45章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ふわりと風が凪いで、足が地面に着地した。
目の前には──今は懐かしいリーザス村。
思い出に浸りたいところだけど、今の私たちにはそんな余裕はない。
すぐにバウムレンの鈴でキラーパンサーを呼び出して、すぐ近くにあるリーザス像の塔へ急いだ。
「話が見えねえんだが」
「あ、そっか。ククールはまだ仲間になってない頃だったよね。さっきの村が、ゼシカの生まれ故郷なの。殺されたお兄さんの仇を取りに行くって家出したゼシカを追った先が、今向かってる塔。その頂上にある石像に多分、クラン・スピネルが埋め込まれてるんだと思う」
そうこうしているうちに塔に着いた。
エイトが速攻でかけたトヘロスが効いたおかげで、魔物がまったく寄ってこない。
「さぁて、まずはこの門を……。あ、ククール、ちょっと」
「は? なんだよ」
「これ重いから開けてほしくって」
「エイトに頼めばいいだろ。ったく」
ククールが塔への入口である門を押す。
当然開かないので、今度は引っ張った。
もちろん開くはずはない。
「おいこれ開かな──なんだよそのニヤニヤした顔は」
「んー? んふふふ、いやぁしっかり罠に引っかかってくれて助かるなぁと」
「罠?」
「エイトくん、見せて差し上げなさい」
「なんでちょっと偉そうなの」
エイトが門の前でしゃがんで、下に手を入れる。
「は?」とククールが怪訝な声を上げたその目の前で、エイトが門をガラガラと上に押し上げた。
「……無理だろ!?」
「だぁーっははは!! ありがとうねぇ引っかかってくれて!!」
「遊んでる場合か!!」
「ククール……」
「おいやめろエイト、なんだその憐れみの目は」
「最近、姉貴とククールが仲良くなってて、アッシはちょいと寂しいでがすよ」
「ね。僕も寂しいや……」
なんで標的がククールから私になったんだ?
とにかく門も開けたことだし、張り切って塔を登ろうではないか。
たしか前回ここを登ってるときに、近道のドアの鍵を開けておいたんだよね。
門を入ってすぐの階段を上って、前回は左に曲がったところを右へ。
前回開けておいたドアは今回も開けっ放しだ。
そこを開けると上と下にそれぞれ梯子があって、梯子を上に登るとショートカットであの回転する壁のフロアに着くってわけ。
ここに来るのは二度目とあって、塔の構造も分かってるから、私たちは迷わずに頂上へとたどり着いた。
最上階はやはり清浄な空気が漂っている。
その中でリーザス像は淑やかに微笑みを浮かべ、静かに佇んでいた。
両の瞳には、真っ赤な宝石が輝いている。
これがクラン・スピネルということだと思うんだけど……。
「……で、これどうやって取るの?」
しっかりと埋め込まれている宝石を前に、私たちは足踏みをしていた。
力づくで取るわけにいかない、それで石像に傷がついたら大変だ。
像ごとドカーンなんて以ての外だし。
「この像を壊すわけにはいかないしなあ……」
エイトが私と似たような思考回路だった。
頼むから私よりは賢くあってくれ……。
村の人なら何か知ってるかもしれない、ということで、一度塔を降りようとしたとき。
『お待ちください。勇気ある旅人よ……』
どここらともなく声が聞こえた。
声の出処を探ると、背後のリーザス像しか見当たらない。
……でもこの像、サーベルトさんの魂を預かっていたりするから、声が聞こえてきても不思議ではないか。
『私の名はリーザス……。はるか遠き昔にこの世界を生き、この像を生み出した者です』
声と共に、半透明の女性の姿が浮かび上がった。
ど……どえれぇ別嬪さんが来たぞ……。
そりゃあ自分の石像をここまで綺麗な人物像で彫るよな!?
元がハチャメチャに美人だもん!!
『そこにおられるのは、ロアナス家の方ですね。ロアナス家も賢者の血を受け継ぐ由緒正しき家系のひとつ。あなたは既にご承知のことでしょうが、改めてあなた達にお教えしましょう。長い歴史の狭間に忘れられた、賢者の血の話を……』
「賢者……。それって、ハワードさんを襲いに来たゼシカも言っていた存在だ」
「だが事ここに至るまで、俺たちは賢者なんて存在、耳にしたこともないぜ? なんだってそれをドルマゲスやゼシカが狙ってるんだ? それにご婦人、あんたとその賢者には何か関係があるのか?」
ククールから怒涛の質問が飛んでいった。
でもたしかに私たちは知らないことが多すぎる。
敵の狙いを知ることこそ、戦いを有利に進める手だというのに。
『私が生まれたクランバートル家は、伝説の八賢者の血を受け継ぐ、由緒正しき家系でした。しかしある代で、クランバートル家は賢者の血を失いました。継承者である私がアルバート家に嫁いだためです。……以来、賢者の血は、アルバート家に受け継がれていきました。ですがその賢者の血も、憎き闇の力により絶たれたのです。継承者であるサーベルトの死と共に……』
「……」
『賢者の血が絶えたとはいえ、アルバート家が私の血筋であることに変わりはありません……。アルバート家の血を絶やさぬためなら、できる限りの力は貸しましょう。像に埋められたクラン・スピネルを持っておゆきなさい。きっと助けとなるでしょう。アルバート家の血を持つ最後の一人……。ゼシカのことを、宜しく頼みましたよ』
「え、あっ、ちょっ……!」
リーザスさんの姿が消えて、リーザス像の瞳からクラン・スピネルがポロリと落ちた。
それを拾い上げて、背後の三人を見やる。
今回の件には賢者の血が関わっているらしいというのは、何となく察したけど。
賢者が何をした人たちなのかは、結局分からないままだ。
「ひとまず、ここを出よう。もう夜も遅いし……」
「だな。今日は宿屋に泊まって、明日の朝イチで届けようぜ」
「そうだね。──リレミト」
エイトがリレミトを唱えて、黄色い球体に包まれて塔の外へ出た。
そのままルーラでリブルアーチに戻り、町の宿屋へ。
階段が入り組んでいるせいで、一度だけ宿屋の前を素通りしてしまったのは内緒だ。
目の前には──今は懐かしいリーザス村。
思い出に浸りたいところだけど、今の私たちにはそんな余裕はない。
すぐにバウムレンの鈴でキラーパンサーを呼び出して、すぐ近くにあるリーザス像の塔へ急いだ。
「話が見えねえんだが」
「あ、そっか。ククールはまだ仲間になってない頃だったよね。さっきの村が、ゼシカの生まれ故郷なの。殺されたお兄さんの仇を取りに行くって家出したゼシカを追った先が、今向かってる塔。その頂上にある石像に多分、クラン・スピネルが埋め込まれてるんだと思う」
そうこうしているうちに塔に着いた。
エイトが速攻でかけたトヘロスが効いたおかげで、魔物がまったく寄ってこない。
「さぁて、まずはこの門を……。あ、ククール、ちょっと」
「は? なんだよ」
「これ重いから開けてほしくって」
「エイトに頼めばいいだろ。ったく」
ククールが塔への入口である門を押す。
当然開かないので、今度は引っ張った。
もちろん開くはずはない。
「おいこれ開かな──なんだよそのニヤニヤした顔は」
「んー? んふふふ、いやぁしっかり罠に引っかかってくれて助かるなぁと」
「罠?」
「エイトくん、見せて差し上げなさい」
「なんでちょっと偉そうなの」
エイトが門の前でしゃがんで、下に手を入れる。
「は?」とククールが怪訝な声を上げたその目の前で、エイトが門をガラガラと上に押し上げた。
「……無理だろ!?」
「だぁーっははは!! ありがとうねぇ引っかかってくれて!!」
「遊んでる場合か!!」
「ククール……」
「おいやめろエイト、なんだその憐れみの目は」
「最近、姉貴とククールが仲良くなってて、アッシはちょいと寂しいでがすよ」
「ね。僕も寂しいや……」
なんで標的がククールから私になったんだ?
とにかく門も開けたことだし、張り切って塔を登ろうではないか。
たしか前回ここを登ってるときに、近道のドアの鍵を開けておいたんだよね。
門を入ってすぐの階段を上って、前回は左に曲がったところを右へ。
前回開けておいたドアは今回も開けっ放しだ。
そこを開けると上と下にそれぞれ梯子があって、梯子を上に登るとショートカットであの回転する壁のフロアに着くってわけ。
ここに来るのは二度目とあって、塔の構造も分かってるから、私たちは迷わずに頂上へとたどり着いた。
最上階はやはり清浄な空気が漂っている。
その中でリーザス像は淑やかに微笑みを浮かべ、静かに佇んでいた。
両の瞳には、真っ赤な宝石が輝いている。
これがクラン・スピネルということだと思うんだけど……。
「……で、これどうやって取るの?」
しっかりと埋め込まれている宝石を前に、私たちは足踏みをしていた。
力づくで取るわけにいかない、それで石像に傷がついたら大変だ。
像ごとドカーンなんて以ての外だし。
「この像を壊すわけにはいかないしなあ……」
エイトが私と似たような思考回路だった。
頼むから私よりは賢くあってくれ……。
村の人なら何か知ってるかもしれない、ということで、一度塔を降りようとしたとき。
『お待ちください。勇気ある旅人よ……』
どここらともなく声が聞こえた。
声の出処を探ると、背後のリーザス像しか見当たらない。
……でもこの像、サーベルトさんの魂を預かっていたりするから、声が聞こえてきても不思議ではないか。
『私の名はリーザス……。はるか遠き昔にこの世界を生き、この像を生み出した者です』
声と共に、半透明の女性の姿が浮かび上がった。
ど……どえれぇ別嬪さんが来たぞ……。
そりゃあ自分の石像をここまで綺麗な人物像で彫るよな!?
元がハチャメチャに美人だもん!!
『そこにおられるのは、ロアナス家の方ですね。ロアナス家も賢者の血を受け継ぐ由緒正しき家系のひとつ。あなたは既にご承知のことでしょうが、改めてあなた達にお教えしましょう。長い歴史の狭間に忘れられた、賢者の血の話を……』
「賢者……。それって、ハワードさんを襲いに来たゼシカも言っていた存在だ」
「だが事ここに至るまで、俺たちは賢者なんて存在、耳にしたこともないぜ? なんだってそれをドルマゲスやゼシカが狙ってるんだ? それにご婦人、あんたとその賢者には何か関係があるのか?」
ククールから怒涛の質問が飛んでいった。
でもたしかに私たちは知らないことが多すぎる。
敵の狙いを知ることこそ、戦いを有利に進める手だというのに。
『私が生まれたクランバートル家は、伝説の八賢者の血を受け継ぐ、由緒正しき家系でした。しかしある代で、クランバートル家は賢者の血を失いました。継承者である私がアルバート家に嫁いだためです。……以来、賢者の血は、アルバート家に受け継がれていきました。ですがその賢者の血も、憎き闇の力により絶たれたのです。継承者であるサーベルトの死と共に……』
「……」
『賢者の血が絶えたとはいえ、アルバート家が私の血筋であることに変わりはありません……。アルバート家の血を絶やさぬためなら、できる限りの力は貸しましょう。像に埋められたクラン・スピネルを持っておゆきなさい。きっと助けとなるでしょう。アルバート家の血を持つ最後の一人……。ゼシカのことを、宜しく頼みましたよ』
「え、あっ、ちょっ……!」
リーザスさんの姿が消えて、リーザス像の瞳からクラン・スピネルがポロリと落ちた。
それを拾い上げて、背後の三人を見やる。
今回の件には賢者の血が関わっているらしいというのは、何となく察したけど。
賢者が何をした人たちなのかは、結局分からないままだ。
「ひとまず、ここを出よう。もう夜も遅いし……」
「だな。今日は宿屋に泊まって、明日の朝イチで届けようぜ」
「そうだね。──リレミト」
エイトがリレミトを唱えて、黄色い球体に包まれて塔の外へ出た。
そのままルーラでリブルアーチに戻り、町の宿屋へ。
階段が入り組んでいるせいで、一度だけ宿屋の前を素通りしてしまったのは内緒だ。
1/4ページ
