42章
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闇の遺跡からサザンビークの宿屋に戻ってきた私たち。
結局、陛下も姫様も元に戻らず、私たちはだんだんと気分が沈んでいった。
今は夜ということもあって、姫様も宿屋の前にいる。
そんな中、私たちは部屋を二つ借りて、男子部屋に集まった。
「みんな良くやってくれたわい。が、今後のことを考えると頭が痛いのう。まあ、今日ぐらいはゆっくり休んでくれ。わしは姫のことが気になるゆえ、馬車で過ごすとするぞい。それじゃ、また明日な」
「……はい。お休みなさいませ」
宿屋を出ていく陛下を見送って、私とゼシカも部屋に戻った。
部屋の壁にはあの杖が立て掛けてある。
こうして見ると、ただの杖なんだけど……。
「今日は……もう寝よう」
「そうね。さすがに疲れちゃったわ」
ゼシカの手が部屋のロウソクを消して、私たちはそれぞれのベッドに入った。
どうすれば……どうすれば、みんなが元に戻るんだろう……。
ドルマゲスを倒しても呪いが解けなかったなら、何をしたら……。
私たちは、いつまで……どこまで旅を続けたらいいの──?
* * *
──それは明け方のことだった。
否、少なくとも、まだ陽は昇っていなかったが。
室内に動く影がひとつ。
霊導者はぐっすりと眠っている。
一番鶏の鳴き声と共に目覚める彼女も、今なら抵抗されずに殺せるだろう。
手に持ったソレを振りかぶる。
切っ先が届くか届かないかのうちに──手元に強い衝撃があり、切っ先はあらぬ方向を向いた。
衝撃が襲ってきた方向を見やれば、手を前に押し出している……半透明の女。
「……貴様か」
その女はこちらを鋭く睨みつけていた。
『乗っ取りおって』
初代霊導者であったその女が、低い声でそう呟く。
杖を持ったその人物は、口元に下卑た笑みを浮かべた。
「なるほど。貴様が実体を保てているならば、こやつを殺しても変わらんか」
もう一度ソレを振りかぶる。
が、その前に、今度はソレが吹き飛んでいた。
何も持っていない手を見つめ、その者はじっと初代霊導者を睨みつけた。
「どうあっても邪魔をするか」
『当然だ、下衆が』
睨み合いは数秒間続いた。
にぃと気色悪く笑うと、その者は吹き飛ばされた杖を拾い上げ、部屋の戸を開けて出ていこうとする。
すかさず初代霊導者はその者を呼び止めた。
『どこへ行く?』
「貴様の知ることではなかろう?」
それだけを言い残して、それは出ていった。
室内に蠢いていた闇の力が霧散して、窓の外から一番鶏の声が微かに聞こえてくる。
少女は未だ眠ったままで、珍しく目を覚まそうとしない。
『……いよいよまずいか』
女はそう呟き、安らかに眠っている少女を見つめた。
自身の子孫であり、この一連の事象の最後の一手。
このままいけば、おそらく彼女は──。
『お前は私が……必ず守る』
呟いた声は、姿と共に消えた。
それから動くものは何もなく──世界は穏やかに朝を迎えた。
初代霊導者だけが知っていた。
この物語は、まだ終わってはいないと。
真の黒幕が誰で、その狙いが何なのかも。
自身の持つ力が通用しなくなる日も近いと。
残るは三人。
それまでに杖を奪い返し、奴の干渉に負けることなく、城で再封印を施せるかどうか──。
もしそれがならぬ場合、犠牲となるのは。
この少女だ。
結局、陛下も姫様も元に戻らず、私たちはだんだんと気分が沈んでいった。
今は夜ということもあって、姫様も宿屋の前にいる。
そんな中、私たちは部屋を二つ借りて、男子部屋に集まった。
「みんな良くやってくれたわい。が、今後のことを考えると頭が痛いのう。まあ、今日ぐらいはゆっくり休んでくれ。わしは姫のことが気になるゆえ、馬車で過ごすとするぞい。それじゃ、また明日な」
「……はい。お休みなさいませ」
宿屋を出ていく陛下を見送って、私とゼシカも部屋に戻った。
部屋の壁にはあの杖が立て掛けてある。
こうして見ると、ただの杖なんだけど……。
「今日は……もう寝よう」
「そうね。さすがに疲れちゃったわ」
ゼシカの手が部屋のロウソクを消して、私たちはそれぞれのベッドに入った。
どうすれば……どうすれば、みんなが元に戻るんだろう……。
ドルマゲスを倒しても呪いが解けなかったなら、何をしたら……。
私たちは、いつまで……どこまで旅を続けたらいいの──?
* * *
──それは明け方のことだった。
否、少なくとも、まだ陽は昇っていなかったが。
室内に動く影がひとつ。
霊導者はぐっすりと眠っている。
一番鶏の鳴き声と共に目覚める彼女も、今なら抵抗されずに殺せるだろう。
手に持ったソレを振りかぶる。
切っ先が届くか届かないかのうちに──手元に強い衝撃があり、切っ先はあらぬ方向を向いた。
衝撃が襲ってきた方向を見やれば、手を前に押し出している……半透明の女。
「……貴様か」
その女はこちらを鋭く睨みつけていた。
『乗っ取りおって』
初代霊導者であったその女が、低い声でそう呟く。
杖を持ったその人物は、口元に下卑た笑みを浮かべた。
「なるほど。貴様が実体を保てているならば、こやつを殺しても変わらんか」
もう一度ソレを振りかぶる。
が、その前に、今度はソレが吹き飛んでいた。
何も持っていない手を見つめ、その者はじっと初代霊導者を睨みつけた。
「どうあっても邪魔をするか」
『当然だ、下衆が』
睨み合いは数秒間続いた。
にぃと気色悪く笑うと、その者は吹き飛ばされた杖を拾い上げ、部屋の戸を開けて出ていこうとする。
すかさず初代霊導者はその者を呼び止めた。
『どこへ行く?』
「貴様の知ることではなかろう?」
それだけを言い残して、それは出ていった。
室内に蠢いていた闇の力が霧散して、窓の外から一番鶏の声が微かに聞こえてくる。
少女は未だ眠ったままで、珍しく目を覚まそうとしない。
『……いよいよまずいか』
女はそう呟き、安らかに眠っている少女を見つめた。
自身の子孫であり、この一連の事象の最後の一手。
このままいけば、おそらく彼女は──。
『お前は私が……必ず守る』
呟いた声は、姿と共に消えた。
それから動くものは何もなく──世界は穏やかに朝を迎えた。
初代霊導者だけが知っていた。
この物語は、まだ終わってはいないと。
真の黒幕が誰で、その狙いが何なのかも。
自身の持つ力が通用しなくなる日も近いと。
残るは三人。
それまでに杖を奪い返し、奴の干渉に負けることなく、城で再封印を施せるかどうか──。
もしそれがならぬ場合、犠牲となるのは。
この少女だ。
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