37章
夢小説設定
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パチパチと空気が破裂する音と共に、小さな火の粉が舞う。
焚き火を囲むように、串に刺した肉を置いて炙っていくと、焼き上がった肉からは肉汁が溢れ出ている。
ちなみにこれはウサギだったり鹿だったり、あとは……。
「この肉、なんだ?」
「キメラの肉。鶏肉っぽくて美味しいよ」
「生け捕りできたんで、食えそうなら食っちまおうと思ったんでがすよ」
「俺ら、随分とサバイバルに適応してきたよな……」
「あんまり野宿した記憶ないのにね」
いい感じに焼けたお肉を頬張る。
じゅわっと肉汁が溢れて、口の中が幸せだ。
野宿の醍醐味はこういうところにあると思う私である。
「んー! 美味しいー!」
「ちゃんと臭み取りはしてるから、大丈夫だと思うけど、どうかな」
「獣臭さはそんなにないわ。けっこういけるわよ」
「キメラが意外と美味いのは盲点だったな」
「川辺なんかだと、ワニも案外美味いでげすよ」
「なんで知っとるんじゃ、そんなこと」
「食ったことがあるからに決まってるだろ」
あるんだ、と全員が心の中でヤンガスにツッコミを入れた。
でもなんだろう、ヤンガスならワニ相手でも普通に勝てそうだし、食べてそうなんだよな。
どんな味するんだろ、ワニ。
我々が鹿肉や兎肉、果てには猪肉やキメラ肉に舌鼓を打っている横で、チャゴス王子はというと、一向に食べ物にありつこうとしない。
お育ちのいい王子様には、こういう野生動物やら魔物やらの肉は口に合わないかな?
でも食べないと死ぬぞ。
死んだら私らの首が体とバイバイしちゃうから、それだけはやめてくれよな。
「王子、食べないんでがすか?」
「こんなものが食べられるわけないだろう!」
「ですよねー。……でも」
私は焼いた肉を取って、チャゴス王子の口に突っ込んだ。
もがごがと何か言っているけど聞こえないふりだ。
いつまでも意地を張られても困るし。
「ここでわがままを言ったって、どうにもならないでしょう? だったら少しくらい、この環境に馴染む努力がほしいもんですね」
「な……」
「別に王子がどんな大きさのアルゴンハートを持ち帰ったところで、お城の人達もクラビウス王も驚かれると思いますけど……。大っきいアルゴンハートを持って帰るって決めたんでしょう? だったらこんなところで倒れてる場合じゃないですね」
観念した様子のチャゴス王子は、渋々と肉を食べだした。
ぽつぽつと会話をしつつ、みんなで肉を食べてお腹が膨れていく。
姫様はというと、山の入口の民家から姫様用に牧草を分けてもらっていたようで、エイトが姫様の相手をしていた。
「……」
楽しそうだな、エイト。
初恋の相手じゃないとか言ってたけど、エイトは面白いくらい鈍感だから、自分の恋心に気付いてないだけなんだと思う。
本当は好きなくせにね、姫様のこと。
……薄々気付いてた事だけど、自覚すると苦しいもんだなぁ。
でも私も同じようなものだもん。
吊り橋効果だって言われたらどうしようもないけど、自分の命を救ってくれた人を好意的に見てしまうのは、仕方のない話で。
「レイラ、最近調子悪そうだけど……どうかしたの?」
「へっ?」
唐突にゼシカからそう問われて首を傾げた。
別に、体調は至って普通だ。
闇の遺跡を離れてからは、不調になるようなところには立ち寄っていないし、体調管理だってしっかりやっているし。
「いつも通りだけど、なんで?」
「さすがのアッシでも気付きやすよ。ここ最近の姉貴はちょいと様子がおかしいっつーか……。特に兄貴といるとつらそうな表情をしてるでがすな」
「僕……と?」
「え、そ、そう? 気のせいだと思うけどっ!」
ゼシカの目は誤魔化せない……。
まさかヤンガスまで勘づいてるなんて思わなかった……。
しかもとんでもないタイミングでエイトが戻ってくるじゃん。
ちゃっかり聞いてるんじゃないよ、地獄耳か。
「ふぅん、エイトといると……ねぇ……」
「え、何その意味ありげな微笑み。怖いんだけど」
「そういうことだったのね。早く言いなさいよ」
「ゼシカ何を」
「応援するわよ!」
「一体何を!」
ククールに至っては目を合わせてくれない。
なんとはなしに腹立つな。
というか生温かい視線がゼシカから向けられているのは何事だ?
私はいったい、何を応援されたんだ?
「ねえエイト、この状況って何?」
「さあ……?」
二人で視線を合わせて、やっぱり首を傾げる。
エイトが分かんないなら、私が分かるはずもなく。
私たちの頭上には、クエスチョンマークが山ほど並んだのだった。
「あ、肉焦げちゃう。エイトどうぞ。姫様のお世話であんまり食べてないでしょ」
「あ、ありがとう。レイラは食べた?」
「うん。おなかいっぱい」
「そっか」
私から串を受け取ったエイトが、はふはふ言いながら肉を食べる。
エイトって男の子の割には一口が小さくて可愛いんだよね。
そういうのを知ってるのは、私だけなのかも。
「……?」
「なんでもない。美味しそうに食べるなーって思っただけ」
「今日は特に美味しく感じるよ……」
「気持ちは分かる」
一日中走り回ってはアルゴリザードを相手したもんね。
朝まで爆睡できる自信がある。
チャゴス王子はというと、食べたらさっさと寝床に寝転がってしまわれた。
我々と親睦を深めようという気がまるで感じられない。
まあ、所詮は旅人だし、ただの護衛だし、交流する必要があるかと言われるとないかもしれないけどさ。
結局それからは何もなく、食べた後は少し話をして、私たちは就寝した。
焚き火の始末をしてしまうと、周囲はすっかり真っ暗だ。
仰向けに寝転がれば、降ってきそうなくらい夜空の星が近い。
(……この旅が終わったら……)
私はまた、近衛兵として働くことになるんだろう。
姫様はチャゴス王子のところにお嫁にいっちゃって……。
みんなでこうしてワイワイやりながら旅をすることなんか、当然ない。
分かってたことだけど、やっぱり寂しいな……。
焚き火を囲むように、串に刺した肉を置いて炙っていくと、焼き上がった肉からは肉汁が溢れ出ている。
ちなみにこれはウサギだったり鹿だったり、あとは……。
「この肉、なんだ?」
「キメラの肉。鶏肉っぽくて美味しいよ」
「生け捕りできたんで、食えそうなら食っちまおうと思ったんでがすよ」
「俺ら、随分とサバイバルに適応してきたよな……」
「あんまり野宿した記憶ないのにね」
いい感じに焼けたお肉を頬張る。
じゅわっと肉汁が溢れて、口の中が幸せだ。
野宿の醍醐味はこういうところにあると思う私である。
「んー! 美味しいー!」
「ちゃんと臭み取りはしてるから、大丈夫だと思うけど、どうかな」
「獣臭さはそんなにないわ。けっこういけるわよ」
「キメラが意外と美味いのは盲点だったな」
「川辺なんかだと、ワニも案外美味いでげすよ」
「なんで知っとるんじゃ、そんなこと」
「食ったことがあるからに決まってるだろ」
あるんだ、と全員が心の中でヤンガスにツッコミを入れた。
でもなんだろう、ヤンガスならワニ相手でも普通に勝てそうだし、食べてそうなんだよな。
どんな味するんだろ、ワニ。
我々が鹿肉や兎肉、果てには猪肉やキメラ肉に舌鼓を打っている横で、チャゴス王子はというと、一向に食べ物にありつこうとしない。
お育ちのいい王子様には、こういう野生動物やら魔物やらの肉は口に合わないかな?
でも食べないと死ぬぞ。
死んだら私らの首が体とバイバイしちゃうから、それだけはやめてくれよな。
「王子、食べないんでがすか?」
「こんなものが食べられるわけないだろう!」
「ですよねー。……でも」
私は焼いた肉を取って、チャゴス王子の口に突っ込んだ。
もがごがと何か言っているけど聞こえないふりだ。
いつまでも意地を張られても困るし。
「ここでわがままを言ったって、どうにもならないでしょう? だったら少しくらい、この環境に馴染む努力がほしいもんですね」
「な……」
「別に王子がどんな大きさのアルゴンハートを持ち帰ったところで、お城の人達もクラビウス王も驚かれると思いますけど……。大っきいアルゴンハートを持って帰るって決めたんでしょう? だったらこんなところで倒れてる場合じゃないですね」
観念した様子のチャゴス王子は、渋々と肉を食べだした。
ぽつぽつと会話をしつつ、みんなで肉を食べてお腹が膨れていく。
姫様はというと、山の入口の民家から姫様用に牧草を分けてもらっていたようで、エイトが姫様の相手をしていた。
「……」
楽しそうだな、エイト。
初恋の相手じゃないとか言ってたけど、エイトは面白いくらい鈍感だから、自分の恋心に気付いてないだけなんだと思う。
本当は好きなくせにね、姫様のこと。
……薄々気付いてた事だけど、自覚すると苦しいもんだなぁ。
でも私も同じようなものだもん。
吊り橋効果だって言われたらどうしようもないけど、自分の命を救ってくれた人を好意的に見てしまうのは、仕方のない話で。
「レイラ、最近調子悪そうだけど……どうかしたの?」
「へっ?」
唐突にゼシカからそう問われて首を傾げた。
別に、体調は至って普通だ。
闇の遺跡を離れてからは、不調になるようなところには立ち寄っていないし、体調管理だってしっかりやっているし。
「いつも通りだけど、なんで?」
「さすがのアッシでも気付きやすよ。ここ最近の姉貴はちょいと様子がおかしいっつーか……。特に兄貴といるとつらそうな表情をしてるでがすな」
「僕……と?」
「え、そ、そう? 気のせいだと思うけどっ!」
ゼシカの目は誤魔化せない……。
まさかヤンガスまで勘づいてるなんて思わなかった……。
しかもとんでもないタイミングでエイトが戻ってくるじゃん。
ちゃっかり聞いてるんじゃないよ、地獄耳か。
「ふぅん、エイトといると……ねぇ……」
「え、何その意味ありげな微笑み。怖いんだけど」
「そういうことだったのね。早く言いなさいよ」
「ゼシカ何を」
「応援するわよ!」
「一体何を!」
ククールに至っては目を合わせてくれない。
なんとはなしに腹立つな。
というか生温かい視線がゼシカから向けられているのは何事だ?
私はいったい、何を応援されたんだ?
「ねえエイト、この状況って何?」
「さあ……?」
二人で視線を合わせて、やっぱり首を傾げる。
エイトが分かんないなら、私が分かるはずもなく。
私たちの頭上には、クエスチョンマークが山ほど並んだのだった。
「あ、肉焦げちゃう。エイトどうぞ。姫様のお世話であんまり食べてないでしょ」
「あ、ありがとう。レイラは食べた?」
「うん。おなかいっぱい」
「そっか」
私から串を受け取ったエイトが、はふはふ言いながら肉を食べる。
エイトって男の子の割には一口が小さくて可愛いんだよね。
そういうのを知ってるのは、私だけなのかも。
「……?」
「なんでもない。美味しそうに食べるなーって思っただけ」
「今日は特に美味しく感じるよ……」
「気持ちは分かる」
一日中走り回ってはアルゴリザードを相手したもんね。
朝まで爆睡できる自信がある。
チャゴス王子はというと、食べたらさっさと寝床に寝転がってしまわれた。
我々と親睦を深めようという気がまるで感じられない。
まあ、所詮は旅人だし、ただの護衛だし、交流する必要があるかと言われるとないかもしれないけどさ。
結局それからは何もなく、食べた後は少し話をして、私たちは就寝した。
焚き火の始末をしてしまうと、周囲はすっかり真っ暗だ。
仰向けに寝転がれば、降ってきそうなくらい夜空の星が近い。
(……この旅が終わったら……)
私はまた、近衛兵として働くことになるんだろう。
姫様はチャゴス王子のところにお嫁にいっちゃって……。
みんなでこうしてワイワイやりながら旅をすることなんか、当然ない。
分かってたことだけど、やっぱり寂しいな……。
