35章
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厳格そうなクラビウス王から出てきたとは思えない単語に、我々がドン引きしているのを見たのか、王は「おほん」と咳払いをした。
もはやそれで体裁は整えられないから諦めてほしい。
我々は今、「鷹が鳶を産んだ説」を鷹自らによって否定する瞬間を見てしまったのだ。
でもだからといって、蛙の子は蛙ってほどクラビウス王もアホではないんだよな……。
「チャゴスよ。城の者が陰でお前をなんと言っているか、ここでわざわざ言うまでもないだろう。少しでも悔しいと思うのなら、儀式を済ませ、男を上げてみせろ。そこにいるエイト達も、陰ながらお前の力になってくれよう。どうだ、チャゴスよ? 行ってみんか?」
「うう……行ってみようかな。あっ。でもやっぱりどうしようかな」
私の声が封じられてて良かった。
じゃなきゃ今頃「はよ決めんかいあほんだらァ!!」とドロップキックをお見舞いしていたはずだ。
良かったね王子様、私が何も言えない状態で。
「おお! 行くと申すか! 表向き、お前は一人で王者の儀式に出発したことにするからな。一足先に城下町を出て、門のそばにあるエイトの馬車に乗り込んで待っていろ。よいな?」
「え!?」
「よし、大臣。チャゴスをさっそく儀式へ送り出せ。さも一人で行ったように見せかけるためにも、兵士を連れていき、派手に門の前で見送らせろ」
「ははっ、仰せの通りに!」
「えっ、そんな。僕はまだ……」
すごい……ほぼ揚げ足取りな上に、有無を言わさず王子が連れていかれた……。
さすがにちょっと同情してしまったけど、我々の目的のためにも、チャゴス王子には儀式を済ませてもらわなくては。
それはそれとしてクラビウス王も厳しい人だな!
その厳しさ、もっと出していったほうがいいと思います!
「ふぅ、やっと行きおったか。エイトよ、くれぐれも護衛のことは、誰にも口外しないでくれよ。あと、王者の儀式に関しては、城の外でチャゴスにでも聞いてくれ。そなたが見事、この任を成し遂げてくれれば、約束していた魔法の鏡はくれてやる」
「分かりました。では……」
クラビウス王に頭を下げて、謁見の間を出る。
どうやらチャゴス王子は既に『ご出発』された後だったようで、城の中には使用人たちの噂話が飛び交っていた。
その中を歩きながら外へ向かっていると、吟遊詩人の声がざわめきの中から聞こえてきた。
「クラビウス王の兄上のエルトリオ様が王位を継いで、世継ぎの王子を得ていれば、その子が王者の儀式を行っていたはず。だがエルトリオ様は城を出て行かれ、代わりに王位を継いだのは弟だったクラビウス王でした。王の子として育った以上、チャゴス王子は王者の儀式をやらなくてはなりません。たとえ、トカゲが大の苦手でも──」
……なるほど?
サザンビークには元々、クラビウス王の他にエルトリオ王子というお兄様がおられて、王位継承権はエルトリオ王子がお持ちだった。
が、エルトリオ王子は何らかの理由でサザンビーク王国を去り、王位はクラビウス王が継承することとなった、と。
考えられるのは駆け落ちだな。
それでもチャゴス王子も、恨んだことはあるだろうな。
国を捨てて去った、生死不明の伯父を。
もしエルトリオ王子が王位を継いで、お世継ぎが生まれていれば、自分は王者の儀式なんて受けなくてよかったんだもんね。
子供は生まれを選べないとは、よく言ったもんだ。
「装備を整えてから出発しよう。トカゲっていうのが何か分からないけど、この先も強敵との戦いが待ち構えているから」
「そうね。ドルマゲスと戦うってときに、装備が弱いんじゃ話にならないわ」
「だな。レイラもそれでいいだろ?」
「……」
「姉貴?」
ヤンガスの声に私は頷いた。
全員が怪訝な顔で私を見ている。
喋れよ、と言いたげだな。
私だって喋れるなら喋りたいわ。
「……あ、マホトーンが効いてるのね!?」
「マホトーンかけられてたの!?」
「だから途中から静かだったんでがすね!?」
「自業自得だけどな」
「……ッ!!」
「さすがに街中でメラミはまずいよレイラ!!」
「何言ったか分かったんでげすね!?」
「分かるわよ。さすがに」
城下町を歩きながら、ククールの背中をボカボカ叩いておいた。
地味に痛ぇとは言われたものの、思ったほどの反応じゃない。
悔しい……力が欲しい……!!
「……城下町も、王者の儀式のことで話題はもちきりみたいだ」
「今の今まで拒否してたんでしょ? それがやっと儀式に向かったっていうんだから、話題にもなるわよ」
「特にあの性格じゃあな。あんなのが次期国王か。この国の行く末が心配だよ、俺は」
「うーむ、アッシにゃあ政治のことはよく分からんですが……。兄貴なら国を治めることになっても、きっと立派な国王になれやすぜ!」
「今のところ王位を継ぐ予定はないかな、一般人だし……」
困ったように笑いながら、エイトは周囲の様子を眺めつつ、橋を渡っていく。
私もそれに着いていこうとした時、近くの町人が儀式について話しているのを聞いてしまった。
「王子が儀式で戦わねばならんアルゴリザードって名の大トカゲは、かなりの強敵らしいな。臆病なチャゴス王子に、そんな強敵が倒せるのかねぇ?」
アルゴリザード……大トカゲ……。
まったくイメージが沸かないな。
でも幽霊とかイカとかタコじゃないなら大丈夫だ!
でも私たちはあくまで護衛で、戦うのはチャゴス王子だし、死にそうになったら助けるくらいでいいんじゃない?
「レイラ、何してるの? 置いてくわよー」
「あ、待ってー! やっと喋れた!!」
「おめでとうございやす、姉貴!」
「良かったなー、これに懲りたら空気は読んでいこうなー」
「なんかムカつくけど、そうする」
ククールの言い方がムカつくけど、言っていることは正しいので、もう少し空気を読んで生きていこうと思う。
それにしてもどうしよう、姫様がどんなにショックを受けられることか……。
陛下もまさか愛娘の婚約者が、どうしようもないろくでなしだとは思わなかっただろうしなぁ……。
武器と防具の店に着いて、装備を新しくすることにした。
残念ながら亀の甲羅からは変えられず、仕方ないので盾と兜と剣を新調することに。
亀の甲羅で出歩くの嫌だよ本当に。
なんで私も装備できちゃうかなー!
全員の武器防具を新調したところで、ようやく私達も城下町を出ることにした。
あまり苦労させられないといいけど……無理な気がするな!
どうなる、王者の儀式!
もはやそれで体裁は整えられないから諦めてほしい。
我々は今、「鷹が鳶を産んだ説」を鷹自らによって否定する瞬間を見てしまったのだ。
でもだからといって、蛙の子は蛙ってほどクラビウス王もアホではないんだよな……。
「チャゴスよ。城の者が陰でお前をなんと言っているか、ここでわざわざ言うまでもないだろう。少しでも悔しいと思うのなら、儀式を済ませ、男を上げてみせろ。そこにいるエイト達も、陰ながらお前の力になってくれよう。どうだ、チャゴスよ? 行ってみんか?」
「うう……行ってみようかな。あっ。でもやっぱりどうしようかな」
私の声が封じられてて良かった。
じゃなきゃ今頃「はよ決めんかいあほんだらァ!!」とドロップキックをお見舞いしていたはずだ。
良かったね王子様、私が何も言えない状態で。
「おお! 行くと申すか! 表向き、お前は一人で王者の儀式に出発したことにするからな。一足先に城下町を出て、門のそばにあるエイトの馬車に乗り込んで待っていろ。よいな?」
「え!?」
「よし、大臣。チャゴスをさっそく儀式へ送り出せ。さも一人で行ったように見せかけるためにも、兵士を連れていき、派手に門の前で見送らせろ」
「ははっ、仰せの通りに!」
「えっ、そんな。僕はまだ……」
すごい……ほぼ揚げ足取りな上に、有無を言わさず王子が連れていかれた……。
さすがにちょっと同情してしまったけど、我々の目的のためにも、チャゴス王子には儀式を済ませてもらわなくては。
それはそれとしてクラビウス王も厳しい人だな!
その厳しさ、もっと出していったほうがいいと思います!
「ふぅ、やっと行きおったか。エイトよ、くれぐれも護衛のことは、誰にも口外しないでくれよ。あと、王者の儀式に関しては、城の外でチャゴスにでも聞いてくれ。そなたが見事、この任を成し遂げてくれれば、約束していた魔法の鏡はくれてやる」
「分かりました。では……」
クラビウス王に頭を下げて、謁見の間を出る。
どうやらチャゴス王子は既に『ご出発』された後だったようで、城の中には使用人たちの噂話が飛び交っていた。
その中を歩きながら外へ向かっていると、吟遊詩人の声がざわめきの中から聞こえてきた。
「クラビウス王の兄上のエルトリオ様が王位を継いで、世継ぎの王子を得ていれば、その子が王者の儀式を行っていたはず。だがエルトリオ様は城を出て行かれ、代わりに王位を継いだのは弟だったクラビウス王でした。王の子として育った以上、チャゴス王子は王者の儀式をやらなくてはなりません。たとえ、トカゲが大の苦手でも──」
……なるほど?
サザンビークには元々、クラビウス王の他にエルトリオ王子というお兄様がおられて、王位継承権はエルトリオ王子がお持ちだった。
が、エルトリオ王子は何らかの理由でサザンビーク王国を去り、王位はクラビウス王が継承することとなった、と。
考えられるのは駆け落ちだな。
それでもチャゴス王子も、恨んだことはあるだろうな。
国を捨てて去った、生死不明の伯父を。
もしエルトリオ王子が王位を継いで、お世継ぎが生まれていれば、自分は王者の儀式なんて受けなくてよかったんだもんね。
子供は生まれを選べないとは、よく言ったもんだ。
「装備を整えてから出発しよう。トカゲっていうのが何か分からないけど、この先も強敵との戦いが待ち構えているから」
「そうね。ドルマゲスと戦うってときに、装備が弱いんじゃ話にならないわ」
「だな。レイラもそれでいいだろ?」
「……」
「姉貴?」
ヤンガスの声に私は頷いた。
全員が怪訝な顔で私を見ている。
喋れよ、と言いたげだな。
私だって喋れるなら喋りたいわ。
「……あ、マホトーンが効いてるのね!?」
「マホトーンかけられてたの!?」
「だから途中から静かだったんでがすね!?」
「自業自得だけどな」
「……ッ!!」
「さすがに街中でメラミはまずいよレイラ!!」
「何言ったか分かったんでげすね!?」
「分かるわよ。さすがに」
城下町を歩きながら、ククールの背中をボカボカ叩いておいた。
地味に痛ぇとは言われたものの、思ったほどの反応じゃない。
悔しい……力が欲しい……!!
「……城下町も、王者の儀式のことで話題はもちきりみたいだ」
「今の今まで拒否してたんでしょ? それがやっと儀式に向かったっていうんだから、話題にもなるわよ」
「特にあの性格じゃあな。あんなのが次期国王か。この国の行く末が心配だよ、俺は」
「うーむ、アッシにゃあ政治のことはよく分からんですが……。兄貴なら国を治めることになっても、きっと立派な国王になれやすぜ!」
「今のところ王位を継ぐ予定はないかな、一般人だし……」
困ったように笑いながら、エイトは周囲の様子を眺めつつ、橋を渡っていく。
私もそれに着いていこうとした時、近くの町人が儀式について話しているのを聞いてしまった。
「王子が儀式で戦わねばならんアルゴリザードって名の大トカゲは、かなりの強敵らしいな。臆病なチャゴス王子に、そんな強敵が倒せるのかねぇ?」
アルゴリザード……大トカゲ……。
まったくイメージが沸かないな。
でも幽霊とかイカとかタコじゃないなら大丈夫だ!
でも私たちはあくまで護衛で、戦うのはチャゴス王子だし、死にそうになったら助けるくらいでいいんじゃない?
「レイラ、何してるの? 置いてくわよー」
「あ、待ってー! やっと喋れた!!」
「おめでとうございやす、姉貴!」
「良かったなー、これに懲りたら空気は読んでいこうなー」
「なんかムカつくけど、そうする」
ククールの言い方がムカつくけど、言っていることは正しいので、もう少し空気を読んで生きていこうと思う。
それにしてもどうしよう、姫様がどんなにショックを受けられることか……。
陛下もまさか愛娘の婚約者が、どうしようもないろくでなしだとは思わなかっただろうしなぁ……。
武器と防具の店に着いて、装備を新しくすることにした。
残念ながら亀の甲羅からは変えられず、仕方ないので盾と兜と剣を新調することに。
亀の甲羅で出歩くの嫌だよ本当に。
なんで私も装備できちゃうかなー!
全員の武器防具を新調したところで、ようやく私達も城下町を出ることにした。
あまり苦労させられないといいけど……無理な気がするな!
どうなる、王者の儀式!
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