35章
夢小説設定
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謁見の間を後にした私たちは、互いの顔を見合わせた。
「どうするよ?」とククールの目が言っている。
いや本当にどうしよう。
「とりあえず……チャゴス王子が見つかるまで、城内を見学してみる?」
「時間の無駄だわ。私達もチャゴス王子を探しましょう」
「ハイ」
ストレートに時間の無駄と言われ、グサッと胸に刺さる。
そんな私の肩をヤンガスとエイトがポン……と叩いた。
別にそんなんじゃないし……浮かれてなんかないし……。
「探すったって、どこをどうやって探したもんかな。そもそも王子は城の中にいるんだろ?」
「城の外にいるんだったら、兵士も外に行くはずだ。その素振りがないってことは、城内にいると思う」
「ってこたぁ、部屋を片っ端から開けていくでがすよ! そうすりゃあそのうち王子に行き着くでげす!」
「そうね、そうするしかないかしら」
しかし周囲を見ても、特段大騒ぎになっている気配はない。
みんな「またか」みたいな顔をしている。
もしかしてチャゴス王子って、しょっちゅう逃げ出してる可能性ある?
「ねえ、もうお聞きになりまして?」
私たちがしらみ潰しに探し回ろうとしているのが聞こえたのか、女性文官がそう声を掛けてきた。
なにを? と首を傾げつつ「いいえ?」と首を振ると、女性文官は上を指差して言った。
「逃げた王子が立て篭ってるのは、この上の三階の部屋なんですってね」
「あ、へえ、そうなんですか。立て篭って……」
どんだけ嫌なんだ、王者の儀式。
いやまぁ普通に考えて嫌だよな……。
一歩間違えたら死ぬやつだもん、聞いてる限り。
何と戦うのか知らないけど、サザンビークの次期国王も大変なんだな……。
言われた通りに三階へ登ってみると、王子を探し回っていたであろう王城勤務者たちが、ひとつのドアの前で困ったように突っ立っていた。
どう見たってここに立て篭ってるとしか思えない。
「チャゴス王子が立て篭ってる部屋って使用人の部屋なんだけど、天井から時々トカゲが落ちてくることがあるのよね。チャゴス王子、大丈夫かしら……」
「まぁでも、チャゴス王子が嫌がるのは無理もない話ですよ。トカゲと戦えなんて、いくら儀式とはいえトカゲ嫌いの王子には酷なことでしょう」
さらに上の四階からそんな話し声が聞こえてきた。
まさか王子が逃げた理由って、儀式が危険だからじゃなくて、トカゲが嫌いだから……!?
そもそもトカゲと戦うってどんな儀式だ。
トカゲに勝ったら王者になれるってことなのか?
そんなにデカいトカゲがいるってことなのか!?
「この部屋に逃げ込んだのは間違いないんですよね?」
「え? あ、ああ、そうだが……。声を掛けても出てこられはしないと思うぞ」
近衛兵からそう言われながらも、エイトは使用人の部屋をノックした。
上手いこと説得すれば出て来てもらえるかもしれない……けど、望みは薄そうだな。
「ん!? 誰か来たのか?」
完全に震え上がってる声がドア越しに聞こえた。
今のがチャゴス王子の声?
なんだろな、なんていうか……ろくでもない奴な予感がするんだよな……。
「よく聞け! 誰が来ようが絶対にここから出るつもりはない。かと言って無理やり扉を開けようなんて思うな。もしそんなことをすれば、舌を噛み切るからな!」
「えええ……」
交渉の余地はまるでない。
どうしたら王子は出て来てくれるんだろう。
王子が出てこない事には、私たちも魔法の鏡をもらえないわけで……。
ここはひとまず、別の方法を考えるしかなさそうかも。
「ちょっと四階に行ってみよう」
「お、なんか閃いちゃった感じ?」
「まぁ……少しね」
意味深に微笑むエイトは、完全に怒りが頭に来ていた。
オーラがね、雰囲気がもうすごいもんね。
明確な殺意と圧を感じる。
エイトと共に四階へ上がって、宮廷魔道士たちの実験室だという部屋へと足を踏み入れる。
どうやらここは王子が立て篭っている部屋の真上に当たるらしい。
こんな所に来て何を? と我々が首を傾げていたのもつかの間。
エイトは壁際に並んだタルの隙間に、なんと穴を見つけてしまったのだ。
「そんな都合いい事ある?」
「どういうことよ?」
「おおかたネズミがかじった穴なんだろ。別に珍しいもんでもないぜ?」
「いやぁ、まあ、うん……」
この二人はリーザス村でのトーポを見ていないから……。
タルをどかしたエイトは、穴の前でトーポをポケットから取り出し、そして壁に入れた。
トーポもトーポで、なんでエイトのやろうとすることが分かるのか。
「え……トーポくん、ここで逃がすの? 正気?」
「逃がす? 何の話?」
「だってお前ここに入れただろ、今」
「ああ、違うよ。王子が立て篭ってる部屋、天井からトカゲが落ちてくることがあるらしくてね。だったらこの部屋の床下にトカゲがいるってことになるから、ちょっとトーポに探してもらおうかと」
「分かるのか? ネズミにその意図が伝わってるのか?」
「これが不思議な事に、ちゃんと伝わってるんでげすよ」
「大丈夫だよ、トーポが戻ってくる頃には、チャゴス王子も部屋から出て来てるはずだ」
にっこりと笑ってエイトはそう言った。
その笑顔に、いつになく真っ黒なものを見てしまったのは、きっと私だけではないはずだ。
だからエイトを怒らせてはいけないんだよ。
普段は穏やかで優しい人ほど、怒ると怖いからね!
「どうするよ?」とククールの目が言っている。
いや本当にどうしよう。
「とりあえず……チャゴス王子が見つかるまで、城内を見学してみる?」
「時間の無駄だわ。私達もチャゴス王子を探しましょう」
「ハイ」
ストレートに時間の無駄と言われ、グサッと胸に刺さる。
そんな私の肩をヤンガスとエイトがポン……と叩いた。
別にそんなんじゃないし……浮かれてなんかないし……。
「探すったって、どこをどうやって探したもんかな。そもそも王子は城の中にいるんだろ?」
「城の外にいるんだったら、兵士も外に行くはずだ。その素振りがないってことは、城内にいると思う」
「ってこたぁ、部屋を片っ端から開けていくでがすよ! そうすりゃあそのうち王子に行き着くでげす!」
「そうね、そうするしかないかしら」
しかし周囲を見ても、特段大騒ぎになっている気配はない。
みんな「またか」みたいな顔をしている。
もしかしてチャゴス王子って、しょっちゅう逃げ出してる可能性ある?
「ねえ、もうお聞きになりまして?」
私たちがしらみ潰しに探し回ろうとしているのが聞こえたのか、女性文官がそう声を掛けてきた。
なにを? と首を傾げつつ「いいえ?」と首を振ると、女性文官は上を指差して言った。
「逃げた王子が立て篭ってるのは、この上の三階の部屋なんですってね」
「あ、へえ、そうなんですか。立て篭って……」
どんだけ嫌なんだ、王者の儀式。
いやまぁ普通に考えて嫌だよな……。
一歩間違えたら死ぬやつだもん、聞いてる限り。
何と戦うのか知らないけど、サザンビークの次期国王も大変なんだな……。
言われた通りに三階へ登ってみると、王子を探し回っていたであろう王城勤務者たちが、ひとつのドアの前で困ったように突っ立っていた。
どう見たってここに立て篭ってるとしか思えない。
「チャゴス王子が立て篭ってる部屋って使用人の部屋なんだけど、天井から時々トカゲが落ちてくることがあるのよね。チャゴス王子、大丈夫かしら……」
「まぁでも、チャゴス王子が嫌がるのは無理もない話ですよ。トカゲと戦えなんて、いくら儀式とはいえトカゲ嫌いの王子には酷なことでしょう」
さらに上の四階からそんな話し声が聞こえてきた。
まさか王子が逃げた理由って、儀式が危険だからじゃなくて、トカゲが嫌いだから……!?
そもそもトカゲと戦うってどんな儀式だ。
トカゲに勝ったら王者になれるってことなのか?
そんなにデカいトカゲがいるってことなのか!?
「この部屋に逃げ込んだのは間違いないんですよね?」
「え? あ、ああ、そうだが……。声を掛けても出てこられはしないと思うぞ」
近衛兵からそう言われながらも、エイトは使用人の部屋をノックした。
上手いこと説得すれば出て来てもらえるかもしれない……けど、望みは薄そうだな。
「ん!? 誰か来たのか?」
完全に震え上がってる声がドア越しに聞こえた。
今のがチャゴス王子の声?
なんだろな、なんていうか……ろくでもない奴な予感がするんだよな……。
「よく聞け! 誰が来ようが絶対にここから出るつもりはない。かと言って無理やり扉を開けようなんて思うな。もしそんなことをすれば、舌を噛み切るからな!」
「えええ……」
交渉の余地はまるでない。
どうしたら王子は出て来てくれるんだろう。
王子が出てこない事には、私たちも魔法の鏡をもらえないわけで……。
ここはひとまず、別の方法を考えるしかなさそうかも。
「ちょっと四階に行ってみよう」
「お、なんか閃いちゃった感じ?」
「まぁ……少しね」
意味深に微笑むエイトは、完全に怒りが頭に来ていた。
オーラがね、雰囲気がもうすごいもんね。
明確な殺意と圧を感じる。
エイトと共に四階へ上がって、宮廷魔道士たちの実験室だという部屋へと足を踏み入れる。
どうやらここは王子が立て篭っている部屋の真上に当たるらしい。
こんな所に来て何を? と我々が首を傾げていたのもつかの間。
エイトは壁際に並んだタルの隙間に、なんと穴を見つけてしまったのだ。
「そんな都合いい事ある?」
「どういうことよ?」
「おおかたネズミがかじった穴なんだろ。別に珍しいもんでもないぜ?」
「いやぁ、まあ、うん……」
この二人はリーザス村でのトーポを見ていないから……。
タルをどかしたエイトは、穴の前でトーポをポケットから取り出し、そして壁に入れた。
トーポもトーポで、なんでエイトのやろうとすることが分かるのか。
「え……トーポくん、ここで逃がすの? 正気?」
「逃がす? 何の話?」
「だってお前ここに入れただろ、今」
「ああ、違うよ。王子が立て篭ってる部屋、天井からトカゲが落ちてくることがあるらしくてね。だったらこの部屋の床下にトカゲがいるってことになるから、ちょっとトーポに探してもらおうかと」
「分かるのか? ネズミにその意図が伝わってるのか?」
「これが不思議な事に、ちゃんと伝わってるんでげすよ」
「大丈夫だよ、トーポが戻ってくる頃には、チャゴス王子も部屋から出て来てるはずだ」
にっこりと笑ってエイトはそう言った。
その笑顔に、いつになく真っ黒なものを見てしまったのは、きっと私だけではないはずだ。
だからエイトを怒らせてはいけないんだよ。
普段は穏やかで優しい人ほど、怒ると怖いからね!
