それにしたってレイラに対して愛が重すぎるぞ」
「重い……でがすか? アッシにゃあ普通に見えやしたが……」
「普通じゃないわよ。少なくとも、あそこまで過保護になる必要はないじゃない? エイトったら、レイラのことを深窓の令嬢にする勢いだったもの」
「そ、そんなつもりはなかったんだけど……」
「でも怪我させたくなかったのは本当だろ? 近衛兵相手に怪我するな、なんてのは無茶苦茶だって、さすがの俺でも思うぞ」
二人にそう言われてしまうと、反論しようがない。
少しだけ口を閉ざして、過去の記憶を振り返る。
あれはお世辞にも楽しい記憶だとは言えないものだ。
だけど同時に、僕があの子にはっきりと恋をした瞬間でもあった。
「……昔、僕たちがまだ、小間使いだった頃。僕が仕事で失敗したことがあったんだ」
そう呟いて、僕は静かに語り出した。
どうして僕がレイラを好きになって、彼女の存在に縋ってしまうようになったのか。
そのきっかけとなった、楽しくもない物語を。
でも、六度目の竜神王の試練を終えたとき、ここに初めて来たときとは比べ物にならないくらい、自分たちが強くなってることを実感した。
「今までよく頑張ったな」
人の形に戻った竜神王が、微笑んでそう言う。
流石に六度目の試練は一筋縄、どころか本当に勝てる気がしなかったけど、僕らもやればできるもんだな……。
「最後の褒美だ」
もらったのは、竜神の剣。
でもどう見ても、はぐれメタルの剣よりは斬れ味が鈍い気がする。
これが本当に褒美……?
「それだけでは、その剣は真の力を発揮することは出来ん。人間界最強の剣と共に、それを錬金してこそ、その剣は真に生きる」
人間界最強の剣……それはもう持っている。
レイラが使っていた、はぐれメタルの剣だ。
あの子が甦ったとき、使える剣がなくなってしまうけど……。
でもラプソーンを倒すためだと言えば、レイラも納得してくれるはずだ。
「そして、もう一つ」
目の前に、白い宝珠が現れる。
それはふわりと浮いたまま、僕の手のひらに収まった。
白磁の陶器にも見えるけど、不思議な力は手のひらから伝わってくる。
「これは……」
「それは魂呼びの宝珠。魂呼びの儀式の時に、甦らせたい相手を強く思い浮かべるのだ。そうすれば、望んだ者が甦るであろう」
「ありがとうございます……!」
これで、やっと……やっとレイラを取り戻すことができる……!
そのために試練を戦い抜いてきたんだ。
ラプソーンを倒して、レイラと再会するために。
頷いた竜神王が、ふと空を見上げた。
ここは人間界と異なる世界にあるから、暗黒神の力は及ばない。
だけど彼らも、暗黒神が再び復活したことは聞き及んでいるみたいだった。
……人間界に偵察のような存在がいるのかもしれない。
「時間もあまりない。今日はこの里に泊まり、明日、再び暗黒神との決戦とするがよかろう」
「はい」
竜神王が、いつものように里まで送ってくれた。
「吉報を待っておるぞ──」と言い残した竜神王の姿が消えていく。
そうして竜神の剣を携えて戻ってきた僕らを、長老たちがお出迎えしてくれた。
「いよいよ暗黒神と戦うのじゃな。竜神王様にまで認められた勇者ならば、暗黒神とも互角に戦えよう」
「じゃが油断はするでないぞ。そなたたちの勝敗が、人間界の命運を左右するのじゃ。心してかかれ」
「はい。頑張ります」
会議場を出て、馬車に積んでいた錬金釜を取り出す。
蓋を開けて竜神の剣とはぐれメタルの剣を押し込み、蓋を被せた。
グツグツと釜が揺れて、やがて何かが完成する音。
取り出すと、それは竜神王を剣に生まれ変わっていた。
凄まじい切れ味を感じる。
これこそ最強の剣と呼ぶに相応しい。
おじいさんの家に帰ると、再び暗黒神と戦う僕達のために、使用人の方が豪勢な食事を振る舞ってくれた。
もちろんそれは、美味しいチーズ料理だ。
そのおかげで、この里に来たばかりの頃を思い出した。
あんなにも人間を毛嫌いしていた人たちが、今では僕らのことを応援してくれる。
僕の存在を認めなかった人たちが……僕を里の一員のように見てくれる。
まだまだ、竜神族と人間は理解し合うまでに時間がかかるのだと思う。
だけどその架け橋のような存在に僕がなれたとしたら、それはこの上なく嬉しいことだ。
人間と竜神族が手を取り合うようになれば、きっと天国で父さんと母さんも喜んでくれる気がした。
風呂も頂いて、後は寝るだけ、となった時、二階の部屋で布団を敷いたゼシカが、ふと気になったように僕に尋ねた。
「どうしてエイトは、レイラのことを好きになったの?」
「え?」
「確かにな。まぁ、幼馴染みだったからってのもあるだろうけど、それにしたってレイラに対して愛が重すぎるぞ」
「重い……でがすか? アッシにゃあ普通に見えやしたが……」
「普通じゃないわよ。少なくとも、あそこまで過保護になる必要はないじゃない? エイトったら、レイラのことを深窓の令嬢にする勢いだったもの」
「そ、そんなつもりはなかったんだけど……」
「でも怪我させたくなかったのは本当だろ? 近衛兵相手に怪我するな、なんてのは無茶苦茶だって、さすがの俺でも思うぞ」
二人にそう言われてしまうと、反論しようがない。
少しだけ口を閉ざして、過去の記憶を振り返る。
あれはお世辞にも楽しい記憶だとは言えないものだ。
だけど同時に、僕があの子にはっきりと恋をした瞬間でもあった。
「……昔、僕たちがまだ、小間使いだった頃。僕が仕事で失敗したことがあったんだ」
そう呟いて、僕は静かに語り出した。
どうして僕がレイラを好きになって、彼女の存在に縋ってしまうようになったのか。
そのきっかけとなった、楽しくもない物語を。
