37章
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翌朝、私は何かの叫び声と喧騒で目を覚ました。
こんな最悪の目覚ましある?
「うぅ……何ぃ……?」
目を擦りながらその騒動の先を探す。
姫様が……興奮して大暴れしている……。
お淑やかで、怒ったところなんて見たことないくらい、穏やかな方が……。
(……うん? いやちょっと待て、誰か乗ってる……?)
姫様に乗ってるのはチャゴス王子だ、手には鞭を持っている。
そのすぐ近くには、陛下がいるな……。
「何やってんだ! 早く歩け! ご主人様を乗せて前へ進むんだよ。そら! ハイヨー! ハイヨー!」
一瞬で目が覚めた。
慌てて飛び起きると、様子を見ていたエイトと目が合って、目に見えてほっとした顔をした。
「レイラ! 良かった、もうどうしようかと!」
「これ……どういう状況……?」
「チャゴスが姫に乗って、言うことを聞かせようとしてるんだよ!」
「あー、とりあえず、私はあのバカを姫様から引きずり下ろせばいいのかな」
「頼む!」
「手段は?」
「殺さなきゃなんでも」
とうとうエイトがそこまで譲歩しちゃった。
あの温厚が服を着て歩いていると言われたエイトをここまで怒らせるとは、さすがチャゴス王子だ。
「いい加減にしないか! 暴れないで言うことを聞けよ!」
「お止め下さい、王子。ミーティ……あ、いやいや。馬が嫌がっております。わしの馬は人を乗せることに慣れておらんのです。……ええい! やめんか、こらっ! 今すぐわしの馬から降りろ! このすかぽんたんが!」
「うるさい! 黙って見ておれ。……くそう、鞭をくれてやらんと分からぬようだな、こいつめが!」
チャゴスが姫様のお尻を鞭で叩く。
ブチィ! と何かが切れる音が頭の中から聞こえてきた。
頭来たぞコラ。
大暴れする姫様を抑えきれず、チャゴス王子が情けない悲鳴を上げて振り落とされる。
私は勢いよく助走をつけ。
「はよ降りんかいボケナスァァア!!」
「ニギャァァア!!」
華麗なジャンピングキックをお見舞いした。
そのままチャゴス王子の襟首を引っ掴み、ベシベシと往復ビンタをかましていく。
「何したか分かってんのかオノレはぁぁ!!」
「レイラ、もういいんじゃないかな! それ以上すると国交が揺らぐ!」
「国交なんぞ知るかー!!」
「無茶苦茶!!」
「殺さなきゃ何でもって言ったのはエイトじゃん?」
「限度はあるだろ!?」
ち、と舌打ちをして、チャゴス王子を地面に放り投げる。
ノロノロと起き上がったチャゴス王子は、恨めしげな顔で陛下を睨んだ。
自業自得のくせになんだこいつ、殺すぞ本当に。
「く、くぅ……。おのれ! 馬も従者の躾もなっていないようだな。特にこの馬! 人を乗せる作法ってものを、この僕がビシバシ仕込んでやる。ありがたく思えよ、暴れ馬め!」
「待てい! またわしの馬を苦しめるつもりか。そんなことは絶対にならん。どうしても気が済まぬというのなら、馬ではなくこのわしを打てい!」
「ふん! そんなに馬が大事か。ならば望み通り、鞭をくれてやる。尻を出して後ろを向け!」
チャゴス王子に命じられたとおり、陛下が尻をチャゴス王子へ向ける。
ちょっと待った、魔物にされてしまったとはいえ、このお方は由緒正しきトロデーン王家の主、国王陛下だぞ。
なんでそんなお方が、王子風情に鞭で叩かれなきゃいけないんだ!
「ちょっ……急に何を! こんなやつ、私が殴り飛ばして鼻っ面をへし折れば済む話ですよ!」
「国交が断絶するからやめようって言っただろ」
「女の子が暴力に訴えないの。男の子だって褒められたものじゃないんだから」
「暴力で生きてきたのに……」
何言ってんだこいつ、という目が三人分。
同意を得られなかったので、握った拳はそのまま降ろしておいた。
チャゴス王子が陛下へ鞭を振り上げた時。
「兄貴ー! 姉貴ぃー!」
向こう側から走ってくるのは、ここにいなかったヤンガスだ。
そういや今までどこに行ってたんだっけ。
「てえへんでがす! てえへんでがすよ、兄貴、姉貴ー!」
「ほんとだよ! って今度は何!」
「はあ、はあ……て、てえへんでがすよ。アッシが気持ちよく野……!?」
「野?」
「野……?」
「あ、いやいや。花を摘みに行ってたら、な、なんと! 崖下にとんでもなくデカい……」
ヤンガスが言い終わらぬうちに、明け方の山に何かの咆哮が響き渡る。
それは、昨日で聞き慣れたアルゴリザードの声だったけど……。
明らかにヤバそうな声をしているのは確かだった。
ところで、野ってなに?
「……ヤツでがす」
なんで昨日出てきてくれなかったんだ、激ヤバアルゴリザード!
そしたら朝からこんな騒ぎにならずに済んだのにさあ!!
魔物相手に何言ってんだって話だけど!!
「おい、聞いたか! 今のはアルゴリザードの鳴き声だぞ。気が変わった。馬のことはいい。今の鳴き声を確かめに行くぞ」
「それじゃ、さっさとアルゴリザード退治といきますか!」
ヤンガスの先導に続いて、チャゴスを先頭に走る。
崖の道に出ただけで分かった。
ドシンドシンと足音がここまで響いてくる。
「な、なんか地響きがする!」
「相当でけーんじゃねえか?」
崖下に降りて、足音のする方向へ急ぐ。
そして、そいつは現れた。
「デッッッカ!!」
「ほ、ほんとにこれ、アルゴリザードなの!?」
「うぉぉ……」
「マジか……」
予想を遥かに超えたデカさに、私とゼシカの悲鳴が響く。
エイトとククールは素直に引いていた。
あのエイトが「うぉぉ……」って言うの、初めて聞いた。
バカデカいアルゴリザードが私たちを見下ろす。
もう人間を見ても逃げようともしないもんね。
昨日戦ったアルゴリザードとは別格だ。
言うならばあれは、アルゴリザードではなく……アルゴングレートだ。
これだけ大きけりゃ、アルゴンハートも相当な大きさだろう!
「みんな、いくよ!」
「もちろん!」
「今度こそ、この苦行とはおさらばしてやるぜ!」
そして毎度同じく、チャゴスが先頭に出た。
アルゴリザードがチャゴスを上から睨み付ける。
果敢に挑むも、アルゴングレートはチャゴスの攻撃をものともしていない。
「う、うわぁぁぁ!」
そしてお約束通り、チャゴスは逃げた。
恒例行事、終了。
ここからは私たちの出番だ!
「さあて、それじゃあいきますか!」
「「おう!」」
大きなアルゴンハートを手に入れるために!
そしてこの苦行から逃れるために──!
こんな最悪の目覚ましある?
「うぅ……何ぃ……?」
目を擦りながらその騒動の先を探す。
姫様が……興奮して大暴れしている……。
お淑やかで、怒ったところなんて見たことないくらい、穏やかな方が……。
(……うん? いやちょっと待て、誰か乗ってる……?)
姫様に乗ってるのはチャゴス王子だ、手には鞭を持っている。
そのすぐ近くには、陛下がいるな……。
「何やってんだ! 早く歩け! ご主人様を乗せて前へ進むんだよ。そら! ハイヨー! ハイヨー!」
一瞬で目が覚めた。
慌てて飛び起きると、様子を見ていたエイトと目が合って、目に見えてほっとした顔をした。
「レイラ! 良かった、もうどうしようかと!」
「これ……どういう状況……?」
「チャゴスが姫に乗って、言うことを聞かせようとしてるんだよ!」
「あー、とりあえず、私はあのバカを姫様から引きずり下ろせばいいのかな」
「頼む!」
「手段は?」
「殺さなきゃなんでも」
とうとうエイトがそこまで譲歩しちゃった。
あの温厚が服を着て歩いていると言われたエイトをここまで怒らせるとは、さすがチャゴス王子だ。
「いい加減にしないか! 暴れないで言うことを聞けよ!」
「お止め下さい、王子。ミーティ……あ、いやいや。馬が嫌がっております。わしの馬は人を乗せることに慣れておらんのです。……ええい! やめんか、こらっ! 今すぐわしの馬から降りろ! このすかぽんたんが!」
「うるさい! 黙って見ておれ。……くそう、鞭をくれてやらんと分からぬようだな、こいつめが!」
チャゴスが姫様のお尻を鞭で叩く。
ブチィ! と何かが切れる音が頭の中から聞こえてきた。
頭来たぞコラ。
大暴れする姫様を抑えきれず、チャゴス王子が情けない悲鳴を上げて振り落とされる。
私は勢いよく助走をつけ。
「はよ降りんかいボケナスァァア!!」
「ニギャァァア!!」
華麗なジャンピングキックをお見舞いした。
そのままチャゴス王子の襟首を引っ掴み、ベシベシと往復ビンタをかましていく。
「何したか分かってんのかオノレはぁぁ!!」
「レイラ、もういいんじゃないかな! それ以上すると国交が揺らぐ!」
「国交なんぞ知るかー!!」
「無茶苦茶!!」
「殺さなきゃ何でもって言ったのはエイトじゃん?」
「限度はあるだろ!?」
ち、と舌打ちをして、チャゴス王子を地面に放り投げる。
ノロノロと起き上がったチャゴス王子は、恨めしげな顔で陛下を睨んだ。
自業自得のくせになんだこいつ、殺すぞ本当に。
「く、くぅ……。おのれ! 馬も従者の躾もなっていないようだな。特にこの馬! 人を乗せる作法ってものを、この僕がビシバシ仕込んでやる。ありがたく思えよ、暴れ馬め!」
「待てい! またわしの馬を苦しめるつもりか。そんなことは絶対にならん。どうしても気が済まぬというのなら、馬ではなくこのわしを打てい!」
「ふん! そんなに馬が大事か。ならば望み通り、鞭をくれてやる。尻を出して後ろを向け!」
チャゴス王子に命じられたとおり、陛下が尻をチャゴス王子へ向ける。
ちょっと待った、魔物にされてしまったとはいえ、このお方は由緒正しきトロデーン王家の主、国王陛下だぞ。
なんでそんなお方が、王子風情に鞭で叩かれなきゃいけないんだ!
「ちょっ……急に何を! こんなやつ、私が殴り飛ばして鼻っ面をへし折れば済む話ですよ!」
「国交が断絶するからやめようって言っただろ」
「女の子が暴力に訴えないの。男の子だって褒められたものじゃないんだから」
「暴力で生きてきたのに……」
何言ってんだこいつ、という目が三人分。
同意を得られなかったので、握った拳はそのまま降ろしておいた。
チャゴス王子が陛下へ鞭を振り上げた時。
「兄貴ー! 姉貴ぃー!」
向こう側から走ってくるのは、ここにいなかったヤンガスだ。
そういや今までどこに行ってたんだっけ。
「てえへんでがす! てえへんでがすよ、兄貴、姉貴ー!」
「ほんとだよ! って今度は何!」
「はあ、はあ……て、てえへんでがすよ。アッシが気持ちよく野……!?」
「野?」
「野……?」
「あ、いやいや。花を摘みに行ってたら、な、なんと! 崖下にとんでもなくデカい……」
ヤンガスが言い終わらぬうちに、明け方の山に何かの咆哮が響き渡る。
それは、昨日で聞き慣れたアルゴリザードの声だったけど……。
明らかにヤバそうな声をしているのは確かだった。
ところで、野ってなに?
「……ヤツでがす」
なんで昨日出てきてくれなかったんだ、激ヤバアルゴリザード!
そしたら朝からこんな騒ぎにならずに済んだのにさあ!!
魔物相手に何言ってんだって話だけど!!
「おい、聞いたか! 今のはアルゴリザードの鳴き声だぞ。気が変わった。馬のことはいい。今の鳴き声を確かめに行くぞ」
「それじゃ、さっさとアルゴリザード退治といきますか!」
ヤンガスの先導に続いて、チャゴスを先頭に走る。
崖の道に出ただけで分かった。
ドシンドシンと足音がここまで響いてくる。
「な、なんか地響きがする!」
「相当でけーんじゃねえか?」
崖下に降りて、足音のする方向へ急ぐ。
そして、そいつは現れた。
「デッッッカ!!」
「ほ、ほんとにこれ、アルゴリザードなの!?」
「うぉぉ……」
「マジか……」
予想を遥かに超えたデカさに、私とゼシカの悲鳴が響く。
エイトとククールは素直に引いていた。
あのエイトが「うぉぉ……」って言うの、初めて聞いた。
バカデカいアルゴリザードが私たちを見下ろす。
もう人間を見ても逃げようともしないもんね。
昨日戦ったアルゴリザードとは別格だ。
言うならばあれは、アルゴリザードではなく……アルゴングレートだ。
これだけ大きけりゃ、アルゴンハートも相当な大きさだろう!
「みんな、いくよ!」
「もちろん!」
「今度こそ、この苦行とはおさらばしてやるぜ!」
そして毎度同じく、チャゴスが先頭に出た。
アルゴリザードがチャゴスを上から睨み付ける。
果敢に挑むも、アルゴングレートはチャゴスの攻撃をものともしていない。
「う、うわぁぁぁ!」
そしてお約束通り、チャゴスは逃げた。
恒例行事、終了。
ここからは私たちの出番だ!
「さあて、それじゃあいきますか!」
「「おう!」」
大きなアルゴンハートを手に入れるために!
そしてこの苦行から逃れるために──!
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