44章
夢小説設定
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そんなこんなでドッタンバッタン大騒ぎの末、なんとか六階に到達した。
赤いカーペットが敷いてある梯子は、金ピカに光っている。
疲れたな……でもここで終わりじゃなさそうなんだもんな……。
カン、カン……と鉄で出来たその梯子を上って七階に上がると──。
「ふん。物好きめが。こんなところまで登ってきやがって」
「えっ誰!?」
どこから声がしたのかと周囲を見渡すと、なんと上層階におじさんの姿がある。
あれが……ライドンさん?
「……物好きだって」
「別に好きでこの塔登ってるわけじゃないのに」
「全力で同意でがすよ」
「右に同じだ」
全員の意見が一致してしまった。
そりゃそうだ、この非常時に呑気に塔を登るほど、私もエイトも楽天家ではない。
けどまあ、売られた喧嘩は(売られてないけど)買うべきですよね。
「見てろよジジイ! ぜってー登りきってやっからなぁぁ!!」
「せいぜい頑張るがいいわ若造めが!」
「言ったなこのクソジジイー!!」
「どうしようレイラが壊れた」
「ほっとけ、通常運転だ」
「絶対違うでがす」
ライドンさんは私を置いて、階段を上って更に上へと行ってしまった。
あんのクソジジイ、見てろよ!!
絶対に登りきってやるんだからな!!
トロデーン王国近衛兵の名に懸けて!!
「あーあ、行っちまった。追いかけるぞ」
「リブルアーチって人の話を聞かないおっさん多くない?」
「まだ二人しか出会ってないよ、そのタイプ」
「何を言ってるんでがすか、兄貴。話を聞かないからおっさんなんでがすよ」
ヤンガスの辛辣な一言に私とエイトは思わず頷きそうになってしまった。
人の話を聞かないおっさんが、めちゃくちゃ身近にいるんだもんな……。
そんなこんなで塔の中の手ごわい敵を倒し、シーソーに翻弄されること数時間。
空が橙色に染まった頃、やっとこさ頂上まで登り詰めた。
誇張抜きで全員ゼェハァ言っている。
「おっさん!! 来たぞ!!」
「ぬおっ!? なんだおめぇ! 結局ここまで登ってきやがったか!」
「登ってやったぜ、文句あるか」
「レイラいろいろおかしい」
今日は一段とエイトのツッコミスキルが冴えている。
恋人相手にも容赦がないとはさすがエイトだ。
おっさんは無言でこちらを凝視すると、腰に手を当てて大笑いし始めた。
「うはははは! お前みたいな青二才に制覇されるってことは、この塔もまだまだ低すぎるってこったな。やい、小娘! 気に入ったぞ! わしは彫刻家のライドンだ。お前さん、このわしに用があって来たんだろ?」
「気難しそうなおっさんにまで気に入られるとは、さすが姉貴は豪胆なお方でげす。アッシも鼻が高いでがすよ」
「……そうか? どっちかって言うとア──」
「あ゛?」
「あんたら二人、えらく気が合うんじゃねーかな!」
ククールがエイトの圧に負けた。
何を言おうとしたんだお前は。
どうせアホとかなんとか、ろくでもないこと言おうとしたんだろ。
「まさかククールに限って、レイラに向かってアホとか……言わないよね?」
「お前はレイラの味方なのかそうじゃないのか分かんねーときが一番怖ぇよ」
「何言ってるんだよ。僕はいつだってレイラの味方に決まってるだろ」
「なんて曇りなき眼で……」
なんとはなしに小っ恥ずかしいから、その辺でやめてもらいたいものである。
とりあえず通常運転に戻ろう。
ライドンさんも思ったより気難しい人ではなさそうなので、さっさと本題に入ることにした。
「実は色々事情がありまして、クラン・スピネルという宝石を探してまして」
「……なに? クラン・スピネル? ああ、あの二つの宝石のことか。残念だが、そんなものはもうとっくの大昔からうちにはねぇよ。なにしろ、わしも見たことねぇんだ」
「あ、そうなんで……はぁぁぁあ!?」
どうすんのこれ!
完全に手詰まりじゃん!
どうすんのこれ!!
全員の口がぱかっと開いてしまっている。
ここまで仕掛けに翻弄されて登ってきたのに、無駄足になることある!?
「聞いた話じゃあ、わしの先祖、たしか、ひいひいひいひいひい……。あぐぅあ! こ……腰がぁ!」
「ジジイーッ!! 大丈夫ですかー!! まだ傷は浅いですよー!!」
「どう見ても重傷だぞ」
「ぎっくり腰かぁ……。小間使い時代に厨房のおばさんが何度かやってたなぁ、懐かしい」
「懐かしむモンなんでがすか?」
グギリと嫌な音を立てて、ライドンさんの腰に魔女の一撃が入った。
腰を押さえながらライドンさんが「と、とにかく」と話を続けていく。
その辺に座って話せばいいのに、なんで自分からの先祖を数えるだけでぎっくり腰なんかやらかすんだ。
ジジイって大変なんだな、エイトも気を付けないと駄目だぞ。
「わしの大昔の先祖が、自分の作った像にそのクラン・スピネルを埋め込んだって話は聞いたことがある……。その先祖ってのは女なんだがな。なんでも生涯最高の出来の像にその宝石を埋め込んだらしい」
「ぞ、像に!? その像ってどこにあるんですか!?」
「さぁな。さすがにそこまでは知らん。あとは自力で探すこったな。手がかりといえば名前くらいか。たしかあの先祖は……リーザスとかって名前だったか」
「リーザス……?」
リーザスと言えば、リーザス村だけど……。
あの村に宝石のついた像なんて──。
……ん? いや待てよ。
たしかリーザス像の塔にある石像、瞳の部分に赤い石が……。
「エイト、もしかして……」
「多分、僕も同じこと考えてる……」
ゼシカが仇を討つまで家に帰らないと言って向かった先。
神聖な雰囲気すら感じる場所にあった石像には、赤い綺麗な宝石が埋め込まれていた。
「あれがクラン・スピネルだったってこと?」
「きっとそうだ。とにかく、知らない場所じゃない。行こう!」
「なんだ、心当たりがあるようだな。さあ、もういいだろう。まだ他に用があるのか?」
「あ! あります! 息子さんがたまには家に帰れって言ってました!」
「なに? うははは! 残念ながらそうはいかん! お前みたいな青二才に塔を制覇されたとあっては、まだまだ帰れん! わしはこの塔をもっと高くするのだ!」
「また数年後に登りにきてやるよ! 腰には気を付けろジジイ!!」
「言ってくれるわ小娘! 待っておるぞ!」
ライドンさんは再びノミと金槌で石を掘り始めた。
うーん頑固な職人気質。
ていうかハワードさんが宝石を譲ってもらえなかったのって、そもそもクランバートル家に宝石がないからじゃない?
そりゃあ渡せるはずないもんね。
最上階からのリブルアーチ地方は、とてもいい眺めだった。
堪能したいところだけど、私たちはこれから急いで像を探さなければならない。
ライドンさんの邪魔にならないように、離れたところでルーラを唱えようと移動すると、ククールが宝箱からケイロンの弓を見つけたので、それは装備してもらうことにした。
それでは久しぶりのリーザス地方へ……ルーラ!
赤いカーペットが敷いてある梯子は、金ピカに光っている。
疲れたな……でもここで終わりじゃなさそうなんだもんな……。
カン、カン……と鉄で出来たその梯子を上って七階に上がると──。
「ふん。物好きめが。こんなところまで登ってきやがって」
「えっ誰!?」
どこから声がしたのかと周囲を見渡すと、なんと上層階におじさんの姿がある。
あれが……ライドンさん?
「……物好きだって」
「別に好きでこの塔登ってるわけじゃないのに」
「全力で同意でがすよ」
「右に同じだ」
全員の意見が一致してしまった。
そりゃそうだ、この非常時に呑気に塔を登るほど、私もエイトも楽天家ではない。
けどまあ、売られた喧嘩は(売られてないけど)買うべきですよね。
「見てろよジジイ! ぜってー登りきってやっからなぁぁ!!」
「せいぜい頑張るがいいわ若造めが!」
「言ったなこのクソジジイー!!」
「どうしようレイラが壊れた」
「ほっとけ、通常運転だ」
「絶対違うでがす」
ライドンさんは私を置いて、階段を上って更に上へと行ってしまった。
あんのクソジジイ、見てろよ!!
絶対に登りきってやるんだからな!!
トロデーン王国近衛兵の名に懸けて!!
「あーあ、行っちまった。追いかけるぞ」
「リブルアーチって人の話を聞かないおっさん多くない?」
「まだ二人しか出会ってないよ、そのタイプ」
「何を言ってるんでがすか、兄貴。話を聞かないからおっさんなんでがすよ」
ヤンガスの辛辣な一言に私とエイトは思わず頷きそうになってしまった。
人の話を聞かないおっさんが、めちゃくちゃ身近にいるんだもんな……。
そんなこんなで塔の中の手ごわい敵を倒し、シーソーに翻弄されること数時間。
空が橙色に染まった頃、やっとこさ頂上まで登り詰めた。
誇張抜きで全員ゼェハァ言っている。
「おっさん!! 来たぞ!!」
「ぬおっ!? なんだおめぇ! 結局ここまで登ってきやがったか!」
「登ってやったぜ、文句あるか」
「レイラいろいろおかしい」
今日は一段とエイトのツッコミスキルが冴えている。
恋人相手にも容赦がないとはさすがエイトだ。
おっさんは無言でこちらを凝視すると、腰に手を当てて大笑いし始めた。
「うはははは! お前みたいな青二才に制覇されるってことは、この塔もまだまだ低すぎるってこったな。やい、小娘! 気に入ったぞ! わしは彫刻家のライドンだ。お前さん、このわしに用があって来たんだろ?」
「気難しそうなおっさんにまで気に入られるとは、さすが姉貴は豪胆なお方でげす。アッシも鼻が高いでがすよ」
「……そうか? どっちかって言うとア──」
「あ゛?」
「あんたら二人、えらく気が合うんじゃねーかな!」
ククールがエイトの圧に負けた。
何を言おうとしたんだお前は。
どうせアホとかなんとか、ろくでもないこと言おうとしたんだろ。
「まさかククールに限って、レイラに向かってアホとか……言わないよね?」
「お前はレイラの味方なのかそうじゃないのか分かんねーときが一番怖ぇよ」
「何言ってるんだよ。僕はいつだってレイラの味方に決まってるだろ」
「なんて曇りなき眼で……」
なんとはなしに小っ恥ずかしいから、その辺でやめてもらいたいものである。
とりあえず通常運転に戻ろう。
ライドンさんも思ったより気難しい人ではなさそうなので、さっさと本題に入ることにした。
「実は色々事情がありまして、クラン・スピネルという宝石を探してまして」
「……なに? クラン・スピネル? ああ、あの二つの宝石のことか。残念だが、そんなものはもうとっくの大昔からうちにはねぇよ。なにしろ、わしも見たことねぇんだ」
「あ、そうなんで……はぁぁぁあ!?」
どうすんのこれ!
完全に手詰まりじゃん!
どうすんのこれ!!
全員の口がぱかっと開いてしまっている。
ここまで仕掛けに翻弄されて登ってきたのに、無駄足になることある!?
「聞いた話じゃあ、わしの先祖、たしか、ひいひいひいひいひい……。あぐぅあ! こ……腰がぁ!」
「ジジイーッ!! 大丈夫ですかー!! まだ傷は浅いですよー!!」
「どう見ても重傷だぞ」
「ぎっくり腰かぁ……。小間使い時代に厨房のおばさんが何度かやってたなぁ、懐かしい」
「懐かしむモンなんでがすか?」
グギリと嫌な音を立てて、ライドンさんの腰に魔女の一撃が入った。
腰を押さえながらライドンさんが「と、とにかく」と話を続けていく。
その辺に座って話せばいいのに、なんで自分からの先祖を数えるだけでぎっくり腰なんかやらかすんだ。
ジジイって大変なんだな、エイトも気を付けないと駄目だぞ。
「わしの大昔の先祖が、自分の作った像にそのクラン・スピネルを埋め込んだって話は聞いたことがある……。その先祖ってのは女なんだがな。なんでも生涯最高の出来の像にその宝石を埋め込んだらしい」
「ぞ、像に!? その像ってどこにあるんですか!?」
「さぁな。さすがにそこまでは知らん。あとは自力で探すこったな。手がかりといえば名前くらいか。たしかあの先祖は……リーザスとかって名前だったか」
「リーザス……?」
リーザスと言えば、リーザス村だけど……。
あの村に宝石のついた像なんて──。
……ん? いや待てよ。
たしかリーザス像の塔にある石像、瞳の部分に赤い石が……。
「エイト、もしかして……」
「多分、僕も同じこと考えてる……」
ゼシカが仇を討つまで家に帰らないと言って向かった先。
神聖な雰囲気すら感じる場所にあった石像には、赤い綺麗な宝石が埋め込まれていた。
「あれがクラン・スピネルだったってこと?」
「きっとそうだ。とにかく、知らない場所じゃない。行こう!」
「なんだ、心当たりがあるようだな。さあ、もういいだろう。まだ他に用があるのか?」
「あ! あります! 息子さんがたまには家に帰れって言ってました!」
「なに? うははは! 残念ながらそうはいかん! お前みたいな青二才に塔を制覇されたとあっては、まだまだ帰れん! わしはこの塔をもっと高くするのだ!」
「また数年後に登りにきてやるよ! 腰には気を付けろジジイ!!」
「言ってくれるわ小娘! 待っておるぞ!」
ライドンさんは再びノミと金槌で石を掘り始めた。
うーん頑固な職人気質。
ていうかハワードさんが宝石を譲ってもらえなかったのって、そもそもクランバートル家に宝石がないからじゃない?
そりゃあ渡せるはずないもんね。
最上階からのリブルアーチ地方は、とてもいい眺めだった。
堪能したいところだけど、私たちはこれから急いで像を探さなければならない。
ライドンさんの邪魔にならないように、離れたところでルーラを唱えようと移動すると、ククールが宝箱からケイロンの弓を見つけたので、それは装備してもらうことにした。
それでは久しぶりのリーザス地方へ……ルーラ!
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