32章
夢小説設定
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顔に眩しい光が当たっていて、ゆっくりと目が覚めた。
一番鶏の声で起きる習慣が身に付いているのに、この時間まで爆睡していたなんて珍しいな。
「……ん……」
ぱちっと目を開けると、腕を組んで枕元に座るエイトが見えた。
顔にご立腹って書いてあるな、私なんかしたっけ。
「おはよう」
「おはよう……。なんで怒ってるの?」
挨拶の声音がいつもより低い。
ついでに言うと、眉間にとてもシワが寄っている。
こーれは……大変にお怒りですね!
いったいぜんたい、昨日の私は何をしたって言うんだ!
「覚えてないの?」
「なんのことだかさっぱり……」
「倒れてた」
「……え?」
「カジノの横のベンチの前で」
カジノの横のベンチ……と記憶を辿っていく。
そういえばこの世に留まってしまったままのおじいさんを、霊導の力で昇天させたんだっけ。
あの後の記憶がないから、倒れてたところをエイトに助けられたってことなのかな。
……そりゃ怒るねぇ!!
なにせエイトは私にものすごく、それはもうめちゃくちゃ過保護だもんね!!
あわわわ、と慌てる私の首元に、エイトの顔が埋められた。
「ちょっ……!」
押し戻そうとした手を押さえられる。
こ、こいつ、こんなに力強かったか!?
いやそりゃ強いか、男の子だもんね!
でもさすがにこんな……こんな押し倒されるみたいなのはさぁ!?
「……死んでるかと、思った」
エイトの声は震えていた。
いつも穏やかで、何にも動じなさそうなエイトが。
……怖かったのかな、私が死んでるかもって思って。
ああでもたしかに、私でも怖いな。
エイトが倒れていて動かないのは──。
「なんで霊導の力を使ったの」
「どうしてそれを……」
「ヨシュアが教えてくれたんだ。まだ力が不安定で、身体もついて来られないから、力は使うなって言われてたんだろ」
「……」
ぐうの音も出ない。
ヨシュアの言いつけを破ったのは事実だし、非は私にある。
それはまあ、その通りでしかないんだけど。
(……でも)
あのおじいさん、すごく悲しそうな目をしてた。
死んだのに冥界に行けないなんて、きっと私たちが考えているよりも辛いことなんだと思う。
「……レイラは優しすぎる」
「急に? 言うほど優しくないって、私」
「優しいよ。……優しいから、本当に心配になる」
「えぇ……?」
「もうこんな無茶はしないで」
「エイト」
「みんな心配してたんだ。だから……ね?」
瞳を覗き込まれて、私は頷いた。
なんであれ心配をかけたのは事実だし、それはきっとエイトだけじゃないだろうから。
私が優しいか優しくないかはさておき、心配をかけたことに対しては謝らなきゃ。
「……分かった。もうしない。ごめんなさい」
エイトの目を見つめ返してそう言う。
不安そうに揺らいでいた黒い瞳は、私をじっと見つめて、それからふっと眼差しを緩めた。
「約束だからね?」
ふわりと笑って、エイトが身体を離す。
なんだか、その笑顔は──見慣れているようで、今までに見たこともないくらい優しくて。
「……っ」
心臓が撥ねる。
痛いくらいに耳の奥で鼓動が鳴っている。
今までこんなことなかったのに、どうして……。
目を逸らしたい、でもエイトを見つめていたい。
矛盾した感情が一緒くたになって、私の中でグルグルしていた。
「みんな待ってるから、早く朝ご飯、食べにおいでよ」
「う、うん」
うう、なんでだろう。
エイトの顔がまともに見られない。
本当にこんなこと、今までなかったのに!
部屋を去っていくエイトをベッドの上から見送って、そのまま私はよろよろとベッドに倒れ込んでしまった。
「はっ……!? もしかして……何かの病気なんじゃ……!?」
いやいやいやいや、それはないだろ、さすがに。
衛生面はいつも通り、きっちりしてた自信がある。
それはもう周りが呆れるくらいに。
……呆れられても困るんだけどね、むしろ兵士時代はそれが普通だったから。
王族の一番近くにいる近衛兵が、変な病気なんか持ってたらいけないもん。
「さってと、朝ごはん朝ごはん~」
簡単にベッドメイクをして、荷物を持って部屋を出る。
サザンビークまではここから遠いみたいだから、しっかりと食べないと!
でもそろそろ、徒歩以外の移動手段が欲しいなぁ。
かと言って私たちが高速で動けるようになると、追い掛ける姫様が大変だもんな……。
今は私達も徒歩だから、姫様も後ろからポックポック歩いてくるだけでいいんだけど。
馬……そう、私達も乗れる馬みたいな、そういうの……ないかな……。
一番鶏の声で起きる習慣が身に付いているのに、この時間まで爆睡していたなんて珍しいな。
「……ん……」
ぱちっと目を開けると、腕を組んで枕元に座るエイトが見えた。
顔にご立腹って書いてあるな、私なんかしたっけ。
「おはよう」
「おはよう……。なんで怒ってるの?」
挨拶の声音がいつもより低い。
ついでに言うと、眉間にとてもシワが寄っている。
こーれは……大変にお怒りですね!
いったいぜんたい、昨日の私は何をしたって言うんだ!
「覚えてないの?」
「なんのことだかさっぱり……」
「倒れてた」
「……え?」
「カジノの横のベンチの前で」
カジノの横のベンチ……と記憶を辿っていく。
そういえばこの世に留まってしまったままのおじいさんを、霊導の力で昇天させたんだっけ。
あの後の記憶がないから、倒れてたところをエイトに助けられたってことなのかな。
……そりゃ怒るねぇ!!
なにせエイトは私にものすごく、それはもうめちゃくちゃ過保護だもんね!!
あわわわ、と慌てる私の首元に、エイトの顔が埋められた。
「ちょっ……!」
押し戻そうとした手を押さえられる。
こ、こいつ、こんなに力強かったか!?
いやそりゃ強いか、男の子だもんね!
でもさすがにこんな……こんな押し倒されるみたいなのはさぁ!?
「……死んでるかと、思った」
エイトの声は震えていた。
いつも穏やかで、何にも動じなさそうなエイトが。
……怖かったのかな、私が死んでるかもって思って。
ああでもたしかに、私でも怖いな。
エイトが倒れていて動かないのは──。
「なんで霊導の力を使ったの」
「どうしてそれを……」
「ヨシュアが教えてくれたんだ。まだ力が不安定で、身体もついて来られないから、力は使うなって言われてたんだろ」
「……」
ぐうの音も出ない。
ヨシュアの言いつけを破ったのは事実だし、非は私にある。
それはまあ、その通りでしかないんだけど。
(……でも)
あのおじいさん、すごく悲しそうな目をしてた。
死んだのに冥界に行けないなんて、きっと私たちが考えているよりも辛いことなんだと思う。
「……レイラは優しすぎる」
「急に? 言うほど優しくないって、私」
「優しいよ。……優しいから、本当に心配になる」
「えぇ……?」
「もうこんな無茶はしないで」
「エイト」
「みんな心配してたんだ。だから……ね?」
瞳を覗き込まれて、私は頷いた。
なんであれ心配をかけたのは事実だし、それはきっとエイトだけじゃないだろうから。
私が優しいか優しくないかはさておき、心配をかけたことに対しては謝らなきゃ。
「……分かった。もうしない。ごめんなさい」
エイトの目を見つめ返してそう言う。
不安そうに揺らいでいた黒い瞳は、私をじっと見つめて、それからふっと眼差しを緩めた。
「約束だからね?」
ふわりと笑って、エイトが身体を離す。
なんだか、その笑顔は──見慣れているようで、今までに見たこともないくらい優しくて。
「……っ」
心臓が撥ねる。
痛いくらいに耳の奥で鼓動が鳴っている。
今までこんなことなかったのに、どうして……。
目を逸らしたい、でもエイトを見つめていたい。
矛盾した感情が一緒くたになって、私の中でグルグルしていた。
「みんな待ってるから、早く朝ご飯、食べにおいでよ」
「う、うん」
うう、なんでだろう。
エイトの顔がまともに見られない。
本当にこんなこと、今までなかったのに!
部屋を去っていくエイトをベッドの上から見送って、そのまま私はよろよろとベッドに倒れ込んでしまった。
「はっ……!? もしかして……何かの病気なんじゃ……!?」
いやいやいやいや、それはないだろ、さすがに。
衛生面はいつも通り、きっちりしてた自信がある。
それはもう周りが呆れるくらいに。
……呆れられても困るんだけどね、むしろ兵士時代はそれが普通だったから。
王族の一番近くにいる近衛兵が、変な病気なんか持ってたらいけないもん。
「さってと、朝ごはん朝ごはん~」
簡単にベッドメイクをして、荷物を持って部屋を出る。
サザンビークまではここから遠いみたいだから、しっかりと食べないと!
でもそろそろ、徒歩以外の移動手段が欲しいなぁ。
かと言って私たちが高速で動けるようになると、追い掛ける姫様が大変だもんな……。
今は私達も徒歩だから、姫様も後ろからポックポック歩いてくるだけでいいんだけど。
馬……そう、私達も乗れる馬みたいな、そういうの……ないかな……。
