47章
夢小説設定
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さて。
ゼシカが戻ってきてくれた、ということは。
私の呪文レッスンが再開するということである。
「イオッ!!」
なんでもない原っぱに、私のイオを唱える声が虚しく響く。
何の爆発も起きず、ピーチチチ……と野鳥の声が聞こえる様は、正しく平穏だ。
姫様の休憩時間を使っての練習は、ゼシカが離脱する前から数えても十回は超えているわけだけども、一向に使えるようになる気配がない。
「メラ系もヒャド系もマスターできたのに、どうしてイオ系だけ駄目なのかしら」
「……諦めない心!!」
「心意気は買いなんだけど、うーん……」
「そもそも呪文ってのはイメージだろ? 難しく考えすぎなんじゃないか? どうせ少しでも爆発の威力を大きくしたいとか何とか、欲張ってるんじゃ……」
「つまり爆発のイメージを小さくすればいいってこと? それでできるならレイラもやってる──」
「イオラッ!!」
めげない私の声が響く。
すると──今までうんともすんとも言わなかった空間で、大爆発が起きた。
爆風が私たちの頬を掠めていって、離れたところで様子を眺めていたエイトたちの口がポカン……と空いている。
ただそれ以上に口を開けてしまったのは、唱えた本人こと私だ。
「急に!?」
「えっ……え!? 逆にどうして!?」
「爆発の大きさのイメージが大きすぎるって言われたから、イメージしたものをそのままイオラとして唱えてみただけなんだけど……」
「じゃ、じゃあ今ならイオも唱えられるんじゃない!?」
「小さくだぞ、小さくイメージしろよ」
「は、はい!! イオ!!」
さっき思い描いたものより小さな爆発をイメージして唱える。
すると目の前で小さな爆発が発生した。
……で、できたー!!
「やったー!! ねぇエイト見た? 今の見てた!?」
「見てた見てた。良かったね、レイラ」
「これでイオ系もマスターできそうね。私もまだイオナズンは唱えられそうにないから、それは一緒に練習していきましょう」
「うん!! ……ってことは……」
「俺のザオリクレッスンは厳しいぜ?」
「うげぇ……」
他の呪文と違って、ザオラルやザオリクは人の魂に働きかける呪文だ。
ゼシカもククールもよくザオリクなんか唱えられるな……と感心していたんだけど、私の呪文の可能性に気付いた二人が、ザオリク要員を増やしに来たのだ。
できるか知らないぞ、ザオラルが精一杯かもしれないのに。
「そもそもちゃんと修行は積んでないとはいえ、レイラに霊導者としての力があるのは確かだ。霊導の力は死人を天国に送る力なんだろ? 魂に触れられる力だし、ザオリクもいけるだろ」
「要求されてる難易度がハチャメチャに高い気がするんだけど」
「でも万が一の時にザオリクを唱えられる人が一人いるだけでも違うのよ。だってレイラ、打たれ強いから生き残りやすいでしょ?」
「まぁ近衛兵なので、打たれ強さというか、体力と身の守りにはそれなりに自信あるけどぉ……」
ほんとに? という顔でククールを見上げる。
ククールの目はマジだった。
そりゃ普段からザオリク役を期待されてるもんね。
ゼシカが一番やれることは多いけど、ククールはスクルトにベホマラーにザオリク、魔力の回復手段として精霊の矢で攻撃……と、こちらもなかなか忙しい。
そんなククールとゼシカが戦闘不能に陥ったとき、タフな私がザオリクを唱えられると、戦線を維持しやすい。
理屈は分かる。
……ただ、私には無理そうというか……。
「まず誰か試しに、魔物にやられてくれないと」
「練習の前提条件がハードすぎるのよね……」
だってみんな、死なないもん。
いや死ぬときゃ死ぬけどさ。
私も何度かザオリクの世話になったし。
でもさぁ……?
「まあそれは追々じゃな。先を急ぐぞ」
「そうだな。あの黒犬を追いかけに、北へ向かうとするか」
休憩時間はこれで終わり。
レオパルドが去っていったという北の方向は、年中ずっと雪が降っている雪国なのだという。
そんなところに私とゼシカは、魔法のビキニで向かおうというのだ。
凍死するわ。
「ゼシカ、これ使って……」
「これは?」
「夜の見張りの時に使ってた私のコート。ちょっとは暖かいよ……」
「ありがたく使わせてもらうわ……」
コートをしっかりと着込んだゼシカと共に、私たちは雪国へ続いているトンネルへと足を踏み入れた。
トンネルの中は既にゾッとするほど寒くて、今すぐにでも引き返したくなる。
なんならトンネルの中にある噴水はカチコチに凍っていた。
「さ、寒い……!!」
「おい見ろよエイト、出口。真っ白だぜ」
「どれだけ雪が降ってるのよ……」
「中に吹き込んできてるみたいでがすな。トンネルの出口付近は、壁がカチンコチンでがすよ」
みんなの足取りが重くなっていく。
それでもこの先に進まなければ、レオパルドを止められない。
行くしかないのだ……たとえどんなに行きたくなくても……。
出口に近付くにつれて、肌を刺すような冷たさをまとった風がびゅうびゅうと吹き付けてくるようになった。
みんな腕で風を凌ぎながら、出口へ向かって進んでいく。
「うう、こりゃまた何という寒さじゃ……。じゃが、あの杖を何とかせねば、元の姿に戻れないのじゃからな。……う〜っ、我慢我慢。……さあエイト、レイラ。ボケボケしとらんで、先に進むぞ!」
「は、はいぃ……!!」
「……っ」
エイトは寒さで返事をする余裕もないらしい。
そうして私たちは、真っ白な世界へと進んでいった。
あまりの寒さに膝が笑ってるよぅ……。
生きていけるかなぁ、これぇ……?
ゼシカが戻ってきてくれた、ということは。
私の呪文レッスンが再開するということである。
「イオッ!!」
なんでもない原っぱに、私のイオを唱える声が虚しく響く。
何の爆発も起きず、ピーチチチ……と野鳥の声が聞こえる様は、正しく平穏だ。
姫様の休憩時間を使っての練習は、ゼシカが離脱する前から数えても十回は超えているわけだけども、一向に使えるようになる気配がない。
「メラ系もヒャド系もマスターできたのに、どうしてイオ系だけ駄目なのかしら」
「……諦めない心!!」
「心意気は買いなんだけど、うーん……」
「そもそも呪文ってのはイメージだろ? 難しく考えすぎなんじゃないか? どうせ少しでも爆発の威力を大きくしたいとか何とか、欲張ってるんじゃ……」
「つまり爆発のイメージを小さくすればいいってこと? それでできるならレイラもやってる──」
「イオラッ!!」
めげない私の声が響く。
すると──今までうんともすんとも言わなかった空間で、大爆発が起きた。
爆風が私たちの頬を掠めていって、離れたところで様子を眺めていたエイトたちの口がポカン……と空いている。
ただそれ以上に口を開けてしまったのは、唱えた本人こと私だ。
「急に!?」
「えっ……え!? 逆にどうして!?」
「爆発の大きさのイメージが大きすぎるって言われたから、イメージしたものをそのままイオラとして唱えてみただけなんだけど……」
「じゃ、じゃあ今ならイオも唱えられるんじゃない!?」
「小さくだぞ、小さくイメージしろよ」
「は、はい!! イオ!!」
さっき思い描いたものより小さな爆発をイメージして唱える。
すると目の前で小さな爆発が発生した。
……で、できたー!!
「やったー!! ねぇエイト見た? 今の見てた!?」
「見てた見てた。良かったね、レイラ」
「これでイオ系もマスターできそうね。私もまだイオナズンは唱えられそうにないから、それは一緒に練習していきましょう」
「うん!! ……ってことは……」
「俺のザオリクレッスンは厳しいぜ?」
「うげぇ……」
他の呪文と違って、ザオラルやザオリクは人の魂に働きかける呪文だ。
ゼシカもククールもよくザオリクなんか唱えられるな……と感心していたんだけど、私の呪文の可能性に気付いた二人が、ザオリク要員を増やしに来たのだ。
できるか知らないぞ、ザオラルが精一杯かもしれないのに。
「そもそもちゃんと修行は積んでないとはいえ、レイラに霊導者としての力があるのは確かだ。霊導の力は死人を天国に送る力なんだろ? 魂に触れられる力だし、ザオリクもいけるだろ」
「要求されてる難易度がハチャメチャに高い気がするんだけど」
「でも万が一の時にザオリクを唱えられる人が一人いるだけでも違うのよ。だってレイラ、打たれ強いから生き残りやすいでしょ?」
「まぁ近衛兵なので、打たれ強さというか、体力と身の守りにはそれなりに自信あるけどぉ……」
ほんとに? という顔でククールを見上げる。
ククールの目はマジだった。
そりゃ普段からザオリク役を期待されてるもんね。
ゼシカが一番やれることは多いけど、ククールはスクルトにベホマラーにザオリク、魔力の回復手段として精霊の矢で攻撃……と、こちらもなかなか忙しい。
そんなククールとゼシカが戦闘不能に陥ったとき、タフな私がザオリクを唱えられると、戦線を維持しやすい。
理屈は分かる。
……ただ、私には無理そうというか……。
「まず誰か試しに、魔物にやられてくれないと」
「練習の前提条件がハードすぎるのよね……」
だってみんな、死なないもん。
いや死ぬときゃ死ぬけどさ。
私も何度かザオリクの世話になったし。
でもさぁ……?
「まあそれは追々じゃな。先を急ぐぞ」
「そうだな。あの黒犬を追いかけに、北へ向かうとするか」
休憩時間はこれで終わり。
レオパルドが去っていったという北の方向は、年中ずっと雪が降っている雪国なのだという。
そんなところに私とゼシカは、魔法のビキニで向かおうというのだ。
凍死するわ。
「ゼシカ、これ使って……」
「これは?」
「夜の見張りの時に使ってた私のコート。ちょっとは暖かいよ……」
「ありがたく使わせてもらうわ……」
コートをしっかりと着込んだゼシカと共に、私たちは雪国へ続いているトンネルへと足を踏み入れた。
トンネルの中は既にゾッとするほど寒くて、今すぐにでも引き返したくなる。
なんならトンネルの中にある噴水はカチコチに凍っていた。
「さ、寒い……!!」
「おい見ろよエイト、出口。真っ白だぜ」
「どれだけ雪が降ってるのよ……」
「中に吹き込んできてるみたいでがすな。トンネルの出口付近は、壁がカチンコチンでがすよ」
みんなの足取りが重くなっていく。
それでもこの先に進まなければ、レオパルドを止められない。
行くしかないのだ……たとえどんなに行きたくなくても……。
出口に近付くにつれて、肌を刺すような冷たさをまとった風がびゅうびゅうと吹き付けてくるようになった。
みんな腕で風を凌ぎながら、出口へ向かって進んでいく。
「うう、こりゃまた何という寒さじゃ……。じゃが、あの杖を何とかせねば、元の姿に戻れないのじゃからな。……う〜っ、我慢我慢。……さあエイト、レイラ。ボケボケしとらんで、先に進むぞ!」
「は、はいぃ……!!」
「……っ」
エイトは寒さで返事をする余裕もないらしい。
そうして私たちは、真っ白な世界へと進んでいった。
あまりの寒さに膝が笑ってるよぅ……。
生きていけるかなぁ、これぇ……?
