33章
夢小説設定
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──カクン、と首が船を漕いだ衝撃で目が覚めた。
世界はすっかり夜だ。
一瞬ここがどこか分からなくて、ぼーっと景色を眺めていると、すぐ横から声がした。
「あれ、起きたんだ」
「……エイト?」
「もう少し眠っていてもよかったのに」
どうやら私はエイトの肩を枕代わりにしていたようだ。
ごめんねと呟いて背伸びをすると、毛布が肩から滑り落ちてしまった。
慌ててそれを肩にかけ直して、改めて周囲を見渡す。
みんなそれぞれ毛布にくるまって眠っている。
エイトは見張りで起きていたらしい。
「いつの間に寝ちゃったんだ……」
「僕が寝ていいよって言ったら、すぐに寝たよ」
「マジか、それはほんとにごめん」
「気にしなくていいのに」
微笑んだエイトがそう言って目を閉じた。
見張り番の交代というわけだ。
私の肩を枕にしても、エイトより低いから寝にくいだろうに。
くぁ、と欠伸をして、遠くにいる魔物を見やる。
相変わらずこちらを襲う気配はなし。
それから空を見上げると、月も半分ほど沈みかけていた。
そろそろ不思議な木が現れるんじゃなかろうか。
月が沈んでしばらくして、向こうの空が少しだけ明るくなった。
そろそろ起こすか、とエイトに手を伸ばした時。
──パッと視界が眩しくなって、私たちのいる岩の上に大樹が現れた。
あんぐりと口を開け、すぐに慌ててみんなを起こしていく。
全員が起きた途端、不思議な木を見て「は!?」と驚きを隠せないでいた。
「木、木があるわよ!」
「ってこたあ、この近くにラパンとかいうおっさんの友人がいるんでがしょうな」
「どう見てもそこで彷徨ってるキラーパンサーだろ」
私たちの視線の先には、半透明なキラーパンサーがウロウロしている。
なるほど、たしかにこれは道に迷っていると言ってもいいだろう。
ただしそれはラパンハウスへの道ではなく……あの世へ逝く道という話。
「エイト、ラパンさんからもらったやつ貸して」
「うん」
エイトが袋から深き眠りの粉を取り出して、私の手に載せた。
その瓶を持って、キラーパンサーの元へ歩み寄る。
キラーパンサーは私に気がついて、鼻をひくっとさせた。
「そなたは……旅の者か」
「そうですよ。どうしたんですか?」
「わしの名はバウムレン。主人であるラパン様の命令により使いに出たのだが、行く道が分からなくなってしまったのだ」
「……」
「通りすがりの旅人に聞くのもおかしなことだが、お前は知らぬか。わしはどこへ行くはずだったのか……」
「……それは、これが教えてくれると思います」
手に握ったままの小瓶を差し出す。
バウムレンは再びその粉へと鼻をひくつかせ、それから何かに思い当たったように目を丸くさせた。
「そ、その粉は……!! 旅人よ!! その粉を何処にて手に入れたか!!」
「これはラパンさんから託されたものです。道に迷った旧友を導くために」
「なんだと!? ラパン様がそなたにその粉を託したというのか! にわかには信じられんが……」
そうだろうな……だってバウムレンは、自分が死んだことに気付いていない。
こうして彷徨い続けてどれくらいになるのかは分からないけど、ラパンさんもバウムレンのことは察していたんだろう。
だから私たちにこの粉を託して──本当は自分が見届けたかっただろうに。
「いや……その話を聞いて、ようやく合点がいったわい。おかしいと思っていたのだ。行けども行けども、同じ所をグルグルと回ってばかりなのだからな」
「……」
「旅人よ。礼を言わねばならん。そなたが来なかったら、わしは永遠に行くべき道を見失ったままであった。すまぬがその小瓶の栓を開き、中の粉を辺りに撒いてくれぬか」
言われた通りに小瓶の栓を開けて、中に入っている粉をバウムレンへと振り撒く。
バウムレンの周囲には優しい光が揺らめいて、やがてそれはバウムレンを包んでいった。
「旅人よ。もしも再びラパン様に会うことがあったら、こう伝えてもらえぬか。このバウムレン……。ラパン様に会えたというそれだけで、まこと幸福な人生であった……とな」
「……はい。必ず」
「ではさらばだ、不思議な力を持つ旅人よ。達者で旅を続けるがよい」
バウムレンは光で出来た道をゆっくりと歩き始めた。
朝焼けの空へ向かって光の道は伸びていき、やがてその光は淡くなって──バウムレンも光の道も、消えてしまった。
「……」
「お疲れ様」
「なんだってレイラが看取ってやらなくてもよかっただろうにな」
「私だからこそ、見届けてあげなきゃいけないなって思っただけだよ」
空になった瓶に栓をして、エイトに返す。
エイトは少し寂しそうな目をして、その瓶を受け取った。
朝日が目に眩しい。
ふと不思議な木の根元を見ると、綺麗な葉が一枚だけ落ちていた。
「これって……」
「世界樹の葉?」
私の手の中にある葉をエイトが覗き込む。
この木ってもしかして、世界樹だったってこと?
それならなんだか納得がいくかもしれない。
「ほら、ここでの用事は済んだろ。さっさとラパンハウスに戻ろうぜ」
「そうでがすな。無事に送り出せた事を報告に行きましょうや」
「うん」
エイトがルーラを唱えて、不思議な木からラパンハウスへ飛んでいく。
早朝から失礼かなとも思ったけど、エイトは構わずにラパンハウスの中へと入っていった。
ドアが開いてるんだから、お邪魔しちゃえってんだ!
世界はすっかり夜だ。
一瞬ここがどこか分からなくて、ぼーっと景色を眺めていると、すぐ横から声がした。
「あれ、起きたんだ」
「……エイト?」
「もう少し眠っていてもよかったのに」
どうやら私はエイトの肩を枕代わりにしていたようだ。
ごめんねと呟いて背伸びをすると、毛布が肩から滑り落ちてしまった。
慌ててそれを肩にかけ直して、改めて周囲を見渡す。
みんなそれぞれ毛布にくるまって眠っている。
エイトは見張りで起きていたらしい。
「いつの間に寝ちゃったんだ……」
「僕が寝ていいよって言ったら、すぐに寝たよ」
「マジか、それはほんとにごめん」
「気にしなくていいのに」
微笑んだエイトがそう言って目を閉じた。
見張り番の交代というわけだ。
私の肩を枕にしても、エイトより低いから寝にくいだろうに。
くぁ、と欠伸をして、遠くにいる魔物を見やる。
相変わらずこちらを襲う気配はなし。
それから空を見上げると、月も半分ほど沈みかけていた。
そろそろ不思議な木が現れるんじゃなかろうか。
月が沈んでしばらくして、向こうの空が少しだけ明るくなった。
そろそろ起こすか、とエイトに手を伸ばした時。
──パッと視界が眩しくなって、私たちのいる岩の上に大樹が現れた。
あんぐりと口を開け、すぐに慌ててみんなを起こしていく。
全員が起きた途端、不思議な木を見て「は!?」と驚きを隠せないでいた。
「木、木があるわよ!」
「ってこたあ、この近くにラパンとかいうおっさんの友人がいるんでがしょうな」
「どう見てもそこで彷徨ってるキラーパンサーだろ」
私たちの視線の先には、半透明なキラーパンサーがウロウロしている。
なるほど、たしかにこれは道に迷っていると言ってもいいだろう。
ただしそれはラパンハウスへの道ではなく……あの世へ逝く道という話。
「エイト、ラパンさんからもらったやつ貸して」
「うん」
エイトが袋から深き眠りの粉を取り出して、私の手に載せた。
その瓶を持って、キラーパンサーの元へ歩み寄る。
キラーパンサーは私に気がついて、鼻をひくっとさせた。
「そなたは……旅の者か」
「そうですよ。どうしたんですか?」
「わしの名はバウムレン。主人であるラパン様の命令により使いに出たのだが、行く道が分からなくなってしまったのだ」
「……」
「通りすがりの旅人に聞くのもおかしなことだが、お前は知らぬか。わしはどこへ行くはずだったのか……」
「……それは、これが教えてくれると思います」
手に握ったままの小瓶を差し出す。
バウムレンは再びその粉へと鼻をひくつかせ、それから何かに思い当たったように目を丸くさせた。
「そ、その粉は……!! 旅人よ!! その粉を何処にて手に入れたか!!」
「これはラパンさんから託されたものです。道に迷った旧友を導くために」
「なんだと!? ラパン様がそなたにその粉を託したというのか! にわかには信じられんが……」
そうだろうな……だってバウムレンは、自分が死んだことに気付いていない。
こうして彷徨い続けてどれくらいになるのかは分からないけど、ラパンさんもバウムレンのことは察していたんだろう。
だから私たちにこの粉を託して──本当は自分が見届けたかっただろうに。
「いや……その話を聞いて、ようやく合点がいったわい。おかしいと思っていたのだ。行けども行けども、同じ所をグルグルと回ってばかりなのだからな」
「……」
「旅人よ。礼を言わねばならん。そなたが来なかったら、わしは永遠に行くべき道を見失ったままであった。すまぬがその小瓶の栓を開き、中の粉を辺りに撒いてくれぬか」
言われた通りに小瓶の栓を開けて、中に入っている粉をバウムレンへと振り撒く。
バウムレンの周囲には優しい光が揺らめいて、やがてそれはバウムレンを包んでいった。
「旅人よ。もしも再びラパン様に会うことがあったら、こう伝えてもらえぬか。このバウムレン……。ラパン様に会えたというそれだけで、まこと幸福な人生であった……とな」
「……はい。必ず」
「ではさらばだ、不思議な力を持つ旅人よ。達者で旅を続けるがよい」
バウムレンは光で出来た道をゆっくりと歩き始めた。
朝焼けの空へ向かって光の道は伸びていき、やがてその光は淡くなって──バウムレンも光の道も、消えてしまった。
「……」
「お疲れ様」
「なんだってレイラが看取ってやらなくてもよかっただろうにな」
「私だからこそ、見届けてあげなきゃいけないなって思っただけだよ」
空になった瓶に栓をして、エイトに返す。
エイトは少し寂しそうな目をして、その瓶を受け取った。
朝日が目に眩しい。
ふと不思議な木の根元を見ると、綺麗な葉が一枚だけ落ちていた。
「これって……」
「世界樹の葉?」
私の手の中にある葉をエイトが覗き込む。
この木ってもしかして、世界樹だったってこと?
それならなんだか納得がいくかもしれない。
「ほら、ここでの用事は済んだろ。さっさとラパンハウスに戻ろうぜ」
「そうでがすな。無事に送り出せた事を報告に行きましょうや」
「うん」
エイトがルーラを唱えて、不思議な木からラパンハウスへ飛んでいく。
早朝から失礼かなとも思ったけど、エイトは構わずにラパンハウスの中へと入っていった。
ドアが開いてるんだから、お邪魔しちゃえってんだ!
