49章
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町長さんのご自宅は、正円を描く町の中心にあった。
町の中心に出るほうのドアを開けると、外はこれまた雪が積もっていて、町長さんの家の周りの池が綺麗に凍っている。
ご自宅にお邪魔してみると、中には町長さんとその奥様がいらっしゃった。
「すみません、グラッドさんという男性を探しているんですけど……。どちらにお住まいかご存知ですか?」
「薬師のグラッドなら、私が貸した部屋に住んでいるが……」
「それってどうやって行けばいいですかね? ちょっと用がありまして……」
「それなら、我が家の地下室から出て、地下通路を右へ右へと曲がっていった突き当たりにあるのが彼の部屋だ。どういう知り合いかは知らんが、知人が訪ねてきたなら彼も喜ぶだろう。訪ねてみるといい」
「あ、ありがとうございます……」
知り合いとかではないんだけど、まぁいいか。
おうちの地下室に降りて、そこから地下通路へと出る。
そこはどこまでも回廊が続いていた。
至る所に曲がり角があって、何が何だか分からない。
町長さんの言う通り、右へ右へと進んでみるか。
……ということで進んできたわけだけど、全く同じ景色が続くせいで、自分たちが今どこを歩いているのかさっぱり分からなくなった。
「ここはどこでがすか?」
「グラッドさんのお部屋って……どこだっけ」
「私に聞かれても困るわよ。初めて来たのは同じなんだから」
「こんなところで迷子は冗談だろ? 格好悪いにも程があるぜ」
「うーん……これは人に聞いた方が早くないかなあ」
私がそう言うと、みんなも頷いてくれた。
すぐ近くの分かれ道に立っていた人に、グラッドさんのお部屋を訪ねてみると。
「この廊下をまっすぐ行った突き当たりがグラッドの部屋だよ」
「アッ、めちゃくちゃ近くまで来てたんだ!!」
「良かった……迷ってなかった……」
「迷ってはいたんじゃない?」
「迷ってはいたぞ」
ゼシカとククールにやはりツッコミを入れられ、エイトは恥ずかしそうに小さく咳払いをした。
本人的には迷ってる判定じゃなかったらしい。
「グラッドさん、ずっと昔からここに住んでるんですか?」
「いや、何年か前、この町へふらっとやってきたあいつに、町長が部屋を貸してやったんだ。……そういえばあいつ、ここに来る前はどこに住んでたんだろうな?」
そんなに不思議な人なのか……。
そりゃメディさんが私たちに頼み事をするわけだ。
薬師だって言ってたし、メディさんの同業者なのかな?
廊下をまっすぐ行った先にあるドアをノックしてみる。
「グラッドさーん」
何度かノックしてみるものの、返事がない。
ドアの鍵は開いていたので、そっとお部屋にお邪魔することにした。
お部屋の中には、大きな釜が一つ。
釜には、下にある囲炉裏から火がかけられていて、中で何かがグツグツ言っていた。
「えー……お留守かなぁ?」
「どうやら出掛けてるようでがすな」
「出直したほうがよさそうだな」
「そうだね……」
お部屋のドアを閉めて、来た道を引き返す。
右に右にとやってきたので、今度は左に左にと曲がって帰れば、無事に町長さんのおうちの地下室に戻ってこられた。
地下通路、一回でも迷ったら二度と出てこられない気がする。
「おお、先程の。グラッドには会えたか?」
「あ、いえ。お留守だったみたいで。また明日、出直してきます」
町長さんに小さく頭を下げて、私たちはおうちを後にした。
さぁて、そうとなればやることは一つだ。
「俺は宿屋を押さえてくる」
「アッシはレオパルドの情報がないか、酒場で聞いてきやす」
「あ、私も行くわ」
「じゃあ私も……」
「レイラはエイトとデートしてなさい」
「滅多に二人きりになれないんだから、こういう時くらいは存分にイチャついとけ」
「気が済んだら酒場で会いましょうや、兄貴、姉貴!」
空気を読んだかのように三人がオークニスの内部へ消えていった。
そこまでされると逆に恥ずかしいんだけどなー!
でも二人きりにされちゃったしなー!!
「それじゃあ……」
「あ、う、うん……」
エイトと手を繋いで、ザクザクと雪を踏み締める。
やはり極寒の雪国というだけあって、人の姿はほとんど見えない。
遊んでいるのも小さい子がちらほらだ。
やっぱり子供は風の子だな……。
「あ、雪だるま」
「ほんとだ、可愛い」
「トロデーンは雪が降ったりしないから、新鮮だね」
「ね! 姫様も内心でははしゃいでたりして」
「そうかもしれないなぁ。ミーティア姫はああ見えて、好奇心が強いほうだし」
「好奇心の強さなら負けてないよ」
「そこで張り合わない。本当にレイラと姫は似た者同士なんだから……」
そりゃあ十年来の幼馴染みだし、姫様を連れ回した張本人といえば私だし。
同じくらい姫様に連れ回されたから、似た者同士なのは間違いない。
なので好奇心の塊とも言える私が、氷の上に立とうものなら──。
「エイトエイトー! ここスケートで遊べるみたいになってるよー!」
「えっ、怪我だけはしないでよ!?」
「へーきへーき! これでも元近衛──ギャンッ」
小さい子に混じって滑ってみたらら案の定こけて氷の上から逸れ、雪の中に頭から突っ込んだ。
何が平気だったんだろ、自分で悲しくなってきたな。
いけると思ったんだよ本当に、スケートなんかやったことないのに。
「あいったたた……」
「ちょっ、大丈夫!? 怪我してない!?」
「大げさだなー。どこも怪我してないよ、氷の上だし」
身体についた雪を払って立ち上がる。
雪の上に立って私に手を伸ばすエイトの手を握って、思いっきりこっちに引き寄せた。
「えッ」と上擦った声と共に、エイトが氷の上でステーンとすっ転ぶ。
「ぶっくっくっ……」
「……レイラ!!」
「ご、ごめっ、そんな派手に転ぶと思わなっ……」
申し訳ないけど面白すぎる。
エイトってなんかこう、持ってるよね。
はーやれやれと笑い疲れて、氷の上から雪の上へと戻る。
面白かったけど、もうやるまい。
雪が音を吸ってしまうのか、人がいないからか、町の内部はとても静かだ。
どんよりと曇った空からは、しんしんと雪が降り続いている。
「レオパルド……どこにいるんだろ」
「北の方に来たことだけは分かってるんだけど……」
「また誰かが死ぬ前に、止めなきゃ。何としても」
「うん……そうだね」
エイトの優しい手が、私の頭をゆっくりと撫でていった。
気負うなと言いたいんだろうか。
別にそんなつもりはなくて……ただ、世界の危険に気付いているのが私たちだけだから、私たちが動かないといけないだけだ。
まさか城に封印されていた杖が、そんなとんでもない代物だとは思わなかったもん。
なんだってそんな、世界の命運なんか背負ってるんだろうな、私たち。
町の中心に出るほうのドアを開けると、外はこれまた雪が積もっていて、町長さんの家の周りの池が綺麗に凍っている。
ご自宅にお邪魔してみると、中には町長さんとその奥様がいらっしゃった。
「すみません、グラッドさんという男性を探しているんですけど……。どちらにお住まいかご存知ですか?」
「薬師のグラッドなら、私が貸した部屋に住んでいるが……」
「それってどうやって行けばいいですかね? ちょっと用がありまして……」
「それなら、我が家の地下室から出て、地下通路を右へ右へと曲がっていった突き当たりにあるのが彼の部屋だ。どういう知り合いかは知らんが、知人が訪ねてきたなら彼も喜ぶだろう。訪ねてみるといい」
「あ、ありがとうございます……」
知り合いとかではないんだけど、まぁいいか。
おうちの地下室に降りて、そこから地下通路へと出る。
そこはどこまでも回廊が続いていた。
至る所に曲がり角があって、何が何だか分からない。
町長さんの言う通り、右へ右へと進んでみるか。
……ということで進んできたわけだけど、全く同じ景色が続くせいで、自分たちが今どこを歩いているのかさっぱり分からなくなった。
「ここはどこでがすか?」
「グラッドさんのお部屋って……どこだっけ」
「私に聞かれても困るわよ。初めて来たのは同じなんだから」
「こんなところで迷子は冗談だろ? 格好悪いにも程があるぜ」
「うーん……これは人に聞いた方が早くないかなあ」
私がそう言うと、みんなも頷いてくれた。
すぐ近くの分かれ道に立っていた人に、グラッドさんのお部屋を訪ねてみると。
「この廊下をまっすぐ行った突き当たりがグラッドの部屋だよ」
「アッ、めちゃくちゃ近くまで来てたんだ!!」
「良かった……迷ってなかった……」
「迷ってはいたんじゃない?」
「迷ってはいたぞ」
ゼシカとククールにやはりツッコミを入れられ、エイトは恥ずかしそうに小さく咳払いをした。
本人的には迷ってる判定じゃなかったらしい。
「グラッドさん、ずっと昔からここに住んでるんですか?」
「いや、何年か前、この町へふらっとやってきたあいつに、町長が部屋を貸してやったんだ。……そういえばあいつ、ここに来る前はどこに住んでたんだろうな?」
そんなに不思議な人なのか……。
そりゃメディさんが私たちに頼み事をするわけだ。
薬師だって言ってたし、メディさんの同業者なのかな?
廊下をまっすぐ行った先にあるドアをノックしてみる。
「グラッドさーん」
何度かノックしてみるものの、返事がない。
ドアの鍵は開いていたので、そっとお部屋にお邪魔することにした。
お部屋の中には、大きな釜が一つ。
釜には、下にある囲炉裏から火がかけられていて、中で何かがグツグツ言っていた。
「えー……お留守かなぁ?」
「どうやら出掛けてるようでがすな」
「出直したほうがよさそうだな」
「そうだね……」
お部屋のドアを閉めて、来た道を引き返す。
右に右にとやってきたので、今度は左に左にと曲がって帰れば、無事に町長さんのおうちの地下室に戻ってこられた。
地下通路、一回でも迷ったら二度と出てこられない気がする。
「おお、先程の。グラッドには会えたか?」
「あ、いえ。お留守だったみたいで。また明日、出直してきます」
町長さんに小さく頭を下げて、私たちはおうちを後にした。
さぁて、そうとなればやることは一つだ。
「俺は宿屋を押さえてくる」
「アッシはレオパルドの情報がないか、酒場で聞いてきやす」
「あ、私も行くわ」
「じゃあ私も……」
「レイラはエイトとデートしてなさい」
「滅多に二人きりになれないんだから、こういう時くらいは存分にイチャついとけ」
「気が済んだら酒場で会いましょうや、兄貴、姉貴!」
空気を読んだかのように三人がオークニスの内部へ消えていった。
そこまでされると逆に恥ずかしいんだけどなー!
でも二人きりにされちゃったしなー!!
「それじゃあ……」
「あ、う、うん……」
エイトと手を繋いで、ザクザクと雪を踏み締める。
やはり極寒の雪国というだけあって、人の姿はほとんど見えない。
遊んでいるのも小さい子がちらほらだ。
やっぱり子供は風の子だな……。
「あ、雪だるま」
「ほんとだ、可愛い」
「トロデーンは雪が降ったりしないから、新鮮だね」
「ね! 姫様も内心でははしゃいでたりして」
「そうかもしれないなぁ。ミーティア姫はああ見えて、好奇心が強いほうだし」
「好奇心の強さなら負けてないよ」
「そこで張り合わない。本当にレイラと姫は似た者同士なんだから……」
そりゃあ十年来の幼馴染みだし、姫様を連れ回した張本人といえば私だし。
同じくらい姫様に連れ回されたから、似た者同士なのは間違いない。
なので好奇心の塊とも言える私が、氷の上に立とうものなら──。
「エイトエイトー! ここスケートで遊べるみたいになってるよー!」
「えっ、怪我だけはしないでよ!?」
「へーきへーき! これでも元近衛──ギャンッ」
小さい子に混じって滑ってみたらら案の定こけて氷の上から逸れ、雪の中に頭から突っ込んだ。
何が平気だったんだろ、自分で悲しくなってきたな。
いけると思ったんだよ本当に、スケートなんかやったことないのに。
「あいったたた……」
「ちょっ、大丈夫!? 怪我してない!?」
「大げさだなー。どこも怪我してないよ、氷の上だし」
身体についた雪を払って立ち上がる。
雪の上に立って私に手を伸ばすエイトの手を握って、思いっきりこっちに引き寄せた。
「えッ」と上擦った声と共に、エイトが氷の上でステーンとすっ転ぶ。
「ぶっくっくっ……」
「……レイラ!!」
「ご、ごめっ、そんな派手に転ぶと思わなっ……」
申し訳ないけど面白すぎる。
エイトってなんかこう、持ってるよね。
はーやれやれと笑い疲れて、氷の上から雪の上へと戻る。
面白かったけど、もうやるまい。
雪が音を吸ってしまうのか、人がいないからか、町の内部はとても静かだ。
どんよりと曇った空からは、しんしんと雪が降り続いている。
「レオパルド……どこにいるんだろ」
「北の方に来たことだけは分かってるんだけど……」
「また誰かが死ぬ前に、止めなきゃ。何としても」
「うん……そうだね」
エイトの優しい手が、私の頭をゆっくりと撫でていった。
気負うなと言いたいんだろうか。
別にそんなつもりはなくて……ただ、世界の危険に気付いているのが私たちだけだから、私たちが動かないといけないだけだ。
まさか城に封印されていた杖が、そんなとんでもない代物だとは思わなかったもん。
なんだってそんな、世界の命運なんか背負ってるんだろうな、私たち。
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