39章
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
天邪鬼なスライムに教えてもらった通り、ここから更に西へ進むことにした。
二匹に手を振ってお家をお暇して、目の前の道を進む。
やがて周囲を森に囲まれた、神秘的な泉へと辿り着いた。
「ここが不思議な泉……」
「だろうな。神聖な気を感じる」
「ククールってなんだかんだ、聖職者気質だよね」
「……まぁな」
素っ気ない物言いをしたククールが、何かに気付く。
湖の泉のほとりに、誰かが立っていた。
きっとあれが、スライムの言うおじいさん……元宮廷魔術師だった方だ。
紫色のローブを着て、頭には黒のとんがり帽。
長く伸びた髪は真っ白で、手には杖を持っている。
「ほう。こんな場所に人が来るとは珍しい……」
私たちが声をかける前に、おじいさんがこちらに気付いた。
そうして振り返ったおじいさんの目は開いていない。
盲目なんだ……。
どうやって私たちに気付いたんだろう、不思議なおじいさんだな。
「ややっ! これはこれは、なんとお美しい……。わしも城で多くの姫君を目にしてきたが、あなたほど美しい姫君は見たことがない。周りの方々は、この美しい姫君を守り、旅をしておられるわけですな」
おじいさんがこちらを見て、驚いたように声を上げた。
……うん?
今の発言、なんかおかしくない?
だって今の姫様は、正真正銘の白馬だもん。
そりゃあ馬になっても姫様は美しいお姿だけど。
「なんだって、じいさん!? お前さんには、この馬姫様がちゃんと姫様に見えるんでがすか!?」
「うむうむ。たとえ馬になっても、隠しようのない気品が姫から溢れとる証拠じゃのう。よっしゃよっしゃ……。……って、なぜじゃ! なぜなんじゃ、ご老人。なぜこの馬が姫であることを見抜いたんじゃ!?」
「陛下のノリツッコミ……」
良くも悪くも王様らしくないんだよな、陛下は。
親しみやすくて私は好きだけどさ。
正直、陛下がクラビウス王みたいに厳格な方だったら、この旅ももう少し息苦しかったかもだし。
「う、馬だと!? それはまことか!」
おじいさんは驚いた様子でこちらへ向かってきて、姫様の前に立った。
姫様も「そうです」と頷くように小さく嘶く。
「姫君、少々失礼をば──」と断りを入れて、おじいさんが手を伸ばして姫様に手を触れた。
「このたてがみは! この毛並み……。確かにお主らの言う通り、馬だな」
「もしかして、おじいさんには姫様が人の姿で見えてるんですか?」
「うむ。この通り、わしの目は何も映さん。わしは心の目、すなわち心眼を通して周りを見ているのだ」
「はぁ、心眼……」
「わしの心眼が映すこの方の姿は、姫と呼ぶのに相応しい方なのに……。旅のお方。いったい何があったのだ? 差し支えなければ、お聞かせ願いたい」
ちらりとエイトが陛下を見やって、それから旅の経緯を話し始めた。
ドルマゲスという者が城に封印されていた杖を奪い、呪をかけたこと。
そのせいで陛下は魔物に、姫様は馬にされてしまったこと。
私とエイトは奇跡的に難を逃れたため、ドルマゲスを追って旅をしていること。
その途中で何度かドルマゲスに追いついたものの、凶行を許してしまい、ようやくここまで追い詰めたこと──。
「……おいたわしや。呪いのせいでこのような姿に変えられてしまったのか」
悲しそうに頷いたおじいさんは、ふと何かに気がついたように「おお、そうだ!」と言って顔を上げた。
ひょっとして、呪いをとく手段が他にもあったりする!?
「もしかしたら、これでなら元の姿に戻れるかもしれん……。ひとつ、試してみてはいかがかな」
「それは本当か、ご老人! して、その方法とは!?」
「うわビックリした!!」
「げっ!おっさん、いつの間に!」
「いつの間にも何も、わしは最初っから御者台におったじゃろ」
それはそうなんだけど!
いつの間にそこから降りたのかって話でな!?
なんでそんなに気配を消すのが上手いんだ、存在感の塊みたいなお方のくせに!
「効くかどうかは分からぬが、そこの泉の水を口になさるがいい。その泉の水には、呪いを解く不思議な力があるのだよ。必ずしも効くとは限らんがの……」
「そ、そんな効果が……!?」
エイトが姫様の身体から馬車の接続を外した。
姫様は迷うことなく泉へと近寄り……。
ほとりで座り込むと、泉の水を躊躇いなく口にした。
「ね、ねえエイト。今更だけど、本当に飲んで大丈夫だったかな……」
「でもおじいさんが勧めてくれたんだし……」
それはそうなんだけど……。
ハラハラしつつも見守っていると、不意に姫様の体が眩しく輝き始めた。
小さく悲鳴を上げて、姫様が立ち上がる。
そうして、泉中に眩しい光が広がって……。
光が収まったとき、そこには──。
二匹に手を振ってお家をお暇して、目の前の道を進む。
やがて周囲を森に囲まれた、神秘的な泉へと辿り着いた。
「ここが不思議な泉……」
「だろうな。神聖な気を感じる」
「ククールってなんだかんだ、聖職者気質だよね」
「……まぁな」
素っ気ない物言いをしたククールが、何かに気付く。
湖の泉のほとりに、誰かが立っていた。
きっとあれが、スライムの言うおじいさん……元宮廷魔術師だった方だ。
紫色のローブを着て、頭には黒のとんがり帽。
長く伸びた髪は真っ白で、手には杖を持っている。
「ほう。こんな場所に人が来るとは珍しい……」
私たちが声をかける前に、おじいさんがこちらに気付いた。
そうして振り返ったおじいさんの目は開いていない。
盲目なんだ……。
どうやって私たちに気付いたんだろう、不思議なおじいさんだな。
「ややっ! これはこれは、なんとお美しい……。わしも城で多くの姫君を目にしてきたが、あなたほど美しい姫君は見たことがない。周りの方々は、この美しい姫君を守り、旅をしておられるわけですな」
おじいさんがこちらを見て、驚いたように声を上げた。
……うん?
今の発言、なんかおかしくない?
だって今の姫様は、正真正銘の白馬だもん。
そりゃあ馬になっても姫様は美しいお姿だけど。
「なんだって、じいさん!? お前さんには、この馬姫様がちゃんと姫様に見えるんでがすか!?」
「うむうむ。たとえ馬になっても、隠しようのない気品が姫から溢れとる証拠じゃのう。よっしゃよっしゃ……。……って、なぜじゃ! なぜなんじゃ、ご老人。なぜこの馬が姫であることを見抜いたんじゃ!?」
「陛下のノリツッコミ……」
良くも悪くも王様らしくないんだよな、陛下は。
親しみやすくて私は好きだけどさ。
正直、陛下がクラビウス王みたいに厳格な方だったら、この旅ももう少し息苦しかったかもだし。
「う、馬だと!? それはまことか!」
おじいさんは驚いた様子でこちらへ向かってきて、姫様の前に立った。
姫様も「そうです」と頷くように小さく嘶く。
「姫君、少々失礼をば──」と断りを入れて、おじいさんが手を伸ばして姫様に手を触れた。
「このたてがみは! この毛並み……。確かにお主らの言う通り、馬だな」
「もしかして、おじいさんには姫様が人の姿で見えてるんですか?」
「うむ。この通り、わしの目は何も映さん。わしは心の目、すなわち心眼を通して周りを見ているのだ」
「はぁ、心眼……」
「わしの心眼が映すこの方の姿は、姫と呼ぶのに相応しい方なのに……。旅のお方。いったい何があったのだ? 差し支えなければ、お聞かせ願いたい」
ちらりとエイトが陛下を見やって、それから旅の経緯を話し始めた。
ドルマゲスという者が城に封印されていた杖を奪い、呪をかけたこと。
そのせいで陛下は魔物に、姫様は馬にされてしまったこと。
私とエイトは奇跡的に難を逃れたため、ドルマゲスを追って旅をしていること。
その途中で何度かドルマゲスに追いついたものの、凶行を許してしまい、ようやくここまで追い詰めたこと──。
「……おいたわしや。呪いのせいでこのような姿に変えられてしまったのか」
悲しそうに頷いたおじいさんは、ふと何かに気がついたように「おお、そうだ!」と言って顔を上げた。
ひょっとして、呪いをとく手段が他にもあったりする!?
「もしかしたら、これでなら元の姿に戻れるかもしれん……。ひとつ、試してみてはいかがかな」
「それは本当か、ご老人! して、その方法とは!?」
「うわビックリした!!」
「げっ!おっさん、いつの間に!」
「いつの間にも何も、わしは最初っから御者台におったじゃろ」
それはそうなんだけど!
いつの間にそこから降りたのかって話でな!?
なんでそんなに気配を消すのが上手いんだ、存在感の塊みたいなお方のくせに!
「効くかどうかは分からぬが、そこの泉の水を口になさるがいい。その泉の水には、呪いを解く不思議な力があるのだよ。必ずしも効くとは限らんがの……」
「そ、そんな効果が……!?」
エイトが姫様の身体から馬車の接続を外した。
姫様は迷うことなく泉へと近寄り……。
ほとりで座り込むと、泉の水を躊躇いなく口にした。
「ね、ねえエイト。今更だけど、本当に飲んで大丈夫だったかな……」
「でもおじいさんが勧めてくれたんだし……」
それはそうなんだけど……。
ハラハラしつつも見守っていると、不意に姫様の体が眩しく輝き始めた。
小さく悲鳴を上げて、姫様が立ち上がる。
そうして、泉中に眩しい光が広がって……。
光が収まったとき、そこには──。
