32章
夢小説設定
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客室を出てフロントへ降りると、受付の男性が私を見て「お客様」とよびとめた。
「お体の具合はもう宜しいのですか?」
「あ、はい、もう平気です。……もしかしてお手を煩わせてしまったりします!?」
「ああいえいえ、看病などは旦那様が」
「……旦那様?」
聞き慣れない単語が飛び出てきて、うっかり首を傾げてしまった。
男性は「ええ」と微笑んで頷いている。
……私いつの間に結婚した?
私の記憶が正しければ、生まれてこの方、独身のはずだけど……?
「オレンジのバンダナをされた方が」
「あっエイト……! 旦那とかじゃないです! ただの旅の仲間です!」
「そうだったんですか、それはとんだ勘違いを。大変失礼致しました、なにせひどく心配しておられたものですから」
「そ、そうだったんですか……。なんというか、こちらこそご迷惑を……。あ、その、それで、私の連れたちがどこに行ったかご存知ですか?」
「皆様でしたら、このホテルの裏手にあるレストランに向かわれましたよ。ご朝食を食べに行かれたようですね」
「ありがとうございます!」
小さく頭を下げて、ホテルを出る。
朝日が燦々と降り注いで、爽やかな朝だ。
ぐっと背伸びをしてからホテルの裏手にあるレストランへと急いだ。
ドアを開けて中に入ると、一際賑やかな一角がすぐに目に飛び込んできた。
「お待たせしました!」
「姉貴! 調子はどうでげすか?」
「もう大丈夫! 大変ご迷惑をお掛けました……」
「おう、しっかり反省しろー」
「困ってる人を放ってはおけないお人好しなのは知ってるけど、無茶は程々にしないと、そのうちエイトの胃に穴が空くわよ」
「もう既に空いてるんじゃないかってくらい胃が痛かったよ……」
「すみませんでしたッ!!」
乾いた笑いのエイトに向かって直角に頭を下げ、私は示された席に座った。
モーニングセットを頼んで、先に注文していたみんなのご飯が到着していくのを眺めつつ、はたと気付いた。
私の席は、すっかり定位置化した、エイトの前の席。
いつもなら何も考えずにエイトと向かい合ってご飯を食べるけど、今朝のあれやこれやの後だと、まぁ気まずい!!
「ゼシカさん、席を変わってもらえませんか……」
「どうしてよ?」
「いやあ……まあ、ちょっと……気まずいというか……」
「エイト、あなたまだ昨日のこと怒ってるの?」
「え? 怒ってないけど、どうして?」
「レイラが私と席を変わってほしいって言ってるのよ」
「え!? 怒ってないよ!?」
「って、必死に弁解してるけど?」
「……うん、もういいや……」
「何か諦められた!?」
とりあえずエイトの顔を見ないように……。
み、見ないように……。
やっとこさ運ばれてきたモーニングセットに、顔を突っ込むんじゃないかレベルで向かい合う。
姿勢悪すぎるだろ、とククールからツッコミが入った。
「あ、そうだレイラ」
「うぉぁえ!?」
すごい声出た──!!
挙動不審すぎる私──!!
これには流石のエイトさんも怪訝なお顔だ!!
「……大丈夫?」
「平気です、すいません……」
ボソボソと呟いて、ちぎったパンを口に入れる。
ふわふわで美味しい……。
スープも美味しいし、ここのレストランって実は人気店では?
「大丈夫ならいいんだけど。あのさ、さっき、サザンビークまでの道のりを地図で確認してたんだけど……」
「何か問題でもあったんでがすか?」
「うーん、問題っていうか……。ここからサザンビークまで、けっこう距離があるんだけど」
「なるほどな? けどまあ、途中に休めるところくらいあるだろ?」
「それが、ないんだ」
全員の手が止まった。
ドニの町からアスカンタ城に向かう時だって、アスカンタ城からパルミドに向かう時だって、道中には休めるところがあったのに!
それが今回は無いだとぉ!?
「ない?」
「うん」
「一か所も!?」
「ない」
「嘘だろぉぉぉぉお!!?」
「ま、待ってエイト! まさか本気で言ってる!?」
「こんなの嘘ついたってしょうがないじゃないか。……僕も信じたくないけど」
「なんかこう、乗り物とかないんでげすか!?」
「乗り物なあ……」
「ないんじゃないかな……」
あったらこんな残念なお知らせが出てくることも無いもん……。
結局、サザンビークまでは徒歩ということが決定した。
これ、着くまでに死んじゃったりしないよね?
* * *
「では、張り切っていきましょー!」
「おー……」
一向のテンションは見たとおり。
今までになく低い。
そりゃあここからサザンビークまで、ノンストップで駆け抜けなければならないわけだもん。
誰だって嫌に決まってる……。
「……ん? あれ?」
地図を見ていたエイトが、何かを発見したかのように声を上げる。
つられて私も地図を覗き込むと、エイトの指はとある場所を示した。
「これさ、もしかしてだけど……」
「町、かなぁ……?」
「だとしてもあまりにもベルガラックに近すぎないか?」
「不思議な場所ね……」
心がうずうずした。
そう──私の能天気な寄り道精神が!
ここには何かあると告げている!
エイトとぱっと目が合って、その目が何かを訴えかけてきた。
「行ってみよ!」
「言うと思ったよ」
ククールは諦めた様子でそう言った。
ヤンガスは元から「兄貴と姉貴がお決めになることだ、深い意味があるんでげしょうな」と尊敬の眼差しだ。
ゼシカの目はちょっと見られない。
そんなわけで、サザンビーク城に向かう前に、謎の場所に向かうことになったのであった。
どうせ通り道からちょっと逸れた場所だしね!
気になるものは気になった時に行くべきなんだぜ!
「お体の具合はもう宜しいのですか?」
「あ、はい、もう平気です。……もしかしてお手を煩わせてしまったりします!?」
「ああいえいえ、看病などは旦那様が」
「……旦那様?」
聞き慣れない単語が飛び出てきて、うっかり首を傾げてしまった。
男性は「ええ」と微笑んで頷いている。
……私いつの間に結婚した?
私の記憶が正しければ、生まれてこの方、独身のはずだけど……?
「オレンジのバンダナをされた方が」
「あっエイト……! 旦那とかじゃないです! ただの旅の仲間です!」
「そうだったんですか、それはとんだ勘違いを。大変失礼致しました、なにせひどく心配しておられたものですから」
「そ、そうだったんですか……。なんというか、こちらこそご迷惑を……。あ、その、それで、私の連れたちがどこに行ったかご存知ですか?」
「皆様でしたら、このホテルの裏手にあるレストランに向かわれましたよ。ご朝食を食べに行かれたようですね」
「ありがとうございます!」
小さく頭を下げて、ホテルを出る。
朝日が燦々と降り注いで、爽やかな朝だ。
ぐっと背伸びをしてからホテルの裏手にあるレストランへと急いだ。
ドアを開けて中に入ると、一際賑やかな一角がすぐに目に飛び込んできた。
「お待たせしました!」
「姉貴! 調子はどうでげすか?」
「もう大丈夫! 大変ご迷惑をお掛けました……」
「おう、しっかり反省しろー」
「困ってる人を放ってはおけないお人好しなのは知ってるけど、無茶は程々にしないと、そのうちエイトの胃に穴が空くわよ」
「もう既に空いてるんじゃないかってくらい胃が痛かったよ……」
「すみませんでしたッ!!」
乾いた笑いのエイトに向かって直角に頭を下げ、私は示された席に座った。
モーニングセットを頼んで、先に注文していたみんなのご飯が到着していくのを眺めつつ、はたと気付いた。
私の席は、すっかり定位置化した、エイトの前の席。
いつもなら何も考えずにエイトと向かい合ってご飯を食べるけど、今朝のあれやこれやの後だと、まぁ気まずい!!
「ゼシカさん、席を変わってもらえませんか……」
「どうしてよ?」
「いやあ……まあ、ちょっと……気まずいというか……」
「エイト、あなたまだ昨日のこと怒ってるの?」
「え? 怒ってないけど、どうして?」
「レイラが私と席を変わってほしいって言ってるのよ」
「え!? 怒ってないよ!?」
「って、必死に弁解してるけど?」
「……うん、もういいや……」
「何か諦められた!?」
とりあえずエイトの顔を見ないように……。
み、見ないように……。
やっとこさ運ばれてきたモーニングセットに、顔を突っ込むんじゃないかレベルで向かい合う。
姿勢悪すぎるだろ、とククールからツッコミが入った。
「あ、そうだレイラ」
「うぉぁえ!?」
すごい声出た──!!
挙動不審すぎる私──!!
これには流石のエイトさんも怪訝なお顔だ!!
「……大丈夫?」
「平気です、すいません……」
ボソボソと呟いて、ちぎったパンを口に入れる。
ふわふわで美味しい……。
スープも美味しいし、ここのレストランって実は人気店では?
「大丈夫ならいいんだけど。あのさ、さっき、サザンビークまでの道のりを地図で確認してたんだけど……」
「何か問題でもあったんでがすか?」
「うーん、問題っていうか……。ここからサザンビークまで、けっこう距離があるんだけど」
「なるほどな? けどまあ、途中に休めるところくらいあるだろ?」
「それが、ないんだ」
全員の手が止まった。
ドニの町からアスカンタ城に向かう時だって、アスカンタ城からパルミドに向かう時だって、道中には休めるところがあったのに!
それが今回は無いだとぉ!?
「ない?」
「うん」
「一か所も!?」
「ない」
「嘘だろぉぉぉぉお!!?」
「ま、待ってエイト! まさか本気で言ってる!?」
「こんなの嘘ついたってしょうがないじゃないか。……僕も信じたくないけど」
「なんかこう、乗り物とかないんでげすか!?」
「乗り物なあ……」
「ないんじゃないかな……」
あったらこんな残念なお知らせが出てくることも無いもん……。
結局、サザンビークまでは徒歩ということが決定した。
これ、着くまでに死んじゃったりしないよね?
* * *
「では、張り切っていきましょー!」
「おー……」
一向のテンションは見たとおり。
今までになく低い。
そりゃあここからサザンビークまで、ノンストップで駆け抜けなければならないわけだもん。
誰だって嫌に決まってる……。
「……ん? あれ?」
地図を見ていたエイトが、何かを発見したかのように声を上げる。
つられて私も地図を覗き込むと、エイトの指はとある場所を示した。
「これさ、もしかしてだけど……」
「町、かなぁ……?」
「だとしてもあまりにもベルガラックに近すぎないか?」
「不思議な場所ね……」
心がうずうずした。
そう──私の能天気な寄り道精神が!
ここには何かあると告げている!
エイトとぱっと目が合って、その目が何かを訴えかけてきた。
「行ってみよ!」
「言うと思ったよ」
ククールは諦めた様子でそう言った。
ヤンガスは元から「兄貴と姉貴がお決めになることだ、深い意味があるんでげしょうな」と尊敬の眼差しだ。
ゼシカの目はちょっと見られない。
そんなわけで、サザンビーク城に向かう前に、謎の場所に向かうことになったのであった。
どうせ通り道からちょっと逸れた場所だしね!
気になるものは気になった時に行くべきなんだぜ!
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