39章
夢小説設定
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咄嗟に視界を守った腕を下ろす。
今の光はいったい……?
姫様はご無事なんだろうか。
心配になって姫様のいたところを見ると。
「……姫様」
絹のように滑らかで美しい、黒の髪。
慈愛を湛えた緑の瞳。
自分のお身体を不思議そうに見つめる……私たちのミーティア姫その人が立っていた。
「……お、お父様!? お父様、見てください! ミーティアは……ミーティアは、人間の姿に戻りましたのよ」
「──」
私たちの誰もが、あまりの衝撃で言葉を発せないでいた。
まさか、まさかドルマゲスを倒すことなく、姫様の呪いを解くことが出来るなんて思わなくて。
ああ、姫様──姫様だ、私たちの姫様がいる。
「どうしたの? お父様? ま、まさかミーティアは、人間の姿に戻った夢でも見ているというの!? これは、幻なの……?」
「……おお、あまりに突然のことで、思わず言葉を失ってしまったわい。ちゃんと見えているぞ、姫よ。さあ、もっと近くに来て、その愛しい姿を見せておくれ」
「お父様っ!」
「おお! わしの可愛い姫よ!」
涙を浮かべた陛下が姫様へと駆け寄る。
そうして親子はひしっと抱き合った。
突然だったけど……この光景は、私たちが願ってきたものだ。
やっと姫様も陛下も、元の姿に戻れるんだ。
「今まで馬車なんか引かせてすまなかった……。つらかったろう? これからは楽をさせてやるからのう」
「いいえ、いいえお父様。つらいのはミーティアひとりだけじゃありませんもの……。それにミーティアは、エイトたちのお役に立てて、嬉しゅうございましたのよ」
姫様がそうおっしゃって、私たちを見つめる。
ああ良かった、姫様が怒っていたり、悲しんでいたりしなくて。
ここまで頑張ってきて良かった……。
「うっ……うぐっ、ぐすっ……」
「あらら、レイラったら大泣きしちゃって」
「ミーティア姫のこと、一番気にしてきたのはレイラだからね」
「ひ、姫様、姫様ぁ……」
ああもう駄目だ、涙が止まらない。
ここまでみんなで頑張ってきたよね。
姫様もずっと馬車を引いてくれて。
これからは姫様とたくさんお話ができるんだ、嬉しい、嬉しいよ……。
「姫は健気じゃのう。……どれ? わしも泉の水を飲んで、ちゃちゃっと元の凛々しい姿に戻るとするか」
陛下を姫様から離れ、泉へと向かう。
私は涙を拭って、姫様のお隣へと歩み寄ろうとした──その時だった。
再び姫様のお体が眩く光り出したのだ。
「姫様!?」
「お、お父様──きゃっ!」
「ん!? どうした姫よ──ひ、姫ー!」
泉に陛下の悲鳴が響く。
そうして陛下は、力なく項垂れた。
「……ああ、姫よ」
「そんな……」
姫様は……馬の姿に戻ってしまった。
せっかく呪いが解けたと思ったのに……。
「ミーティア姫──」隣でエイトのやるせない声が聞こえる。
姫様は空に向かって痛切なお声を聞かせると、残念そうに項垂れた。
「な、なんという悲劇……。結局、ぬか喜びだったのか」
「……姫様、あの、なんて言ったらいいか……」
別の意味で涙が止まらなくなって、頭の中がぐちゃぐちゃだ。
姫様の瞳は悲しそうな色をしていたけれど、青ざめた私に向かってお顔を擦り寄せてくれた。
「うーむ、泉の癒しの力すらも効かぬとは、姫君にかけられた呪いは余程強力なものらしいな。泉が駄目なら、残された手段はただ一つ。姫をこのような姿に変えたドルマゲスという道化師を探し出し、倒すしかあるまい。呪われた姫君を救えるのはお主たちだけだ。つらいだろうが、希望を失わず頑張るのだぞ」
やっぱりドルマゲスを倒さないと、城も陛下も姫様も、元には戻らないんだ。
そもそもがそれを目的にここまで来たわけだから、何も変わらないのだけど。
……でも、泉の水で呪いが解けたなら、それがよかったのに。
「……おお、風が冷たくなってきたようだ。わしはそろそろ帰らせてもらうよ」
おじいさんはそう言うと、泉から去っていった。
残ったのは私たちだけ。
ずびっと鼻をすすって、私は姫様から離れた。
姫様は名残惜しそうに泉を見つめている。
「……ミーティア姫、もう一回、飲んでみますか?」
見かねたエイトがそっと声をかけると、姫様は再びほとりに座って水を飲み始めた。
まだお話しし足りなかったんだろうな。
私たちとも話せていないし。
私も、姫様とお話ししたいことがたくさんある。
姫様の体が眩く光って。
そうして再び、そこには美しい人間のお姿をした姫様が現れた。
今の光はいったい……?
姫様はご無事なんだろうか。
心配になって姫様のいたところを見ると。
「……姫様」
絹のように滑らかで美しい、黒の髪。
慈愛を湛えた緑の瞳。
自分のお身体を不思議そうに見つめる……私たちのミーティア姫その人が立っていた。
「……お、お父様!? お父様、見てください! ミーティアは……ミーティアは、人間の姿に戻りましたのよ」
「──」
私たちの誰もが、あまりの衝撃で言葉を発せないでいた。
まさか、まさかドルマゲスを倒すことなく、姫様の呪いを解くことが出来るなんて思わなくて。
ああ、姫様──姫様だ、私たちの姫様がいる。
「どうしたの? お父様? ま、まさかミーティアは、人間の姿に戻った夢でも見ているというの!? これは、幻なの……?」
「……おお、あまりに突然のことで、思わず言葉を失ってしまったわい。ちゃんと見えているぞ、姫よ。さあ、もっと近くに来て、その愛しい姿を見せておくれ」
「お父様っ!」
「おお! わしの可愛い姫よ!」
涙を浮かべた陛下が姫様へと駆け寄る。
そうして親子はひしっと抱き合った。
突然だったけど……この光景は、私たちが願ってきたものだ。
やっと姫様も陛下も、元の姿に戻れるんだ。
「今まで馬車なんか引かせてすまなかった……。つらかったろう? これからは楽をさせてやるからのう」
「いいえ、いいえお父様。つらいのはミーティアひとりだけじゃありませんもの……。それにミーティアは、エイトたちのお役に立てて、嬉しゅうございましたのよ」
姫様がそうおっしゃって、私たちを見つめる。
ああ良かった、姫様が怒っていたり、悲しんでいたりしなくて。
ここまで頑張ってきて良かった……。
「うっ……うぐっ、ぐすっ……」
「あらら、レイラったら大泣きしちゃって」
「ミーティア姫のこと、一番気にしてきたのはレイラだからね」
「ひ、姫様、姫様ぁ……」
ああもう駄目だ、涙が止まらない。
ここまでみんなで頑張ってきたよね。
姫様もずっと馬車を引いてくれて。
これからは姫様とたくさんお話ができるんだ、嬉しい、嬉しいよ……。
「姫は健気じゃのう。……どれ? わしも泉の水を飲んで、ちゃちゃっと元の凛々しい姿に戻るとするか」
陛下を姫様から離れ、泉へと向かう。
私は涙を拭って、姫様のお隣へと歩み寄ろうとした──その時だった。
再び姫様のお体が眩く光り出したのだ。
「姫様!?」
「お、お父様──きゃっ!」
「ん!? どうした姫よ──ひ、姫ー!」
泉に陛下の悲鳴が響く。
そうして陛下は、力なく項垂れた。
「……ああ、姫よ」
「そんな……」
姫様は……馬の姿に戻ってしまった。
せっかく呪いが解けたと思ったのに……。
「ミーティア姫──」隣でエイトのやるせない声が聞こえる。
姫様は空に向かって痛切なお声を聞かせると、残念そうに項垂れた。
「な、なんという悲劇……。結局、ぬか喜びだったのか」
「……姫様、あの、なんて言ったらいいか……」
別の意味で涙が止まらなくなって、頭の中がぐちゃぐちゃだ。
姫様の瞳は悲しそうな色をしていたけれど、青ざめた私に向かってお顔を擦り寄せてくれた。
「うーむ、泉の癒しの力すらも効かぬとは、姫君にかけられた呪いは余程強力なものらしいな。泉が駄目なら、残された手段はただ一つ。姫をこのような姿に変えたドルマゲスという道化師を探し出し、倒すしかあるまい。呪われた姫君を救えるのはお主たちだけだ。つらいだろうが、希望を失わず頑張るのだぞ」
やっぱりドルマゲスを倒さないと、城も陛下も姫様も、元には戻らないんだ。
そもそもがそれを目的にここまで来たわけだから、何も変わらないのだけど。
……でも、泉の水で呪いが解けたなら、それがよかったのに。
「……おお、風が冷たくなってきたようだ。わしはそろそろ帰らせてもらうよ」
おじいさんはそう言うと、泉から去っていった。
残ったのは私たちだけ。
ずびっと鼻をすすって、私は姫様から離れた。
姫様は名残惜しそうに泉を見つめている。
「……ミーティア姫、もう一回、飲んでみますか?」
見かねたエイトがそっと声をかけると、姫様は再びほとりに座って水を飲み始めた。
まだお話しし足りなかったんだろうな。
私たちとも話せていないし。
私も、姫様とお話ししたいことがたくさんある。
姫様の体が眩く光って。
そうして再び、そこには美しい人間のお姿をした姫様が現れた。
