71章
夢小説設定
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つまり、アルゴンリングをウィニアさんに贈る事ができるということは、エルトリオ王子はサザンビーク出身ということになるけど……。
そういえば、そんな話を聞いたような、聞いてないような……。
「……思い出したぞ! エルトリオは、あのクラビウス王の兄貴だ」
「え、そうなんでげすかい!? そりゃまた大物でがすなぁ」
「残念よね。エルトリオ王子はもう亡くなってるけど、もし生きていたら、人間と竜神族の夫婦が国王と王妃になってたってことじゃない? そうすると、ミーティア姫と結婚するのは、チャゴス王子じゃなかったかもしれないわね」
「あの姫様にとっちゃあ、そっちのほうがよかったかもしれないがな……」
なんとも言えない空気になりつつ、グルーノさんを探す。
玄関の右側にある部屋に、グルーノさんは座っていた。
でもなんて切り出したらいいか分からずにいると、グルーノさんが先に僕らを見つけて。
「……ふむ? どうやら、何か聞きたいことでもある様子じゃな? 話してみるがよいぞ」
「あ……えっと、その、長老さん達が、僕のことを知っているようなことを言っていて……それが気になって……」
「……なるほど。わしらがお前さんのことを古くから知っている様子なのが解せんとな?」
グルーノさんのそれに躊躇いつつも頷く。
僕には城に来るまでの記憶がないから、どうしてこの里の人達が僕を知っているのかは分からない。
だけどもし、忘れてしまった僕の人生の一部が、ここにあったんだとしたら──。
「まあ、お前さんが疑問に感じるのももっともじゃな。だが今はまだ待ってくれんか? とにかくまずは、竜神王様を正気に戻して、この里を救うことに集中してほしい。それが終わったら……その時は、全てを語ることを約束しよう」
「……分かりました」
お休みなさいと挨拶を残して、部屋を出る。
何も分からないままだったけど……竜神王を倒した時、その疑問は解ける。
……レイラには悪いことをしたかもしれない。
僕とレイラが背中を預けていられたのは、境遇が同じだったからだ。
城に来るまでの記憶がない、身元不明の孤児。
なのに僕だけが、その失った記憶の間に起きたことを知るかもしれなくて……。
「ともかく、今日はもう休もうぜ。どのみち明日にならなきゃ謎は解けないんだ」
「そうね。気になる話だけど、一旦は竜神王を倒すことに集中しましょう!」
「ん、そうだね」
二階に戻って、ベッドと床に敷かれた布団にそれぞれが寝転がる。
ベッドには僕が寝ることになって、みんなには申し訳なく思いつつ、横になることにした。
……レイラの顔が浮かんで、ぐっと目を強く閉じる。
君のことは、必ず……僕がどうにかしてみせるから──。
* * *
翌朝、目を覚ますと、外はすでに明るかった。
みんなもとっくに起きていたようで、最後に起きたのは僕だったようだ。
ああ駄目だな、これじゃあレイラに「寝坊助」って言われても、反論しようがないや。
「やあ。もう起きておったか。どうじゃ? 夕べはよく眠れたかな?」
「おはようございます。お陰様でぐっすりです」
「そうか。ならば体調万全ということじゃな。頼もしい限りじゃ。さて、今日はいよいよ天の祭壇へ赴くのじゃったな。迷宮への入口は、会議場の地下にある大扉の先じゃ。まずはそこまで参ろうぞ」
その前にみんなで朝食を食べるのが先じゃな、と言って、グルーノさんが階段を降りていく。
それに続いて部屋を出て一階に降りると、リビングで三人がすでに朝食をとっていた。
「あ、おはようエイト」
「やっと起きてきたか、寝坊助。ほら、さっさと食っちまえよ」
「今日は竜神王との戦いでげすぜ。たらふく食って力をつけておいたほうがいいでがす」
「うん」
もちろん食べすぎて動けない、なんてことにならない程度で済ませる必要はあるけれど。
朝食をしっかり頂いて、グルーノさんの家を出る。
それから昨日も訪れた会議場に入り、中の階段を降りて天の祭壇へ繋がっている大扉へ向かった。
大扉の前には、竜神族の青年がいる。
彼は僕らを見るとひとつ頷いて、扉の前からどいた。
「この扉の先は天の祭壇へと続く道。お前たちが来たら扉を開くように言われている。さあ、進むがよい。竜神王様は今も、祭壇の間にいらっしゃるはずだ」
「……はい」
大扉を開いて、みんなで天の祭壇へ向かおうとすると、グルーノさんが僕を呼び止めた。
何事かと振り返ると、グルーノさんは建物の中に留まって、こちらへ来ようとしない。
「竜神族であるわしは、竜神王様に近付けば体力を奪われてしまうだろう。ゆえにわしは、お前さんたちと一緒に行くことはできん。だがら我が心は常にお前さんたちと共にある。エイトたちが見事、竜神王様を正気に戻してくれること。わしは信じておるからな」
「はい。……行ってきます」
見送ってくれたグルーノさんに手を振って、祭壇へ続く道へと歩き出す。
僕らの背中で、会議場の扉がバタンと音を立てて閉まった。
そういえば、そんな話を聞いたような、聞いてないような……。
「……思い出したぞ! エルトリオは、あのクラビウス王の兄貴だ」
「え、そうなんでげすかい!? そりゃまた大物でがすなぁ」
「残念よね。エルトリオ王子はもう亡くなってるけど、もし生きていたら、人間と竜神族の夫婦が国王と王妃になってたってことじゃない? そうすると、ミーティア姫と結婚するのは、チャゴス王子じゃなかったかもしれないわね」
「あの姫様にとっちゃあ、そっちのほうがよかったかもしれないがな……」
なんとも言えない空気になりつつ、グルーノさんを探す。
玄関の右側にある部屋に、グルーノさんは座っていた。
でもなんて切り出したらいいか分からずにいると、グルーノさんが先に僕らを見つけて。
「……ふむ? どうやら、何か聞きたいことでもある様子じゃな? 話してみるがよいぞ」
「あ……えっと、その、長老さん達が、僕のことを知っているようなことを言っていて……それが気になって……」
「……なるほど。わしらがお前さんのことを古くから知っている様子なのが解せんとな?」
グルーノさんのそれに躊躇いつつも頷く。
僕には城に来るまでの記憶がないから、どうしてこの里の人達が僕を知っているのかは分からない。
だけどもし、忘れてしまった僕の人生の一部が、ここにあったんだとしたら──。
「まあ、お前さんが疑問に感じるのももっともじゃな。だが今はまだ待ってくれんか? とにかくまずは、竜神王様を正気に戻して、この里を救うことに集中してほしい。それが終わったら……その時は、全てを語ることを約束しよう」
「……分かりました」
お休みなさいと挨拶を残して、部屋を出る。
何も分からないままだったけど……竜神王を倒した時、その疑問は解ける。
……レイラには悪いことをしたかもしれない。
僕とレイラが背中を預けていられたのは、境遇が同じだったからだ。
城に来るまでの記憶がない、身元不明の孤児。
なのに僕だけが、その失った記憶の間に起きたことを知るかもしれなくて……。
「ともかく、今日はもう休もうぜ。どのみち明日にならなきゃ謎は解けないんだ」
「そうね。気になる話だけど、一旦は竜神王を倒すことに集中しましょう!」
「ん、そうだね」
二階に戻って、ベッドと床に敷かれた布団にそれぞれが寝転がる。
ベッドには僕が寝ることになって、みんなには申し訳なく思いつつ、横になることにした。
……レイラの顔が浮かんで、ぐっと目を強く閉じる。
君のことは、必ず……僕がどうにかしてみせるから──。
* * *
翌朝、目を覚ますと、外はすでに明るかった。
みんなもとっくに起きていたようで、最後に起きたのは僕だったようだ。
ああ駄目だな、これじゃあレイラに「寝坊助」って言われても、反論しようがないや。
「やあ。もう起きておったか。どうじゃ? 夕べはよく眠れたかな?」
「おはようございます。お陰様でぐっすりです」
「そうか。ならば体調万全ということじゃな。頼もしい限りじゃ。さて、今日はいよいよ天の祭壇へ赴くのじゃったな。迷宮への入口は、会議場の地下にある大扉の先じゃ。まずはそこまで参ろうぞ」
その前にみんなで朝食を食べるのが先じゃな、と言って、グルーノさんが階段を降りていく。
それに続いて部屋を出て一階に降りると、リビングで三人がすでに朝食をとっていた。
「あ、おはようエイト」
「やっと起きてきたか、寝坊助。ほら、さっさと食っちまえよ」
「今日は竜神王との戦いでげすぜ。たらふく食って力をつけておいたほうがいいでがす」
「うん」
もちろん食べすぎて動けない、なんてことにならない程度で済ませる必要はあるけれど。
朝食をしっかり頂いて、グルーノさんの家を出る。
それから昨日も訪れた会議場に入り、中の階段を降りて天の祭壇へ繋がっている大扉へ向かった。
大扉の前には、竜神族の青年がいる。
彼は僕らを見るとひとつ頷いて、扉の前からどいた。
「この扉の先は天の祭壇へと続く道。お前たちが来たら扉を開くように言われている。さあ、進むがよい。竜神王様は今も、祭壇の間にいらっしゃるはずだ」
「……はい」
大扉を開いて、みんなで天の祭壇へ向かおうとすると、グルーノさんが僕を呼び止めた。
何事かと振り返ると、グルーノさんは建物の中に留まって、こちらへ来ようとしない。
「竜神族であるわしは、竜神王様に近付けば体力を奪われてしまうだろう。ゆえにわしは、お前さんたちと一緒に行くことはできん。だがら我が心は常にお前さんたちと共にある。エイトたちが見事、竜神王様を正気に戻してくれること。わしは信じておるからな」
「はい。……行ってきます」
見送ってくれたグルーノさんに手を振って、祭壇へ続く道へと歩き出す。
僕らの背中で、会議場の扉がバタンと音を立てて閉まった。
