50章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
それから少し経った。
オオカミたちはこの結界に手も足も出ないと判断したのか、あれから襲ってくることはない。
私達も少しだけ結界の中で休むことにした。
「そういえば、あんた方。頼んでおいた袋は、グラッドの奴に渡してくれましたかな?」
「あ! そうだった! グラッドさん、メディさんのことを心配して、こっちに来ようとしてます!」
「なんと! グラッドが……? 心配するのはわしの役目じゃとばかり思っておったが……。そうか。あの子が……」
子供って、親の知らないところで成長してるものらしいからね。
グラッドさんだって、いつまでもお母さんであるメディさんに心配は掛けられないって思ったんだろう。
その心意気は買いだけど……。
(これだけダースウルフェンが押し寄せて来ている中、グラッドさんは無事に辿り着けるのかな……)
やっぱり様子を見に行くべきなのかもしれない。
エイトにそう聞こうとした時。
ものすごい音と共に、遺跡全体が大きく揺れた。
まるで隕石が落ちてきたみたいな……凄まじい衝撃だった。
聞こえてきたのは、山小屋がある方向だ。
「今の音は……?」
「ねぇ、外が……やけに明るいわ……」
「それにこのおぞましいまでの邪悪な気配……。どうも只事ではありませんな」
「私たちが見てきます。メディさんはここに居てください!」
胸騒ぎがする。
この気配、間違いない──レオパルドだ。
いや正確には、レオパルドを操っている暗黒神ラプソーンと言うべきか。
遺跡を飛び出した私たちの目の前で……山小屋が轟々と燃え盛っている。
そして遺跡の前には、おびただしい数のダースウルフェンが。
……この数は、さすがに私たちじゃ対処しきれない……。
ダースウルフェンたちの奥には──。
「……レオパルド。いや、ラプソーン!!」
「待った! レオパルドの足元、誰か倒れてるぞ!」
「あ、ありゃあ、グラッドの旦那でがすよ!!」
「……本当だ!! グラッドさん、グラッドさん!! 聞こえますか!?」
私の呼び掛けが聞こえたのか、グラッドさんが呻きながら顔を上げた。
その顔はボロボロで、さっきの攻撃に巻き込まれてしまったのだとすぐにピンと来た。
もしくは、それが目的であの一撃を放ったのかもしれない。
「す……すまない。君たちの後を追ってきたら、突然この黒犬に襲われて……」
「レオパルド! ラプソーン!? どっちでもいいけど、グラッドさんを離して!!」
『また貴様たちか……。どこまでもしつこい奴らよ。だが今は、貴様たちの相手をしている暇はない』
やはりあの不気味な声が、レオパルドから発せられた。
喉から声を出したのではなくて、周囲に響くような、超能力に近い声。
闇の遺跡での戦いからずっと、霊導の力を少しだけ使えるようにしたままだけど……。
あまりにも闇の力が濃くて、少しずつ気分が悪くなってきた。
『賢者の血を引きし者よ。観念して出てくるがよい。さもなくば、お前の血を引く者……この男の命はないと思え』
「なっ……! グラッドの旦那を人質にとるなんざ、そいつは卑怯だぜ、黒犬!!」
「やっぱりメディさんが狙いか……!」
「……か、母さん。出てきちゃ駄目だ! こいつは母さんの命を狙って……!!」
グラッドさんが声を張り上げて、メディさんへ叫ぶ。
その直後、レオパルドが杖の頭でグラッドさんの首を強く突いた。
グラッドさんの息が詰まり、激しく咳き込む。
「き、来ちゃ、駄目だ……」
絞り出した声を最後に、グラッドさんが気を失った。
だけど……だけど、このままじゃグラッドさんが殺される。
賢者の血はまだメディさんに引き継がれたままみたいだけど、いつまでも睨み合うわけにもいかない。
歯噛みしたその時……背後から、足音が聞こえてきた。
振り返ると、そこにはメディさんがいる。
「め、メディさん……」
「……ほう。これは驚いたね。わしを呼んでるようだから出てきてみれば、なんと相手が犬だったとは! じゃが、ただの犬ではないね。臭う、臭う……。この邪悪な臭気が、お前さんの正体を教えてくれるよ」
メディさんは、穏やかな雰囲気から想像もできないほど、険しい表情を浮かべていた。
遺跡に何があるのか分からないけど、メディさんはあの遺跡を守ってきた、賢者の末裔。
それなら、暗黒神ラプソーンのことももちろん、知っているはず。
『そこまで分かっているなら、我が望みも知っていよう。大人しくその命、我にささげよ』
「……フン。何にしても、まずは人質を解放することじゃね。話はそれからだよ」
レオパルドとメディさんの睨み合いが続く。
先に言葉を発したのは、レオパルド……ラプソーンだった。
『……お前には何一つ要求する自由はない。黙ってこちらへ来るのだ』
「……やれやれ。さすが獣の姿をしているだけあって、聞き分けのない奴だね。……いいだろう。今そっちに行ってあげるよ」
「え!? そ、そんな、駄目ですメディさん……!!」
「あの犬は僕らが倒します、だから……」
止めようとするエイトの右手を取り、メディさんは何かを握らせた。
それは……鍵。
全ての扉を開くことができる──最後の鍵。
はっとエイトがメディさんを見やる。
炎に包まれた山小屋を背に、メディさんは微笑んでいた。
オオカミたちはこの結界に手も足も出ないと判断したのか、あれから襲ってくることはない。
私達も少しだけ結界の中で休むことにした。
「そういえば、あんた方。頼んでおいた袋は、グラッドの奴に渡してくれましたかな?」
「あ! そうだった! グラッドさん、メディさんのことを心配して、こっちに来ようとしてます!」
「なんと! グラッドが……? 心配するのはわしの役目じゃとばかり思っておったが……。そうか。あの子が……」
子供って、親の知らないところで成長してるものらしいからね。
グラッドさんだって、いつまでもお母さんであるメディさんに心配は掛けられないって思ったんだろう。
その心意気は買いだけど……。
(これだけダースウルフェンが押し寄せて来ている中、グラッドさんは無事に辿り着けるのかな……)
やっぱり様子を見に行くべきなのかもしれない。
エイトにそう聞こうとした時。
ものすごい音と共に、遺跡全体が大きく揺れた。
まるで隕石が落ちてきたみたいな……凄まじい衝撃だった。
聞こえてきたのは、山小屋がある方向だ。
「今の音は……?」
「ねぇ、外が……やけに明るいわ……」
「それにこのおぞましいまでの邪悪な気配……。どうも只事ではありませんな」
「私たちが見てきます。メディさんはここに居てください!」
胸騒ぎがする。
この気配、間違いない──レオパルドだ。
いや正確には、レオパルドを操っている暗黒神ラプソーンと言うべきか。
遺跡を飛び出した私たちの目の前で……山小屋が轟々と燃え盛っている。
そして遺跡の前には、おびただしい数のダースウルフェンが。
……この数は、さすがに私たちじゃ対処しきれない……。
ダースウルフェンたちの奥には──。
「……レオパルド。いや、ラプソーン!!」
「待った! レオパルドの足元、誰か倒れてるぞ!」
「あ、ありゃあ、グラッドの旦那でがすよ!!」
「……本当だ!! グラッドさん、グラッドさん!! 聞こえますか!?」
私の呼び掛けが聞こえたのか、グラッドさんが呻きながら顔を上げた。
その顔はボロボロで、さっきの攻撃に巻き込まれてしまったのだとすぐにピンと来た。
もしくは、それが目的であの一撃を放ったのかもしれない。
「す……すまない。君たちの後を追ってきたら、突然この黒犬に襲われて……」
「レオパルド! ラプソーン!? どっちでもいいけど、グラッドさんを離して!!」
『また貴様たちか……。どこまでもしつこい奴らよ。だが今は、貴様たちの相手をしている暇はない』
やはりあの不気味な声が、レオパルドから発せられた。
喉から声を出したのではなくて、周囲に響くような、超能力に近い声。
闇の遺跡での戦いからずっと、霊導の力を少しだけ使えるようにしたままだけど……。
あまりにも闇の力が濃くて、少しずつ気分が悪くなってきた。
『賢者の血を引きし者よ。観念して出てくるがよい。さもなくば、お前の血を引く者……この男の命はないと思え』
「なっ……! グラッドの旦那を人質にとるなんざ、そいつは卑怯だぜ、黒犬!!」
「やっぱりメディさんが狙いか……!」
「……か、母さん。出てきちゃ駄目だ! こいつは母さんの命を狙って……!!」
グラッドさんが声を張り上げて、メディさんへ叫ぶ。
その直後、レオパルドが杖の頭でグラッドさんの首を強く突いた。
グラッドさんの息が詰まり、激しく咳き込む。
「き、来ちゃ、駄目だ……」
絞り出した声を最後に、グラッドさんが気を失った。
だけど……だけど、このままじゃグラッドさんが殺される。
賢者の血はまだメディさんに引き継がれたままみたいだけど、いつまでも睨み合うわけにもいかない。
歯噛みしたその時……背後から、足音が聞こえてきた。
振り返ると、そこにはメディさんがいる。
「め、メディさん……」
「……ほう。これは驚いたね。わしを呼んでるようだから出てきてみれば、なんと相手が犬だったとは! じゃが、ただの犬ではないね。臭う、臭う……。この邪悪な臭気が、お前さんの正体を教えてくれるよ」
メディさんは、穏やかな雰囲気から想像もできないほど、険しい表情を浮かべていた。
遺跡に何があるのか分からないけど、メディさんはあの遺跡を守ってきた、賢者の末裔。
それなら、暗黒神ラプソーンのことももちろん、知っているはず。
『そこまで分かっているなら、我が望みも知っていよう。大人しくその命、我にささげよ』
「……フン。何にしても、まずは人質を解放することじゃね。話はそれからだよ」
レオパルドとメディさんの睨み合いが続く。
先に言葉を発したのは、レオパルド……ラプソーンだった。
『……お前には何一つ要求する自由はない。黙ってこちらへ来るのだ』
「……やれやれ。さすが獣の姿をしているだけあって、聞き分けのない奴だね。……いいだろう。今そっちに行ってあげるよ」
「え!? そ、そんな、駄目ですメディさん……!!」
「あの犬は僕らが倒します、だから……」
止めようとするエイトの右手を取り、メディさんは何かを握らせた。
それは……鍵。
全ての扉を開くことができる──最後の鍵。
はっとエイトがメディさんを見やる。
炎に包まれた山小屋を背に、メディさんは微笑んでいた。
