65章
夢小説設定
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あちらこちらから、嘆きの声が聞こえてくる。
そのどれもが私を恨んで、責めているようだった。
私があの時、迷いさえしなければ。
……こんなにも自分の臆病さを後悔したことはない。
犠牲になった人たちにどんなに謝っても、きっと許されることはないだろう。
「……レイラ。犠牲になった人たちの魂を、どうか導いてあげて……」
「……ゼシカ」
「みんな何を信じていけばいいか、分からなくなっていると思うの。女神像が暗黒神だったなんて、誰も思わなかったから……。だから……」
霊導の力は、ヨシュアが神から授かったもの。
私の存在が、神の存在証明になる。
……ここは聖地ゴルド、信仰の中心だった場所。
ここで私が霊導の力を使うことに、意味がある。
……それが、せめてもの贖罪になるのなら。
「……」
マルチェロさんがしがみついていた、神殿への道に進んで、そこに両膝をついて座り、そっと手を握り合わせて祈りを捧げる。
私の周囲に淡い光が溢れた。
「聖なる力よ、我が声に応えよ。この地に散った御霊を、霊導者の名のもとに、神の御許へと誘わん。願わくば、安らかに眠らんことを……」
祈りは光となって、聖地の大穴を覆う。
そうして光が幾筋も立ち上り、天に向かって昇っていった。
どうか何も恨まず、憎まず、安らかに眠ってください。
それでも私を許せないのならば、私の魂を地獄に落としてください。
私の罪を呪ってください。
私の価値を否定してください。
祈りを終えて目を開け、立ち上がる。
力を使い切ってふらつく体が、大穴へと傾いて──。
「危ないッ!!」
その身体を、誰かが掴んで引き戻した。
背中から地面に倒れ込んだせいで、後頭部をゴツンとぶつける。
痛みに悶絶していると、視界にエイトが見えた。
顔面蒼白なエイトは震える手で私を抱き起こして、縋るように抱き締めた。
「……あり、がと」
エイトが小さく頷いて、私を抱き上げる。
改めて聖地だった場所を見渡して、あまりの無惨さに、やっぱり言葉が出てこない。
聖地と呼ばれる場所にあった巨大な女神像に、暗黒神の肉体が封じられていた。
それだけでも信仰が揺らぐほどの大事件なのに、その暗黒神が復活してしまったのだから、いよいよこの世界は信仰を失ってしまいかねない。
……だからこそ、私の力をここで使うことが、必要だった。
「……神よ。あなたの祝福を受けた聖女の願いを聞き届けたまえ」
「聖女ヨシュアの力を受け継ぐお方。どうか、この地に散った者たちの魂を、父たる主の御許へお導きください……」
巡礼に訪れていた人たちや、法皇の就任式に立ち会おうとしていた人たちの祈りの声が、あちらこちらから聞こえてくる。
だけど私は、教会側の人間じゃない。
私はただ……私が送り続けてきた日常を取り戻したいと願う、ただの人間だ。
「……犠牲になった人たちの魂は、天へと導きました。私たちはもう行きます。……どうか私に代わって、亡くなった人たちへ祈りを捧げてください……」
どうにか答えた声は、自分でも驚くくらい疲れ果てていた。
目の前で起こったことに理解が追いついていないし、マルチェロさんと戦った傷も癒えていないのに、あの爆発に巻き込まれて生きているのが奇跡だ。
エイトが私を抱き抱えたまま、ゴルドの外へと歩いていく。
それを追いかけるようにヤンガスたちが続いて、私たちは崩壊した聖地ゴルドを後にした。
世界地図に置いた暗黒大樹の葉は、西の大陸辺りで動かなくなった。
そこに暗黒神ラプソーンがいるのだという。
おそらく、空に飛んだ城のような建物にいるんだ。
「ここまでくれば話は単純だわ。暗黒神ラプソーンを倒せばいいのよ」
「ああ、そうだ! もう杖もねぇ、宿主もねぇ。そうなりゃ、本体をやっつければ、二度と蘇らねぇはずでがす! あと一回。あいつに勝ちゃあ、世界は救われるんでがすよ! エイトの兄貴、レイラの姉貴!」
「……それに、あいつを倒せば、レイラが封印のために犠牲にならなくていい」
それは……そうなんだけど。
でも暗黒神ラプソーンは、八人の賢者の力をもってしても倒せなかった存在。
それを私たち五人だけで倒せるの?
「レイラと一緒に、これから先も生きていくためなら。僕は神だって殺すよ」
「エイト……」
「とにかく、今日はもう休もう。それで……明日、あの城に行く」
その方針に、異を唱える人は誰もいなかった。
誰もがあの城に乗り込んで、暗黒神を倒す気でいる。
それができるのは、私たちしかいない。
だけど……だけどもし、上手くいかなかったら?
私たちでさえ倒せなかったら、この世界は今度こそ終わる。
……その時は、ううん、その時こそ、私が。
自分の命に課された役目を果たす番だ。
そのどれもが私を恨んで、責めているようだった。
私があの時、迷いさえしなければ。
……こんなにも自分の臆病さを後悔したことはない。
犠牲になった人たちにどんなに謝っても、きっと許されることはないだろう。
「……レイラ。犠牲になった人たちの魂を、どうか導いてあげて……」
「……ゼシカ」
「みんな何を信じていけばいいか、分からなくなっていると思うの。女神像が暗黒神だったなんて、誰も思わなかったから……。だから……」
霊導の力は、ヨシュアが神から授かったもの。
私の存在が、神の存在証明になる。
……ここは聖地ゴルド、信仰の中心だった場所。
ここで私が霊導の力を使うことに、意味がある。
……それが、せめてもの贖罪になるのなら。
「……」
マルチェロさんがしがみついていた、神殿への道に進んで、そこに両膝をついて座り、そっと手を握り合わせて祈りを捧げる。
私の周囲に淡い光が溢れた。
「聖なる力よ、我が声に応えよ。この地に散った御霊を、霊導者の名のもとに、神の御許へと誘わん。願わくば、安らかに眠らんことを……」
祈りは光となって、聖地の大穴を覆う。
そうして光が幾筋も立ち上り、天に向かって昇っていった。
どうか何も恨まず、憎まず、安らかに眠ってください。
それでも私を許せないのならば、私の魂を地獄に落としてください。
私の罪を呪ってください。
私の価値を否定してください。
祈りを終えて目を開け、立ち上がる。
力を使い切ってふらつく体が、大穴へと傾いて──。
「危ないッ!!」
その身体を、誰かが掴んで引き戻した。
背中から地面に倒れ込んだせいで、後頭部をゴツンとぶつける。
痛みに悶絶していると、視界にエイトが見えた。
顔面蒼白なエイトは震える手で私を抱き起こして、縋るように抱き締めた。
「……あり、がと」
エイトが小さく頷いて、私を抱き上げる。
改めて聖地だった場所を見渡して、あまりの無惨さに、やっぱり言葉が出てこない。
聖地と呼ばれる場所にあった巨大な女神像に、暗黒神の肉体が封じられていた。
それだけでも信仰が揺らぐほどの大事件なのに、その暗黒神が復活してしまったのだから、いよいよこの世界は信仰を失ってしまいかねない。
……だからこそ、私の力をここで使うことが、必要だった。
「……神よ。あなたの祝福を受けた聖女の願いを聞き届けたまえ」
「聖女ヨシュアの力を受け継ぐお方。どうか、この地に散った者たちの魂を、父たる主の御許へお導きください……」
巡礼に訪れていた人たちや、法皇の就任式に立ち会おうとしていた人たちの祈りの声が、あちらこちらから聞こえてくる。
だけど私は、教会側の人間じゃない。
私はただ……私が送り続けてきた日常を取り戻したいと願う、ただの人間だ。
「……犠牲になった人たちの魂は、天へと導きました。私たちはもう行きます。……どうか私に代わって、亡くなった人たちへ祈りを捧げてください……」
どうにか答えた声は、自分でも驚くくらい疲れ果てていた。
目の前で起こったことに理解が追いついていないし、マルチェロさんと戦った傷も癒えていないのに、あの爆発に巻き込まれて生きているのが奇跡だ。
エイトが私を抱き抱えたまま、ゴルドの外へと歩いていく。
それを追いかけるようにヤンガスたちが続いて、私たちは崩壊した聖地ゴルドを後にした。
世界地図に置いた暗黒大樹の葉は、西の大陸辺りで動かなくなった。
そこに暗黒神ラプソーンがいるのだという。
おそらく、空に飛んだ城のような建物にいるんだ。
「ここまでくれば話は単純だわ。暗黒神ラプソーンを倒せばいいのよ」
「ああ、そうだ! もう杖もねぇ、宿主もねぇ。そうなりゃ、本体をやっつければ、二度と蘇らねぇはずでがす! あと一回。あいつに勝ちゃあ、世界は救われるんでがすよ! エイトの兄貴、レイラの姉貴!」
「……それに、あいつを倒せば、レイラが封印のために犠牲にならなくていい」
それは……そうなんだけど。
でも暗黒神ラプソーンは、八人の賢者の力をもってしても倒せなかった存在。
それを私たち五人だけで倒せるの?
「レイラと一緒に、これから先も生きていくためなら。僕は神だって殺すよ」
「エイト……」
「とにかく、今日はもう休もう。それで……明日、あの城に行く」
その方針に、異を唱える人は誰もいなかった。
誰もがあの城に乗り込んで、暗黒神を倒す気でいる。
それができるのは、私たちしかいない。
だけど……だけどもし、上手くいかなかったら?
私たちでさえ倒せなかったら、この世界は今度こそ終わる。
……その時は、ううん、その時こそ、私が。
自分の命に課された役目を果たす番だ。
