38章
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城門を開いて城下町に入ると、城下町は商人たちで溢れかえっていた。
あちこちに見慣れない露店が立っていて、さながら大盛況だ。
「ようやく帰ってこられたな。しかし随分長いこと城を離れていたような気がする……ん!」
「いや言うて一日しか離れてないですって。それよりこれは何事?」
「おお! あれは!」
チャゴス王子が二、三歩ほど駆け出して、町を彩る旗飾りを見上げる。
そういえばこの飾り、私たちが初めてこの国を訪れた時はなかったような。
今やってる催しと何か関係があるんだろうか。
「バザーの開催を告げる旗飾り! もうバザーが始まっていたとはな」
「へぇ、バザーなんてやるんだ……」
ちょっと楽しそう。
色んなところから、色んな商人がやって来るんだろうな。
ここは今、ビジネスチャンスの宝庫というわけだ。
「エイト。城へ戻るのはバザーを見学した後だ。ここからは別行動にする」
そう言うや否や、チャゴス王子は颯爽とどこかへ走り去っていく。
あばよ、バカ王子!!
蹴り飛ばしたい衝動を鋼の精神で抑え込み、こめかみをピクピク言わせながら笑顔でバイバイしてあげた私たちは偉いと思う。
たった一日しか一緒にいなかったけど、あの王子がとんでもないボンクラなのは身に染みた。
こんなのに姫様をやろうってんですか!?
「最後までろくでもねぇ奴でがしたな。それより兄貴、姉貴。アッシらは早いとこ王様に会いに行きましょうや」
「でも魔法の鏡をもらうためには、チャゴス王子が無事にアルゴンハートを持って帰って来たことを伝えないと駄目じゃない? チャゴス王子、バザーの方に行っちゃったわよ」
「ったく、最後の最後まで世話の焼ける王子だよ。エイト、レイラ。ひとまず王子を探しに行こうぜ」
「そうだね……。レイラ、もう少し頑張れる? 無理なら先に宿屋で休んでもいいよ?」
「ここまで来たら最後までお供しやすぜ、兄貴」
「ヤンガス化しなくていいのよ」
エイトがくすくすと笑って、チャゴス王子が走っていった方向へと歩き出した。
それにしてもすごい人の数だな。
それに珍しいものを売ってるお店もあって楽しそう。
「ねぇねぇエイト、鏡をもらったら私達もバザーを見て回らない?」
「もちろん。鏡をもらえたら、いよいよドルマゲスとの戦いになるだろうから、準備はしっかりしておきたいしね」
「レイラの場合は、亀の甲羅と早いとこおさらばしたいってのが大きいだろうけどな」
「私こう見えて十八歳のうら若き乙女なんだよね。なんで亀の甲羅なんか着てんだろ」
「装備できるのが良くないわよね……」
やいのやいの言いながら、チャゴス王子を探して歩く。
バザーで活気がいい商人たちを横目に、ふと坂の上を見上げると。
「……ねえ、ちょっとあれ見て」
私は丘の上にいる王子を指差した。
そこにいるのは、風体の悪い男とチャゴス王子。
あんなところで何やってるんだ?
「やっと見つけたわ。さっさと城に連れて帰りましょ」
「あ、ゼシカ……」
ずんずんと歩いていくゼシカを追いかけて、みんなで坂道を駆け登る。
その先にいたチャゴス王子の背中にエイトが声を掛けると、チャゴス王子は何かを持っているような素振りを見せた。
「ちょうどいいところに来た。エイト、これが何だか分かるか?」
勿体ぶったように言って、チャゴス王子がこちらを振り返る。
その手元にあるのは……王家の山で手に入れたアルゴンハートより一回りも二回りも大きい、特大サイズのアルゴンハートだ。
「じゃっじゃーん! なんとアルゴンハートだぞ!」
「えっ……!?」
「信じられんだろう? これほど大きなアルゴンハートがあるなんて」
「いや、あのっ、それって……?」
「そなたもアルゴンハートの実物を見てきたなら、これが偽物ではないことくらい分かるだろ?」
な、なんでそんな大きなアルゴンハートを、いつの間に?
いやそんなことよりも、大きなアルゴンハートを求めていたのは、まさかこのために……?
「なぜこんな物を持っているのか疑問に思うか? 実はな、そこにいるバザーの商人から買い取ったのだ」
「ぐへへ。お客様は神様だぜ。金さえ出せばもう一個売るぜ」
「フン! 一個で充分だ」
シッシッと追いやるようにチャゴス王子が商人へ手を振る。
これ……本当に本物?
まさか偽物じゃないよね……?
ああ、なんだか、一気に足の力が抜けていく……。
「ところでエイト。今まで手に入れたアルゴンハートはそなたにくれてやる。僕はこれを持って城へ戻る。もちろん、このことは内密にな。この商人もバザーが終わればやがて国を出るだろうから、秘密が漏れる心配は一切ない。ぶわっはっは!」
「……チャゴス王子、あなたという人は──」
エイトが手のひらを強く握り締める。
チャゴス王子はエイトのそんな様子になど気付きもしなかった。
「ではここでお別れだ。皆の賞賛を浴びる僕の晴れ姿を見たければ、そなたも城へ来るがいい」
鼻高々に言うだけ言って、チャゴス王子は城へと走り去ってしまった。
その後ろ姿を唖然としたまま見送った瞬間、全身に感じたことの無い疲労感がやってきて、地面にへたり込んでしまった。
そんな……こんなのって、ありなの……。
「……レイラ、立てそう?」
「ごめん……ちょっとどっかで休ませて……」
「そうね、なんていうか……変な疲れが来ちゃったわ、私も。一度、宿屋で休憩しない?」
登ってきた方向から丘を降りていくみんなを追いかけようと、膝が笑う足を無理やり立たせる。
深い溜息を吐き出すと、エイトが私の前で背中を向けてしゃがんだ。
「歩くのつらいだろ。僕が背負っていくよ」
「……うん」
今日ばかりは素直にエイトの世話になることにしよう。
私を背中に乗せて、エイトが軽々と立ち上がる。
……エイトの背中、いつの間にこんなに広くなったんだろ。
昔は私と背丈も変わらなかったのに、気がついたら抜かされちゃって……。
「……疲れたね」
「うん……」
「今日はここでゆっくりしよう。明日のために英気を養わないと」
「……ん」
丘の下ではククールたちが待ってくれていて、エイトに背負われた私を見て、エイトに「どうしたんだ?」と尋ねていた。
エイトが「疲れちゃったみたい」と、それだけを答えて、宿屋のドアを開ける。
バザーのせいで部屋を取れないんじゃないかと思ったけど、奇跡的に部屋が空いていたので、一泊で部屋を借りることができた。
あちこちに見慣れない露店が立っていて、さながら大盛況だ。
「ようやく帰ってこられたな。しかし随分長いこと城を離れていたような気がする……ん!」
「いや言うて一日しか離れてないですって。それよりこれは何事?」
「おお! あれは!」
チャゴス王子が二、三歩ほど駆け出して、町を彩る旗飾りを見上げる。
そういえばこの飾り、私たちが初めてこの国を訪れた時はなかったような。
今やってる催しと何か関係があるんだろうか。
「バザーの開催を告げる旗飾り! もうバザーが始まっていたとはな」
「へぇ、バザーなんてやるんだ……」
ちょっと楽しそう。
色んなところから、色んな商人がやって来るんだろうな。
ここは今、ビジネスチャンスの宝庫というわけだ。
「エイト。城へ戻るのはバザーを見学した後だ。ここからは別行動にする」
そう言うや否や、チャゴス王子は颯爽とどこかへ走り去っていく。
あばよ、バカ王子!!
蹴り飛ばしたい衝動を鋼の精神で抑え込み、こめかみをピクピク言わせながら笑顔でバイバイしてあげた私たちは偉いと思う。
たった一日しか一緒にいなかったけど、あの王子がとんでもないボンクラなのは身に染みた。
こんなのに姫様をやろうってんですか!?
「最後までろくでもねぇ奴でがしたな。それより兄貴、姉貴。アッシらは早いとこ王様に会いに行きましょうや」
「でも魔法の鏡をもらうためには、チャゴス王子が無事にアルゴンハートを持って帰って来たことを伝えないと駄目じゃない? チャゴス王子、バザーの方に行っちゃったわよ」
「ったく、最後の最後まで世話の焼ける王子だよ。エイト、レイラ。ひとまず王子を探しに行こうぜ」
「そうだね……。レイラ、もう少し頑張れる? 無理なら先に宿屋で休んでもいいよ?」
「ここまで来たら最後までお供しやすぜ、兄貴」
「ヤンガス化しなくていいのよ」
エイトがくすくすと笑って、チャゴス王子が走っていった方向へと歩き出した。
それにしてもすごい人の数だな。
それに珍しいものを売ってるお店もあって楽しそう。
「ねぇねぇエイト、鏡をもらったら私達もバザーを見て回らない?」
「もちろん。鏡をもらえたら、いよいよドルマゲスとの戦いになるだろうから、準備はしっかりしておきたいしね」
「レイラの場合は、亀の甲羅と早いとこおさらばしたいってのが大きいだろうけどな」
「私こう見えて十八歳のうら若き乙女なんだよね。なんで亀の甲羅なんか着てんだろ」
「装備できるのが良くないわよね……」
やいのやいの言いながら、チャゴス王子を探して歩く。
バザーで活気がいい商人たちを横目に、ふと坂の上を見上げると。
「……ねえ、ちょっとあれ見て」
私は丘の上にいる王子を指差した。
そこにいるのは、風体の悪い男とチャゴス王子。
あんなところで何やってるんだ?
「やっと見つけたわ。さっさと城に連れて帰りましょ」
「あ、ゼシカ……」
ずんずんと歩いていくゼシカを追いかけて、みんなで坂道を駆け登る。
その先にいたチャゴス王子の背中にエイトが声を掛けると、チャゴス王子は何かを持っているような素振りを見せた。
「ちょうどいいところに来た。エイト、これが何だか分かるか?」
勿体ぶったように言って、チャゴス王子がこちらを振り返る。
その手元にあるのは……王家の山で手に入れたアルゴンハートより一回りも二回りも大きい、特大サイズのアルゴンハートだ。
「じゃっじゃーん! なんとアルゴンハートだぞ!」
「えっ……!?」
「信じられんだろう? これほど大きなアルゴンハートがあるなんて」
「いや、あのっ、それって……?」
「そなたもアルゴンハートの実物を見てきたなら、これが偽物ではないことくらい分かるだろ?」
な、なんでそんな大きなアルゴンハートを、いつの間に?
いやそんなことよりも、大きなアルゴンハートを求めていたのは、まさかこのために……?
「なぜこんな物を持っているのか疑問に思うか? 実はな、そこにいるバザーの商人から買い取ったのだ」
「ぐへへ。お客様は神様だぜ。金さえ出せばもう一個売るぜ」
「フン! 一個で充分だ」
シッシッと追いやるようにチャゴス王子が商人へ手を振る。
これ……本当に本物?
まさか偽物じゃないよね……?
ああ、なんだか、一気に足の力が抜けていく……。
「ところでエイト。今まで手に入れたアルゴンハートはそなたにくれてやる。僕はこれを持って城へ戻る。もちろん、このことは内密にな。この商人もバザーが終わればやがて国を出るだろうから、秘密が漏れる心配は一切ない。ぶわっはっは!」
「……チャゴス王子、あなたという人は──」
エイトが手のひらを強く握り締める。
チャゴス王子はエイトのそんな様子になど気付きもしなかった。
「ではここでお別れだ。皆の賞賛を浴びる僕の晴れ姿を見たければ、そなたも城へ来るがいい」
鼻高々に言うだけ言って、チャゴス王子は城へと走り去ってしまった。
その後ろ姿を唖然としたまま見送った瞬間、全身に感じたことの無い疲労感がやってきて、地面にへたり込んでしまった。
そんな……こんなのって、ありなの……。
「……レイラ、立てそう?」
「ごめん……ちょっとどっかで休ませて……」
「そうね、なんていうか……変な疲れが来ちゃったわ、私も。一度、宿屋で休憩しない?」
登ってきた方向から丘を降りていくみんなを追いかけようと、膝が笑う足を無理やり立たせる。
深い溜息を吐き出すと、エイトが私の前で背中を向けてしゃがんだ。
「歩くのつらいだろ。僕が背負っていくよ」
「……うん」
今日ばかりは素直にエイトの世話になることにしよう。
私を背中に乗せて、エイトが軽々と立ち上がる。
……エイトの背中、いつの間にこんなに広くなったんだろ。
昔は私と背丈も変わらなかったのに、気がついたら抜かされちゃって……。
「……疲れたね」
「うん……」
「今日はここでゆっくりしよう。明日のために英気を養わないと」
「……ん」
丘の下ではククールたちが待ってくれていて、エイトに背負われた私を見て、エイトに「どうしたんだ?」と尋ねていた。
エイトが「疲れちゃったみたい」と、それだけを答えて、宿屋のドアを開ける。
バザーのせいで部屋を取れないんじゃないかと思ったけど、奇跡的に部屋が空いていたので、一泊で部屋を借りることができた。
