36章
夢小説設定
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てくてくと歩いて東へ向かう後ろから、パッカパッカと姫様の蹄の音。
キラーパンサーに乗って走っていこうとしたら、チャゴス王子の乗った荷台が石を踏んだり何たりで乗り心地が最悪だったらしく、王子から却下されてしまった。
そんなわけで大人しく徒歩である。
何のためにキラーパンサーに乗れるようになったというのか。
お昼前にサザンビーク城を出発したためか、王家の山に到着する頃には夕暮れ時だった。
けっこう遠いんだな……。
正直、ちょっと足がクタクタだ。
「おんや? そこにおられるのはチャゴス王子でねぇべか?」
農夫のおじいさんが私たちを見て声を掛ける。
分かりやすく訛ってたな。
声を掛けられたチャゴス王子は、おじいさんへと視線を寄越した。
「てぇことは、あれだべか? 儀式だべか?」
「うむ、その通りだ」
「ところで一緒におるのは誰だべか? たしか儀式とやらは王子様おひとりで行かれるって聞いたんだけんど……」
「この者たちは、ここに来るまでの単なる付き添いに過ぎん。帰りも僕の世話をさせるので、儀式が終わるまで、山に入ってすぐの所で待たせておくのだ」
「へぇ、そうですかい。そんならお気をつけて行ってくだせぇまし」
よくもまぁ〜、こんなに嘘がペラペラと!
逆に才能だぞこれ!
私もこれくらい自然に嘘がつけるようになりてぇべや!
エイトも私も笑えるくらい嘘が下手なんだもんなぁ〜!
「それはそうと、ちょいと失礼……」
農夫のおじいさんはそう言うと、おもむろにチャゴス王子の臭いを嗅ぎ始めた。
そうして「あっ、やっぱし!」と声を上げたのだ。
何がやっぱしなんだ、チャゴス王子はちゃんと清潔な臭いがするぞ。
「王子様。そんな人間くせぇ匂いじゃ、アルゴリザードが逃げちまうだ! 何かで臭いを消さねぇといかんぜよ」
「あ、そうだ、あの粉……」
エイトがチャゴス王子にもらった瓶を取り出す。
それを振りかけようとするから、慌てて待ったをかけた。
「このまま山に入るのは危険じゃない? もう夜も近いしさ、明日にしようよ」
「ま、それがいいだろうな。夜は魔物も活発化する。無理して夜に入ることないさ」
「それもそうだね。それじゃあ山に入るのは明日の朝にしよう」
そういうことなら──と、おじいさんがお家に一晩泊まっていくよう申し出てくれた。
ありがたくお世話になることにして、私達もそれぞれ荷を解くことに。
「待て待て! なぜこんなところで、夜を明かさなければいけないんだ!」
「なぜって、そりゃ儀式のためでしょう」
こともなげにエイトがそう言った。
壁と屋根があるだけマシだと思うんだけどな。
その上さらにご飯とベッドもあるんだぞ、充分すぎるでしょ。
「じゃあ選んでください、馬車の中で寝るか、それとも民家で寝るか」
「ぐっ……。……分かった分かった! 泊まればいいんだろう!」
チャゴス王子はそう言って不満そうな顔をしつつ、民家へ入っていった。
やれやれ、これは苦労するなぁ。
そもそも苦労知らずで世間知らずなお坊ちゃまに、野宿ありきで儀式に挑めって言うのが無茶苦茶なんだもん。
「いちいちうざったいわね本当……」
「ゼシカ、落ち着いて……」
この儀式中に、ゼシカがチャゴス王子に手を上げないか心配だなぁー!
ドルマゲスと戦う前に、揃って打首にされそう!
みんながやれやれと肩を竦め、首を振りつつ、民家へと向かっていく。
そんな中、私はすぐ脇の畑にいくつも生っている、かぼちゃみたいな実に視線がいってしまった。
その近くには子供たちが二人。
どうやら、その実に詳しそうだ。
「こんにちは。それって何の実?」
「これ? これはね……うんしょ!」
男の子はおもむろにその実を持ち上げると、ポイッと近くに投げた。
すると衝撃で実の外側が割れ、中から薄い青色の実と、何とも言えない匂いが立ち込める。
臭くはないけど、なんというか、ちょっと甘い匂いというか。
「今、僕が投げたジョロの実は、アルゴリザードの大好物なんだよ。眠っているアルゴリザードだって、ジョロの実の匂いを嗅いだ途端に目を覚ますんだって!」
「へぇー! いいこと聞いた、ありがとう!」
男の子の頭を撫でて、私も民家へと入った。
ちなみにジョロの実は人間が食べるものではないらしい。
どんな味なのか気になっていたけど、食べるのはやめておこう。
私もそこまで無謀な人間ではないのだ。
おばあさんとおばちゃんの手料理で手厚くもてなされ、私達はベッドと雑魚寝で眠りに就いた。
チャゴス王子はベッドに寝ると言って聞かなかったから、残るベッドはエイトに献上された。
残りは仲良く雑魚寝だ。
「背中が痛い」
「我慢しろ」
「うぅ……」
呻きながら目を閉じる。
我慢……我慢だ私!
この儀式さえ乗り切れば、わがまま王子とも雑魚寝ともおさらばだ!
でもちょっと野宿のほうがマシだったかもしれない!
板張りの床って寝床にするもんじゃないな!
キラーパンサーに乗って走っていこうとしたら、チャゴス王子の乗った荷台が石を踏んだり何たりで乗り心地が最悪だったらしく、王子から却下されてしまった。
そんなわけで大人しく徒歩である。
何のためにキラーパンサーに乗れるようになったというのか。
お昼前にサザンビーク城を出発したためか、王家の山に到着する頃には夕暮れ時だった。
けっこう遠いんだな……。
正直、ちょっと足がクタクタだ。
「おんや? そこにおられるのはチャゴス王子でねぇべか?」
農夫のおじいさんが私たちを見て声を掛ける。
分かりやすく訛ってたな。
声を掛けられたチャゴス王子は、おじいさんへと視線を寄越した。
「てぇことは、あれだべか? 儀式だべか?」
「うむ、その通りだ」
「ところで一緒におるのは誰だべか? たしか儀式とやらは王子様おひとりで行かれるって聞いたんだけんど……」
「この者たちは、ここに来るまでの単なる付き添いに過ぎん。帰りも僕の世話をさせるので、儀式が終わるまで、山に入ってすぐの所で待たせておくのだ」
「へぇ、そうですかい。そんならお気をつけて行ってくだせぇまし」
よくもまぁ〜、こんなに嘘がペラペラと!
逆に才能だぞこれ!
私もこれくらい自然に嘘がつけるようになりてぇべや!
エイトも私も笑えるくらい嘘が下手なんだもんなぁ〜!
「それはそうと、ちょいと失礼……」
農夫のおじいさんはそう言うと、おもむろにチャゴス王子の臭いを嗅ぎ始めた。
そうして「あっ、やっぱし!」と声を上げたのだ。
何がやっぱしなんだ、チャゴス王子はちゃんと清潔な臭いがするぞ。
「王子様。そんな人間くせぇ匂いじゃ、アルゴリザードが逃げちまうだ! 何かで臭いを消さねぇといかんぜよ」
「あ、そうだ、あの粉……」
エイトがチャゴス王子にもらった瓶を取り出す。
それを振りかけようとするから、慌てて待ったをかけた。
「このまま山に入るのは危険じゃない? もう夜も近いしさ、明日にしようよ」
「ま、それがいいだろうな。夜は魔物も活発化する。無理して夜に入ることないさ」
「それもそうだね。それじゃあ山に入るのは明日の朝にしよう」
そういうことなら──と、おじいさんがお家に一晩泊まっていくよう申し出てくれた。
ありがたくお世話になることにして、私達もそれぞれ荷を解くことに。
「待て待て! なぜこんなところで、夜を明かさなければいけないんだ!」
「なぜって、そりゃ儀式のためでしょう」
こともなげにエイトがそう言った。
壁と屋根があるだけマシだと思うんだけどな。
その上さらにご飯とベッドもあるんだぞ、充分すぎるでしょ。
「じゃあ選んでください、馬車の中で寝るか、それとも民家で寝るか」
「ぐっ……。……分かった分かった! 泊まればいいんだろう!」
チャゴス王子はそう言って不満そうな顔をしつつ、民家へ入っていった。
やれやれ、これは苦労するなぁ。
そもそも苦労知らずで世間知らずなお坊ちゃまに、野宿ありきで儀式に挑めって言うのが無茶苦茶なんだもん。
「いちいちうざったいわね本当……」
「ゼシカ、落ち着いて……」
この儀式中に、ゼシカがチャゴス王子に手を上げないか心配だなぁー!
ドルマゲスと戦う前に、揃って打首にされそう!
みんながやれやれと肩を竦め、首を振りつつ、民家へと向かっていく。
そんな中、私はすぐ脇の畑にいくつも生っている、かぼちゃみたいな実に視線がいってしまった。
その近くには子供たちが二人。
どうやら、その実に詳しそうだ。
「こんにちは。それって何の実?」
「これ? これはね……うんしょ!」
男の子はおもむろにその実を持ち上げると、ポイッと近くに投げた。
すると衝撃で実の外側が割れ、中から薄い青色の実と、何とも言えない匂いが立ち込める。
臭くはないけど、なんというか、ちょっと甘い匂いというか。
「今、僕が投げたジョロの実は、アルゴリザードの大好物なんだよ。眠っているアルゴリザードだって、ジョロの実の匂いを嗅いだ途端に目を覚ますんだって!」
「へぇー! いいこと聞いた、ありがとう!」
男の子の頭を撫でて、私も民家へと入った。
ちなみにジョロの実は人間が食べるものではないらしい。
どんな味なのか気になっていたけど、食べるのはやめておこう。
私もそこまで無謀な人間ではないのだ。
おばあさんとおばちゃんの手料理で手厚くもてなされ、私達はベッドと雑魚寝で眠りに就いた。
チャゴス王子はベッドに寝ると言って聞かなかったから、残るベッドはエイトに献上された。
残りは仲良く雑魚寝だ。
「背中が痛い」
「我慢しろ」
「うぅ……」
呻きながら目を閉じる。
我慢……我慢だ私!
この儀式さえ乗り切れば、わがまま王子とも雑魚寝ともおさらばだ!
でもちょっと野宿のほうがマシだったかもしれない!
板張りの床って寝床にするもんじゃないな!
