32章
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みんなで一杯お酒を飲み終えて、席を立つ。
酒代を払ってホテルのフロントへ上がると、すっかり夜も更けていた。
「今日の酒盛りは陛下には内緒だね」
「また変に拗ねられても面倒だしな」
「おっさんが酒場で堂々と酒が飲めるように、アッシらでちゃちゃっとドルマゲスを倒してやりやしょうぜ」
そうだね、とみんなで頷く。
陛下の家臣としても、陛下や姫様に不便な思いは、これ以上させたくない。
呪いをかけられて旅立ってから、かなりの月日が経っているし、サザンビークもそろそろ音信不通になったトロデーンを不審に思う頃合いだ。
姫様の婚約が破棄にでもなったら大変だもんね。
姫様には、サザンビークで幸せになってもらわなきゃ。
「じゃあ明日はサザンビーク城に向かうから、早めに集合で」
「分かったわ」
「どんなところなんでがしょうな、サザンビークってのは」
「さぁな。俺も行くのは初めてだ」
みんなサザンビークに向かうのは初めてみたいだ。
となると、西の大陸は全員が不案内ということになるな。
……迷わず辿り着けますように!
「そんじゃあサゴスの顔を拝見するがてら、いっちょサザンビークに行きますか!」
「うん、だからチャゴス王子だね! それじゃあみんな、おやすみ」
「おやすみなさい」
「で、今日は誰がソファに雑魚寝だ?」
「昨日はアッシが雑魚寝だったでがすよ。今日はククールが雑魚寝でいいんじゃねぇでげすかい」
「エイトじゃねーのかよ」
「兄貴に雑魚寝なんかさせられねぇ」
やいのやいの言いながら、ククールとヤンガスは二階の客室へと階段を上っていく。
それを追いかけていくエイトとゼシカに、私はフロントから声をかけた。
「私、ちょっと散歩してくるね」
「分かった。早めに戻っておいでよ」
「うん」
二人に手を振って宿屋を出る。
外はもう夜更けで、月も真上から少し傾いている。
……静かな夜だ。
出歩く人もいなくて、世界に私だけしか存在しないみたい。
なんとなくカジノの横にあるベンチに座って、それからぼんやりと空を見上げた。
明かりのつかないカジノ。
そのせいか、この町全体が暗い雰囲気を持っている。
町の人は、ギャリングさんが生きていると思っていて、だけど実際はドルマゲスによって殺されてしまって……。
……倒せるのかな、あいつを。
ふと弱気な心がむくっと顔を上げて、ぶんぶんと強く首を振った。
勝てるかどうかじゃない、勝つんだ。
そのためにここまで旅してきたんじゃないか。
「……酔いが覚めちゃったな」
元から酔ってもいなかったんだけど、と付け足して、ベンチから立ち上がる。
その時、いきなり目の前に老人が現れた。
「うひっ……!?」
危うく悲鳴を上げかけたところで、その人が半透明だということに気付いた。
まるで──私たちの前に姿を現す時のヨシュアみたいに。
ごくりと唾を飲み込んで、それから恐る恐ると声を掛けた。
人間相手だとしても、怖いもんは怖いのだ。
声を掛けられるようになっただけマシってなもんである。
「あの……?」
「ああ、やはりお見えになるようじゃ……。霊導者様」
やっぱり、死んだ人には分かるのかな、私が霊導者だって。
厳密には霊導者じゃなくて、霊導の力を持った人間ってだけなんだけど。
霊導者として振舞ったことも、振る舞うつもりもないから……なんて、この人にとっちゃどうでもいいよなぁ。
「お願いします。私を昇天させてくだされ」
「え……っと、私はその……」
霊導の力を持ってはいるけど、霊導者じゃないんだ──なんて言ってしまったら、このおじいさんはどうなってしまうんだろう。
いつか彷徨える魂になってしまうのかな。
それはきっと……すごく寂しいことだ。
ヨシュアからは、力を使うなって言われてるけど……。
(一度くらいなら大丈夫かな)
目を閉じて精神を集中させる。
言うべき聖句が勝手に頭の中に浮かんで、私はその通りに唱えた。
「現世を漂う死者よ。汝の御魂、霊導者の名のもとに、神の御許へと誘わん。願わくば安らかに眠らんことを……」
老人の姿が淡い光に包まれる。
呪文を使った時とはまるで違う、体内から何かがごっそり抜き取られる感覚があった。
唐突に全身が力を失っていく。
「ありがとうございました……」
おじいさんの亡霊はそう微笑んで、天からの光と共に消えた。
力尽きたように、身体がベンチへと崩れ落ちる。
「よかっ……た……」
その直後、何も分からなくなった。
気絶するみたいに全部が暗転していく。
意識が途切れる間際、浮かんだのはエイトの顔だった。
倒れたのがバレたら、絶対に死ぬほど怒るんだろうなぁ。
怒られるのは嫌だなぁ──。
酒代を払ってホテルのフロントへ上がると、すっかり夜も更けていた。
「今日の酒盛りは陛下には内緒だね」
「また変に拗ねられても面倒だしな」
「おっさんが酒場で堂々と酒が飲めるように、アッシらでちゃちゃっとドルマゲスを倒してやりやしょうぜ」
そうだね、とみんなで頷く。
陛下の家臣としても、陛下や姫様に不便な思いは、これ以上させたくない。
呪いをかけられて旅立ってから、かなりの月日が経っているし、サザンビークもそろそろ音信不通になったトロデーンを不審に思う頃合いだ。
姫様の婚約が破棄にでもなったら大変だもんね。
姫様には、サザンビークで幸せになってもらわなきゃ。
「じゃあ明日はサザンビーク城に向かうから、早めに集合で」
「分かったわ」
「どんなところなんでがしょうな、サザンビークってのは」
「さぁな。俺も行くのは初めてだ」
みんなサザンビークに向かうのは初めてみたいだ。
となると、西の大陸は全員が不案内ということになるな。
……迷わず辿り着けますように!
「そんじゃあサゴスの顔を拝見するがてら、いっちょサザンビークに行きますか!」
「うん、だからチャゴス王子だね! それじゃあみんな、おやすみ」
「おやすみなさい」
「で、今日は誰がソファに雑魚寝だ?」
「昨日はアッシが雑魚寝だったでがすよ。今日はククールが雑魚寝でいいんじゃねぇでげすかい」
「エイトじゃねーのかよ」
「兄貴に雑魚寝なんかさせられねぇ」
やいのやいの言いながら、ククールとヤンガスは二階の客室へと階段を上っていく。
それを追いかけていくエイトとゼシカに、私はフロントから声をかけた。
「私、ちょっと散歩してくるね」
「分かった。早めに戻っておいでよ」
「うん」
二人に手を振って宿屋を出る。
外はもう夜更けで、月も真上から少し傾いている。
……静かな夜だ。
出歩く人もいなくて、世界に私だけしか存在しないみたい。
なんとなくカジノの横にあるベンチに座って、それからぼんやりと空を見上げた。
明かりのつかないカジノ。
そのせいか、この町全体が暗い雰囲気を持っている。
町の人は、ギャリングさんが生きていると思っていて、だけど実際はドルマゲスによって殺されてしまって……。
……倒せるのかな、あいつを。
ふと弱気な心がむくっと顔を上げて、ぶんぶんと強く首を振った。
勝てるかどうかじゃない、勝つんだ。
そのためにここまで旅してきたんじゃないか。
「……酔いが覚めちゃったな」
元から酔ってもいなかったんだけど、と付け足して、ベンチから立ち上がる。
その時、いきなり目の前に老人が現れた。
「うひっ……!?」
危うく悲鳴を上げかけたところで、その人が半透明だということに気付いた。
まるで──私たちの前に姿を現す時のヨシュアみたいに。
ごくりと唾を飲み込んで、それから恐る恐ると声を掛けた。
人間相手だとしても、怖いもんは怖いのだ。
声を掛けられるようになっただけマシってなもんである。
「あの……?」
「ああ、やはりお見えになるようじゃ……。霊導者様」
やっぱり、死んだ人には分かるのかな、私が霊導者だって。
厳密には霊導者じゃなくて、霊導の力を持った人間ってだけなんだけど。
霊導者として振舞ったことも、振る舞うつもりもないから……なんて、この人にとっちゃどうでもいいよなぁ。
「お願いします。私を昇天させてくだされ」
「え……っと、私はその……」
霊導の力を持ってはいるけど、霊導者じゃないんだ──なんて言ってしまったら、このおじいさんはどうなってしまうんだろう。
いつか彷徨える魂になってしまうのかな。
それはきっと……すごく寂しいことだ。
ヨシュアからは、力を使うなって言われてるけど……。
(一度くらいなら大丈夫かな)
目を閉じて精神を集中させる。
言うべき聖句が勝手に頭の中に浮かんで、私はその通りに唱えた。
「現世を漂う死者よ。汝の御魂、霊導者の名のもとに、神の御許へと誘わん。願わくば安らかに眠らんことを……」
老人の姿が淡い光に包まれる。
呪文を使った時とはまるで違う、体内から何かがごっそり抜き取られる感覚があった。
唐突に全身が力を失っていく。
「ありがとうございました……」
おじいさんの亡霊はそう微笑んで、天からの光と共に消えた。
力尽きたように、身体がベンチへと崩れ落ちる。
「よかっ……た……」
その直後、何も分からなくなった。
気絶するみたいに全部が暗転していく。
意識が途切れる間際、浮かんだのはエイトの顔だった。
倒れたのがバレたら、絶対に死ぬほど怒るんだろうなぁ。
怒られるのは嫌だなぁ──。
