48章
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それにしても、陛下がバフを呼んできてくれて助かった。
雪の中に埋まったままだったら、絶対にみんな死んでたと思う。
しかしバフもバフで、よく私たちが埋まってる場所が分かったな。
「お前たちが雪崩に飲み込まれた後、わしはこの山小屋を見つけ、大慌てで助けを求めたのじゃ。なのにそこがばあさんの一人暮らしの家だと分かった時には、正直もう駄目かと諦めかけたな」
「そこは諦めないでほしかったんですが……?」
「しかし運の良い事に、そこで寝とる犬は、雪の中から人を見つけだす名人……いや名犬じゃった。おかげで全員を掘り出し、無事ここまで運んでくることができたというわけじゃ。全てはこの山小屋を見つけ、助けを求めたわしの機転のおかげじゃな。感謝するがよいぞ」
「ありがとうございました……」
最後の一言さえなければ、素直に感謝できたのに、陛下ってばやっぱり一言余計なんだから……。
いやもう、何も言うまい。
出会った時から陛下はこんな感じだったし、今更だよ、今更。
「ねぇゼシカ、コップの中の薬湯って何が入ってるの?」
「これ? これに入ってるハーブはヌーク草っていって、身体を温めて寒さに強くなる効果があるんだって。ちょっと辛いけど、なかなかいけるわよ」
「の、飲めるかな……」
辛いの苦手なんだよな、大丈夫かな。
背に腹はかえられない……!
寒さで震えるくらいなら、薬湯くらい飲んでみせらぁっ!!
多少の気合いが必要なのは否めないけど!!
「さあ、あんたはお嬢さんの隣の席にお座りなされ。今、薬湯を持っていきますからな」
「あ、はい」
ゼシカの隣……いわゆるお誕生日席に座って、薬湯を待つ。
メディさんが私の前に薬湯の入ったコップを置いてくれたので、お礼を一言添えて受け取った。
た、確かに辛そうな赤色だなぁ……。
ほわほわと湯気の立つマグカップに入っていい色じゃない気がする……。
気後れする私をよそに、メディさんは陛下のお隣に座った。
「さあ、飲んでくだされ。このヌーク草の薬湯さえ飲んでおけば、雪国の寒さも気にならなくなりますぞ」
「ありがとうございます。いただきます」
覚悟を決めて、いざひと口!
……あ、思ったほど辛くないかも。
ピリリと舌先に刺激はあるけど、飲めない程じゃない。
どうせ出来たてで熱いから、ちびちびしか飲めないし、みんなの話を聞きながらゆっくり飲もう。
「この薬湯すごいよな。全然冷めねえよ、身体が」
「助かります、僕たちはしばらくこの雪国に用がありましたから」
「この草はヌーク草と言いましてな、この地方にしか生えない薬草ですじゃ。それをすりつぶしてお湯で抽出すれば、薬湯の完成ですじゃな」
「なるほど、この地方特有の薬湯というわけですね……。改めて、助けていただいてありがとうございました。私はレイラ・ロアナスといいます」
「あ、僕はエイトです」
「ゼシカ・アルバートよ」
「俺はククールだ」
「アッシはヤンガスでがす」
あ、みんな自己紹介してなかったのね。
何となくタイミングを逃してたのかな、だったらちょうど良かったかも。
少しずつ飲んでいるだけでも、足先からぽかぽかしてくる。
これがあれば、確かに雪の寒さもへっちゃらかも。
「雪崩から助けてもらい、一夜の宿を貸してもらい……。何から何まで世話になりますのう」
「それにしても、バアさんもこんな怪しいのが助けを求めてきたのに、よく信用する気になったもんだよな」
「この山賊崩れが! 貴様にだけは怪しいのとか言われたくないぞ!」
「ああもう、また言い合いになる!」
「……トロデ王。話し合いでしたら外でお願いしますね」
エイトの静かな一言で、トロデ王は椅子に座り直した。
まさかエイトのたった一言で言い合いが終結するとは……。
これぞ鶴の一声ってやつだな……。
「確かに変わった姿の人だとは思いましたがねぇ……。この歳になると、人の容姿など気にならなくなりますな。まあ、こんな人のいない雪山で困っている人がいれば、相手が誰でも助けますわい」
な、なんていい人……!
こんなに良い人がいるなんて、世の中捨てたもんじゃないな!
こんな見ず知らずの旅人を助けてくれる人、姫様とエイト以外にもいるんだなあ。
「そういえば、どうしておばあさんは、山奥に一人で暮らしてるんですか?」
「この家の裏手には古い遺跡がありましてな。先祖代々、わしの家系はそれをお守りしてきたのですじゃ。しかしその役目も、わしの代で終わることになるでしょうな。跡を継ぐ者もおりませんでのう」
「そうなんですか。でも役目とはいえ、一人暮らしはご苦労も多いでしょう?」
「いやいや、気楽なもんですわい。子供の時から慣れ親しんだ土地だし、苦労など感じたことはないですじゃ。それに、時にはこうして雪山に迷った人が訪ねてくれるので、寂しくもありませんしな」
そうは言うけど、こんな雪深い地方でおばあさんの一人暮らしは、何かあった時が心配だなぁ。
近くに他の家もないし、いざという時に助けてくれる当てはあるんだろうか。
でも遺跡を守らなきゃいけないから、他の場所に移り住むことはできないのか。
「ところでメディさん。実はそのことで、ひとつ聞きたいことがあるんだよ。俺たちは大きな黒犬が、この雪国の方へ逃げたという噂を聞きつけて追ってきたんだ。もしかしたら、奴はこの近くを通ったかもしれない。何か心当たりはないもんかな?」
「……はて? 大きな犬といえば、うちのバフくらいしか思い当たりませんのう。お役に立てず申し訳ない。しかし探し物なら、人の多い所で聞き込みされるのがよいでしょうな。この山を下って北へ向かうと、オークニスなる町がありますのじゃ。犬探しは、そこでしてはどうですかな?」
「なるほど、道理じゃな。よし! エイト、レイラよ。次はその町へ向かうことにするぞ」
「ほっほっほ。お気の早いことで。いずれにしてもまず、この吹雪が止みませんとな。……さて、夜も更けてきましたし、そろそろ休まれてはどうですじゃ? 明日の朝には吹雪も止むでしょうから、オークニスへは明朝、向かわれるがよろしかろう」
「うむ、メディ殿の言う通りじゃな。よし! 今日のところはお言葉に甘えて、休むことにしよう」
「……今って夜だったんだ」
「時間の感覚が狂うよね、分かるよ」
朝か昼だと思ってた。
真夜中だったのか……道理で外が真っ暗なはずだよ。
薬湯を飲み終えた私たちは、メディさんのお言葉に甘えて、先程の部屋で休ませてもらうことにした。
ハワード邸での事件が終わってから休みなしでここまで来たから、身体だけじゃなくて精神的にも疲労が溜まっている気がする。
一番端からヤンガスのイビキが聞こえてくる中、私もそっと目を閉じた。
雪の中に埋まったままだったら、絶対にみんな死んでたと思う。
しかしバフもバフで、よく私たちが埋まってる場所が分かったな。
「お前たちが雪崩に飲み込まれた後、わしはこの山小屋を見つけ、大慌てで助けを求めたのじゃ。なのにそこがばあさんの一人暮らしの家だと分かった時には、正直もう駄目かと諦めかけたな」
「そこは諦めないでほしかったんですが……?」
「しかし運の良い事に、そこで寝とる犬は、雪の中から人を見つけだす名人……いや名犬じゃった。おかげで全員を掘り出し、無事ここまで運んでくることができたというわけじゃ。全てはこの山小屋を見つけ、助けを求めたわしの機転のおかげじゃな。感謝するがよいぞ」
「ありがとうございました……」
最後の一言さえなければ、素直に感謝できたのに、陛下ってばやっぱり一言余計なんだから……。
いやもう、何も言うまい。
出会った時から陛下はこんな感じだったし、今更だよ、今更。
「ねぇゼシカ、コップの中の薬湯って何が入ってるの?」
「これ? これに入ってるハーブはヌーク草っていって、身体を温めて寒さに強くなる効果があるんだって。ちょっと辛いけど、なかなかいけるわよ」
「の、飲めるかな……」
辛いの苦手なんだよな、大丈夫かな。
背に腹はかえられない……!
寒さで震えるくらいなら、薬湯くらい飲んでみせらぁっ!!
多少の気合いが必要なのは否めないけど!!
「さあ、あんたはお嬢さんの隣の席にお座りなされ。今、薬湯を持っていきますからな」
「あ、はい」
ゼシカの隣……いわゆるお誕生日席に座って、薬湯を待つ。
メディさんが私の前に薬湯の入ったコップを置いてくれたので、お礼を一言添えて受け取った。
た、確かに辛そうな赤色だなぁ……。
ほわほわと湯気の立つマグカップに入っていい色じゃない気がする……。
気後れする私をよそに、メディさんは陛下のお隣に座った。
「さあ、飲んでくだされ。このヌーク草の薬湯さえ飲んでおけば、雪国の寒さも気にならなくなりますぞ」
「ありがとうございます。いただきます」
覚悟を決めて、いざひと口!
……あ、思ったほど辛くないかも。
ピリリと舌先に刺激はあるけど、飲めない程じゃない。
どうせ出来たてで熱いから、ちびちびしか飲めないし、みんなの話を聞きながらゆっくり飲もう。
「この薬湯すごいよな。全然冷めねえよ、身体が」
「助かります、僕たちはしばらくこの雪国に用がありましたから」
「この草はヌーク草と言いましてな、この地方にしか生えない薬草ですじゃ。それをすりつぶしてお湯で抽出すれば、薬湯の完成ですじゃな」
「なるほど、この地方特有の薬湯というわけですね……。改めて、助けていただいてありがとうございました。私はレイラ・ロアナスといいます」
「あ、僕はエイトです」
「ゼシカ・アルバートよ」
「俺はククールだ」
「アッシはヤンガスでがす」
あ、みんな自己紹介してなかったのね。
何となくタイミングを逃してたのかな、だったらちょうど良かったかも。
少しずつ飲んでいるだけでも、足先からぽかぽかしてくる。
これがあれば、確かに雪の寒さもへっちゃらかも。
「雪崩から助けてもらい、一夜の宿を貸してもらい……。何から何まで世話になりますのう」
「それにしても、バアさんもこんな怪しいのが助けを求めてきたのに、よく信用する気になったもんだよな」
「この山賊崩れが! 貴様にだけは怪しいのとか言われたくないぞ!」
「ああもう、また言い合いになる!」
「……トロデ王。話し合いでしたら外でお願いしますね」
エイトの静かな一言で、トロデ王は椅子に座り直した。
まさかエイトのたった一言で言い合いが終結するとは……。
これぞ鶴の一声ってやつだな……。
「確かに変わった姿の人だとは思いましたがねぇ……。この歳になると、人の容姿など気にならなくなりますな。まあ、こんな人のいない雪山で困っている人がいれば、相手が誰でも助けますわい」
な、なんていい人……!
こんなに良い人がいるなんて、世の中捨てたもんじゃないな!
こんな見ず知らずの旅人を助けてくれる人、姫様とエイト以外にもいるんだなあ。
「そういえば、どうしておばあさんは、山奥に一人で暮らしてるんですか?」
「この家の裏手には古い遺跡がありましてな。先祖代々、わしの家系はそれをお守りしてきたのですじゃ。しかしその役目も、わしの代で終わることになるでしょうな。跡を継ぐ者もおりませんでのう」
「そうなんですか。でも役目とはいえ、一人暮らしはご苦労も多いでしょう?」
「いやいや、気楽なもんですわい。子供の時から慣れ親しんだ土地だし、苦労など感じたことはないですじゃ。それに、時にはこうして雪山に迷った人が訪ねてくれるので、寂しくもありませんしな」
そうは言うけど、こんな雪深い地方でおばあさんの一人暮らしは、何かあった時が心配だなぁ。
近くに他の家もないし、いざという時に助けてくれる当てはあるんだろうか。
でも遺跡を守らなきゃいけないから、他の場所に移り住むことはできないのか。
「ところでメディさん。実はそのことで、ひとつ聞きたいことがあるんだよ。俺たちは大きな黒犬が、この雪国の方へ逃げたという噂を聞きつけて追ってきたんだ。もしかしたら、奴はこの近くを通ったかもしれない。何か心当たりはないもんかな?」
「……はて? 大きな犬といえば、うちのバフくらいしか思い当たりませんのう。お役に立てず申し訳ない。しかし探し物なら、人の多い所で聞き込みされるのがよいでしょうな。この山を下って北へ向かうと、オークニスなる町がありますのじゃ。犬探しは、そこでしてはどうですかな?」
「なるほど、道理じゃな。よし! エイト、レイラよ。次はその町へ向かうことにするぞ」
「ほっほっほ。お気の早いことで。いずれにしてもまず、この吹雪が止みませんとな。……さて、夜も更けてきましたし、そろそろ休まれてはどうですじゃ? 明日の朝には吹雪も止むでしょうから、オークニスへは明朝、向かわれるがよろしかろう」
「うむ、メディ殿の言う通りじゃな。よし! 今日のところはお言葉に甘えて、休むことにしよう」
「……今って夜だったんだ」
「時間の感覚が狂うよね、分かるよ」
朝か昼だと思ってた。
真夜中だったのか……道理で外が真っ暗なはずだよ。
薬湯を飲み終えた私たちは、メディさんのお言葉に甘えて、先程の部屋で休ませてもらうことにした。
ハワード邸での事件が終わってから休みなしでここまで来たから、身体だけじゃなくて精神的にも疲労が溜まっている気がする。
一番端からヤンガスのイビキが聞こえてくる中、私もそっと目を閉じた。
